16 / 48
Ⅲ:捨てられ王子の綺羅星
八年ぶりの逢瀬:ひとまずの約束
しおりを挟む
アレッサンドロの背中が、どんどん遠くなっていく。
今しがた目の前で繰り広げられた遣り取りを、ステラの頭は半分も理解できていなかった。
(えぇと、わたしを呼んだのは、アレックスじゃなかった……?)
いや、それどころか、アレッサンドロ自身はステラがここにいることを喜んですらいなかったように思われる。アレッサンドロは、ステラに逢いたいなど、これっぽっちも思っていなかったのだ。
(逢いたいと思っていたのは、わたしだけ)
彼の言葉からも眼差しからも、それがひしひしと伝わってきた。
振り返って目が合った瞬間、あの深い碧眼を見たその一瞬で、そこに立つ人がアレッサンドロだと判った。瞳の色が記憶に残るものと同じだったというだけでなく、そこに閃いた輝きが、そう思わせた。
それなのに、アレッサンドロが言葉を放てば放つほど、どんどん、彼との距離が開いていくような感じがして。
台詞以上に彼の眼差しが、ステラがここにいることを責めていた。
幼かったアレッサンドロからは、あんな眼で見られたことは、一度もなかったのに。
(わたしは、ここに来てはいけなかったんだ)
その事実が重く胸に落ちてきて、ステラは唇を噛み締める。と、そこに、羽がかすめたように微かな力で何かが触れた。
パッと顔を上げたステラから、繊手が遠ざかっていく。それを追って顔を上げると、優しげな微笑みが彼女を見下ろしていた。
アレッサンドロとよく似た、けれど、やっぱり、違う人。
「そんなに噛んだら傷ついてしまう。そんなのを見せられたら、あの子が落ち込んでしまうよ」
アレッサンドロの兄だというその人は、穏やか笑みを浮かべたままそう言った。
「え、と」
この人の名前は、何といっただろう。
(ジーノ、――って……?)
確かに聞いたけれども、もしかしたら聞き間違えたかもしれない。
ステラはそう思った。何故なら、耳にしたその名は、まず有り得ないものだったから。
とは言え、一度告げられた名をまた訊き直すなんて、失礼だ。
言葉を失い目の前に立つ人をただ見つめることしかできずにいたステラの手を、恭しげに彼が取る。
「私はジーノ・ティスヴァーレ、アレッサンドロの兄だ。あの子を見つけてくれたことに、そして慈しんでくれたことに、感謝する」
自然な所作でジーノはステラの手の甲に口づけたが、告げられたことを理解するのに精いっぱいの彼女はされるがままでそれどころではない。
(やっぱり、聞き間違えじゃなかった)
ジーノ・『ティスヴァーレ』ということは。
ステラは未だジーノに手を取られたまま、ぐるりと庭を見渡し、そびえたつ建物を見上げた。まじまじとそれを眺めた後、また、ジーノに眼を戻す。
「ここは、どこなんですか?」
「ラムバルディアだね」
「そうではなくて……」
自分の中にある疑問を、どう言葉にしたらいいのかが判らない。
口ごもったステラの胸中を読み取ったように、ジーノが続ける。
「ここはラムバルディアの王宮で、私はティスヴァーレ国の王、私の弟であるアレッサンドロは第一位の、そして唯一の、王位継承者だ。もっとも、私は王としての役割は殆ど果たしていないけれどもね。それは、今は専らアレッサンドロが担っているよ」
こともなげに言ったジーノはステラの手を放し、彼女にニッコリと笑いかけた。その笑顔が幼い頃のアレッサンドロと重なって、思わず微笑み返してしまう。
ジーノはステラを見つめ、そして口を開く。
「……悪かったね。貴女をここに呼んだのは、アレッサンドロではなく私なのだ」
彼のその言葉で、ステラの胸がチクリと痛んだ。
やはり、アレッサンドロが望んだことではなかった。
「アレックスは、わたしに会いたくなかったんですね……」
ステラはうつむき、ポツリと呟いた。
彼に逢える、彼も逢いたいと思ってくれていると浮かれていた自分が、バカみたいだ。
アレッサンドロが望んでくれていないのなら、ステラがここにいても仕方がない。
「わたし、帰ります」
うなだれたままこぼしたステラの肩に、そっと手がのせられる。
「ステラ、少しの間だけでいいから、ここにいてくれないか」
静かな声に、彼女はパッと顔を上げた。
「でも――」
ステラの脳裏に先ほどの遣り取りがよみがえる。
束の間相まみえた中でアレッサンドロがステラに向けたのは、「どうしてここにいる」の言葉だけ。彼女のことを、見るのも耐えられないと言わんばかりだった。
「……アレックスが、嫌がります」
唇を噛んだステラに、苦笑混じりでジーノがかぶりを振る。
「あれは、嫌がっているのではないよ」
「そうは見えませんでした」
声に出すと改めてそれが実感されて、ステラはいっそうつらくなった。
「アレックスが嫌がることを、したくないです」
また顔を伏せて喉からそう絞り出したステラの顎に、ジーノの指がかかる。促されて上げた目を、彼が覗き込んできた。
「貴女は私の客だ。貴女がいつ帰るかは、私が決める。あの子がどう思おうと関係ない。ああ、教会の方も安心していいよ。もう三人ほど、人を送ってあるから」
「え?」
「あちらは、貴女がいなくとも大丈夫。子どもたちの世話に習熟した者を選んだから、むしろ貴女よりもうまくやってくれるよ」
愕然と見上げたステラに、ジーノは続ける。
「貴女が教会に留まっていたのは、子どもたちの為だったのだろう? 子どもたちの世話をするのにより手慣れた者がいるならば、貴女がいる必要はないはずだよ」
確かに、彼の言うとおりだった。
ステラもコラーノ神父も、手探りで子どもたちの世話をしてきたのだ。多分、うまくできていないことも、たくさんあっただろう。もっと適した人がいるならその人に任せるべきだし、そうなれば、ステラは彼らに必要ではない者となる。
ジーノの言葉は紛れもない事実なのに、どうしてか、ステラにはそれを呑み下すことがとても難しく感じられた。
教会に、ステラの存在は必要がなくなる。
ステラの存在意義は、あそこでは見いだせなくなる。
(じゃあ、わたしはどうしたら……)
アレッサンドロからは拒まれ、教会にも居る場所がない。
両手を握り締めたステラを見下ろし、ジーノが静かに問うてくる。
「子どもたちの世話で一生を終えてしまっていいのかい?」
「え?」
「貴女もね、自分自身の幸せを手に入れるべきなのだよ。自分自身の為のね」
まるで、ステラが幸せではなかったかのような言い方だ。
「わたしは、今まででも充分に幸せでした」
ムッとジーノを睨んで応えたステラに、彼は幼い子どもに向けるような笑みを浮かべて軽く首をかしげた。
「なら、いいのだけれどね」
含みのある言い方をするジーノに更に言い募ろうとしたけれど、彼がそれに先んじる。
「まあ、とにかく、ひと月だけ、ここに留まってくれないかな?」
「ジーノさま、でも……」
「貴女と共に過ごしていた頃のアレッサンドロの話を、聞かせておくれ。あの子は少しも話してくれないから」
寂しげにそう言われてしまったら、拒めない。
「ひと月だけ、ですよ?」
「ああ、ひと月だけ、だ。ひと月いてくれたら、帰りの馬車を用意するよ」
それならば、と頷きかけたステラに、ジーノがにこりと笑う。
「ひと月経って、その時も貴女が帰りたいと思っていたらね」
まるで、そうはならないと確信しているかのような響きが、その声にはあった。
今しがた目の前で繰り広げられた遣り取りを、ステラの頭は半分も理解できていなかった。
(えぇと、わたしを呼んだのは、アレックスじゃなかった……?)
いや、それどころか、アレッサンドロ自身はステラがここにいることを喜んですらいなかったように思われる。アレッサンドロは、ステラに逢いたいなど、これっぽっちも思っていなかったのだ。
(逢いたいと思っていたのは、わたしだけ)
彼の言葉からも眼差しからも、それがひしひしと伝わってきた。
振り返って目が合った瞬間、あの深い碧眼を見たその一瞬で、そこに立つ人がアレッサンドロだと判った。瞳の色が記憶に残るものと同じだったというだけでなく、そこに閃いた輝きが、そう思わせた。
それなのに、アレッサンドロが言葉を放てば放つほど、どんどん、彼との距離が開いていくような感じがして。
台詞以上に彼の眼差しが、ステラがここにいることを責めていた。
幼かったアレッサンドロからは、あんな眼で見られたことは、一度もなかったのに。
(わたしは、ここに来てはいけなかったんだ)
その事実が重く胸に落ちてきて、ステラは唇を噛み締める。と、そこに、羽がかすめたように微かな力で何かが触れた。
パッと顔を上げたステラから、繊手が遠ざかっていく。それを追って顔を上げると、優しげな微笑みが彼女を見下ろしていた。
アレッサンドロとよく似た、けれど、やっぱり、違う人。
「そんなに噛んだら傷ついてしまう。そんなのを見せられたら、あの子が落ち込んでしまうよ」
アレッサンドロの兄だというその人は、穏やか笑みを浮かべたままそう言った。
「え、と」
この人の名前は、何といっただろう。
(ジーノ、――って……?)
確かに聞いたけれども、もしかしたら聞き間違えたかもしれない。
ステラはそう思った。何故なら、耳にしたその名は、まず有り得ないものだったから。
とは言え、一度告げられた名をまた訊き直すなんて、失礼だ。
言葉を失い目の前に立つ人をただ見つめることしかできずにいたステラの手を、恭しげに彼が取る。
「私はジーノ・ティスヴァーレ、アレッサンドロの兄だ。あの子を見つけてくれたことに、そして慈しんでくれたことに、感謝する」
自然な所作でジーノはステラの手の甲に口づけたが、告げられたことを理解するのに精いっぱいの彼女はされるがままでそれどころではない。
(やっぱり、聞き間違えじゃなかった)
ジーノ・『ティスヴァーレ』ということは。
ステラは未だジーノに手を取られたまま、ぐるりと庭を見渡し、そびえたつ建物を見上げた。まじまじとそれを眺めた後、また、ジーノに眼を戻す。
「ここは、どこなんですか?」
「ラムバルディアだね」
「そうではなくて……」
自分の中にある疑問を、どう言葉にしたらいいのかが判らない。
口ごもったステラの胸中を読み取ったように、ジーノが続ける。
「ここはラムバルディアの王宮で、私はティスヴァーレ国の王、私の弟であるアレッサンドロは第一位の、そして唯一の、王位継承者だ。もっとも、私は王としての役割は殆ど果たしていないけれどもね。それは、今は専らアレッサンドロが担っているよ」
こともなげに言ったジーノはステラの手を放し、彼女にニッコリと笑いかけた。その笑顔が幼い頃のアレッサンドロと重なって、思わず微笑み返してしまう。
ジーノはステラを見つめ、そして口を開く。
「……悪かったね。貴女をここに呼んだのは、アレッサンドロではなく私なのだ」
彼のその言葉で、ステラの胸がチクリと痛んだ。
やはり、アレッサンドロが望んだことではなかった。
「アレックスは、わたしに会いたくなかったんですね……」
ステラはうつむき、ポツリと呟いた。
彼に逢える、彼も逢いたいと思ってくれていると浮かれていた自分が、バカみたいだ。
アレッサンドロが望んでくれていないのなら、ステラがここにいても仕方がない。
「わたし、帰ります」
うなだれたままこぼしたステラの肩に、そっと手がのせられる。
「ステラ、少しの間だけでいいから、ここにいてくれないか」
静かな声に、彼女はパッと顔を上げた。
「でも――」
ステラの脳裏に先ほどの遣り取りがよみがえる。
束の間相まみえた中でアレッサンドロがステラに向けたのは、「どうしてここにいる」の言葉だけ。彼女のことを、見るのも耐えられないと言わんばかりだった。
「……アレックスが、嫌がります」
唇を噛んだステラに、苦笑混じりでジーノがかぶりを振る。
「あれは、嫌がっているのではないよ」
「そうは見えませんでした」
声に出すと改めてそれが実感されて、ステラはいっそうつらくなった。
「アレックスが嫌がることを、したくないです」
また顔を伏せて喉からそう絞り出したステラの顎に、ジーノの指がかかる。促されて上げた目を、彼が覗き込んできた。
「貴女は私の客だ。貴女がいつ帰るかは、私が決める。あの子がどう思おうと関係ない。ああ、教会の方も安心していいよ。もう三人ほど、人を送ってあるから」
「え?」
「あちらは、貴女がいなくとも大丈夫。子どもたちの世話に習熟した者を選んだから、むしろ貴女よりもうまくやってくれるよ」
愕然と見上げたステラに、ジーノは続ける。
「貴女が教会に留まっていたのは、子どもたちの為だったのだろう? 子どもたちの世話をするのにより手慣れた者がいるならば、貴女がいる必要はないはずだよ」
確かに、彼の言うとおりだった。
ステラもコラーノ神父も、手探りで子どもたちの世話をしてきたのだ。多分、うまくできていないことも、たくさんあっただろう。もっと適した人がいるならその人に任せるべきだし、そうなれば、ステラは彼らに必要ではない者となる。
ジーノの言葉は紛れもない事実なのに、どうしてか、ステラにはそれを呑み下すことがとても難しく感じられた。
教会に、ステラの存在は必要がなくなる。
ステラの存在意義は、あそこでは見いだせなくなる。
(じゃあ、わたしはどうしたら……)
アレッサンドロからは拒まれ、教会にも居る場所がない。
両手を握り締めたステラを見下ろし、ジーノが静かに問うてくる。
「子どもたちの世話で一生を終えてしまっていいのかい?」
「え?」
「貴女もね、自分自身の幸せを手に入れるべきなのだよ。自分自身の為のね」
まるで、ステラが幸せではなかったかのような言い方だ。
「わたしは、今まででも充分に幸せでした」
ムッとジーノを睨んで応えたステラに、彼は幼い子どもに向けるような笑みを浮かべて軽く首をかしげた。
「なら、いいのだけれどね」
含みのある言い方をするジーノに更に言い募ろうとしたけれど、彼がそれに先んじる。
「まあ、とにかく、ひと月だけ、ここに留まってくれないかな?」
「ジーノさま、でも……」
「貴女と共に過ごしていた頃のアレッサンドロの話を、聞かせておくれ。あの子は少しも話してくれないから」
寂しげにそう言われてしまったら、拒めない。
「ひと月だけ、ですよ?」
「ああ、ひと月だけ、だ。ひと月いてくれたら、帰りの馬車を用意するよ」
それならば、と頷きかけたステラに、ジーノがにこりと笑う。
「ひと月経って、その時も貴女が帰りたいと思っていたらね」
まるで、そうはならないと確信しているかのような響きが、その声にはあった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

【完結】愛していないと王子が言った
miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。
「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。
※合わない場合はそっ閉じお願いします。
※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。
一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。
そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。

前世の恋の叶え方〜前世が王女の村娘は、今世で王子の隣に立ちたい〜
天瀬 澪
恋愛
村娘のエマには、前世の記憶があった。
前世の王女エマリスとしての人生は呆気なく幕切れしてしまったが、そのときの護衛騎士に対する想いをずっと引きずっていた。
ある日、エマは森の中で倒れている第二王子のレオナールを発見する。
そして、衝撃の事実が判明した。
レオナールの前世は、王女エマリスの護衛騎士であり、想い人でもあるレオだったのだ。
前世では《王女》と《護衛騎士》。
今世では《村娘》と《王子》。
立場の違いから身を引こうとしたエマだったが、レオナールが逃がしてはくれなかった。
それならばと、村娘のエマとして、王子であるレオナールのそばにいることのできる立場を目指すことに決める。
けれど、平民であるエマが歩く道は、決して平坦な道ではなかった。
それでもエマは諦めない。
もう一度、大好きな人のそばに立つために。
前世で蓄えた知識と経験は、やがてエマの存在を周囲に知らしめていく―――…。
前世の記憶に翻弄されながら逆境に立ち向かう、成り上がり恋愛ファンタジー。

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる