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唯一無二の存在
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抱え込んでいた温もりがもそもそと動いて、アストールは眠りの底から引き上げられる。ぼんやりと目を開けると、高いところに設えられた窓の向こうにある、真っ青に晴れ渡った空が視界に入ってきた。
「朝、か……」
何だろう、やけに爽快だ。
いつもなら、覚醒と共に訪れるのは頭痛だ。それは幼少期からあり、年々増強し、ここ数年はかなりの苦痛をもたらすものとなっていたのだが。
それが、欠片も、ない。
すこぶる良い気分のまま、無意識に、アストールは腕の中にある心地良い何ものかをギュッと抱き締めた。ふわふわと肌をくすぐる感触に、頬を寄せる。
刹那。
「ッ!」
懐から小さな動物の鳴き声のようなものが。
見下ろすと、丸く見開かれた青灰色の大きな瞳がアストールを凝視していた。
びっくりした仔猫のようなその顔に、自ずと笑みが浮かんでしまう。
「おはよう」
彼のその一言で、少女フラウがぱちりと瞬きをした。
「さわってます」
「ん? ああ、そうだな」
答えてから、アストールは眉をひそめる。
「嫌だったか?」
彼女の反応からはそう見えないが、念のため尋ねた彼に、フラウは無言でかぶりを振った。そして、呟く。
「さわったら、ダメだって」
それはアストールに向けたものというよりも、戸惑いを含んだ、独りごとめいたもののように聞こえた。
(そういえば、昨日ここに着いたばかりの時にも言っていたな)
「理由は――わからないんだっけ。……じゃあ、誰からそう言われたんだ?」
「おとなの人たちです」
特定の誰か、ではないのか。
となれば、なおさらフラウに「触れてはいけない」何らかの理由があることになるのだが。
アストールがその『理由』について思案しようとしたその時、部屋の扉が叩かれた。
「フラウ、起きているかい?」
そう声をかけながら姿を現したのはゼスだ。彼はフラウと一緒に寝台の中にいるアストールに気づいて目を丸くする。
「アストール様!? 何やってるんですか?」
「夜中に様子を見に来たら椅子で寝ていたから動かした」
サラッとそれだけ告げたアストールを、ゼスが呆れたような眼差しで見返してきた。
「だからって、なんで一緒に寝てるんですか。ていうか、触ったらいけないんじゃなかったんでしたっけ?」
「そのはずだけどな」
起き上がって答えたアストールに続いて、フラウも寝台の上に座り直す。近寄ってきたゼスは、腰に両手を置いて並ぶ二人を見下ろした。
「その様子からすると、フラウも別に触られて嫌なわけではないんですよね? アストール様もなんともなさそう――というかいつもより機嫌良さそうですし、触っちゃいけないって、いったい何だったんでしょうね?」
言いながら、ゼスがくしゃくしゃともつれたフラウの髪に手を伸ばした。
が。
「!?」
フラウの頭をひと撫でふた撫でした瞬間、ゼスがその場にへたり込む。
「ゼス? どうした?」
「いや、何だか、力が抜けて……」
たったそれだけ答えるだけでも、難儀そうだ。
フラウに目を向ければ、明らかに何も解っていなそうな様子でアストールを見返してきた。
(僕は大丈夫だったのに)
アストールとゼスの違いは何なのか。
考えて、すぐに思い当たる。
(魔力の量、か?)
フラウを抱き締めて一晩寝ることで消え失せた、頭痛。物心つく頃にはずっと付きまとっていたそれが、フラウに触れていたことで消えたのならば。
アストールの魔力は、ふとした拍子に暴発する。つまり、過剰なのだ。
その過剰な魔力が常にアストールを苛んできた頭痛の原因でもあったのだとしたら――
「フラウが、僕の魔力を奪い取ってくれたから、なのか?」
「アストール、様?」
寝台にもたれていたゼスが顔を上げた。
「僕はすこぶる調子が良いんだ。こんなに気分が良いのは、生まれて初めてかもしれない。頭痛もないし身体も軽いんだ。そういう時がなかったから知らなかったけれど、頭痛がないというのはこんなに快適なものなんだな」
「え? ずっとしんどかったんですか?」
眉根を寄せたゼスに、アストールは頷く。
「みたいだ。なんていうか、生まれてからずっと着せられていた鎧を初めて脱げた感じって言ったらいいのか……とにかく、今、すごく楽なんだ」
答えて、アストールは隣にちょこんと座っているフラウの頭を撫でる。
「僕はこの子に触ってもなんともない。というより、一晩中触っていたことがむしろ良かったみたいだ。で、僕とお前の違いと言ったら、魔力量だろう?」
魔力は、通常の生活では必須のものではないとされている。だが、もしかしたら、身体維持に何らかの役割を果たしているのかもしれない。魔力量には個人差があるけれど、多分、個々人で必要な量は違うのだろう。血液のように、平素の量から減ってしまうことがあれば、身体に変調をきたすのではないだろうか。
「僕の身に余る魔力をフラウが取り去ってくれたんじゃないかな。だから、こんなに楽なんだ」
過剰だから不調の原因になっていたものを奪って、アストールにとって丁度良いくらいにしてくれた――それを証明することは難しいが、フラウに触れたときのアストールとゼスとの違いを見ると、一番それが理に適っている気がする。
「他人の魔力を奪う者など、聞いたことがないですよ」
「じゃあ、他に何か考えられるか?」
「それは……」
口ごもったゼスを放って、アストールはフラウを見下ろした。少女は、アストールとゼスのやり取りは理解できていない様子で、でも、自分のことを言われているのだということは判るのだろう。不安そうに青灰色の目を曇らせている。その心許なげな表情に、アストールは息が詰まった。
アストールも、フラウも、どちらも魔力というもののせいで普通に暮らせなくなったのだ。しかもこの少女は、こんなに小さいうちから。
(僕ならこの子に触れられる)
自分は彼女にとってもなくてはならない唯一無二の存在になれる。自分だけが、ずっと独りきりだったこの少女の傍にいてやれるのだ。
そんな考えと共に、アストールの中に、強烈な庇護欲、そして独占欲が湧き上がる。
彼はフラウの小さな顔を両手で挟んで青灰色の目を覗き込んだ。
「お前は今日から僕のものだ。僕にしか触れてはいけないし、僕のそばを離れてはいけない」
言い含めたアストールに、フラウが目を見開く。
「ずっとおそばにいても、いいんですか?」
「いてもいい、じゃなくて、いなくちゃいけないんだよ」
それはフラウの意思や希望など無視した、一方的な命令だ。
にもかかわらず、彼女は一つ目をしばたたかせ、そして、ふわりと笑った。暖かな春の陽射しで綻ぶ花のように。
表情に乏しい少女が初めて見せた満面の笑みに、刹那、アストールのみぞおちがギュッと締め付けられる。鼓動がバクバクと胸壁を打って、なんだか落ち着かない。
(これも、フラウのせいなのか?)
心の臓がおかしくなった、わけではないと思う。
フラウの眼差しを受けているのが耐えられなくなって、アストールは視線をさまよわせた。と、にやにやと変な顔で笑っているゼスが目に入る。
「……なんだ?」
「いえいえ、別にぃ?」
別に、という顔ではないだろうがと腹の中で罵りつつ、アストールはふと昨晩気づいたフラウの手荒れのことを思い出した。
「そうだ、ゼス、軟膏を――」
言いつつフラウの手を取ったアストールだったが、それに目を落として眉をひそめる。
(治ってる?)
ずいぶんひどいあかぎれができていたと思ったが、それがきれいに失せていた。肌も滑らかで柔らかい。
一晩で治癒するようなものだっただろうか。
小さな両手を表に裏にひっくり返して確かめてみたが、さかむけ一つ残っていない。
「アストールさま?」
フラウが不思議そうに見つめてきたが、自分の傷が治っていることではなく、アストールの行動に疑問を抱いているだけのようだ。
(まあ、いいか)
ひどくなったのならともかく、きれいに治ってくれたのだから。
「ゼス、動けそうか?」
思考を切り替えて尋ねると、フラウに触れた直後よりはしゃんとした様子ではあったけれども、彼がかぶりを振った。
「もう少し、無理そうです。朝食はできているんで食べてきてください」
「わかった。行こう、フラウ」
アストールは先に寝台を下り、フラウに手を差し伸べる。束の間、彼女はまるで珍しい動物に向けるような眼差しでそれを見つめてから、そっと手を重ねてきた。
「朝、か……」
何だろう、やけに爽快だ。
いつもなら、覚醒と共に訪れるのは頭痛だ。それは幼少期からあり、年々増強し、ここ数年はかなりの苦痛をもたらすものとなっていたのだが。
それが、欠片も、ない。
すこぶる良い気分のまま、無意識に、アストールは腕の中にある心地良い何ものかをギュッと抱き締めた。ふわふわと肌をくすぐる感触に、頬を寄せる。
刹那。
「ッ!」
懐から小さな動物の鳴き声のようなものが。
見下ろすと、丸く見開かれた青灰色の大きな瞳がアストールを凝視していた。
びっくりした仔猫のようなその顔に、自ずと笑みが浮かんでしまう。
「おはよう」
彼のその一言で、少女フラウがぱちりと瞬きをした。
「さわってます」
「ん? ああ、そうだな」
答えてから、アストールは眉をひそめる。
「嫌だったか?」
彼女の反応からはそう見えないが、念のため尋ねた彼に、フラウは無言でかぶりを振った。そして、呟く。
「さわったら、ダメだって」
それはアストールに向けたものというよりも、戸惑いを含んだ、独りごとめいたもののように聞こえた。
(そういえば、昨日ここに着いたばかりの時にも言っていたな)
「理由は――わからないんだっけ。……じゃあ、誰からそう言われたんだ?」
「おとなの人たちです」
特定の誰か、ではないのか。
となれば、なおさらフラウに「触れてはいけない」何らかの理由があることになるのだが。
アストールがその『理由』について思案しようとしたその時、部屋の扉が叩かれた。
「フラウ、起きているかい?」
そう声をかけながら姿を現したのはゼスだ。彼はフラウと一緒に寝台の中にいるアストールに気づいて目を丸くする。
「アストール様!? 何やってるんですか?」
「夜中に様子を見に来たら椅子で寝ていたから動かした」
サラッとそれだけ告げたアストールを、ゼスが呆れたような眼差しで見返してきた。
「だからって、なんで一緒に寝てるんですか。ていうか、触ったらいけないんじゃなかったんでしたっけ?」
「そのはずだけどな」
起き上がって答えたアストールに続いて、フラウも寝台の上に座り直す。近寄ってきたゼスは、腰に両手を置いて並ぶ二人を見下ろした。
「その様子からすると、フラウも別に触られて嫌なわけではないんですよね? アストール様もなんともなさそう――というかいつもより機嫌良さそうですし、触っちゃいけないって、いったい何だったんでしょうね?」
言いながら、ゼスがくしゃくしゃともつれたフラウの髪に手を伸ばした。
が。
「!?」
フラウの頭をひと撫でふた撫でした瞬間、ゼスがその場にへたり込む。
「ゼス? どうした?」
「いや、何だか、力が抜けて……」
たったそれだけ答えるだけでも、難儀そうだ。
フラウに目を向ければ、明らかに何も解っていなそうな様子でアストールを見返してきた。
(僕は大丈夫だったのに)
アストールとゼスの違いは何なのか。
考えて、すぐに思い当たる。
(魔力の量、か?)
フラウを抱き締めて一晩寝ることで消え失せた、頭痛。物心つく頃にはずっと付きまとっていたそれが、フラウに触れていたことで消えたのならば。
アストールの魔力は、ふとした拍子に暴発する。つまり、過剰なのだ。
その過剰な魔力が常にアストールを苛んできた頭痛の原因でもあったのだとしたら――
「フラウが、僕の魔力を奪い取ってくれたから、なのか?」
「アストール、様?」
寝台にもたれていたゼスが顔を上げた。
「僕はすこぶる調子が良いんだ。こんなに気分が良いのは、生まれて初めてかもしれない。頭痛もないし身体も軽いんだ。そういう時がなかったから知らなかったけれど、頭痛がないというのはこんなに快適なものなんだな」
「え? ずっとしんどかったんですか?」
眉根を寄せたゼスに、アストールは頷く。
「みたいだ。なんていうか、生まれてからずっと着せられていた鎧を初めて脱げた感じって言ったらいいのか……とにかく、今、すごく楽なんだ」
答えて、アストールは隣にちょこんと座っているフラウの頭を撫でる。
「僕はこの子に触ってもなんともない。というより、一晩中触っていたことがむしろ良かったみたいだ。で、僕とお前の違いと言ったら、魔力量だろう?」
魔力は、通常の生活では必須のものではないとされている。だが、もしかしたら、身体維持に何らかの役割を果たしているのかもしれない。魔力量には個人差があるけれど、多分、個々人で必要な量は違うのだろう。血液のように、平素の量から減ってしまうことがあれば、身体に変調をきたすのではないだろうか。
「僕の身に余る魔力をフラウが取り去ってくれたんじゃないかな。だから、こんなに楽なんだ」
過剰だから不調の原因になっていたものを奪って、アストールにとって丁度良いくらいにしてくれた――それを証明することは難しいが、フラウに触れたときのアストールとゼスとの違いを見ると、一番それが理に適っている気がする。
「他人の魔力を奪う者など、聞いたことがないですよ」
「じゃあ、他に何か考えられるか?」
「それは……」
口ごもったゼスを放って、アストールはフラウを見下ろした。少女は、アストールとゼスのやり取りは理解できていない様子で、でも、自分のことを言われているのだということは判るのだろう。不安そうに青灰色の目を曇らせている。その心許なげな表情に、アストールは息が詰まった。
アストールも、フラウも、どちらも魔力というもののせいで普通に暮らせなくなったのだ。しかもこの少女は、こんなに小さいうちから。
(僕ならこの子に触れられる)
自分は彼女にとってもなくてはならない唯一無二の存在になれる。自分だけが、ずっと独りきりだったこの少女の傍にいてやれるのだ。
そんな考えと共に、アストールの中に、強烈な庇護欲、そして独占欲が湧き上がる。
彼はフラウの小さな顔を両手で挟んで青灰色の目を覗き込んだ。
「お前は今日から僕のものだ。僕にしか触れてはいけないし、僕のそばを離れてはいけない」
言い含めたアストールに、フラウが目を見開く。
「ずっとおそばにいても、いいんですか?」
「いてもいい、じゃなくて、いなくちゃいけないんだよ」
それはフラウの意思や希望など無視した、一方的な命令だ。
にもかかわらず、彼女は一つ目をしばたたかせ、そして、ふわりと笑った。暖かな春の陽射しで綻ぶ花のように。
表情に乏しい少女が初めて見せた満面の笑みに、刹那、アストールのみぞおちがギュッと締め付けられる。鼓動がバクバクと胸壁を打って、なんだか落ち着かない。
(これも、フラウのせいなのか?)
心の臓がおかしくなった、わけではないと思う。
フラウの眼差しを受けているのが耐えられなくなって、アストールは視線をさまよわせた。と、にやにやと変な顔で笑っているゼスが目に入る。
「……なんだ?」
「いえいえ、別にぃ?」
別に、という顔ではないだろうがと腹の中で罵りつつ、アストールはふと昨晩気づいたフラウの手荒れのことを思い出した。
「そうだ、ゼス、軟膏を――」
言いつつフラウの手を取ったアストールだったが、それに目を落として眉をひそめる。
(治ってる?)
ずいぶんひどいあかぎれができていたと思ったが、それがきれいに失せていた。肌も滑らかで柔らかい。
一晩で治癒するようなものだっただろうか。
小さな両手を表に裏にひっくり返して確かめてみたが、さかむけ一つ残っていない。
「アストールさま?」
フラウが不思議そうに見つめてきたが、自分の傷が治っていることではなく、アストールの行動に疑問を抱いているだけのようだ。
(まあ、いいか)
ひどくなったのならともかく、きれいに治ってくれたのだから。
「ゼス、動けそうか?」
思考を切り替えて尋ねると、フラウに触れた直後よりはしゃんとした様子ではあったけれども、彼がかぶりを振った。
「もう少し、無理そうです。朝食はできているんで食べてきてください」
「わかった。行こう、フラウ」
アストールは先に寝台を下り、フラウに手を差し伸べる。束の間、彼女はまるで珍しい動物に向けるような眼差しでそれを見つめてから、そっと手を重ねてきた。
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