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Ⅲ:捨てられ王子の綺羅星
変換の時:越えられない壁
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「ジーノ様は、今日は庭に出られるそうですよ」
執務室でいつもと変わらず山のように積まれた書類に目を通していた時、何気ない口調でリナルドがそんなことを呟いた。
「え?」
思わず反応してしまったアレッサンドロに、リナルドが銀色の瞳を向けて付け加える。
「何やら、最近はお身体の具合がよろしいようで、今日は少し庭を歩いてみたいとおっしゃったとか」
「……そうか」
アレッサンドロはざわつくみぞおちに力を籠めつつ、かろうじてその一言を口にした。
しばらくは、紙をめくる音だけが室内に響く。
ややして。
「ステラ殿もここのところ庭の手入れに熱心なようですな」
何気ない口調でのリナルドの台詞に、危うく、アレッサンドロは机の上に広げた嘆願書を握り潰しそうになる。
古狸に目を向けたら負けだ。
そう己に言い聞かせ、アレッサンドロはほとんど睨みつけるようにして書に記されている文字を目で追った。
とにかく黙々淡々と職務をこなすアレッサンドロの無言の圧を感じ取ったのか、どうなのか、リナルドもそれきり無駄口をやめる。
黙々と、まさに黙々と、時間は過ぎた。
そうして。
「それでは、午前はここまでで」
アレッサンドロが署名した最後の書類を確認し、リナルドが澄ました顔でそう言った。
「昼食はこちらに運ばせましょうか?」
いつもなら、そうしている。食べている間に目を通しておきたいものもあるからだ。
だが――
「食堂に行く」
「では、あちらに用意をさせましょう」
滅多にないアレッサンドロの答えにリナルドは眉一つ動かずにそう答えると、一礼して執務室を出て行った。
老宰相が出て行ってから少しして、アレッサンドロも立ち上がる。部屋を出た彼は、一階にある食堂へ向かった。
すぐに食堂に着いたところで、どうせ食事の用意はまだできていないだろう。
彼は少しばかり遠回りして食堂に向かうことにした。その途中に中庭への出入り口があるのは、たまたまだ。
時々お仕着せを身につけた使用人とすれ違うと、皆無言で頭を下げる。アレッサンドロが彼らの声を耳にしたことは、多分ないだろう。だが、気にしたことはない。アレッサンドロがそれを聞きたいと思ったことは、なかった。
階段を下り、一階に辿り着く。中庭に面した長い廊下を少し進んだところで、アレッサンドロは足を止めた。先を歩く人影に気付いたからだ。
淡い金髪は父譲り。かつてはアレッサンドロも良く似た色をしていたが、長ずるにつれ、どんどんより濃い黄金色になっていった。
自分でも、ジーノはかつての――ステラの記憶にある――『アレッサンドロ』によく似ていると思う。ラムバルディアに来た日に彼女が間違えそうになったのも、無理はなかった。
(中身だって、多分、ステラが思う俺に近い)
だから、幼い頃のアレッサンドロとステラがそうであったように兄と彼女との距離が縮まっていくのも当然だ、そう、思った。
だが、理解はできてもそれをすんなりと受容できるわけではない。
ついさっきまでステラと時を過ごしていたという兄と対面して、穏やかな気持ちでいられる自信はなかった。
アレッサンドロは踵を返し、元来た道を戻ろうとする。
が、遅かった。
「アレッサンドロ?」
穏やかな声に、アレッサンドロは肩を強張らせて動きを止める。
止まってしまったからには、聞こえなかった振りをすることはできなかった。
アレッサンドロは渋々向き直り、ジーノを見るまでは進むはずだった道を行く。
「ご用ですか」
アレッサンドロは低い声でそう訊ねたが、ジーノはその不愛想さに怯むことなく笑みを深くした。
「これから昼食か? 執務室で済ましてしまわないのは珍しいな」
「少し余裕がありますので」
「そうか。たまにはそういうことがあった方が良い。ああ、そうだ、私に手伝えることがあれば――」
「ありません」
皆まで聞かずに答えたアレッサンドロに、ジーノが眉を下げた。
「お前の食事時間を作る程度なら、できることがあると思うがな」
「無理をされてまた体調を崩されても困ります」
「まあ、それはそうだが」
ジーノは不満そうに眉をしかめている。
兄はアレッサンドロよりも全体的に小柄だし、容姿も年よりも若く見えるから、そんなふうにしていると、まるで兄弟が逆転しているように見えるだろう。
冷やかに見下ろすアレッサンドロに、ジーノが苦笑する。
「お前は、本当に我々のことを頼ろうとしてくれないな」
そう言った兄はどこか寂しげに見えたが、アレッサンドロは否定も肯定も返さなかった。実際、彼らのことは信用していない。
八年前に再会してから、ジーノが折に触れアレッサンドロとの間にあるわだかまりをなくそうと腐心しているのは、伝わってきた。恐らく、今回ステラをここに呼びつけたのも、その一環だろう。できるだけ個人的な関心を持っているようには思わせないようにしてきたが、兄やリナルドには見抜かれていたに違いない。だから、きっと、アレッサンドロのご機嫌取りか何かに、彼女を使ったのだ。
だが、幼い頃の裏切りは、未だにアレッサンドロの心の奥深くに根を下ろしている。どうしても、その壁は越えられない。
むしろ、本当にそんなふうにステラを利用したなら、より一層、不信感が増すというものだ。
ここにいる者の笑顔は、信じてはならない。どれほど温かく優しげにしていても、内側もそうだとは限らない。
油断をすれば、また裏切られる。大事な者が、また、酷い目に遭わされる。
今度は、それがステラになるかもしれないのだ。
ハタとその可能性に思い至り、アレッサンドロは奥歯を食いしばった。
彼女のことは、ここから出て行かせればそれで大丈夫だと思っていた。だが、本当に、そうだろうか。
――判らない。
無言のまま立つアレッサンドロに、ジーノは根負けしたようにため息をついた。
「まあ、いいさ。少し、道は見えてきたようだからな」
「どういう意味ですか?」
アレッサンドロは眉をひそめたが、兄はその問いには答えずニコリと笑う。そうして、ポンと彼の肩を叩いて横をすり抜けていった。
「何なんだ……?」
ジーノの姿が消えてしばししてからアレッサンドロはポツリと呟いたが、勿論、それにも答えはない。眉間に皺を寄せて考えても、兄が考えていることはさっぱり解からなかった。
アレッサンドロはため息を一つこぼして歩き出す。当初の予定通り、食堂へと。
だが、数歩進んだところで、また、足を止める――庭との出入口から姿を現した、第二の人物故に。
執務室でいつもと変わらず山のように積まれた書類に目を通していた時、何気ない口調でリナルドがそんなことを呟いた。
「え?」
思わず反応してしまったアレッサンドロに、リナルドが銀色の瞳を向けて付け加える。
「何やら、最近はお身体の具合がよろしいようで、今日は少し庭を歩いてみたいとおっしゃったとか」
「……そうか」
アレッサンドロはざわつくみぞおちに力を籠めつつ、かろうじてその一言を口にした。
しばらくは、紙をめくる音だけが室内に響く。
ややして。
「ステラ殿もここのところ庭の手入れに熱心なようですな」
何気ない口調でのリナルドの台詞に、危うく、アレッサンドロは机の上に広げた嘆願書を握り潰しそうになる。
古狸に目を向けたら負けだ。
そう己に言い聞かせ、アレッサンドロはほとんど睨みつけるようにして書に記されている文字を目で追った。
とにかく黙々淡々と職務をこなすアレッサンドロの無言の圧を感じ取ったのか、どうなのか、リナルドもそれきり無駄口をやめる。
黙々と、まさに黙々と、時間は過ぎた。
そうして。
「それでは、午前はここまでで」
アレッサンドロが署名した最後の書類を確認し、リナルドが澄ました顔でそう言った。
「昼食はこちらに運ばせましょうか?」
いつもなら、そうしている。食べている間に目を通しておきたいものもあるからだ。
だが――
「食堂に行く」
「では、あちらに用意をさせましょう」
滅多にないアレッサンドロの答えにリナルドは眉一つ動かずにそう答えると、一礼して執務室を出て行った。
老宰相が出て行ってから少しして、アレッサンドロも立ち上がる。部屋を出た彼は、一階にある食堂へ向かった。
すぐに食堂に着いたところで、どうせ食事の用意はまだできていないだろう。
彼は少しばかり遠回りして食堂に向かうことにした。その途中に中庭への出入り口があるのは、たまたまだ。
時々お仕着せを身につけた使用人とすれ違うと、皆無言で頭を下げる。アレッサンドロが彼らの声を耳にしたことは、多分ないだろう。だが、気にしたことはない。アレッサンドロがそれを聞きたいと思ったことは、なかった。
階段を下り、一階に辿り着く。中庭に面した長い廊下を少し進んだところで、アレッサンドロは足を止めた。先を歩く人影に気付いたからだ。
淡い金髪は父譲り。かつてはアレッサンドロも良く似た色をしていたが、長ずるにつれ、どんどんより濃い黄金色になっていった。
自分でも、ジーノはかつての――ステラの記憶にある――『アレッサンドロ』によく似ていると思う。ラムバルディアに来た日に彼女が間違えそうになったのも、無理はなかった。
(中身だって、多分、ステラが思う俺に近い)
だから、幼い頃のアレッサンドロとステラがそうであったように兄と彼女との距離が縮まっていくのも当然だ、そう、思った。
だが、理解はできてもそれをすんなりと受容できるわけではない。
ついさっきまでステラと時を過ごしていたという兄と対面して、穏やかな気持ちでいられる自信はなかった。
アレッサンドロは踵を返し、元来た道を戻ろうとする。
が、遅かった。
「アレッサンドロ?」
穏やかな声に、アレッサンドロは肩を強張らせて動きを止める。
止まってしまったからには、聞こえなかった振りをすることはできなかった。
アレッサンドロは渋々向き直り、ジーノを見るまでは進むはずだった道を行く。
「ご用ですか」
アレッサンドロは低い声でそう訊ねたが、ジーノはその不愛想さに怯むことなく笑みを深くした。
「これから昼食か? 執務室で済ましてしまわないのは珍しいな」
「少し余裕がありますので」
「そうか。たまにはそういうことがあった方が良い。ああ、そうだ、私に手伝えることがあれば――」
「ありません」
皆まで聞かずに答えたアレッサンドロに、ジーノが眉を下げた。
「お前の食事時間を作る程度なら、できることがあると思うがな」
「無理をされてまた体調を崩されても困ります」
「まあ、それはそうだが」
ジーノは不満そうに眉をしかめている。
兄はアレッサンドロよりも全体的に小柄だし、容姿も年よりも若く見えるから、そんなふうにしていると、まるで兄弟が逆転しているように見えるだろう。
冷やかに見下ろすアレッサンドロに、ジーノが苦笑する。
「お前は、本当に我々のことを頼ろうとしてくれないな」
そう言った兄はどこか寂しげに見えたが、アレッサンドロは否定も肯定も返さなかった。実際、彼らのことは信用していない。
八年前に再会してから、ジーノが折に触れアレッサンドロとの間にあるわだかまりをなくそうと腐心しているのは、伝わってきた。恐らく、今回ステラをここに呼びつけたのも、その一環だろう。できるだけ個人的な関心を持っているようには思わせないようにしてきたが、兄やリナルドには見抜かれていたに違いない。だから、きっと、アレッサンドロのご機嫌取りか何かに、彼女を使ったのだ。
だが、幼い頃の裏切りは、未だにアレッサンドロの心の奥深くに根を下ろしている。どうしても、その壁は越えられない。
むしろ、本当にそんなふうにステラを利用したなら、より一層、不信感が増すというものだ。
ここにいる者の笑顔は、信じてはならない。どれほど温かく優しげにしていても、内側もそうだとは限らない。
油断をすれば、また裏切られる。大事な者が、また、酷い目に遭わされる。
今度は、それがステラになるかもしれないのだ。
ハタとその可能性に思い至り、アレッサンドロは奥歯を食いしばった。
彼女のことは、ここから出て行かせればそれで大丈夫だと思っていた。だが、本当に、そうだろうか。
――判らない。
無言のまま立つアレッサンドロに、ジーノは根負けしたようにため息をついた。
「まあ、いいさ。少し、道は見えてきたようだからな」
「どういう意味ですか?」
アレッサンドロは眉をひそめたが、兄はその問いには答えずニコリと笑う。そうして、ポンと彼の肩を叩いて横をすり抜けていった。
「何なんだ……?」
ジーノの姿が消えてしばししてからアレッサンドロはポツリと呟いたが、勿論、それにも答えはない。眉間に皺を寄せて考えても、兄が考えていることはさっぱり解からなかった。
アレッサンドロはため息を一つこぼして歩き出す。当初の予定通り、食堂へと。
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