39 / 41
あなたは大事なひとだから
しおりを挟む
「アストールさま」
名を呼ばれ、彼は再びフラウを見る。
「アストールさま、一緒に都へ行きましょう? 行って、エマさんに会いましょう?」
そう言って、フラウは両手を伸ばしてアストールの手を取った。
「本当は、アストールさまもエマさんにごめんなさいっておっしゃりたかったのではないですか?」
下から覗き込んでくる透き通った眼差しから、アストールは目を逸らした。そうして、吐き捨てるように答える。
「――謝罪の言葉になど、意味がない」
言葉になど、意味はない。
謝って、それでアストールが犯した罪が消えるわけではないのだ。
(得られるのは、ただの自己満足だけだ)
いや、それすら怪しい。たとえエマから赦されようとも、アストール自身に己を赦す気はないのだから。
「もうこの話は終わりだ。塔に戻るぞ」
フラウを見ることもせず一方的に告げて、彼女の手の中からアストールは手を引き抜こうとした。が、彼女はそうさせるまいとグッと握り締めてくる。
「いやです。まだ終わりじゃないです」
「フラウ、いい加減に――」
しろ、と、言うことができなかった。言い終える前に、フラウが声を上げたから。
「みんな、アストールさまを赦してるのに――最初から責めてなんていないのに、どうしてアストールさまはアストールさまを赦してくださらないんですか」
大きな青灰色の瞳が微かに潤んでいるように見えて、アストールの喉がグッと詰まる。だが、フラウの言い分を受け入れるわけにはいかなかった。
「そうするべきではないからだ。誰が赦そうが赦すまいが、僕は確かにエマを傷付けた。……謝罪の言葉などでなかったことにはできない――すべきではない」
そう断じたアストールに、フラウはもどかしげに唇を噛んだ。
「するべきだとかするべきじゃないとかじゃなくて、わたしがお訊きしてるのはアストールさまが何を望んでいるか、です」
「僕は――……」
言いかけ、口を閉ざしたアストールを、フラウが深みを見通す眼差しで見つめてくる。
「エマさんにお会いになるのが怖いですか?」
「そんなことはない!」
反射的に否定してから、アストールはその勢いが強すぎたことに気づいて奥歯を食いしばる。
「……お前を危険に晒したくないだけだ。さっきも言っただろう。お前の力が他の者に知られたら、国内はおろか国外からも狙われるようになる。秘密を守るにはその力を使わないこと、この塔にいることしかない」
そう答え、アストールは自由な手でフラウの頬を包み込む。
「僕はお前が大事なんだ」
心の底からの嘘偽りのない言葉に、しかし、フラウは顔を曇らせる。
「それは、知ってます。アストールさまは、ずっと、わたしを守ってくださっています。一番にわたしのことを想ってくださっています」
アストールを真っ直ぐに見上げてそう言ったフラウは、でも、と、声を上げる。
「でも、じゃあ、アストールさまのことは? アストールさまご自身のことは、ちゃんと大事にしてくださっていますか?」
突然投げかけられたフラウの問いに、アストールは眉根を寄せる。
「僕……?」
「はい」
フラウが真剣な眼差しでこくりと頷いた。アストールは束の間視線を泳がせ、答える。
「僕は――僕は、いい。必要ない」
「必要なくないです! アストールさまがわたしのことを大事に想ってくださるのと同じくらい、わたしもアストールさまのことを大事に想ってます。わたしもアストールさまのことが世界で一番大事です。アストールさまがわたしにそうしてくださるように、わたしもアストールさまを大事にしたいです。お守りしたいです」
「僕にその価値はない」
フラウはアストールにとって何よりも大切な宝物だ。何にも代えられない、唯一無二の。
だから、守る。己のことなど二の次、いや、五の次、十の次にもならない。
だが、アストールの返答に、フラウがキッと睨み付けてきた。
「わたしの大事なアストールさまのこと、そんなふうに言わないでください!」
フラウがアストールに対して責める声を上げるのは初めてで、甘くおっとりした彼女しか知らない彼は一瞬気圧された。フラウは怯んだアストールと目を合わせ、続ける。
「お解かりになってくださるまで、何度だって言います。わたしはアストールさまのことが大好きで、大切です。わたしはアストールさまを大事にしたいし、わたしの大事なアストールさまを、アストールさまにも大事にして欲しいのです」
そう告げたフラウは、華奢な両腕を精一杯伸ばしてアストールを抱き締めてきた。
「アストールさまはわたしにたくさんの幸せをくださいました。毎日、くださいます。わたしは、アストールさまがわたしを幸せにしてくださったのと同じくらい、アストールさまに幸せを差し上げたいのです。今、エマさんを治しても、昔アストールさまがエマさんに怪我をさせてしまったということがなかったことにはなりません。でも、エマさんが元気になれば、ほんの少しだけでも、アストールさまの心の中の重石を軽くできませんか? もしもそうできるなら、わたしは何だってしたいのです。どんな小さなことでもいいから、してみたいのです」
アストールは束の間ためらい、フラウの背に手を回す。
初めはそっと触れるだけ。
次いで、胸の奥深くに引き入れる。
「僕は、お前が傍にいてくれればそれでいい」
全身で覆うようにフラウを抱き締め、アストールは唸るように囁いた。
と、みぞおちのあたりからくぐもった声が返される。
「ウソです」
「嘘?」
思わず腕を緩めて眉根を寄せたアストールに、頭を反らせて彼を見上げたフラウが頷く。
「はい。アストールさまの心の中には、いつだってエマさんのことが引っかかってます」
「そんなことは――」
確信に満ちたフラウの眼差しを前にして「ない」と続けられずに、アストールは唇を引き結んだ。
「エマさんのこと、本当は治して差し上げたいのでしょう?」
「……」
「わたしは、治したいです。お会いしたことがなくても、アストールさまの大事なひとなら、わたしにとっても大事なひとですから。アストールさまの為だけでなく、エマさんの為にも、できるならやりたいです」
フラウは蕾が綻ぶように微笑み、また、アストールの胸に頬を押し付け彼をギュゥと抱き締める。
「お願いです。わたしと一緒にエマさんのところへ行ってください」
ね? とアストールの腕の中で顔だけ上げたフラウに、彼は奥歯を食いしばる。初めてねだることが、コレなのか。
フラウはアストールにしがみついたまま、青灰色の目を春の早朝の空のように輝かせてジッと見つめてくる。
一心に乞うてくる眼差しを拒むのは、至難の業だった。
「――――…………ッ――わかった」
唸った末に低く答えたアストールに、フラウがパッと満面の笑みになる。
もしかしたら、今まで目にしてきた中で一番晴れやかな笑顔なのではなかろうかと、アストールは複雑な心境になった。
「まったく、お前は……」
呟いたアストールに、フラウは大きく瞬きを一つして、コトンと首を傾げた。その様があまりに愛らしく、アストールは思わず笑みを漏らしてしまう。彼が何故笑ったのか判らなかっただろうに、フラウはその笑みにまた嬉しそうに目を輝かせた。
(ああ、もう、完全に降参だ)
どうしようもなく胸が苦しくなって、アストールは声に出さずにそう呻き、こらえきれない衝動でフラウを抱き締める。
「あの、アストールさま……?」
懐の中でもごもごと彼の名を呼ぶフラウの声が、くすぐったい。
この温もりを守るためなら、何だってしよう。
たとえ世界中がフラウを奪いに来たとしても、全てこの手で退ければいいだけだ。
(――それこそ、本物の魔王になってでも)
アストールはフラウを抱き上げ、同じ高さで彼女と眼を合わせる。
「お前は絶対に手放さないからな」
その宣言に、フラウは目をしばたたかせた。そして頷く。
「もちろんです。わたしはずっとアストールさまのお傍にいます」
至極当たり前のことのように言うフラウにアストールはまた笑い、再び彼女を引き寄せて、柔らかな白銀の髪に頬を埋めて囁いた。
「これからも、この先も、ずっとお前は僕だけのものだ」
と。
それにフラウが何と返そうが、どうでも良かった。彼女がどう答えようとも、アストールの中の決意はもう変わることがないのだから。
腕の中のこの温もりを守ること。
ただそれだけが、アストールの為すべきことだった。
名を呼ばれ、彼は再びフラウを見る。
「アストールさま、一緒に都へ行きましょう? 行って、エマさんに会いましょう?」
そう言って、フラウは両手を伸ばしてアストールの手を取った。
「本当は、アストールさまもエマさんにごめんなさいっておっしゃりたかったのではないですか?」
下から覗き込んでくる透き通った眼差しから、アストールは目を逸らした。そうして、吐き捨てるように答える。
「――謝罪の言葉になど、意味がない」
言葉になど、意味はない。
謝って、それでアストールが犯した罪が消えるわけではないのだ。
(得られるのは、ただの自己満足だけだ)
いや、それすら怪しい。たとえエマから赦されようとも、アストール自身に己を赦す気はないのだから。
「もうこの話は終わりだ。塔に戻るぞ」
フラウを見ることもせず一方的に告げて、彼女の手の中からアストールは手を引き抜こうとした。が、彼女はそうさせるまいとグッと握り締めてくる。
「いやです。まだ終わりじゃないです」
「フラウ、いい加減に――」
しろ、と、言うことができなかった。言い終える前に、フラウが声を上げたから。
「みんな、アストールさまを赦してるのに――最初から責めてなんていないのに、どうしてアストールさまはアストールさまを赦してくださらないんですか」
大きな青灰色の瞳が微かに潤んでいるように見えて、アストールの喉がグッと詰まる。だが、フラウの言い分を受け入れるわけにはいかなかった。
「そうするべきではないからだ。誰が赦そうが赦すまいが、僕は確かにエマを傷付けた。……謝罪の言葉などでなかったことにはできない――すべきではない」
そう断じたアストールに、フラウはもどかしげに唇を噛んだ。
「するべきだとかするべきじゃないとかじゃなくて、わたしがお訊きしてるのはアストールさまが何を望んでいるか、です」
「僕は――……」
言いかけ、口を閉ざしたアストールを、フラウが深みを見通す眼差しで見つめてくる。
「エマさんにお会いになるのが怖いですか?」
「そんなことはない!」
反射的に否定してから、アストールはその勢いが強すぎたことに気づいて奥歯を食いしばる。
「……お前を危険に晒したくないだけだ。さっきも言っただろう。お前の力が他の者に知られたら、国内はおろか国外からも狙われるようになる。秘密を守るにはその力を使わないこと、この塔にいることしかない」
そう答え、アストールは自由な手でフラウの頬を包み込む。
「僕はお前が大事なんだ」
心の底からの嘘偽りのない言葉に、しかし、フラウは顔を曇らせる。
「それは、知ってます。アストールさまは、ずっと、わたしを守ってくださっています。一番にわたしのことを想ってくださっています」
アストールを真っ直ぐに見上げてそう言ったフラウは、でも、と、声を上げる。
「でも、じゃあ、アストールさまのことは? アストールさまご自身のことは、ちゃんと大事にしてくださっていますか?」
突然投げかけられたフラウの問いに、アストールは眉根を寄せる。
「僕……?」
「はい」
フラウが真剣な眼差しでこくりと頷いた。アストールは束の間視線を泳がせ、答える。
「僕は――僕は、いい。必要ない」
「必要なくないです! アストールさまがわたしのことを大事に想ってくださるのと同じくらい、わたしもアストールさまのことを大事に想ってます。わたしもアストールさまのことが世界で一番大事です。アストールさまがわたしにそうしてくださるように、わたしもアストールさまを大事にしたいです。お守りしたいです」
「僕にその価値はない」
フラウはアストールにとって何よりも大切な宝物だ。何にも代えられない、唯一無二の。
だから、守る。己のことなど二の次、いや、五の次、十の次にもならない。
だが、アストールの返答に、フラウがキッと睨み付けてきた。
「わたしの大事なアストールさまのこと、そんなふうに言わないでください!」
フラウがアストールに対して責める声を上げるのは初めてで、甘くおっとりした彼女しか知らない彼は一瞬気圧された。フラウは怯んだアストールと目を合わせ、続ける。
「お解かりになってくださるまで、何度だって言います。わたしはアストールさまのことが大好きで、大切です。わたしはアストールさまを大事にしたいし、わたしの大事なアストールさまを、アストールさまにも大事にして欲しいのです」
そう告げたフラウは、華奢な両腕を精一杯伸ばしてアストールを抱き締めてきた。
「アストールさまはわたしにたくさんの幸せをくださいました。毎日、くださいます。わたしは、アストールさまがわたしを幸せにしてくださったのと同じくらい、アストールさまに幸せを差し上げたいのです。今、エマさんを治しても、昔アストールさまがエマさんに怪我をさせてしまったということがなかったことにはなりません。でも、エマさんが元気になれば、ほんの少しだけでも、アストールさまの心の中の重石を軽くできませんか? もしもそうできるなら、わたしは何だってしたいのです。どんな小さなことでもいいから、してみたいのです」
アストールは束の間ためらい、フラウの背に手を回す。
初めはそっと触れるだけ。
次いで、胸の奥深くに引き入れる。
「僕は、お前が傍にいてくれればそれでいい」
全身で覆うようにフラウを抱き締め、アストールは唸るように囁いた。
と、みぞおちのあたりからくぐもった声が返される。
「ウソです」
「嘘?」
思わず腕を緩めて眉根を寄せたアストールに、頭を反らせて彼を見上げたフラウが頷く。
「はい。アストールさまの心の中には、いつだってエマさんのことが引っかかってます」
「そんなことは――」
確信に満ちたフラウの眼差しを前にして「ない」と続けられずに、アストールは唇を引き結んだ。
「エマさんのこと、本当は治して差し上げたいのでしょう?」
「……」
「わたしは、治したいです。お会いしたことがなくても、アストールさまの大事なひとなら、わたしにとっても大事なひとですから。アストールさまの為だけでなく、エマさんの為にも、できるならやりたいです」
フラウは蕾が綻ぶように微笑み、また、アストールの胸に頬を押し付け彼をギュゥと抱き締める。
「お願いです。わたしと一緒にエマさんのところへ行ってください」
ね? とアストールの腕の中で顔だけ上げたフラウに、彼は奥歯を食いしばる。初めてねだることが、コレなのか。
フラウはアストールにしがみついたまま、青灰色の目を春の早朝の空のように輝かせてジッと見つめてくる。
一心に乞うてくる眼差しを拒むのは、至難の業だった。
「――――…………ッ――わかった」
唸った末に低く答えたアストールに、フラウがパッと満面の笑みになる。
もしかしたら、今まで目にしてきた中で一番晴れやかな笑顔なのではなかろうかと、アストールは複雑な心境になった。
「まったく、お前は……」
呟いたアストールに、フラウは大きく瞬きを一つして、コトンと首を傾げた。その様があまりに愛らしく、アストールは思わず笑みを漏らしてしまう。彼が何故笑ったのか判らなかっただろうに、フラウはその笑みにまた嬉しそうに目を輝かせた。
(ああ、もう、完全に降参だ)
どうしようもなく胸が苦しくなって、アストールは声に出さずにそう呻き、こらえきれない衝動でフラウを抱き締める。
「あの、アストールさま……?」
懐の中でもごもごと彼の名を呼ぶフラウの声が、くすぐったい。
この温もりを守るためなら、何だってしよう。
たとえ世界中がフラウを奪いに来たとしても、全てこの手で退ければいいだけだ。
(――それこそ、本物の魔王になってでも)
アストールはフラウを抱き上げ、同じ高さで彼女と眼を合わせる。
「お前は絶対に手放さないからな」
その宣言に、フラウは目をしばたたかせた。そして頷く。
「もちろんです。わたしはずっとアストールさまのお傍にいます」
至極当たり前のことのように言うフラウにアストールはまた笑い、再び彼女を引き寄せて、柔らかな白銀の髪に頬を埋めて囁いた。
「これからも、この先も、ずっとお前は僕だけのものだ」
と。
それにフラウが何と返そうが、どうでも良かった。彼女がどう答えようとも、アストールの中の決意はもう変わることがないのだから。
腕の中のこの温もりを守ること。
ただそれだけが、アストールの為すべきことだった。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる