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帰る場所
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「フィオナ?」
呼びかけると、彼女は匙を置いた。その表情は暗い。まるでこれから罪の告白でもしようとしているのかというほど、重く翳っている。
今までの話の流れの何がフィオナにそんな顔をさせているのかと考えてみても、ルーカスにはさっぱり判らなかった。
(まさか、生まれてきてごめんなさい、とかではないだろうな?)
もしもそんなことを言おうものなら、たとえここが公衆の面前であろうとも、フィオナが羞恥で卒倒するような方法でその口を塞いでやる。
ルーカスは不穏なことを考え目をすがめた。
そして、そんな彼を前にして、フィオナは。
「わたしのせいで、ごめんなさい」
謝罪の言葉は、確かに入っていた。だが、微妙にルーカスの予想とは違っている。
(わたしの『せい』で?)
ということは、つまり、フィオナがルーカスに対して何か損失をもたらしたということになるが。
「それ、何に対して謝っているんだい?」
そういった理由に、まったく、心当たりがない彼は当然それを訊ねたが、フィオナは唇を噛んだまま口を閉ざしている。
「フィオナ?」
再度促すと、フィオナはより深くうつむいた。まるで、ルーカスの視線が耐え難いという風情で。
ルーカスは無言で待つ。彼女が口を開くまで、いつまででも待つつもりだった。
やがてフィオナは、彼につむじを見せたまま、小さな声で、答える。
「その、お姉さまのこと……わたしのせいで……」
その台詞に、ルーカスは眉をひそめる。
「コンスタンス? どうして彼女のことが出てくるんだ?」
「だって、ルーカスさんはお姉さまと想い合っていて――将来も――」
「はぁ!? やめてくれよ!」
思わず、声が高まった。
ルーカスは小さく咳払いをして、己を整える。そうして手を伸ばし、フィオナの頤にそっと指をかけ、顔を上げさせた。
「えっと、すまないが、私は彼女のことなど全く興味がないよ」
フィオナの瞳が戸惑いに揺れる。
「でも、お姉さまは――」
「私が彼女といたのは、君への嫉妬を和らげるためだよ」
「嫉妬?」
「ああ。コンスタンスは私を君から奪おうと躍起になっていたからね」
「それは、お姉さまが……ルーカスさんのことを、愛していたからです」
一言一言が喉につかえるかのようにたどたどしくこぼしたフィオナの言葉を、ルーカスは一笑に付す。
「まさか。彼女は、私が金持ちで爵位を持っていて見栄えがいいから、餌にしようとしていただけだ。ルーカス・アシュクロフトという男がただの警邏隊員だったら、鼻も引っかけなかっただろう」
「そんなこと――」
「ある」
ルーカスはフィオナの否定をきっぱりと遮って、ため息をついた。
「仕方がないな。本当はもう少し落ち着いてからにしようと思っていたのだけれどね」
呟いたルーカスに、フィオナが訝しげに首をかしげる。そんな彼女に微笑みかけた。
「フィオナ、手を貸してくれるかい」
「手?」
唐突に言われて戸惑いながらもフィオナは言われたとおりに卓の上に手をのせた。ルーカスはそれを取り、しっかりと握る。そうして、彼女の目を覗き込んだ。
「フィオナ。私がアランブール家で言ったことをちゃんと覚えているかい?」
「アランブール家……?」
「ああ。私は、君が欲しいと言っただろう?」
ルーカスがそう言葉にして、フィオナは頷いた。
「あの時はありがとうございました」
何故、出てくるのが感謝の言葉か。
答えは簡単。
ルーカスのあの台詞を、フィオナは、彼女のことを価値のないものだと謗ったアデライドの言葉から庇うためのもの、と受け取ったからだ。
ルーカスは、やれやれと深いため息をついた。
「まあ、あの流れでは、仕方がないか」
仕方がないとは言え、彼の生涯初めての愛の告白をさらりと流されてしまったことには、やはり、落ち込む。肩を落としたルーカスに、フィオナが眉をひそめた。
「ルーカスさん?」
気づかわしげなフィオナを見つめ、視線はそのままで、ルーカスは捉えていた彼女の指に口付けた。フィオナは目を丸くして固まっている。
「あのね、フィオナ。君が欲しいという私の言葉は、その言葉通りの意味だから」
「言葉、どおり……?」
笑顔と共にルーカスが告げると、案の定、フィオナはキョトンと目を丸くした。が、当然、ここで引きはしない。
ルーカスは頷き、広げた彼女の手のひらに恭しく唇を押し当てる。
「そう。私は、君を愛しているよ。だから君に、フィオナ・アシュクロフトになって欲しいんだ」
「無理です」
即答だった。そして、その一言を放ったフィオナは、呆然としている。
ルーカスは首をかしげて彼女を覗き込んだ。
「どうして?」
「どうして、って、それは……」
「フィオナは私のことが嫌いかい? 夫としてなど、考えられない?」
眉根を寄せたルーカスの問いかけに対するフィオナの返事は、先ほどの『無理です』よりも速く大きかった。
「まさか! いえ、その……」
反射的に答えてしまってから取り繕うとしているフィオナは、実に可愛らしい。
「フィオナ」
呼びかけフィオナの視線を捕まえてから、ルーカスは彼女の左手の薬指に唇を寄せる。
「ここに、私が贈る指輪をはめて欲しい。これから先、その輝かしい命が尽きるまで――いや、その後も。私は君より先には死なないよ。たとえ一呼吸分でも、長く生きてみせる。絶対に君を一人にはしない。だから、君のこれからの時間を私と一緒に歩んでいって欲しいんだ」
懇願し、繊細な砂糖菓子にするように、フィオナの指に唇を押し当てた。触れた瞬間、ピクリと跳ねるような彼女の震えが伝わってきたが、それが嫌悪からのものではないことは、判っていた。
「フィオナ、返事は?」
「でも、あの、どうして……」
口ごもったフィオナを、ルーカスは微笑みで促す。
「どうして、何?」
「――どうして、わたし、なのですか?」
つかえながらの彼女の問いかけには、心底からの困惑が満ち溢れていた。
『私のどこが好き?』
それは、恋愛遊戯の中でしばしば耳にする問いかけで、たいていの場合、それは相手の美辞麗句を引き出すための代物だ。
だが、気弱な口調のフィオナの台詞はルーカスを試すためのものではない。本気で、彼女は自分が誰かに――ルーカスに想いを寄せられる理由が解からないのだ。その価値が自分にないと思っているから。
(まだまだ、根深いか)
まあ、これも仕方がないか。
ルーカスは内心で苦笑した。そして、告げる。
「私はね、人を愛したことがなかったんだ。というよりも、あまり他人に関心を持てなかったと言った方がいいかな」
「そんなこと――」
「あるんだよ。私の人当たりの良さや気遣いは、意図して作ったものだ。そうした方が何かと都合がいいからね。――幻滅した?」
微笑みと共に問いかけると、フィオナは髪を揺らしてかぶりを振った。
「良かった。で、そんな私が、初めて君を一目見た瞬間に恋に墜ちたんだ。その理由は訊かないでくれ。訊かれても答えられないから。ただ、一目で君に墜ちてから、毎日を共に過ごしていくうちに、この想いはどんどん深くなっていった。フィオナ、私は君が愛おしくてならないんだ。どこがと答えられないほど、君の何もかもが」
息をひそめて彼の言葉に聞き入っているフィオナの手を、そっと、だがしっかりと、握り締める。
「私にも、人を愛せる。それを教えてくれたのは君だよ。そして、それを知った私は幸せになった。君を愛することが、私を幸せにしてくれたんだ」
「ルーカスさん……」
「フィオナ、私は君が欲しい。というよりも、絶対に手放せないし、他の者にも譲れない。この先一生君の傍にいて、どんなときでも君を守り慈しむ者は、私でありたい。君が帰る場所は私の腕の中で、私が帰る場所は、君の腕の中であって欲しい」
ルーカスは背筋を伸ばして固まっている彼女に微笑みかける。
「返事は今すぐじゃなくてもいいよ。でも、あちらに帰ったらすぐに式の準備や諸々を手配したいんだ」
「式?」
「結婚式だよ。もちろんするだろう?」
「あの、返事って……」
「ああ、承諾以外は受け付けないから」
サラリと告げたルーカスに、フィオナが目をしばたたかせた。彼は言葉を失っている彼女に宣言する。
「今のところその気がなくても、ウィリスサイドに着くまでには変えてみせるよ。何しろ、この旅に出てトラントゥール家で過ごしたひと月弱は、本当に鬱憤が溜まったからね。それを晴らすためにも、思い切り君を甘やかすよ」
覚悟して、と満面の笑みで付け加えたルーカスに、フィオナはヒクリと喉を鳴らしただけだ。
そんな彼女に、ルーカスは笑う。
フィオナの中には、まだ満たされていない何かがあるのかもしれない。あるいは、深く抉られた大きな傷が。
だが、その全てを満たし癒していくことに、ルーカスは力を惜しまぬ所存だった。
呼びかけると、彼女は匙を置いた。その表情は暗い。まるでこれから罪の告白でもしようとしているのかというほど、重く翳っている。
今までの話の流れの何がフィオナにそんな顔をさせているのかと考えてみても、ルーカスにはさっぱり判らなかった。
(まさか、生まれてきてごめんなさい、とかではないだろうな?)
もしもそんなことを言おうものなら、たとえここが公衆の面前であろうとも、フィオナが羞恥で卒倒するような方法でその口を塞いでやる。
ルーカスは不穏なことを考え目をすがめた。
そして、そんな彼を前にして、フィオナは。
「わたしのせいで、ごめんなさい」
謝罪の言葉は、確かに入っていた。だが、微妙にルーカスの予想とは違っている。
(わたしの『せい』で?)
ということは、つまり、フィオナがルーカスに対して何か損失をもたらしたということになるが。
「それ、何に対して謝っているんだい?」
そういった理由に、まったく、心当たりがない彼は当然それを訊ねたが、フィオナは唇を噛んだまま口を閉ざしている。
「フィオナ?」
再度促すと、フィオナはより深くうつむいた。まるで、ルーカスの視線が耐え難いという風情で。
ルーカスは無言で待つ。彼女が口を開くまで、いつまででも待つつもりだった。
やがてフィオナは、彼につむじを見せたまま、小さな声で、答える。
「その、お姉さまのこと……わたしのせいで……」
その台詞に、ルーカスは眉をひそめる。
「コンスタンス? どうして彼女のことが出てくるんだ?」
「だって、ルーカスさんはお姉さまと想い合っていて――将来も――」
「はぁ!? やめてくれよ!」
思わず、声が高まった。
ルーカスは小さく咳払いをして、己を整える。そうして手を伸ばし、フィオナの頤にそっと指をかけ、顔を上げさせた。
「えっと、すまないが、私は彼女のことなど全く興味がないよ」
フィオナの瞳が戸惑いに揺れる。
「でも、お姉さまは――」
「私が彼女といたのは、君への嫉妬を和らげるためだよ」
「嫉妬?」
「ああ。コンスタンスは私を君から奪おうと躍起になっていたからね」
「それは、お姉さまが……ルーカスさんのことを、愛していたからです」
一言一言が喉につかえるかのようにたどたどしくこぼしたフィオナの言葉を、ルーカスは一笑に付す。
「まさか。彼女は、私が金持ちで爵位を持っていて見栄えがいいから、餌にしようとしていただけだ。ルーカス・アシュクロフトという男がただの警邏隊員だったら、鼻も引っかけなかっただろう」
「そんなこと――」
「ある」
ルーカスはフィオナの否定をきっぱりと遮って、ため息をついた。
「仕方がないな。本当はもう少し落ち着いてからにしようと思っていたのだけれどね」
呟いたルーカスに、フィオナが訝しげに首をかしげる。そんな彼女に微笑みかけた。
「フィオナ、手を貸してくれるかい」
「手?」
唐突に言われて戸惑いながらもフィオナは言われたとおりに卓の上に手をのせた。ルーカスはそれを取り、しっかりと握る。そうして、彼女の目を覗き込んだ。
「フィオナ。私がアランブール家で言ったことをちゃんと覚えているかい?」
「アランブール家……?」
「ああ。私は、君が欲しいと言っただろう?」
ルーカスがそう言葉にして、フィオナは頷いた。
「あの時はありがとうございました」
何故、出てくるのが感謝の言葉か。
答えは簡単。
ルーカスのあの台詞を、フィオナは、彼女のことを価値のないものだと謗ったアデライドの言葉から庇うためのもの、と受け取ったからだ。
ルーカスは、やれやれと深いため息をついた。
「まあ、あの流れでは、仕方がないか」
仕方がないとは言え、彼の生涯初めての愛の告白をさらりと流されてしまったことには、やはり、落ち込む。肩を落としたルーカスに、フィオナが眉をひそめた。
「ルーカスさん?」
気づかわしげなフィオナを見つめ、視線はそのままで、ルーカスは捉えていた彼女の指に口付けた。フィオナは目を丸くして固まっている。
「あのね、フィオナ。君が欲しいという私の言葉は、その言葉通りの意味だから」
「言葉、どおり……?」
笑顔と共にルーカスが告げると、案の定、フィオナはキョトンと目を丸くした。が、当然、ここで引きはしない。
ルーカスは頷き、広げた彼女の手のひらに恭しく唇を押し当てる。
「そう。私は、君を愛しているよ。だから君に、フィオナ・アシュクロフトになって欲しいんだ」
「無理です」
即答だった。そして、その一言を放ったフィオナは、呆然としている。
ルーカスは首をかしげて彼女を覗き込んだ。
「どうして?」
「どうして、って、それは……」
「フィオナは私のことが嫌いかい? 夫としてなど、考えられない?」
眉根を寄せたルーカスの問いかけに対するフィオナの返事は、先ほどの『無理です』よりも速く大きかった。
「まさか! いえ、その……」
反射的に答えてしまってから取り繕うとしているフィオナは、実に可愛らしい。
「フィオナ」
呼びかけフィオナの視線を捕まえてから、ルーカスは彼女の左手の薬指に唇を寄せる。
「ここに、私が贈る指輪をはめて欲しい。これから先、その輝かしい命が尽きるまで――いや、その後も。私は君より先には死なないよ。たとえ一呼吸分でも、長く生きてみせる。絶対に君を一人にはしない。だから、君のこれからの時間を私と一緒に歩んでいって欲しいんだ」
懇願し、繊細な砂糖菓子にするように、フィオナの指に唇を押し当てた。触れた瞬間、ピクリと跳ねるような彼女の震えが伝わってきたが、それが嫌悪からのものではないことは、判っていた。
「フィオナ、返事は?」
「でも、あの、どうして……」
口ごもったフィオナを、ルーカスは微笑みで促す。
「どうして、何?」
「――どうして、わたし、なのですか?」
つかえながらの彼女の問いかけには、心底からの困惑が満ち溢れていた。
『私のどこが好き?』
それは、恋愛遊戯の中でしばしば耳にする問いかけで、たいていの場合、それは相手の美辞麗句を引き出すための代物だ。
だが、気弱な口調のフィオナの台詞はルーカスを試すためのものではない。本気で、彼女は自分が誰かに――ルーカスに想いを寄せられる理由が解からないのだ。その価値が自分にないと思っているから。
(まだまだ、根深いか)
まあ、これも仕方がないか。
ルーカスは内心で苦笑した。そして、告げる。
「私はね、人を愛したことがなかったんだ。というよりも、あまり他人に関心を持てなかったと言った方がいいかな」
「そんなこと――」
「あるんだよ。私の人当たりの良さや気遣いは、意図して作ったものだ。そうした方が何かと都合がいいからね。――幻滅した?」
微笑みと共に問いかけると、フィオナは髪を揺らしてかぶりを振った。
「良かった。で、そんな私が、初めて君を一目見た瞬間に恋に墜ちたんだ。その理由は訊かないでくれ。訊かれても答えられないから。ただ、一目で君に墜ちてから、毎日を共に過ごしていくうちに、この想いはどんどん深くなっていった。フィオナ、私は君が愛おしくてならないんだ。どこがと答えられないほど、君の何もかもが」
息をひそめて彼の言葉に聞き入っているフィオナの手を、そっと、だがしっかりと、握り締める。
「私にも、人を愛せる。それを教えてくれたのは君だよ。そして、それを知った私は幸せになった。君を愛することが、私を幸せにしてくれたんだ」
「ルーカスさん……」
「フィオナ、私は君が欲しい。というよりも、絶対に手放せないし、他の者にも譲れない。この先一生君の傍にいて、どんなときでも君を守り慈しむ者は、私でありたい。君が帰る場所は私の腕の中で、私が帰る場所は、君の腕の中であって欲しい」
ルーカスは背筋を伸ばして固まっている彼女に微笑みかける。
「返事は今すぐじゃなくてもいいよ。でも、あちらに帰ったらすぐに式の準備や諸々を手配したいんだ」
「式?」
「結婚式だよ。もちろんするだろう?」
「あの、返事って……」
「ああ、承諾以外は受け付けないから」
サラリと告げたルーカスに、フィオナが目をしばたたかせた。彼は言葉を失っている彼女に宣言する。
「今のところその気がなくても、ウィリスサイドに着くまでには変えてみせるよ。何しろ、この旅に出てトラントゥール家で過ごしたひと月弱は、本当に鬱憤が溜まったからね。それを晴らすためにも、思い切り君を甘やかすよ」
覚悟して、と満面の笑みで付け加えたルーカスに、フィオナはヒクリと喉を鳴らしただけだ。
そんな彼女に、ルーカスは笑う。
フィオナの中には、まだ満たされていない何かがあるのかもしれない。あるいは、深く抉られた大きな傷が。
だが、その全てを満たし癒していくことに、ルーカスは力を惜しまぬ所存だった。
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