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Ⅰ:捨てられ王子は森の中で星に拾われる
出逢い
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ステラの一日は、十二人の弟妹たちをベッドの中から引っ張り出すことから始まる。
弟妹と言っても、血のつながりはない。皆、ここ、ディアスタ村の教会に引き取られた孤児たちだからだ。もちろん、ステラもその一人で、二歳の時に両親を事故で喪った彼女を、当時赴任したばかりだったコラーノ神父が引き取ってくれたのだ。末っ子はまだ三歳で、ステラは十歳、子どもたちの中では彼女が一番のお姉さんになる。
コラーノ神父の愛情は空のように限りがないから、子どもたちが何人いようとも尽きることはない。
ここに来るまで神父は都の大きな教会にいて、小さな子どもの世話なんてしたことがなかったのだそうだ。当時を思い出すたび、赴任して来て早々に身寄りが無くなったステラのことを村の人たちから相談されて、引き取ったはいいが何をどうしたら良いのかさっぱり判らなかったのだと、神父は笑う。
両親の記憶がほとんどないステラにとっては、コラーノ神父こそが『お父さん』だ。一番長く一緒にいるからといって、彼にとってステラは『特別』なわけではない。それは判っているけれど、ステラにとってはコラーノ神父はとても大事な人だから、少しでも彼の助けになれたらいいなと思う。
子どもたちを起こして、身支度をさせて、食事をさせて――一通りのことを終えたステラは、やれやれと息をついた。毎朝のことだけれども、三歳から八歳までの十二人の世話を焼くのはなかなか大変なことなのだ。この後は、子どもたちはコラーノ神父から読み書きを教わる時間になる。ステラはもう卒業したから雨の日にはそれを手伝うのだけれども、今日は一日良い天気になりそうだ。そういう時は、彼女には別の仕事があった。
ステラは大きな籠を腕にかけて、コラーノ神父に声をかける。
「じゃあ、神父さま、木の実拾いに行ってきます」
「ああ、気をつけて。あまり森の深くに行ってはいけないよ?」
森での食糧調達はステラが七つの頃からしていることだというのに、コラーノ神父はいつも心配そうに眉をひそめて同じことを言う。
「はい、神父さま」
笑いを噛み殺しながらステラが頷くと、コラーノ神父は大きな手で頭を撫でてくれた。
外へ出ると、鶏の世話をしていた二歳下のレイが待ち構えていたように駆け寄ってくる。
「ステラ、今日はオレも一緒に連れてってよ」
レイが教会に引き取られたのは三年前で、一番年が近いせいか一緒にいることが多い。森に行くときも付いてきたがるのだけれども。
「こっちはわたし一人でだいじょうぶだから、レイは神父さまのこと、手伝ってあげて?」
小さい子たちを椅子に座らせておくのは、コラーノ神父一人の手に余る。
にこりと笑ってそう言うと、レイは少しばかり唇を尖らせながらも頷いた。
「……わかった」
「ありがとう。じゃあ、行ってくるね」
さっき神父がしてくれたようにステラはレイの頭を撫でてから、彼に手を振り踵を返す。
教会は村の外れにあって、すぐ裏が森だった。秋の今は木の実が良く採れるけれども、時期によってはキノコだったりベリーだったり、運が良ければ薬草が見つかる時もある。教会は基本的には自給自足で、年々増える子どもたちのお腹を満たすには、庭に作った畑だけでは少々心許なくなりつつあった。こうやって森の中で色々探すことは、最初は何かの足しにという気持ちくらいだったけれども、今ではもう教会の子どもたちにとって欠かせないことになっていた。
落ちている椎の実に手を伸ばしかけたステラの脳裏に、さっきのレイがよみがえる。
確かに彼女だけでは拾える量には限りがあるから、もう一人くらいいた方がいいかもしれない。
(次からはレイも一緒の方がいいかな)
そんなことを考えながらサクサクと落ち葉を踏んで、ステラは森を進んだ。ここ数日毎日採っているからか、森の浅いところではあまり見つからない。
黙々と収穫を続け、籠の中が半分ほど満たされたところで彼女は立ち止まり、頭をもたげて辺りを見渡した。
気付けば、随分と木立が密集してきている。少し前より薄暗く感じられるのは、陽が翳ったからではなくうっそうと茂る枝葉で遮られているからだ。
「結構、奥まで来ちゃったな」
ステラが、そう呟いた時だった。
「……子どもの、泣き声?」
微かに耳をかすめたそれに、気のせいだったのだろうかとステラは眉をひそめた。
森は静まり返っている――ように思える。
彼女は息を殺して耳を澄ませてみた。と、次の瞬間、衝かれたように顔を上げる。
「やっぱり、聞こえる」
途切れ途切れでも、間違いない。
村の子どもが迷い込んでしまったのだろうか。この森に危険な動物はいないはずだけれども、小さな子どもが一日過ごせるような場所ではない。
(探さないと)
ステラはキョロキョロと辺りを見回してから、声がする方へと走り出す。
声は段々大きくなって、こんもりと繁る茂みを回った時、彼女はハタと立ち止まった。
大きな木の根元に、小さな背中がうずくまっている。多分、男の子だ。五つは超えていそうだけれど、レイよりは小さい。
「君……」
呼びかけながら歩み寄ろうとして、ステラはヒュッと息を呑んだ。彼の前にある――いるものに、気付いてしまったから。そこには、木の根元に半ば寄り掛かるようにして、女性が横たわっていた。
泣いている幼子と、それを宥めようともせず微動だにしない、女性。
そこから導き出さざるを得ない答えは、つまり――
ステラは唇を噛み、小さく息をついてから再び歩き出す。ゆっくりと。
「ねえ、君?」
三歩分残したくらいまで近づいたところでそっと声をかけると、か細い背中がビクリと跳ねた。勢いよく振り返ったのは思った通り六つか七つの少年で、頬は涙でひたひたになっている。月の光のような淡い金髪は、ディアスタ村では見たことがない色だった。
(どうして、こんなところに)
どうして、どうやって、どこから――疑問符はたくさん頭の中に浮かんだけれど、今は脇に置いておこう。
ステラは彼の隣まで行き、静かにしゃがみ込む。
「この人、お母さん?」
そっと訊ねたステラに、少年が小さく頷いた。
教会で何年も世話になっていれば、目の前の肉体に命の灯がまだ残されているかどうか、見ただけでも判断が付くようになってくる。横たわるその女性がこの世に身を置く者ではなくなっていることは明らかだったけれども、確かめなければならない。
ステラは束の間ためらい、それから女性に手を伸ばす。
冷たい。
血の気が失せた痩せた頬はステラの指先が触れてもピクリともせず、少し硬く、ひんやりとしていた。そっと指を滑らせ首筋を探っても、何も感じ取ることができなかった。
「誰か、大人の人を呼んでこないと」
ステラは少年の顔を覗き込みながら囁いた。一拍遅れてノロノロと彼の眼が動く。
大きく見開かれたその目を見て、ステラは小さく息を呑んだ。
本当は、綺麗な青い瞳の筈だ。晴れ渡る秋の空のような。
けれど今は、底なしの沼のように黒々としていた。
顔の半分を占めているのではないかと思うほど大きな目の中に在るのは、絶望だけだ。この世の全てを失ってしまったと言わんばかりの絶望が、少年の瞳を満たしていた。
それを目の当たりにしたステラの胸が、きつく締め付けられる。
(わたしも、同じだった)
両親のことは覚えていない。けれども、彼らを喪ったときの寂しさ、悲しさ、恐怖は、よく覚えている。
(わたしには、神父さまがいてくれた)
いつだってコラーノ神父が傍にいて、優しく慰めてくれた。
(わたしに、できるのは……)
ステラはそっと彼を引き寄せ、決して長くはない腕で懸命に包み込む。
「だいじょうぶ、ひとりじゃない。ひとりじゃないから。ひとりには、しないから」
柔らかな金髪に頬を埋めながら、何度も囁いた。
幾度めにそうした時か、少年の小さな手がそろそろと這い上がり、ステラの背に回された。そして、溺れる者が投げ与えられた命綱にそうするように、渾身の力でしがみついてくる。
「ふ、ぅ」
漏れた、嗚咽。
そして。
「か、あ、さま……母さま、母さま――ッ!」
先ほどまでの忍び泣きとは打って変わって声を張り上げて泣き始めた少年を、ステラはただ抱き締めていることしかできなかった。
弟妹と言っても、血のつながりはない。皆、ここ、ディアスタ村の教会に引き取られた孤児たちだからだ。もちろん、ステラもその一人で、二歳の時に両親を事故で喪った彼女を、当時赴任したばかりだったコラーノ神父が引き取ってくれたのだ。末っ子はまだ三歳で、ステラは十歳、子どもたちの中では彼女が一番のお姉さんになる。
コラーノ神父の愛情は空のように限りがないから、子どもたちが何人いようとも尽きることはない。
ここに来るまで神父は都の大きな教会にいて、小さな子どもの世話なんてしたことがなかったのだそうだ。当時を思い出すたび、赴任して来て早々に身寄りが無くなったステラのことを村の人たちから相談されて、引き取ったはいいが何をどうしたら良いのかさっぱり判らなかったのだと、神父は笑う。
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子どもたちを起こして、身支度をさせて、食事をさせて――一通りのことを終えたステラは、やれやれと息をついた。毎朝のことだけれども、三歳から八歳までの十二人の世話を焼くのはなかなか大変なことなのだ。この後は、子どもたちはコラーノ神父から読み書きを教わる時間になる。ステラはもう卒業したから雨の日にはそれを手伝うのだけれども、今日は一日良い天気になりそうだ。そういう時は、彼女には別の仕事があった。
ステラは大きな籠を腕にかけて、コラーノ神父に声をかける。
「じゃあ、神父さま、木の実拾いに行ってきます」
「ああ、気をつけて。あまり森の深くに行ってはいけないよ?」
森での食糧調達はステラが七つの頃からしていることだというのに、コラーノ神父はいつも心配そうに眉をひそめて同じことを言う。
「はい、神父さま」
笑いを噛み殺しながらステラが頷くと、コラーノ神父は大きな手で頭を撫でてくれた。
外へ出ると、鶏の世話をしていた二歳下のレイが待ち構えていたように駆け寄ってくる。
「ステラ、今日はオレも一緒に連れてってよ」
レイが教会に引き取られたのは三年前で、一番年が近いせいか一緒にいることが多い。森に行くときも付いてきたがるのだけれども。
「こっちはわたし一人でだいじょうぶだから、レイは神父さまのこと、手伝ってあげて?」
小さい子たちを椅子に座らせておくのは、コラーノ神父一人の手に余る。
にこりと笑ってそう言うと、レイは少しばかり唇を尖らせながらも頷いた。
「……わかった」
「ありがとう。じゃあ、行ってくるね」
さっき神父がしてくれたようにステラはレイの頭を撫でてから、彼に手を振り踵を返す。
教会は村の外れにあって、すぐ裏が森だった。秋の今は木の実が良く採れるけれども、時期によってはキノコだったりベリーだったり、運が良ければ薬草が見つかる時もある。教会は基本的には自給自足で、年々増える子どもたちのお腹を満たすには、庭に作った畑だけでは少々心許なくなりつつあった。こうやって森の中で色々探すことは、最初は何かの足しにという気持ちくらいだったけれども、今ではもう教会の子どもたちにとって欠かせないことになっていた。
落ちている椎の実に手を伸ばしかけたステラの脳裏に、さっきのレイがよみがえる。
確かに彼女だけでは拾える量には限りがあるから、もう一人くらいいた方がいいかもしれない。
(次からはレイも一緒の方がいいかな)
そんなことを考えながらサクサクと落ち葉を踏んで、ステラは森を進んだ。ここ数日毎日採っているからか、森の浅いところではあまり見つからない。
黙々と収穫を続け、籠の中が半分ほど満たされたところで彼女は立ち止まり、頭をもたげて辺りを見渡した。
気付けば、随分と木立が密集してきている。少し前より薄暗く感じられるのは、陽が翳ったからではなくうっそうと茂る枝葉で遮られているからだ。
「結構、奥まで来ちゃったな」
ステラが、そう呟いた時だった。
「……子どもの、泣き声?」
微かに耳をかすめたそれに、気のせいだったのだろうかとステラは眉をひそめた。
森は静まり返っている――ように思える。
彼女は息を殺して耳を澄ませてみた。と、次の瞬間、衝かれたように顔を上げる。
「やっぱり、聞こえる」
途切れ途切れでも、間違いない。
村の子どもが迷い込んでしまったのだろうか。この森に危険な動物はいないはずだけれども、小さな子どもが一日過ごせるような場所ではない。
(探さないと)
ステラはキョロキョロと辺りを見回してから、声がする方へと走り出す。
声は段々大きくなって、こんもりと繁る茂みを回った時、彼女はハタと立ち止まった。
大きな木の根元に、小さな背中がうずくまっている。多分、男の子だ。五つは超えていそうだけれど、レイよりは小さい。
「君……」
呼びかけながら歩み寄ろうとして、ステラはヒュッと息を呑んだ。彼の前にある――いるものに、気付いてしまったから。そこには、木の根元に半ば寄り掛かるようにして、女性が横たわっていた。
泣いている幼子と、それを宥めようともせず微動だにしない、女性。
そこから導き出さざるを得ない答えは、つまり――
ステラは唇を噛み、小さく息をついてから再び歩き出す。ゆっくりと。
「ねえ、君?」
三歩分残したくらいまで近づいたところでそっと声をかけると、か細い背中がビクリと跳ねた。勢いよく振り返ったのは思った通り六つか七つの少年で、頬は涙でひたひたになっている。月の光のような淡い金髪は、ディアスタ村では見たことがない色だった。
(どうして、こんなところに)
どうして、どうやって、どこから――疑問符はたくさん頭の中に浮かんだけれど、今は脇に置いておこう。
ステラは彼の隣まで行き、静かにしゃがみ込む。
「この人、お母さん?」
そっと訊ねたステラに、少年が小さく頷いた。
教会で何年も世話になっていれば、目の前の肉体に命の灯がまだ残されているかどうか、見ただけでも判断が付くようになってくる。横たわるその女性がこの世に身を置く者ではなくなっていることは明らかだったけれども、確かめなければならない。
ステラは束の間ためらい、それから女性に手を伸ばす。
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血の気が失せた痩せた頬はステラの指先が触れてもピクリともせず、少し硬く、ひんやりとしていた。そっと指を滑らせ首筋を探っても、何も感じ取ることができなかった。
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ステラは少年の顔を覗き込みながら囁いた。一拍遅れてノロノロと彼の眼が動く。
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けれど今は、底なしの沼のように黒々としていた。
顔の半分を占めているのではないかと思うほど大きな目の中に在るのは、絶望だけだ。この世の全てを失ってしまったと言わんばかりの絶望が、少年の瞳を満たしていた。
それを目の当たりにしたステラの胸が、きつく締め付けられる。
(わたしも、同じだった)
両親のことは覚えていない。けれども、彼らを喪ったときの寂しさ、悲しさ、恐怖は、よく覚えている。
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いつだってコラーノ神父が傍にいて、優しく慰めてくれた。
(わたしに、できるのは……)
ステラはそっと彼を引き寄せ、決して長くはない腕で懸命に包み込む。
「だいじょうぶ、ひとりじゃない。ひとりじゃないから。ひとりには、しないから」
柔らかな金髪に頬を埋めながら、何度も囁いた。
幾度めにそうした時か、少年の小さな手がそろそろと這い上がり、ステラの背に回された。そして、溺れる者が投げ与えられた命綱にそうするように、渾身の力でしがみついてくる。
「ふ、ぅ」
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そして。
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