20 / 59
眠れない夜
しおりを挟む
フィオナとルーカスがトラントゥール家で過ごすようになってから、三晩目を迎えた。前の二晩と同様に、彼女は柔らかな寝台の上で二度三度と寝返りを打つ。
今夜もフィオナには眠りの精が訪れてくれそうになく、窓に現れた月が再び見えなくなるのを見届けたところで、彼女は寝台から抜け出した。
窓際まで行き外を覗くと、綺麗な満月は夜空の真ん中から西へと、傾きつつある。
頭は何だかぼんやりするし、身体は怠くて仕方がない。
けれども、眠れない。目蓋を下ろしても絶えず様々な思いが飛来して、眠ろうとすればするほど、目は冴えてくる。
フィオナは窓硝子に指先を触れさせ、小さく吐息をこぼす。そして、肩越しに室内を振り返った。
白と水色で整えられた少女らしいこの部屋は、彼女が幼い頃からずっと過ごしてきた場所だという。外には出かけたがらない子どもだったから、ほとんど一日中、この中で本を読んだり縫い物をしたりしていたのだとか。
フィオナが、生まれてからの十四年間、その大半を過ごしてきた、部屋。
けれども、まったく彼女の記憶にかするものはないし、ぼんやりとした懐かしささえも抱けない。眠り慣れたはずの寝台では眠ろうとしても落ち着かず、この旅の中でルーカスと泊った宿の粗末な寝床の方が、よほど寛げたような気がする。
ここはフィオナが生まれ育った家で、ここに住む者は彼女と血のつながりを持つ者だ。彼らはこの世の誰よりも、彼女に近しい人たちのはず。
そのはず、なのに。
(わたくしの、家族)
胸の中で囁いてみた。
両親と、兄と、姉。
フィオナは一つに編んである黒髪をそっと持ち上げる。
この髪は、父親譲りかもしれない。
硝子に映る青い目を、見つめる。
この青い目は、母の青さとは違う。
両手で、顔に触れる。
家族の誰とも重なるところがないこの顔かたちは、いったい誰に似ているというのだろう。
(おじいさまや、おばあさま、とか……?)
トラントゥールの血筋を辿れば、この顔に似た人が誰か一人くらいはいたのだろうか。
応接間で三年半振りの再会を果たした時、母は目を潤ませて迎え入れてくれた。父も、「お前はいったい何者だ」と問いかけてくることはしなかった。だから、フィオナはこの家の娘なのだと思う。父と母だという人たちが、そう言うのだから。
(でも……)
フィオナは、また一つ、息をついた。
確かに一度は歓迎の言葉をもらったけれども、ここは、まったく自分の家、自分の家族という気がしない。ウィリスサイドの警邏隊詰所の方が、遥かにそう感じられた。
兄のセルジュと姉のコンスタンスには、フィオナが行方不明になったことは教えていなかったのだという。夕食の席で顔を合わせる前に母に呼び留められて、「あなたは急な流行り病に罹って田舎で療養していることになっていたから」と言われた。下手に心配させたくなかったのだ、と。兄も姉も、三年半振りにフィオナを見て、ただ、「帰ってきたのか」と言っただけだった。
応接間で最初に母と顔を合わせた時、もしかしたら、自分の帰還は望まれていなかったのかもしれないと、そんな考えが頭の片隅をよぎった。まさか、そんなはずはないと、あの時はすぐにそれを打ち消したけれども。
あれから三日間この屋敷で過ごして、今、その疑いはほとんど確信に変わっている。
自分は、家族から嫌われているという、確信に。もしかすると、嫌われているというのは言い過ぎになるかもしれない。でも、少なくとも、彼らに受け入れられているという安心感を抱くことはできていなかった。
(でも、何故?)
どうして、自分は疎まれているのだろう。
(以前のわたくしに、至らないところがあったの?)
フィオナは硬く目を閉じる。
判らない。
かつて自分がどういう人間だったのか、この屋敷でどう過ごしていたのか。
知りたくて、でも、知るのが怖かった。
不安で、心細くて、フィオナはルーカスと話をしたいと思った。微笑みかけて、「大丈夫だ」と言って欲しかった。
けれど、昼の彼はずっとコンスタンスと一緒にいる。意を決して声をかけようとしても、彼女から一瞥を投げかけられると、どうしてか喉が詰まってしまうのだ。それに何より、ルーカスは、コンスタンスに向けてずっと微笑んでいる。きっと、綺麗で華やかな彼女といると楽しいのだろう。そんな二人の邪魔は、できない。
(夜は……)
フィオナはキュッと唇を噛み締めた。
ここに着いた日の夜、不安でたまらなくて落ち着かなくて、礼儀に反することは判っていたけれど、どうにも我慢できなくてルーカスが泊まる部屋を訪れた。何か一言もらえれば、気持ちが安らいで眠れるような気がしたから。
でも、あの晩、ルーカスはそこにいなかった。少しの間待ってみたけれど、結局帰ってこなくて。
どこに行っていたのか、あの後も彼には訊ねていない。
ただ、真面目なルーカスがフィオナのことを放り出してどこかに行ってしまうことはないはずだから、トラントゥールの屋敷内にはいたはずだ。
だから、もしかして、と思った。
もしかして、姉と一緒にいたのだろうか、と。
ルーカスは最初に顔を合わせた瞬間からコンスタンスに好意を抱いたようだったし、それは姉の方も同じに見えた。実際、この三日間の二人の様子からして、それはあながち間違ってはいないと思う。
(お姉さまはお美しいし、お話をしていても楽しそうだもの)
何かを問われてもろくに返事もできないような自分とは違う。
コンスタンスは明るくて才気煥発だ。ケイティの明るさとは何かが違うけれど、きっと、フィオナといるよりは楽しいはず。
食事中、しょっちゅう朗らかに響く彼女の笑い声が、そしてそれに返すルーカスの低い笑い声が耳に蘇り、フィオナは思わず両手で耳を塞いだ――そんなことをしても消えやしないことは、判っていても。
今夜もやっぱり眠れそうになくて、フィオナは肩掛けを手に取り、羽織った。この部屋にいるのも気詰まりだし、少し外を歩いてくれば気がまぎれるかもしれない。
フィオナの部屋は屋敷の裏にある中庭に面していて、直接出ることができる。
両開きの扉を押し開くと、ヒヤリとした空気が頬を撫でた。
植木の間の小道を歩くうち、やがて小さな噴水に辿り着く。その縁に腰を下ろして、フィオナは夜空を見上げた。
眩しいほどの満月のせいで、星はあまり見えない。
でも、あの月明かりはここと同じようにウィリスサイドも明るく照らしているはずだ。
ジワリと、フィオナの視界が滲んだ。
ケイティ。
彼女の弾むような笑い声が恋しい。
無性に、ケイティに逢いたかった。彼女に、「お帰り」と言って欲しかった。
フィオナは瞬きをして涙を払い、身を捻って噴水の水に指を差し入れる。
その冷たさを実感しながら、小さく歌を口ずさむ。
その歌は、過去を持たない彼女の中に唯一残っていたものだ。
歌詞はない。ただ、曲の旋律だけ、それもせいぜい三小節ほどだけが、頭の奥底に残っている。ふと寂しくなった時、その歌を口ずさむと、フィオナは不思議なほどに気分が落ち着いた。
彼女は覚えているその短い節を、繰り返し奏でる。
と、その時、不意に。
「フィオナ?」
低い声が、彼女の名を呼んだ。
今夜もフィオナには眠りの精が訪れてくれそうになく、窓に現れた月が再び見えなくなるのを見届けたところで、彼女は寝台から抜け出した。
窓際まで行き外を覗くと、綺麗な満月は夜空の真ん中から西へと、傾きつつある。
頭は何だかぼんやりするし、身体は怠くて仕方がない。
けれども、眠れない。目蓋を下ろしても絶えず様々な思いが飛来して、眠ろうとすればするほど、目は冴えてくる。
フィオナは窓硝子に指先を触れさせ、小さく吐息をこぼす。そして、肩越しに室内を振り返った。
白と水色で整えられた少女らしいこの部屋は、彼女が幼い頃からずっと過ごしてきた場所だという。外には出かけたがらない子どもだったから、ほとんど一日中、この中で本を読んだり縫い物をしたりしていたのだとか。
フィオナが、生まれてからの十四年間、その大半を過ごしてきた、部屋。
けれども、まったく彼女の記憶にかするものはないし、ぼんやりとした懐かしささえも抱けない。眠り慣れたはずの寝台では眠ろうとしても落ち着かず、この旅の中でルーカスと泊った宿の粗末な寝床の方が、よほど寛げたような気がする。
ここはフィオナが生まれ育った家で、ここに住む者は彼女と血のつながりを持つ者だ。彼らはこの世の誰よりも、彼女に近しい人たちのはず。
そのはず、なのに。
(わたくしの、家族)
胸の中で囁いてみた。
両親と、兄と、姉。
フィオナは一つに編んである黒髪をそっと持ち上げる。
この髪は、父親譲りかもしれない。
硝子に映る青い目を、見つめる。
この青い目は、母の青さとは違う。
両手で、顔に触れる。
家族の誰とも重なるところがないこの顔かたちは、いったい誰に似ているというのだろう。
(おじいさまや、おばあさま、とか……?)
トラントゥールの血筋を辿れば、この顔に似た人が誰か一人くらいはいたのだろうか。
応接間で三年半振りの再会を果たした時、母は目を潤ませて迎え入れてくれた。父も、「お前はいったい何者だ」と問いかけてくることはしなかった。だから、フィオナはこの家の娘なのだと思う。父と母だという人たちが、そう言うのだから。
(でも……)
フィオナは、また一つ、息をついた。
確かに一度は歓迎の言葉をもらったけれども、ここは、まったく自分の家、自分の家族という気がしない。ウィリスサイドの警邏隊詰所の方が、遥かにそう感じられた。
兄のセルジュと姉のコンスタンスには、フィオナが行方不明になったことは教えていなかったのだという。夕食の席で顔を合わせる前に母に呼び留められて、「あなたは急な流行り病に罹って田舎で療養していることになっていたから」と言われた。下手に心配させたくなかったのだ、と。兄も姉も、三年半振りにフィオナを見て、ただ、「帰ってきたのか」と言っただけだった。
応接間で最初に母と顔を合わせた時、もしかしたら、自分の帰還は望まれていなかったのかもしれないと、そんな考えが頭の片隅をよぎった。まさか、そんなはずはないと、あの時はすぐにそれを打ち消したけれども。
あれから三日間この屋敷で過ごして、今、その疑いはほとんど確信に変わっている。
自分は、家族から嫌われているという、確信に。もしかすると、嫌われているというのは言い過ぎになるかもしれない。でも、少なくとも、彼らに受け入れられているという安心感を抱くことはできていなかった。
(でも、何故?)
どうして、自分は疎まれているのだろう。
(以前のわたくしに、至らないところがあったの?)
フィオナは硬く目を閉じる。
判らない。
かつて自分がどういう人間だったのか、この屋敷でどう過ごしていたのか。
知りたくて、でも、知るのが怖かった。
不安で、心細くて、フィオナはルーカスと話をしたいと思った。微笑みかけて、「大丈夫だ」と言って欲しかった。
けれど、昼の彼はずっとコンスタンスと一緒にいる。意を決して声をかけようとしても、彼女から一瞥を投げかけられると、どうしてか喉が詰まってしまうのだ。それに何より、ルーカスは、コンスタンスに向けてずっと微笑んでいる。きっと、綺麗で華やかな彼女といると楽しいのだろう。そんな二人の邪魔は、できない。
(夜は……)
フィオナはキュッと唇を噛み締めた。
ここに着いた日の夜、不安でたまらなくて落ち着かなくて、礼儀に反することは判っていたけれど、どうにも我慢できなくてルーカスが泊まる部屋を訪れた。何か一言もらえれば、気持ちが安らいで眠れるような気がしたから。
でも、あの晩、ルーカスはそこにいなかった。少しの間待ってみたけれど、結局帰ってこなくて。
どこに行っていたのか、あの後も彼には訊ねていない。
ただ、真面目なルーカスがフィオナのことを放り出してどこかに行ってしまうことはないはずだから、トラントゥールの屋敷内にはいたはずだ。
だから、もしかして、と思った。
もしかして、姉と一緒にいたのだろうか、と。
ルーカスは最初に顔を合わせた瞬間からコンスタンスに好意を抱いたようだったし、それは姉の方も同じに見えた。実際、この三日間の二人の様子からして、それはあながち間違ってはいないと思う。
(お姉さまはお美しいし、お話をしていても楽しそうだもの)
何かを問われてもろくに返事もできないような自分とは違う。
コンスタンスは明るくて才気煥発だ。ケイティの明るさとは何かが違うけれど、きっと、フィオナといるよりは楽しいはず。
食事中、しょっちゅう朗らかに響く彼女の笑い声が、そしてそれに返すルーカスの低い笑い声が耳に蘇り、フィオナは思わず両手で耳を塞いだ――そんなことをしても消えやしないことは、判っていても。
今夜もやっぱり眠れそうになくて、フィオナは肩掛けを手に取り、羽織った。この部屋にいるのも気詰まりだし、少し外を歩いてくれば気がまぎれるかもしれない。
フィオナの部屋は屋敷の裏にある中庭に面していて、直接出ることができる。
両開きの扉を押し開くと、ヒヤリとした空気が頬を撫でた。
植木の間の小道を歩くうち、やがて小さな噴水に辿り着く。その縁に腰を下ろして、フィオナは夜空を見上げた。
眩しいほどの満月のせいで、星はあまり見えない。
でも、あの月明かりはここと同じようにウィリスサイドも明るく照らしているはずだ。
ジワリと、フィオナの視界が滲んだ。
ケイティ。
彼女の弾むような笑い声が恋しい。
無性に、ケイティに逢いたかった。彼女に、「お帰り」と言って欲しかった。
フィオナは瞬きをして涙を払い、身を捻って噴水の水に指を差し入れる。
その冷たさを実感しながら、小さく歌を口ずさむ。
その歌は、過去を持たない彼女の中に唯一残っていたものだ。
歌詞はない。ただ、曲の旋律だけ、それもせいぜい三小節ほどだけが、頭の奥底に残っている。ふと寂しくなった時、その歌を口ずさむと、フィオナは不思議なほどに気分が落ち着いた。
彼女は覚えているその短い節を、繰り返し奏でる。
と、その時、不意に。
「フィオナ?」
低い声が、彼女の名を呼んだ。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる