11 / 59
家族、なのに
しおりを挟む
ブラッドに呼ばれて赴いた執務室で、フィオナは彼の口から発せられた言葉に目をしばたたかせた。
「家、族……?」
奇しくも同じ反応をしてしまったとはつゆとも知らないフィオナは、戸惑いと共にブラッドの隣に立つルーカスに目を向けた。彼女を受け止めようとしているかのように視線が合って、彼は柔らかな微笑みと共に頷きを返してくれる。それに励まされ、少しばかり、フィオナに再びブラッドの話を聞く余裕が生まれた。
「どこに、いるのですか?」
「フランジナだ」
「フラン……? その、お隣の国の……?」
心許なげに確認したフィオナに、ブラッドが重々しく頷く。
「ああ」
フィオナは、どう反応したら良いのかが判らなかった。
その国とは、何年か前まではとても仲が悪かったはずだ。今でも、旅行で気軽に、など行き来する間柄ではないと聞く。
(それなのに、フランジナ……?)
記憶にない家族が全然知らない場所にいると聞かされても、フィオナはまったくピンと来ない。彼女の戸惑いは明らかだったと見えて、ブラッドがしかめ面で続ける。
「どうするかは、君の気持ちに任せる。記憶が戻るまで待ってもいいし、一度確かめに行ってもいい。もしかしたら、家族に会えば記憶も戻るかもしれないしな。君が望むなら、行くだけ行って、ここに戻ってくるという道もある」
「わたくし……」
そんな、立て続けに言われても。
フィオナは胸の前で硬く両手を握り締めた。
出し抜けに衝撃の事実を伝えられ、とてもではないけれど、即座に「はい、わかりました」とは答えられない。
と、うつむいたフィオナの胸中を代弁するように、ルーカスの声が室内に響く。
「取り敢えず、二、三日は待ってあげてくださいよ。人生がクルリと変わるようなことなんですから、すぐに結論なんて出ません」
「ん? ああ、そうだな。急がせるつもりはないんだ。ゆっくり考えてくれ」
ブラッドのその台詞に、考えたら答えが出るものなのだろうかと眉をひそめつつ、それでもフィオナは言葉少なに答える。
「ありがとうございます」
一礼して執務室を出たフィオナは気もそぞろで廊下を歩く。意識せぬまま向かった先は、厨房だった。そこで夕食の為に芋の皮をむいていたケイティが、フィオナの顔を見た途端に目を丸くする。
「どうしたの?」
「え?」
「顔色悪いわよ? 座ったら?」
フィオナの返事を待つことなく彼女を椅子に座らせたケイティは、手際よくお茶を淹れ始める。
頭が麻痺したまま差し出されたカップを受け取って、フィオナはそのまま口元に運ぶ。それはいつもの三倍は甘くて、一口含んだフィオナは目をしばたたかせた。その衝撃に、少し正気を取り戻す。
「考え事するときは甘い物を摂った方がいいのよ?」
普段お茶にはほんの少し蜂蜜を入れるかどうかというフィオナにとって、かなり強烈な甘さだ。面食らっている彼女を見て、ケイティがそううそぶいた。
ケイティが言うことはいつも正しいから、きっとこれもそうなのだろう。
フィオナはほとんど舐めるようにしてカップの中身を減らしていく。それが半分ほどになった時、卓の上に肘をつき、ケイティがフィオナの目を覗き込んできた。
「で、どうしたの?」
「え、と……」
フィオナは口ごもる。
家族が見つかったかもしれないということは、良い報せのはずだ。隠すようなことではない。
けれど、どうしてか、フィオナはその事実を口に出すことができなかった。
唇を噛んで白いカップの中に半分ほど残っている紅いお茶をじっと見つめる彼女を、ケイティは何も言わずに見守ってくれている。
その視線を感じながら、フィオナは自分の胸の内にあるものを探った。
ブラッドから家族が見つかったと言われたとき、不思議なほどに嬉しさは生まれなかった。
以前から、そうだった。
記憶は取り戻したいと、ずっと前から思っていた。
けれど、家族は――家族のもとに戻りたいかと自問すると、フィオナの中には少しもその気持ちは見つからなかった。
ケイティはしょっちゅう家族の話をするけれど、それを聞いた時にフィオナの胸に込み上げるのはどこか一歩引いたような憧れだけで、共感は微塵もなかった。今だって、見つかった家族に早く会いたいだとか、本当の家に帰りたいだとかは、思えない。むしろ、それよりも、家族が見つかればここを離れなければいけないのだということに対する恐れの方が大きかった。
睫毛の隙間から窺うようにして、フィオナはケイティをチラリと見る。
ケイティが両親や弟妹達のことを話すとき、彼女の声にも眼差しにも愛情が溢れ返っている。けれど、フィオナが記憶の靄の向こうにいる家族のことを考えても、少しも胸が温まらない。
(わたくしはお父様やお母様のことを愛していないの……?)
単に記憶がないからだというだけでなく、もとより希薄な家族関係だから、帰りたいという気持ちが湧いてこないのだろうか。
(わたくしは、情が薄いのかもしれない)
両親だという人たちに会っても何も思い出せなかったら――なにも感じなかったら、どうしよう。
フィオナはもう冷えてしまったカップを溺れる者が板切れにすがるように握り締めた。と、不意に横から手が伸びてきて、そっと彼女からそれを取り上げる。
「ケイティ」
顔を上げると、大きな緑色の瞳が真っ直ぐにフィオナを見つめていた。
「ごめんね、本当は知ってるの」
「え?」
「だんな様から聞いたわけじゃないけど、あの人の様子見てたら何となく判っちゃった」
ケイティはカップを置くと、それを包み込んでいた形のままになっていたフィオナの両手を包み込む。
「家族が、見つかったんでしょう?」
その問いに、フィオナはクッと息を詰める。ケイティにはそれで通じてしまった。
「やっぱりね。急にあたしに家族のことを訊いてきたりするし。やっぱり会いたいものだよな、とか、ブツブツ言ってたのよね」
そう言って、ケイティは肩をすくめた。解りやすいんだから、とか呟いているけれど、それだけで察しがついてしまう彼女の方が、鋭過ぎるのではないだろうか。
フィオナがまじまじとケイティを見つめていると、その視線に気付いて彼女は頬を緩めた。
「で、どうするの?」
目を覗き込みながら問いかけられて、フィオナは睫毛を伏せる。
「わたくしは……怖い、です」
ズレた、答え。
でも、それが、それだけが、正直な気持ちだ。
記憶のないまま会うのは、怖い。
けれど、何か思い出すのを待っていたら、いつまで経っても会えないかもしれない。
唇を噛んだフィオナに、彼女の手を包み込んでいるケイティの手に力がこもった。
「まあそりゃ少しばかり怖いかもしれないけど、ちょっとでもやってみたいと思ったなら、多分やっちゃった方がいいよ。失敗してやらなきゃ良かったって後悔するより、何もしていなくてやってれば良かったって後悔する方のが大きいもんだって、よく言うじゃない。当たって砕けろ、だよ」
「ケイティ」
そんなふうにあっさり軽く言えてしまうのは、彼女が強いからだ。意気地のない自分には、当たることも砕けることも、そう簡単なことではないのに。
フィオナは、卑屈な考えに自己嫌悪に陥りかけた。と、それを吹き飛ばそうとでもしているかのような勢いで、荒っぽい足音が厨房に近づいてくる。
こんなふうに足音を立てるのはアレンあたりだろうと思いながら振り返った彼女は、戸口に現れた相手に目をみはる。
そこに、いたのは――
「ルーカス、さん」
「やっぱりここにいたね」
微笑みながらそう言ったルーカスをよくよく見れば一筋髪も乱れていて、いつも優雅で泰然とした姿勢を崩さない彼らしくない。
「家、族……?」
奇しくも同じ反応をしてしまったとはつゆとも知らないフィオナは、戸惑いと共にブラッドの隣に立つルーカスに目を向けた。彼女を受け止めようとしているかのように視線が合って、彼は柔らかな微笑みと共に頷きを返してくれる。それに励まされ、少しばかり、フィオナに再びブラッドの話を聞く余裕が生まれた。
「どこに、いるのですか?」
「フランジナだ」
「フラン……? その、お隣の国の……?」
心許なげに確認したフィオナに、ブラッドが重々しく頷く。
「ああ」
フィオナは、どう反応したら良いのかが判らなかった。
その国とは、何年か前まではとても仲が悪かったはずだ。今でも、旅行で気軽に、など行き来する間柄ではないと聞く。
(それなのに、フランジナ……?)
記憶にない家族が全然知らない場所にいると聞かされても、フィオナはまったくピンと来ない。彼女の戸惑いは明らかだったと見えて、ブラッドがしかめ面で続ける。
「どうするかは、君の気持ちに任せる。記憶が戻るまで待ってもいいし、一度確かめに行ってもいい。もしかしたら、家族に会えば記憶も戻るかもしれないしな。君が望むなら、行くだけ行って、ここに戻ってくるという道もある」
「わたくし……」
そんな、立て続けに言われても。
フィオナは胸の前で硬く両手を握り締めた。
出し抜けに衝撃の事実を伝えられ、とてもではないけれど、即座に「はい、わかりました」とは答えられない。
と、うつむいたフィオナの胸中を代弁するように、ルーカスの声が室内に響く。
「取り敢えず、二、三日は待ってあげてくださいよ。人生がクルリと変わるようなことなんですから、すぐに結論なんて出ません」
「ん? ああ、そうだな。急がせるつもりはないんだ。ゆっくり考えてくれ」
ブラッドのその台詞に、考えたら答えが出るものなのだろうかと眉をひそめつつ、それでもフィオナは言葉少なに答える。
「ありがとうございます」
一礼して執務室を出たフィオナは気もそぞろで廊下を歩く。意識せぬまま向かった先は、厨房だった。そこで夕食の為に芋の皮をむいていたケイティが、フィオナの顔を見た途端に目を丸くする。
「どうしたの?」
「え?」
「顔色悪いわよ? 座ったら?」
フィオナの返事を待つことなく彼女を椅子に座らせたケイティは、手際よくお茶を淹れ始める。
頭が麻痺したまま差し出されたカップを受け取って、フィオナはそのまま口元に運ぶ。それはいつもの三倍は甘くて、一口含んだフィオナは目をしばたたかせた。その衝撃に、少し正気を取り戻す。
「考え事するときは甘い物を摂った方がいいのよ?」
普段お茶にはほんの少し蜂蜜を入れるかどうかというフィオナにとって、かなり強烈な甘さだ。面食らっている彼女を見て、ケイティがそううそぶいた。
ケイティが言うことはいつも正しいから、きっとこれもそうなのだろう。
フィオナはほとんど舐めるようにしてカップの中身を減らしていく。それが半分ほどになった時、卓の上に肘をつき、ケイティがフィオナの目を覗き込んできた。
「で、どうしたの?」
「え、と……」
フィオナは口ごもる。
家族が見つかったかもしれないということは、良い報せのはずだ。隠すようなことではない。
けれど、どうしてか、フィオナはその事実を口に出すことができなかった。
唇を噛んで白いカップの中に半分ほど残っている紅いお茶をじっと見つめる彼女を、ケイティは何も言わずに見守ってくれている。
その視線を感じながら、フィオナは自分の胸の内にあるものを探った。
ブラッドから家族が見つかったと言われたとき、不思議なほどに嬉しさは生まれなかった。
以前から、そうだった。
記憶は取り戻したいと、ずっと前から思っていた。
けれど、家族は――家族のもとに戻りたいかと自問すると、フィオナの中には少しもその気持ちは見つからなかった。
ケイティはしょっちゅう家族の話をするけれど、それを聞いた時にフィオナの胸に込み上げるのはどこか一歩引いたような憧れだけで、共感は微塵もなかった。今だって、見つかった家族に早く会いたいだとか、本当の家に帰りたいだとかは、思えない。むしろ、それよりも、家族が見つかればここを離れなければいけないのだということに対する恐れの方が大きかった。
睫毛の隙間から窺うようにして、フィオナはケイティをチラリと見る。
ケイティが両親や弟妹達のことを話すとき、彼女の声にも眼差しにも愛情が溢れ返っている。けれど、フィオナが記憶の靄の向こうにいる家族のことを考えても、少しも胸が温まらない。
(わたくしはお父様やお母様のことを愛していないの……?)
単に記憶がないからだというだけでなく、もとより希薄な家族関係だから、帰りたいという気持ちが湧いてこないのだろうか。
(わたくしは、情が薄いのかもしれない)
両親だという人たちに会っても何も思い出せなかったら――なにも感じなかったら、どうしよう。
フィオナはもう冷えてしまったカップを溺れる者が板切れにすがるように握り締めた。と、不意に横から手が伸びてきて、そっと彼女からそれを取り上げる。
「ケイティ」
顔を上げると、大きな緑色の瞳が真っ直ぐにフィオナを見つめていた。
「ごめんね、本当は知ってるの」
「え?」
「だんな様から聞いたわけじゃないけど、あの人の様子見てたら何となく判っちゃった」
ケイティはカップを置くと、それを包み込んでいた形のままになっていたフィオナの両手を包み込む。
「家族が、見つかったんでしょう?」
その問いに、フィオナはクッと息を詰める。ケイティにはそれで通じてしまった。
「やっぱりね。急にあたしに家族のことを訊いてきたりするし。やっぱり会いたいものだよな、とか、ブツブツ言ってたのよね」
そう言って、ケイティは肩をすくめた。解りやすいんだから、とか呟いているけれど、それだけで察しがついてしまう彼女の方が、鋭過ぎるのではないだろうか。
フィオナがまじまじとケイティを見つめていると、その視線に気付いて彼女は頬を緩めた。
「で、どうするの?」
目を覗き込みながら問いかけられて、フィオナは睫毛を伏せる。
「わたくしは……怖い、です」
ズレた、答え。
でも、それが、それだけが、正直な気持ちだ。
記憶のないまま会うのは、怖い。
けれど、何か思い出すのを待っていたら、いつまで経っても会えないかもしれない。
唇を噛んだフィオナに、彼女の手を包み込んでいるケイティの手に力がこもった。
「まあそりゃ少しばかり怖いかもしれないけど、ちょっとでもやってみたいと思ったなら、多分やっちゃった方がいいよ。失敗してやらなきゃ良かったって後悔するより、何もしていなくてやってれば良かったって後悔する方のが大きいもんだって、よく言うじゃない。当たって砕けろ、だよ」
「ケイティ」
そんなふうにあっさり軽く言えてしまうのは、彼女が強いからだ。意気地のない自分には、当たることも砕けることも、そう簡単なことではないのに。
フィオナは、卑屈な考えに自己嫌悪に陥りかけた。と、それを吹き飛ばそうとでもしているかのような勢いで、荒っぽい足音が厨房に近づいてくる。
こんなふうに足音を立てるのはアレンあたりだろうと思いながら振り返った彼女は、戸口に現れた相手に目をみはる。
そこに、いたのは――
「ルーカス、さん」
「やっぱりここにいたね」
微笑みながらそう言ったルーカスをよくよく見れば一筋髪も乱れていて、いつも優雅で泰然とした姿勢を崩さない彼らしくない。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる