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王都からの来訪者
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ゼスの弟であり優れた宮廷魔術師でもあるというカイが塔に足を踏み入れたのは、フラウが彼の来訪の予告を聞かされた三日後のことだった。
昼を少し回った頃に報せの魔術が反応し、ややして、華美ではないがしっかりした作りをしていることが一目で見て取れる馬車が姿を現した。
「お、あれだ。あれを使ったってことは、自分の弟ではなく宮廷魔術師として来たってことだな」
近づいてくる馬車を目の上に手をかざして眺めつつ、ゼスが呟いた。
「そうなんですか?」
見上げたフラウにゼスが頷く。
「ああ、あれは宮廷魔術師の専用馬車だからな。ほら、正面に紋章があるだろう? あれは宮廷魔術師の印で、彼らが公務で動くときはあの馬車を使うんだ。乗っている魔術師の魔力で馬の負担を軽くするような魔術が作動するから、普通の馬車よりもずっと速く移動できるんだよ」
そう話しているうちに馬車が目の前まで来て停まり、一人の青年が降り立った。と、ゼスが少し頭を下げてフラウに告げる。
「ほら、あいつがカイだ」
その青年が御者に一言二言声をかけると、馬車はゆっくりと回頭して去っていく。それを見送ることなく、彼はフラウたちの元へとやってきた。
(ゼスさんとは、あんまり似てないな)
近づいてくるカイを見たときフラウがまず抱いたのは、そんな感想だった。その心の中の声を聞き取ったかのように、ゼスが言う。
「似てないだろ? 自分は父親似で、あいつは母親似なんだよ。普通、男は子どもの頃は母親似でも年食うと段々父親に似てくるもんだろうけど――あいつ、益々母さんそっくりになってきてんな」
最後にぼそりと呟いたゼスの声に、フラウは唇を噛んだ。
「ゼスさんたちの、お母さん、の……」
アストールの過去についてフラウが知っていることは少ないけれど、ゼスの母親という人は、彼の中に刻まれた傷に深く関わっているはずだ。
(この人をアストールさまに会わせたくないな)
そんな考えがチラリとフラウの頭の中をよぎったけれど、その間にも馬車は見る見る遠ざかり、カイはこちらにやってきてしまう。
フラウたちの前に立ったゼスの弟だというその人は、濃い焦げ茶の髪と瞳をしていて、その色からも強い魔力を持っているのだということがうかがわれる。もちろん、漆黒を身にまとうアストールには遠く及ばないだろうけれども、これほど濃い色を持つ人はルイ村では見たことがない。
ゼスとカイが向かい合って立つと、一層兄弟の似ていなさ加減が際立った。大柄で精悍な容貌のゼスに対してカイは中性的な面立ちをしているし、体格も中肉中背で、本より重い物は持ちません、という雰囲気が漂っている。
アストールは一見細身でも力は結構あって、フラウのことをヒョイと持ち上げてしまう。ゼスの前に立っているカイには、そんなこと、とてもできそうになかった。
『ゼスの弟』という言葉から想像していた姿とはかけ離れているカイに少々戸惑うフラウをよそに、ゼスがカイに声を投げる。
「長旅お疲れさん」
「兄さんこそお変わりないようで」
その遣り取りは、十年ぶりに会う兄弟の間で交わされるものには聞こえない。
(アストールさまとゼスさんの方が、兄弟みたい)
二人を見ながらそんなことを思っていたフラウの頭に、ポンと大きな手がのった。
「この子がフラウだ。フラウ、こいつが自分の弟のカイだよ」
「はじめまして、カイさん。フラウです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げたフラウに、カイは小さく頷いた。
「よろしく」
フラウに対していかにも関心がなさそうで、その一言で終わってしまう。アストールはカイがフラウに近づくことをとても警戒していたけれど、そんな心配は欠片も必要なさそうだ。
「……まあ、取り敢えず、アストール様に会っとくか?」
「取り敢えず、ではなく、私がここに来た目的はアストール様にお会いすることですよ。兄さんにではありません」
ゼスに向けたカイの台詞は淡白そのもので、眼差しは氷室並みに冷ややかだ。
やっぱり、長く別れていた肉親の再会場面、というふうには見えない。
目を丸くしているフラウを見下ろし、ゼスは肩をすくめた。
「ほらな、こういう奴なんだよ。十年かけて可愛げのなさに磨きをかけてやがる」
そう言ってから、カイに顎をしゃくって歩き出す。
アストールが待つのは三階の書斎で、ゼス、カイ、フラウの順で階段を上った。その間も、兄弟が十年という月日を埋めようとする気配は微塵もない。
(家族って、こういうもの……?)
ゼスとカイの背中と見つめながら、フラウは眉をひそめる。
フラウも別れた自分の両親と出会ったところで同じような態度になると思うけれど、彼女の場合は二人の顔も覚えていないのだ。それと同列に扱うことはできないだろう。
三人は黙々と階段を上り廊下を歩き、書斎の扉に辿り着く。
「アストール様、カイが着きましたよ」
「……入れ」
ゼスの声掛けから少しの間を置き、返事があった。
扉を開けて中に足を踏み入れたゼスに、カイが続く。
「お久しぶりです、アストール様」
「ああ」
頭を下げたカイにアストールが返したのは、その一言だけだ。招かれざる客であることを隠そうともしないアストールに対しても、カイは眉一つ動かさない。アストールがこの訪問を望ましく思っていないということが伝わっていないのか、それとも、伝わっていてもどうとも思っていないのか。
落ち着かない気分でゼスとカイの後ろにフラウが控えていると、アストールの眼が向けられた。
「フラウ」
呼ばれて、彼女は彼の元へ向かう。
アストールの傍に行くと、彼はフラウの手を掴んで自分の後ろに引き込んだ。アストールの近くに来られたことで、知らず、フラウの口からホッと吐息がこぼれた。と、彼が身を捻って振り返り、そっとフラウの頬に触れてくる。思わず微笑み返すと、アストールの顔も微かに和らいだ。
「それで、アストール様。城にはいつお戻りになられますか」
前置きなく放たれたカイの言葉に、フラウは目をしばたたかせる。
(……お城……?)
城に戻るとは、どういうことだろう。
フラウの中にそんな疑問が湧いたけれども、それを口に出して確かめることができないまま、ゼスが声を上げる。
「おいおい、カイよ。もうちょっと、こう、何とかならんのかよ、お前は」
相変わらずだなぁと苦笑混じりで言ったゼスに、カイは眉一つ動かさずに返した。
「何とか、とは? 私がここに参ったのは、アストール様にそろそろ本来あるべき場所へ戻っていただくよう進言するためです。兄さんも手紙に書かれているではないですか。アストール様は、もうお力を制御できるようになられたのでしょう? ならば、もう王都へ――城へお戻りになるべきです」
再びカイが口にした言葉に、フラウはドキリとした。
聞き間違いではない。
城へ、戻る。
確かに、カイはそう言った。
それはつまり、アストールがここから去るということだ。もしもそんなことになったなら、フラウはどうしたら良いのだろう。
(もう一緒にいられないの……?)
フラウはギュッと白い前掛けの裾を握り締めた。
ようやく固まったと思った足元が、またグズグズと形を失いつつあるような気がする。
アストールが本来いるべき場所に帰るということは、つまり、家族の元へ帰るということで、それは彼にとって喜ばしいことのはず。力の制御ができなくて不本意にも家族から引き離されてここに来たのであれば、カイが言う通り、制御できるようになったのなら、帰ることができるのだ。
(でも……)
フラウはそれを、喜べない。彼女にとっては、大事な大事な宝物を手放さなければならないということなのだから。
子どもじみたわがままを言う自分が、情けなかった。
アストールの幸せだけを願ってあげられる自分に、なりたかった。
なのに、その強さが持てない。
己の不甲斐なさにうつむいたフラウだったけれども、続いて耳に飛び込んできたカイの台詞に、弾かれたように顔を上げた。
「え……? 今、なんて……?」
たった今聞いたことが理解できなくて、フラウはアストールとゼス、カイの間で眼をふらふらさせる。が、アストールは今まで見たことがないような渋面で唇を引き結んでいるし、ゼスは片手で顔を覆って胸の奥から絞り出すようなため息をこぼしている。
二人からの答えは、得られそうにない。
だからフラウは、呟いた。つい今しがた、カイが放った言葉を。
「アストールさまが、だいいちおういけいしょうしゃ……?」
呟いても、その意味を理解することは、難しかった。
昼を少し回った頃に報せの魔術が反応し、ややして、華美ではないがしっかりした作りをしていることが一目で見て取れる馬車が姿を現した。
「お、あれだ。あれを使ったってことは、自分の弟ではなく宮廷魔術師として来たってことだな」
近づいてくる馬車を目の上に手をかざして眺めつつ、ゼスが呟いた。
「そうなんですか?」
見上げたフラウにゼスが頷く。
「ああ、あれは宮廷魔術師の専用馬車だからな。ほら、正面に紋章があるだろう? あれは宮廷魔術師の印で、彼らが公務で動くときはあの馬車を使うんだ。乗っている魔術師の魔力で馬の負担を軽くするような魔術が作動するから、普通の馬車よりもずっと速く移動できるんだよ」
そう話しているうちに馬車が目の前まで来て停まり、一人の青年が降り立った。と、ゼスが少し頭を下げてフラウに告げる。
「ほら、あいつがカイだ」
その青年が御者に一言二言声をかけると、馬車はゆっくりと回頭して去っていく。それを見送ることなく、彼はフラウたちの元へとやってきた。
(ゼスさんとは、あんまり似てないな)
近づいてくるカイを見たときフラウがまず抱いたのは、そんな感想だった。その心の中の声を聞き取ったかのように、ゼスが言う。
「似てないだろ? 自分は父親似で、あいつは母親似なんだよ。普通、男は子どもの頃は母親似でも年食うと段々父親に似てくるもんだろうけど――あいつ、益々母さんそっくりになってきてんな」
最後にぼそりと呟いたゼスの声に、フラウは唇を噛んだ。
「ゼスさんたちの、お母さん、の……」
アストールの過去についてフラウが知っていることは少ないけれど、ゼスの母親という人は、彼の中に刻まれた傷に深く関わっているはずだ。
(この人をアストールさまに会わせたくないな)
そんな考えがチラリとフラウの頭の中をよぎったけれど、その間にも馬車は見る見る遠ざかり、カイはこちらにやってきてしまう。
フラウたちの前に立ったゼスの弟だというその人は、濃い焦げ茶の髪と瞳をしていて、その色からも強い魔力を持っているのだということがうかがわれる。もちろん、漆黒を身にまとうアストールには遠く及ばないだろうけれども、これほど濃い色を持つ人はルイ村では見たことがない。
ゼスとカイが向かい合って立つと、一層兄弟の似ていなさ加減が際立った。大柄で精悍な容貌のゼスに対してカイは中性的な面立ちをしているし、体格も中肉中背で、本より重い物は持ちません、という雰囲気が漂っている。
アストールは一見細身でも力は結構あって、フラウのことをヒョイと持ち上げてしまう。ゼスの前に立っているカイには、そんなこと、とてもできそうになかった。
『ゼスの弟』という言葉から想像していた姿とはかけ離れているカイに少々戸惑うフラウをよそに、ゼスがカイに声を投げる。
「長旅お疲れさん」
「兄さんこそお変わりないようで」
その遣り取りは、十年ぶりに会う兄弟の間で交わされるものには聞こえない。
(アストールさまとゼスさんの方が、兄弟みたい)
二人を見ながらそんなことを思っていたフラウの頭に、ポンと大きな手がのった。
「この子がフラウだ。フラウ、こいつが自分の弟のカイだよ」
「はじめまして、カイさん。フラウです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げたフラウに、カイは小さく頷いた。
「よろしく」
フラウに対していかにも関心がなさそうで、その一言で終わってしまう。アストールはカイがフラウに近づくことをとても警戒していたけれど、そんな心配は欠片も必要なさそうだ。
「……まあ、取り敢えず、アストール様に会っとくか?」
「取り敢えず、ではなく、私がここに来た目的はアストール様にお会いすることですよ。兄さんにではありません」
ゼスに向けたカイの台詞は淡白そのもので、眼差しは氷室並みに冷ややかだ。
やっぱり、長く別れていた肉親の再会場面、というふうには見えない。
目を丸くしているフラウを見下ろし、ゼスは肩をすくめた。
「ほらな、こういう奴なんだよ。十年かけて可愛げのなさに磨きをかけてやがる」
そう言ってから、カイに顎をしゃくって歩き出す。
アストールが待つのは三階の書斎で、ゼス、カイ、フラウの順で階段を上った。その間も、兄弟が十年という月日を埋めようとする気配は微塵もない。
(家族って、こういうもの……?)
ゼスとカイの背中と見つめながら、フラウは眉をひそめる。
フラウも別れた自分の両親と出会ったところで同じような態度になると思うけれど、彼女の場合は二人の顔も覚えていないのだ。それと同列に扱うことはできないだろう。
三人は黙々と階段を上り廊下を歩き、書斎の扉に辿り着く。
「アストール様、カイが着きましたよ」
「……入れ」
ゼスの声掛けから少しの間を置き、返事があった。
扉を開けて中に足を踏み入れたゼスに、カイが続く。
「お久しぶりです、アストール様」
「ああ」
頭を下げたカイにアストールが返したのは、その一言だけだ。招かれざる客であることを隠そうともしないアストールに対しても、カイは眉一つ動かさない。アストールがこの訪問を望ましく思っていないということが伝わっていないのか、それとも、伝わっていてもどうとも思っていないのか。
落ち着かない気分でゼスとカイの後ろにフラウが控えていると、アストールの眼が向けられた。
「フラウ」
呼ばれて、彼女は彼の元へ向かう。
アストールの傍に行くと、彼はフラウの手を掴んで自分の後ろに引き込んだ。アストールの近くに来られたことで、知らず、フラウの口からホッと吐息がこぼれた。と、彼が身を捻って振り返り、そっとフラウの頬に触れてくる。思わず微笑み返すと、アストールの顔も微かに和らいだ。
「それで、アストール様。城にはいつお戻りになられますか」
前置きなく放たれたカイの言葉に、フラウは目をしばたたかせる。
(……お城……?)
城に戻るとは、どういうことだろう。
フラウの中にそんな疑問が湧いたけれども、それを口に出して確かめることができないまま、ゼスが声を上げる。
「おいおい、カイよ。もうちょっと、こう、何とかならんのかよ、お前は」
相変わらずだなぁと苦笑混じりで言ったゼスに、カイは眉一つ動かさずに返した。
「何とか、とは? 私がここに参ったのは、アストール様にそろそろ本来あるべき場所へ戻っていただくよう進言するためです。兄さんも手紙に書かれているではないですか。アストール様は、もうお力を制御できるようになられたのでしょう? ならば、もう王都へ――城へお戻りになるべきです」
再びカイが口にした言葉に、フラウはドキリとした。
聞き間違いではない。
城へ、戻る。
確かに、カイはそう言った。
それはつまり、アストールがここから去るということだ。もしもそんなことになったなら、フラウはどうしたら良いのだろう。
(もう一緒にいられないの……?)
フラウはギュッと白い前掛けの裾を握り締めた。
ようやく固まったと思った足元が、またグズグズと形を失いつつあるような気がする。
アストールが本来いるべき場所に帰るということは、つまり、家族の元へ帰るということで、それは彼にとって喜ばしいことのはず。力の制御ができなくて不本意にも家族から引き離されてここに来たのであれば、カイが言う通り、制御できるようになったのなら、帰ることができるのだ。
(でも……)
フラウはそれを、喜べない。彼女にとっては、大事な大事な宝物を手放さなければならないということなのだから。
子どもじみたわがままを言う自分が、情けなかった。
アストールの幸せだけを願ってあげられる自分に、なりたかった。
なのに、その強さが持てない。
己の不甲斐なさにうつむいたフラウだったけれども、続いて耳に飛び込んできたカイの台詞に、弾かれたように顔を上げた。
「え……? 今、なんて……?」
たった今聞いたことが理解できなくて、フラウはアストールとゼス、カイの間で眼をふらふらさせる。が、アストールは今まで見たことがないような渋面で唇を引き結んでいるし、ゼスは片手で顔を覆って胸の奥から絞り出すようなため息をこぼしている。
二人からの答えは、得られそうにない。
だからフラウは、呟いた。つい今しがた、カイが放った言葉を。
「アストールさまが、だいいちおういけいしょうしゃ……?」
呟いても、その意味を理解することは、難しかった。
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