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Ⅲ:捨てられ王子の綺羅星
祝賀会:ジーノとの語らい
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雲の上の住人が、すぐ隣に立っている。
絶句するステラに、ジーノが軽く首をかしげた。
「ステラ、だったね」
「は、はい。あの、お世話になってます」
身体が弱いというジーノ・ティスヴァーレ――アレッサンドロの兄は自室から滅多に出てくることがなく、言葉を交わすのはステラがここに来た日以来初めてだ。
明らかに相手にそぐっていない返しと共にあたふたと腰を屈めてメルセデから教わった礼をすると、彼は穏やかに微笑んだ。
「構わないよ、楽にして。貴女はあの子の恩人なのだから、もっと偉そうにしてくれていいんだ」
「恩人、とか、そんな……わたしもアレックスといられてとても幸せだったんです。出逢えて良かったのは、わたしも同じです」
かぶりを振って力説するステラを、ジーノは穏やかな眼差しで見つめてくる。そして、小さな声で呟いた。
「幸せだったのはお互いさま、か」
「?」
広間の喧騒であまり聞き取れず、ステラは瞬きを一つしてジーノを見返したが、彼は何でもないというように緩くかぶりを振る。
「こちらの話だ。ところで、貴女はあまりこの騒ぎを楽しめていないようだね?」
「え、や、そんなことは……」
図星を指されて目を白黒させるステラに、ジーノがクスクスと笑った。
「いいんだよ。私も同じだ。賑やかなのは苦手でね。そうだな、庭で少し話をしようか」
「え?」
「ここにいるよりはいいだろう?」
「でも――」
「行こうか」
話が通らない。というよりも、こちらの話を聞いていない。
ジーノは穏やかだけれども有無を言わさぬ笑みと共に、ステラに肘を差し出した。何だろうとステラがジッとそこを見つめていると、ジーノは彼女の手を取りそこに置かせた。とっさに引っ込めそうになるのを、そっと重ねられた彼の手が阻止する。
「その靴では歩きづらいのだろう? 私はひ弱だが、貴女くらいなら充分支えてあげられるよ」
そう言って、ステラの返事を待たずに歩き出してしまった。
ジーノに手を取られているのだから、彼が動けばそこに留まっている訳にもいかない。
ためらいがちに歩き出したステラを従え、ジーノはゆっくりとした足取りで歩き出した。
その歩調は、何というか、そう、無理がない――その一言だ。
アレッサンドロとの時は、彼が意識して歩みを緩めているのだということが伝わってきた。ジーノは、多分、普段からこれくらいの動きなのだろう。あるいは、女性に合わせるということをごく自然にできるだけなのかもしれない。
広間にも中庭へ出る扉はあるが、二人が立っていたところからは少しばかり離れていた。ピタリと身を寄せ合って歩くジーノとステラにチラチラと視線が投げかけられたが、相手がジーノだけに、皆、遠巻きに目配せするにとどまっている。
だが、その視線だけでもステラには居た堪れない。
うつむく彼女に、ジーノが声をかけてきた。
「すまないね」
顔を上げると、気遣うように彼が微笑みかけてくる。
「外に出るまでの我慢だから」
「はい」
励ましを含んだ眼差しに、ステラも自然と笑顔になった。
やがて扉に辿り着き、そこから中庭へと進む。扉を閉めてしまえば広間の喧騒は遠ざかり、微かな虫の音がそれに取って代わった。
ジーノが向かったのは、庭のところどころに設えられてある四阿の一つだった。彼は先にステラを座らせてから、彼女の向かいに腰を下ろす。
夏の終わりよりも秋の始まりと言って良いこの時期の風は、人混みで火照った肌に心地よい。
ほぅ、と息をついたステラに、静かな声が届く。
「貴女からあの子を取り上げてしまって申し訳ないと思っているよ」
眼を上げると、天井から吊り下げられた灯りを受けて、アレッサンドロによく似た碧眼が真っ直ぐに彼女に向けられていた。
(もしかして、ずっとそのことを気にかけておられたの?)
前置きなく発せられたその言葉は、そう思わせるほど、それまでの軽い口調とは全く違っていた。
「わたしは、別に、アレックスがここで幸せなら、それで……」
ステラはそこで言い淀む。
そう、彼がここで幸せならば、何も言うことはない。
幸せ、ならば。
ステラがうつむくと、静寂があたりに満ちる。
時折響く、涼やかな虫の声。
ややして、小さなため息がそのしじまを破った。
「私の身体がこんなでなければ、アレッサンドロは今でも貴女の元にいられたのだけれどね」
「?」
ステラが顔を上げると、ジーノの顔には微かな苦みを帯びた笑みが刻まれていた。
「私は虚弱でね。子どもの頃は、二十歳まで生きられたら御の字だと言われていたのだよ」
確か、彼は今、二十七歳の筈。
ステラの戸惑いが伝わったように、ジーノが小さく笑った。
「そう、まだ生きているよ。五年前に、あの子が国外からも医師薬師を呼んで、医学院を建てたんだ」
「アレックスが、ですか?」
「ああ。そのお陰で、私もずいぶんと持ち直したんだよ。まあ、ほとんど部屋に引きこもってはいるがね」
肩をすくめた彼の声には、微かに自嘲の響きがある。
「少し、お日さまを浴びた方がいいですよ」
そっとそう声をかけると、ジーノは面白がるように目を輝かせた。
「アレッサンドロと同じようなことを言うね」
「アレックスの受け売りです。出逢った頃から物知りで、色々なことをたくさん、教えてくれました」
「あの子の母親も、とても賢明な人だったよ。元は私の教育係でね」
懐かしさと、それ以上の何かを漂わせた口調でジーノは言うと、彼は浮かべていた微笑みを消し、腿の上に肘を置いた。そうすると、ステラからは彼の顔が見えなくなる。
ジーノは組み合わせた両手に視線を据えて、探るようにゆっくりと、言葉を紡ぎ出す。
「私も父も、受け継いだものをそのまま保つことしかできなかった。それだけしか、頭になかったし、それだけしか、できなかった。だが、あの子はそうじゃない」
彼が顔を上げ、ステラを見る。
「医学院のことだけではないのだよ。貴女もここへ来て色々と見聞きしただろう? 街は活気と安全を取り戻し、都の外でも様々な変化が見られ始めている。あと数年後には、国中が今よりも遥かに豊かになっているだろう」
「……ディアスタ村も、昔よりも村の人たちが楽しげです」
ポソリと言ったステラに、ジーノが「そうだろう?」というように微笑んだ。そしてそれが苦笑に代わる。
「幼い頃から、アレッサンドロの聡明さはもう見え始めていたよ。身体も丈夫だったし、実はね、次の王はあの子でもいいのではないかという声が、囁かれていたんだよ。でも、母は何としても私を玉座に座らせたかったらしくてね、父が亡くなると同時にあの子とあの子の母親を追い出したんだ」
ジーノの口からこぼれた、深いため息。
「この身体では政務に耐えられないと、周り中に言われていたんだけどね。愚かなことだ」
苦々しい声は、嘲りも含んでいた。恐らく、自分自身と、彼の母に対しての、嘲りを。
彼のそんな声を聞いているのが苦しくて、ステラは言葉を探し出す。
「あの、でも、王妃さまにとってはとても大事なことだったから、ジーノさまにとってもそうだと思ったんじゃないでしょうか」
「え?」
「大事な人には、自分にとって大事なものをあげたいと、思いませんか? 王妃さまにとっては王さまになることが大事だったから、王さまになることが幸せになることだと思っていたから、ジーノさまに王さまになって欲しかったんじゃないかなって。王さまになって欲しいっていうか、ジーノさまに幸せになって欲しかっただけだっていうか。多分、王妃さまにとってのんびり日向ぼっこすることが幸せだったら、ジーノさまにもそうして欲しいと思ったんじゃないかなって」
思うままにつらつらと語ってしまい、ステラはハタと礼を失していたことに気付く。
「あ、すみません。あの、つまり、王妃さまは、ジーノさまにお幸せになって欲しかっただけ、みたいな……」
最後は尻すぼみで、声が口の中で消えていく。
ステラは唇を噛み、おずおずと眼だけを上げてジーノを見た。無作法な物言いで怒らせてしまったかと思ったが、目が合った彼は温かな笑みを浮かべていた。
「やっぱり、貴女にはあの子の傍にいて欲しいな」
「え?」
小さな声での囁きを聞き取りきれず首をかしげたステラに、ジーノはにこりと笑う。楽しげに。
「あんな仏頂面しか見せてくれなくなったけれど、私にとってはやっぱり可愛い弟なんだ。あの子には、幸せになって欲しいんだよ」
その気持ちは、解かる。とても、共感する。
「そうですね。わたしも、そうです」
力を込めてそう返したステラに、ジーノは至極満足そうに頷いた。
絶句するステラに、ジーノが軽く首をかしげた。
「ステラ、だったね」
「は、はい。あの、お世話になってます」
身体が弱いというジーノ・ティスヴァーレ――アレッサンドロの兄は自室から滅多に出てくることがなく、言葉を交わすのはステラがここに来た日以来初めてだ。
明らかに相手にそぐっていない返しと共にあたふたと腰を屈めてメルセデから教わった礼をすると、彼は穏やかに微笑んだ。
「構わないよ、楽にして。貴女はあの子の恩人なのだから、もっと偉そうにしてくれていいんだ」
「恩人、とか、そんな……わたしもアレックスといられてとても幸せだったんです。出逢えて良かったのは、わたしも同じです」
かぶりを振って力説するステラを、ジーノは穏やかな眼差しで見つめてくる。そして、小さな声で呟いた。
「幸せだったのはお互いさま、か」
「?」
広間の喧騒であまり聞き取れず、ステラは瞬きを一つしてジーノを見返したが、彼は何でもないというように緩くかぶりを振る。
「こちらの話だ。ところで、貴女はあまりこの騒ぎを楽しめていないようだね?」
「え、や、そんなことは……」
図星を指されて目を白黒させるステラに、ジーノがクスクスと笑った。
「いいんだよ。私も同じだ。賑やかなのは苦手でね。そうだな、庭で少し話をしようか」
「え?」
「ここにいるよりはいいだろう?」
「でも――」
「行こうか」
話が通らない。というよりも、こちらの話を聞いていない。
ジーノは穏やかだけれども有無を言わさぬ笑みと共に、ステラに肘を差し出した。何だろうとステラがジッとそこを見つめていると、ジーノは彼女の手を取りそこに置かせた。とっさに引っ込めそうになるのを、そっと重ねられた彼の手が阻止する。
「その靴では歩きづらいのだろう? 私はひ弱だが、貴女くらいなら充分支えてあげられるよ」
そう言って、ステラの返事を待たずに歩き出してしまった。
ジーノに手を取られているのだから、彼が動けばそこに留まっている訳にもいかない。
ためらいがちに歩き出したステラを従え、ジーノはゆっくりとした足取りで歩き出した。
その歩調は、何というか、そう、無理がない――その一言だ。
アレッサンドロとの時は、彼が意識して歩みを緩めているのだということが伝わってきた。ジーノは、多分、普段からこれくらいの動きなのだろう。あるいは、女性に合わせるということをごく自然にできるだけなのかもしれない。
広間にも中庭へ出る扉はあるが、二人が立っていたところからは少しばかり離れていた。ピタリと身を寄せ合って歩くジーノとステラにチラチラと視線が投げかけられたが、相手がジーノだけに、皆、遠巻きに目配せするにとどまっている。
だが、その視線だけでもステラには居た堪れない。
うつむく彼女に、ジーノが声をかけてきた。
「すまないね」
顔を上げると、気遣うように彼が微笑みかけてくる。
「外に出るまでの我慢だから」
「はい」
励ましを含んだ眼差しに、ステラも自然と笑顔になった。
やがて扉に辿り着き、そこから中庭へと進む。扉を閉めてしまえば広間の喧騒は遠ざかり、微かな虫の音がそれに取って代わった。
ジーノが向かったのは、庭のところどころに設えられてある四阿の一つだった。彼は先にステラを座らせてから、彼女の向かいに腰を下ろす。
夏の終わりよりも秋の始まりと言って良いこの時期の風は、人混みで火照った肌に心地よい。
ほぅ、と息をついたステラに、静かな声が届く。
「貴女からあの子を取り上げてしまって申し訳ないと思っているよ」
眼を上げると、天井から吊り下げられた灯りを受けて、アレッサンドロによく似た碧眼が真っ直ぐに彼女に向けられていた。
(もしかして、ずっとそのことを気にかけておられたの?)
前置きなく発せられたその言葉は、そう思わせるほど、それまでの軽い口調とは全く違っていた。
「わたしは、別に、アレックスがここで幸せなら、それで……」
ステラはそこで言い淀む。
そう、彼がここで幸せならば、何も言うことはない。
幸せ、ならば。
ステラがうつむくと、静寂があたりに満ちる。
時折響く、涼やかな虫の声。
ややして、小さなため息がそのしじまを破った。
「私の身体がこんなでなければ、アレッサンドロは今でも貴女の元にいられたのだけれどね」
「?」
ステラが顔を上げると、ジーノの顔には微かな苦みを帯びた笑みが刻まれていた。
「私は虚弱でね。子どもの頃は、二十歳まで生きられたら御の字だと言われていたのだよ」
確か、彼は今、二十七歳の筈。
ステラの戸惑いが伝わったように、ジーノが小さく笑った。
「そう、まだ生きているよ。五年前に、あの子が国外からも医師薬師を呼んで、医学院を建てたんだ」
「アレックスが、ですか?」
「ああ。そのお陰で、私もずいぶんと持ち直したんだよ。まあ、ほとんど部屋に引きこもってはいるがね」
肩をすくめた彼の声には、微かに自嘲の響きがある。
「少し、お日さまを浴びた方がいいですよ」
そっとそう声をかけると、ジーノは面白がるように目を輝かせた。
「アレッサンドロと同じようなことを言うね」
「アレックスの受け売りです。出逢った頃から物知りで、色々なことをたくさん、教えてくれました」
「あの子の母親も、とても賢明な人だったよ。元は私の教育係でね」
懐かしさと、それ以上の何かを漂わせた口調でジーノは言うと、彼は浮かべていた微笑みを消し、腿の上に肘を置いた。そうすると、ステラからは彼の顔が見えなくなる。
ジーノは組み合わせた両手に視線を据えて、探るようにゆっくりと、言葉を紡ぎ出す。
「私も父も、受け継いだものをそのまま保つことしかできなかった。それだけしか、頭になかったし、それだけしか、できなかった。だが、あの子はそうじゃない」
彼が顔を上げ、ステラを見る。
「医学院のことだけではないのだよ。貴女もここへ来て色々と見聞きしただろう? 街は活気と安全を取り戻し、都の外でも様々な変化が見られ始めている。あと数年後には、国中が今よりも遥かに豊かになっているだろう」
「……ディアスタ村も、昔よりも村の人たちが楽しげです」
ポソリと言ったステラに、ジーノが「そうだろう?」というように微笑んだ。そしてそれが苦笑に代わる。
「幼い頃から、アレッサンドロの聡明さはもう見え始めていたよ。身体も丈夫だったし、実はね、次の王はあの子でもいいのではないかという声が、囁かれていたんだよ。でも、母は何としても私を玉座に座らせたかったらしくてね、父が亡くなると同時にあの子とあの子の母親を追い出したんだ」
ジーノの口からこぼれた、深いため息。
「この身体では政務に耐えられないと、周り中に言われていたんだけどね。愚かなことだ」
苦々しい声は、嘲りも含んでいた。恐らく、自分自身と、彼の母に対しての、嘲りを。
彼のそんな声を聞いているのが苦しくて、ステラは言葉を探し出す。
「あの、でも、王妃さまにとってはとても大事なことだったから、ジーノさまにとってもそうだと思ったんじゃないでしょうか」
「え?」
「大事な人には、自分にとって大事なものをあげたいと、思いませんか? 王妃さまにとっては王さまになることが大事だったから、王さまになることが幸せになることだと思っていたから、ジーノさまに王さまになって欲しかったんじゃないかなって。王さまになって欲しいっていうか、ジーノさまに幸せになって欲しかっただけだっていうか。多分、王妃さまにとってのんびり日向ぼっこすることが幸せだったら、ジーノさまにもそうして欲しいと思ったんじゃないかなって」
思うままにつらつらと語ってしまい、ステラはハタと礼を失していたことに気付く。
「あ、すみません。あの、つまり、王妃さまは、ジーノさまにお幸せになって欲しかっただけ、みたいな……」
最後は尻すぼみで、声が口の中で消えていく。
ステラは唇を噛み、おずおずと眼だけを上げてジーノを見た。無作法な物言いで怒らせてしまったかと思ったが、目が合った彼は温かな笑みを浮かべていた。
「やっぱり、貴女にはあの子の傍にいて欲しいな」
「え?」
小さな声での囁きを聞き取りきれず首をかしげたステラに、ジーノはにこりと笑う。楽しげに。
「あんな仏頂面しか見せてくれなくなったけれど、私にとってはやっぱり可愛い弟なんだ。あの子には、幸せになって欲しいんだよ」
その気持ちは、解かる。とても、共感する。
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