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相応しいのは
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微笑み合うルーカスとコンスタンスの傍から逃げ出したフィオナは、一心に走った。
ドレスの裾をからげ、髪を乱したその姿を母に見られたら、また呆れた眼差しを投げられていただろう。
けれど、普段は全身にこびりついてフィオナを雁字搦めにしているアデライドの視線を恐れる気持ちが、今はきれいに失せていた。自分が走っているという自覚もなく、とにかく、その場を離れることだけが彼女の頭の中にあった。
(ルーカスさんは、フランジナに残る)
フィオナがグランスに帰った後も。
彼と姉との遣り取りが意味するのは、その現実だ。あの会話で、違う意味には取りようがない。
ルーカスの日常は、ウィリスサイドにあったはず。家族も、友人も、警邏隊という仕事も、何もかも。
(でも、ルーカスさんは帰らない)
それほど――ウィリスサイドにある全てを投げ打ってもいいと思うほど、ルーカスはコンスタンスのことを想っているのか。出逢ってまだひと月にもならないのに、それほどまでに、深く。
走って、走って、いつしか、フィオナは庭の隅に設えられてある小さな四阿《あずまや》まで辿り着いていた。
家の者で、ここまで来る者はいない。そう気づいてからしばしば足を運ぶようになっていたから、誰とも会いたくない今、無意識にここに向かっていたようだ。
フィオナは四阿の中に入り、力なく木造りの長椅子に腰を下ろす。
ホ、と息をつくと、再び、ルーカスとコンスタンスの遣り取りが嫌になるほど鮮明に耳の中に蘇ってきた。
(ルーカスさんは、本当に、ここに残るの?)
この場にいない相手に問いかけても、もちろん、応えはない。代わりに、フィオナは彼女自身で答えを導き出す。
そう、かもしれない。
コンスタンスと二人でいる時の彼を思い出せば、いつだって楽しげに笑っている。かつてはその笑顔をフィオナにも向けてくれていたけれど、今は、彼が彼女に見せるのは気遣いや案じる色を浮かべた窺うような表情だけだ。心地良さそうに、楽しそうにしているのは、コンスタンスといる時だけ、だ。
二人は何もかもがお似合いで、互いに相応しい相手だとしか、言い様がない。
フィオナは我が身を振り返った。
コンスタンスに比べて、自分はどうだろう。
姉のような才気はない。
姉のようにルーカスに釣り合うような華やかな美しさもないし、本来彼が属している社会である貴族としての振る舞いもできない。
――自分は、ルーカスに相応しいとは、到底言えない。
そもそも、ルーカスがフィオナと一緒に来てくれたのは、仕事だからなのだ。
そこが、始まり。
手間暇時間をかけて義務感でフィオナの為にこんなに遠くまで来てくれた彼がこの地で幸せを見つけられたなら、それは喜ぶべきことだ。
(ルーカスさんがお姉さまと出逢えたことを、祝福すべき)
そうすべきだと、思うけれど――そうできない、自分がいる。
ルーカスもコンスタンスも、フィオナをグランスに帰そうと言っていた。
ここに残れば、仲睦まじい二人を毎日目の当たりにすることになる。
ここから去れば、きっと、もう二度とルーカスに会うことはできないだろう。
(わたくしは……)
そのどちらも、フィオナには選べない。
頭の中がグチャグチャで、何も考えられなかった。
フィオナはうつむき、両手をきつく握り締める。手のひらに爪が食い込む痛みで、己を叱咤しようとした。けれど、そんな些細な痛みでは、どうにもできない。
未練がましくルーカスにしがみつこうとしている自分が、疎ましかった。
独りで立とうとしない自分が、そうできない自分が、情けなかった。
(こんなわたくしだから、きっと、お母さまやお姉さまもうんざりさせてしまったのだわ)
今、ルーカスにそうしているように、幼い頃は母や姉にまとわりついていたのかもしれない。人にすがらずにはいられない弱いところを、鬱陶しがられてしまったのかもしれない。
悄然としたフィオナは、両手で顔を覆った。が、カサリ、と耳に届いた葉擦れの小さな音にパッと顔を上げる。そこに見慣れぬ男性が佇んでいるのを見て、ギクリと腰を浮かばせた。
「すまない、驚かせたかな」
目をみはるフィオナの前で、男性は、気弱な風情で微笑んだ。
知らぬ人かと思ったけれど、どことなく記憶をかすめるものがある。
彼とは、どこかで会っていた。
(どこで……)
まだ浅い、ここに来てからの日々を探り、思い出す。
確か、父の友人だという――
「アランブールさま」
呼ぶともなしにフィオナがその名前を口にすると、オーギュスト・アランブールはホッとしたように柔らかく笑んだ。
「お父さんに用があってきたのだけれど、君が庭を駆けていくのが見えたから、何事なのかと思って。……大丈夫かい?」
四阿の外に立ったまま、アランブール伯爵は気遣わしげな眼差しを注いでくる。
「あの、みっともないところを――申し訳ありません」
淑女は走ったりなどしないものだ。
フィオナは無作法なところを目に入れてしまったことに謝罪する。と、アランブール伯爵は眉をひそめてかぶりを振った。
「謝る必要などないよ。私は君が心配で――何があったのだい?」
アランブール伯爵の声にも眼差しにも、フィオナを案じる色が溢れている。その優しさが、今は身に染みた。
「何も、ありません。お気遣いありがとうございます」
フィオナはどうにか微笑んで、そう答えた。
だが、アランブール伯爵は納得がいかなそうに顔を曇らせたまま、一歩分だけ距離を詰めてくる。
「何も、というようには見えないよ。君は――泣いているように見えた」
「いいえ!」
咄嗟に返した一言は、彼を納得させるには反応が速過ぎたようだ。
アランブール伯爵は束の間ためらい、四阿の中に入ってくる。そうしてフィオナの前にひざまずくと、まだ固く握ったままだった彼女の手を取り、そっと開かせた。そこにくっきりと刻まれたいくつかの三日月形に、痛ましげに表情を曇らせる。
「これは、何でも――」
「なくはない」
アランブール伯爵はきっぱりとした口調でフィオナの台詞を奪い、彼女の両手を握り込む。
しばらくそうしていてから、意を決したようにフィオナの目を覗き込んできた。
「君は、この家にいて幸せかい?」
「……え?」
唐突な問いかけに、フィオナは困惑する。どう答えるべきなのかが判らず口ごもることしかできない彼女の返事を待たずに、アランブール伯爵は続ける。
「ずっと前にも、君が今と同じようにここにいるのを見たことがある。君がいなくなる前のことだ」
アランブール伯爵は微かに笑みを浮かべた。
「覚えていないだろうけれど、私は以前からこの家には良く出入りしていたんだよ。君のお父さんとは、親しくしているからね。あの時の君は泣いていて、でも、私のちょっとした怪我に気が付くと、自分のことはそっちのけで手巾を差し出してくれたんだ」
そう言って、アランブール伯爵は口元に刻んでいた笑みを消し、また怖いほどに真剣な面持ちになる。フィオナの手を包む彼の手に、力がこもった。
「フィオナ、君は優しい、良い子だよ。君に対してあんな扱いをする彼らの方が、間違っているんだ」
最後の方は歯を食いしばるようにして、その声に滲むのは、憤りだ。
「アランブールさま……」
アランブール伯爵は真摯な眼差しでフィオナを見つめてくる。あまりに真っ直ぐなその視線に、彼女は身じろぎをする。
フィオナのその微かな動きには気付いていないのか、あるいは気付かないふりをしているのか、アランブール伯爵の手は一層力を増した。
「君は、君がいるに相応しい場所にいるべきだ」
静かな、しかし決然とした口調で告げられたアランブール伯爵のその言葉が、フィオナの胸を刺す。
彼の言うとおりだった。
いや、アランブール伯爵に言われる前から、本当はとうに気付いていた。気づきたくは、なかったけれども。
フィオナはフィオナがいるべき場所にいるべきであり、それはきっと、ここではない。ここは、フィオナの居場所ではないのだ。
明確にそう悟った瞬間、こらえていた涙がフィオナの頬を伝った。
ドレスの裾をからげ、髪を乱したその姿を母に見られたら、また呆れた眼差しを投げられていただろう。
けれど、普段は全身にこびりついてフィオナを雁字搦めにしているアデライドの視線を恐れる気持ちが、今はきれいに失せていた。自分が走っているという自覚もなく、とにかく、その場を離れることだけが彼女の頭の中にあった。
(ルーカスさんは、フランジナに残る)
フィオナがグランスに帰った後も。
彼と姉との遣り取りが意味するのは、その現実だ。あの会話で、違う意味には取りようがない。
ルーカスの日常は、ウィリスサイドにあったはず。家族も、友人も、警邏隊という仕事も、何もかも。
(でも、ルーカスさんは帰らない)
それほど――ウィリスサイドにある全てを投げ打ってもいいと思うほど、ルーカスはコンスタンスのことを想っているのか。出逢ってまだひと月にもならないのに、それほどまでに、深く。
走って、走って、いつしか、フィオナは庭の隅に設えられてある小さな四阿《あずまや》まで辿り着いていた。
家の者で、ここまで来る者はいない。そう気づいてからしばしば足を運ぶようになっていたから、誰とも会いたくない今、無意識にここに向かっていたようだ。
フィオナは四阿の中に入り、力なく木造りの長椅子に腰を下ろす。
ホ、と息をつくと、再び、ルーカスとコンスタンスの遣り取りが嫌になるほど鮮明に耳の中に蘇ってきた。
(ルーカスさんは、本当に、ここに残るの?)
この場にいない相手に問いかけても、もちろん、応えはない。代わりに、フィオナは彼女自身で答えを導き出す。
そう、かもしれない。
コンスタンスと二人でいる時の彼を思い出せば、いつだって楽しげに笑っている。かつてはその笑顔をフィオナにも向けてくれていたけれど、今は、彼が彼女に見せるのは気遣いや案じる色を浮かべた窺うような表情だけだ。心地良さそうに、楽しそうにしているのは、コンスタンスといる時だけ、だ。
二人は何もかもがお似合いで、互いに相応しい相手だとしか、言い様がない。
フィオナは我が身を振り返った。
コンスタンスに比べて、自分はどうだろう。
姉のような才気はない。
姉のようにルーカスに釣り合うような華やかな美しさもないし、本来彼が属している社会である貴族としての振る舞いもできない。
――自分は、ルーカスに相応しいとは、到底言えない。
そもそも、ルーカスがフィオナと一緒に来てくれたのは、仕事だからなのだ。
そこが、始まり。
手間暇時間をかけて義務感でフィオナの為にこんなに遠くまで来てくれた彼がこの地で幸せを見つけられたなら、それは喜ぶべきことだ。
(ルーカスさんがお姉さまと出逢えたことを、祝福すべき)
そうすべきだと、思うけれど――そうできない、自分がいる。
ルーカスもコンスタンスも、フィオナをグランスに帰そうと言っていた。
ここに残れば、仲睦まじい二人を毎日目の当たりにすることになる。
ここから去れば、きっと、もう二度とルーカスに会うことはできないだろう。
(わたくしは……)
そのどちらも、フィオナには選べない。
頭の中がグチャグチャで、何も考えられなかった。
フィオナはうつむき、両手をきつく握り締める。手のひらに爪が食い込む痛みで、己を叱咤しようとした。けれど、そんな些細な痛みでは、どうにもできない。
未練がましくルーカスにしがみつこうとしている自分が、疎ましかった。
独りで立とうとしない自分が、そうできない自分が、情けなかった。
(こんなわたくしだから、きっと、お母さまやお姉さまもうんざりさせてしまったのだわ)
今、ルーカスにそうしているように、幼い頃は母や姉にまとわりついていたのかもしれない。人にすがらずにはいられない弱いところを、鬱陶しがられてしまったのかもしれない。
悄然としたフィオナは、両手で顔を覆った。が、カサリ、と耳に届いた葉擦れの小さな音にパッと顔を上げる。そこに見慣れぬ男性が佇んでいるのを見て、ギクリと腰を浮かばせた。
「すまない、驚かせたかな」
目をみはるフィオナの前で、男性は、気弱な風情で微笑んだ。
知らぬ人かと思ったけれど、どことなく記憶をかすめるものがある。
彼とは、どこかで会っていた。
(どこで……)
まだ浅い、ここに来てからの日々を探り、思い出す。
確か、父の友人だという――
「アランブールさま」
呼ぶともなしにフィオナがその名前を口にすると、オーギュスト・アランブールはホッとしたように柔らかく笑んだ。
「お父さんに用があってきたのだけれど、君が庭を駆けていくのが見えたから、何事なのかと思って。……大丈夫かい?」
四阿の外に立ったまま、アランブール伯爵は気遣わしげな眼差しを注いでくる。
「あの、みっともないところを――申し訳ありません」
淑女は走ったりなどしないものだ。
フィオナは無作法なところを目に入れてしまったことに謝罪する。と、アランブール伯爵は眉をひそめてかぶりを振った。
「謝る必要などないよ。私は君が心配で――何があったのだい?」
アランブール伯爵の声にも眼差しにも、フィオナを案じる色が溢れている。その優しさが、今は身に染みた。
「何も、ありません。お気遣いありがとうございます」
フィオナはどうにか微笑んで、そう答えた。
だが、アランブール伯爵は納得がいかなそうに顔を曇らせたまま、一歩分だけ距離を詰めてくる。
「何も、というようには見えないよ。君は――泣いているように見えた」
「いいえ!」
咄嗟に返した一言は、彼を納得させるには反応が速過ぎたようだ。
アランブール伯爵は束の間ためらい、四阿の中に入ってくる。そうしてフィオナの前にひざまずくと、まだ固く握ったままだった彼女の手を取り、そっと開かせた。そこにくっきりと刻まれたいくつかの三日月形に、痛ましげに表情を曇らせる。
「これは、何でも――」
「なくはない」
アランブール伯爵はきっぱりとした口調でフィオナの台詞を奪い、彼女の両手を握り込む。
しばらくそうしていてから、意を決したようにフィオナの目を覗き込んできた。
「君は、この家にいて幸せかい?」
「……え?」
唐突な問いかけに、フィオナは困惑する。どう答えるべきなのかが判らず口ごもることしかできない彼女の返事を待たずに、アランブール伯爵は続ける。
「ずっと前にも、君が今と同じようにここにいるのを見たことがある。君がいなくなる前のことだ」
アランブール伯爵は微かに笑みを浮かべた。
「覚えていないだろうけれど、私は以前からこの家には良く出入りしていたんだよ。君のお父さんとは、親しくしているからね。あの時の君は泣いていて、でも、私のちょっとした怪我に気が付くと、自分のことはそっちのけで手巾を差し出してくれたんだ」
そう言って、アランブール伯爵は口元に刻んでいた笑みを消し、また怖いほどに真剣な面持ちになる。フィオナの手を包む彼の手に、力がこもった。
「フィオナ、君は優しい、良い子だよ。君に対してあんな扱いをする彼らの方が、間違っているんだ」
最後の方は歯を食いしばるようにして、その声に滲むのは、憤りだ。
「アランブールさま……」
アランブール伯爵は真摯な眼差しでフィオナを見つめてくる。あまりに真っ直ぐなその視線に、彼女は身じろぎをする。
フィオナのその微かな動きには気付いていないのか、あるいは気付かないふりをしているのか、アランブール伯爵の手は一層力を増した。
「君は、君がいるに相応しい場所にいるべきだ」
静かな、しかし決然とした口調で告げられたアランブール伯爵のその言葉が、フィオナの胸を刺す。
彼の言うとおりだった。
いや、アランブール伯爵に言われる前から、本当はとうに気付いていた。気づきたくは、なかったけれども。
フィオナはフィオナがいるべき場所にいるべきであり、それはきっと、ここではない。ここは、フィオナの居場所ではないのだ。
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