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はじめてのお誘い②
しおりを挟む ストレイフ家の食事の席は、賑やかとは程遠いものの、ヴィヴィエ家でそうであったように会話の一つもないというわけではない。
いつも、クリスティーナが半分も食べ終わらないうちにマクシミリアンは自分の分を平らげてしまうけれど、彼はクリスティーナが最後にお茶を飲み干すまで席を立たずに待っていてくれる。そうして、時々、思い出したようにポツリポツリと「体調はどうか」とか「何か足りないものはないか」とか、尋ねてくるのだ。
マクシミリアンに誘いをかけるぞとクリスティーナが心を決めてからの数日間も、そうだった。訥々とした彼の質問に答えながら、それをきっかけにクリスティーナは自分の話を切り出そう、切り出そうと思うのだけれども、なかなか成し遂げられずにいる。
失敗続きで日々を無駄にし、今日こそマクシミリアンが話しかけてきたその時は――と、椅子に座った瞬間から身構えているのに、何故か今日の彼はまだ一言も口をきいていない。
このままでは、結局また何も言えずに終わってしまう。
トーストを食べ終わり、オムレツも最後の一口が消えてしまうと、それからは一秒ごとにじわりじわりとクリスティーナの中にも焦りが積もっていく。
(このお茶を一口飲んだら――)
そう自分に言い聞かせ、彼女はチラリとマクシミリアンに目を走らせた。と、バチリと彼と視線が合って、とっさにまた目を伏せてしまう。
そうしてまたクリスティーナはちびりちびりとカップの中身を減らしていき、ついに彼女のお茶の残りも少なくなったころ、彼が唐突に言ったのだ。
「今晩は音楽会に行く」
と。
「……え?」
気付かないうちに自分の胸の内にあった言葉を放ってしまったのかと、クリスティーナは思わず目を丸くしてしまった。
そんな彼女の反応に、マクシミリアンは一瞬眉をしかめて続ける。
「私の知り合いが後援をしている演奏家が音楽会を開く。それに誘われているんだ」
「お知り合いの方、ですか?」
「ああ。グランスの人間だが手広い男で、フランジナでも色々やっている」
「グランスの……」
ポツリと繰り返して、クリスティーナはマクシミリアンを見つめる。
グランスは二年ほど前までここフランジナ国としばしば小競り合いを繰り返していた国で、いわゆる『敵国』になる。二年前にマルロゥ砦をグランスに制圧されて、停戦の条件の一つとして、王女のマリアンナがほとんど人質のようにグランスに渡った。
それは事実上の敗戦だったけれども、フランジナ国内はむしろそれ以降の方が安定しているようで、コデルロスなどは公然と「負けて良かった」と口にする。実際、父が屋敷に招く取引相手も、数年前と比べて表情が明るくおおらかな雰囲気になっていた。事業の収益も、ここ数年でずいぶん上がってきているらしい。
とはいえ、滅多に出ることのないクリスティーナには他の国のことなどまったく理解の及ばない話で、「グランスの人間」と言われてもピンとこない。
呟いたきり口をつぐんだクリスティーナに、マクシミリアンが眉根を寄せた。
「嫌なのか?」
問われて、物思いにふけっていた彼女は我に返る。
「え?」
「行きたくないのならば――」
「あ、いえ、行きたくないなんて、そんなことは!」
思わずマクシミリアンの台詞を遮ってしまったクリスティーナは、すぐに自分の行為に気付いていっそう慌てる。
「も、申し訳ありません。無作法なことを……」
主人に口答えをするなんて。
ましてや、彼が話しているのを邪魔するなんて、もっての外だ。
クリスティーナはカップをソーサーに戻して、緊張で震える両手を膝の上で硬く握り合わせた。
うつむきカップの中に半分ほど残っている紅茶をジッと見つめる彼女に返ってきた、言葉。
「何故謝る。行きたくないのならばそう言えばいい」
穏やかな声にそろそろと目を上げてみると、訝しそうな顔のマクシミリアンは、本当にそう思っているように見えた。どうやら彼が気を留めていることは『クリスティーナが音楽会を嫌がっていること』であって、『クリスティーナが彼の話を遮って口を挟んだこと』ではないようだ。彼女の不調法になど、気付いてすらいないように見える。
「あ、の……?」
口ごもるクリスティーナに、マクシミリアンがまた問いかけてくる。
「行きたくないのか?」
クリスティーナからしてみれば、「音楽会に行く」ということはそこに拒否するという選択肢などない、単なる決定事項の伝達なのだと思っていた。
「いえ、行きます」
戸惑いながらもそう答えれば、マクシミリアンの眉間のしわがまたグッと深くなる。
「貴女は、行きたいのだな?」
行くと答えたのに念を押されて、クリスティーナは戸惑いを越えて困惑した。
(どうお返事したら、良いの――?)
彼女は渋い顔をしているマクシミリアンの目を見つめたけれど、そこに答えは見つからない。
「はい、行きたい、です……」
おずおずとそう言うと、マクシミリアンは何かを探るようにしばらく彼女を見つめた後、聞こえるかどうかというほどの小さなため息をついた。
どこか諦めを含んだようなそれに、自分の返事は彼の気に入るものではなかったのだと察してクリスティーナは肩を縮める。
しばしの静寂。
そして。
「ティナ」
居たたまれなくなってうつむいた彼女の名前が、静かに呼ばれた。それが愛称だったことに、クリスティーナの緊張が和らぐ。
恐る恐るマクシミリアンに目を向けると、そこに苛立ちや不快そうな色は欠片もなかった。
「ティナ」
安堵で呆けているクリスティーナの注意を引こうとするように、もう一度彼が彼女の名前を口にした。その声にあるのは優しい響きだけで、クリスティーナは糸で引かれるように顔を上げる。
マクシミリアンは彼女の視線を捉えたまま立ち上がった。そしてぐるりとテーブルを回ってクリスティーナのところまでやってくると、束の間の逡巡を見せてから、そこに膝を突く。
首が痛くなるほどに見上げていた視線が下向きになって、クリスティーナは何となくホッとした。
マクシミリアンは少し迷うような素振りの後、クリスティーナの目を覗き込むようにしながら、言う。
「私は口が悪いかもしれないが、貴女が何をしようと何を言おうと、貴女を疎んじることはけっしてない」
マクシミリアンの大きな手が伸びてきて、膝の上に置いていたクリスティーナの手を包み込んだ。
唐突な触れ合いに、彼女の胸がドキリと高鳴った。反射的に引きそうになったその手にかかる彼の力が一瞬強まり、またすぐ緩む。
マクシミリアンの親指が、そっとクリスティーナの手の甲をなぞった。その動きに、彼女の身体の奥に奇妙な火が灯る。
「だから、私の顔色を窺わなくていい。貴女は貴女が言いたいことを言い、したいことをするんだ」
手に意識の全てを集中させていた彼女に、マクシミリアンがそう続けた。
じんわりと滲み込む低い声が、彼の手の温もりと一緒になってクリスティーナの中を温める。
「マクシミリアンさま……」
意識せず彼の名前を呼んだクリスティーナに、マクシミリアンの唇がふと緩んだ。
あっという間にまたいつものように固く引き結ばれてしまったから確かにそうだとは言えなかったけれど、それは、もしかしたら微笑みに近いものだったのかもしれない。
まじまじと見つめてしまったクリスティーナから、彼はふいに目を逸らした。
「会は七時からだ。六時にはここを出られるようにしておいてくれ」
放り出すような素っ気ない口調でそう告げて、マクシミリアンは彼女の手を放して立ち上がる。
(あ……)
放された瞬間、寂しい、と思ってしまった。
彼の手が離れて、寂しい、と。
「あの」
何故か無性に彼を引き留めたくなって、気付けば、クリスティーナは次に何を言うかを考えずに声を出してしまっていた。
その呼びかけに、もう彼女に背を向けて戸口に向かいかけていたマクシミリアンが立ち止まる。
「何か?」
振り返った彼に、クリスティーナは頭を引き絞って尋ねることを考え出した。
「あ、の、今晩は、どのような服装にすれば良いですか?」
マクシミリアンは、怪訝そうな顔をしている。
「好きな服にすればいい」
返事はそれだけだ。
「はい……」
いかにも彼女の装いなどには興味がないと言わんばかりの答えにうなだれたクリスティーナに、口調を和らげたマクシミリアンが繰り返す。
「貴女の好きにしていいんだ。ドレスでも、乗馬服でも――寝間着でも、貴女がそうしたいというのなら、どれにしても構わない」
(寝間着?)
乗馬服もたいがいだけれども、寝間着とはどういうことか。
ポカンとクリスティーナが目を見開いていると、一瞬マクシミリアンの目がキラリと光った。そしてくるりと彼女の元に戻ってくると、覆いかぶさるように腰を屈めてくる。
薄っすらと開いていたクリスティーナの唇に、そっと彼の唇が重ねられる。
それは触れただけで離れていって、気付いた時にはもう彼は扉の前に立っていた。
「では、また昼食で」
呆気に取られているクリスティーナにそう残して、今度こそ彼は食堂から姿を消す。
マクシミリアンが口にしたのが冗談というものだったのだということに思い至ったのは、食器を下げにアルマンが姿を見せた頃だった。
いつも、クリスティーナが半分も食べ終わらないうちにマクシミリアンは自分の分を平らげてしまうけれど、彼はクリスティーナが最後にお茶を飲み干すまで席を立たずに待っていてくれる。そうして、時々、思い出したようにポツリポツリと「体調はどうか」とか「何か足りないものはないか」とか、尋ねてくるのだ。
マクシミリアンに誘いをかけるぞとクリスティーナが心を決めてからの数日間も、そうだった。訥々とした彼の質問に答えながら、それをきっかけにクリスティーナは自分の話を切り出そう、切り出そうと思うのだけれども、なかなか成し遂げられずにいる。
失敗続きで日々を無駄にし、今日こそマクシミリアンが話しかけてきたその時は――と、椅子に座った瞬間から身構えているのに、何故か今日の彼はまだ一言も口をきいていない。
このままでは、結局また何も言えずに終わってしまう。
トーストを食べ終わり、オムレツも最後の一口が消えてしまうと、それからは一秒ごとにじわりじわりとクリスティーナの中にも焦りが積もっていく。
(このお茶を一口飲んだら――)
そう自分に言い聞かせ、彼女はチラリとマクシミリアンに目を走らせた。と、バチリと彼と視線が合って、とっさにまた目を伏せてしまう。
そうしてまたクリスティーナはちびりちびりとカップの中身を減らしていき、ついに彼女のお茶の残りも少なくなったころ、彼が唐突に言ったのだ。
「今晩は音楽会に行く」
と。
「……え?」
気付かないうちに自分の胸の内にあった言葉を放ってしまったのかと、クリスティーナは思わず目を丸くしてしまった。
そんな彼女の反応に、マクシミリアンは一瞬眉をしかめて続ける。
「私の知り合いが後援をしている演奏家が音楽会を開く。それに誘われているんだ」
「お知り合いの方、ですか?」
「ああ。グランスの人間だが手広い男で、フランジナでも色々やっている」
「グランスの……」
ポツリと繰り返して、クリスティーナはマクシミリアンを見つめる。
グランスは二年ほど前までここフランジナ国としばしば小競り合いを繰り返していた国で、いわゆる『敵国』になる。二年前にマルロゥ砦をグランスに制圧されて、停戦の条件の一つとして、王女のマリアンナがほとんど人質のようにグランスに渡った。
それは事実上の敗戦だったけれども、フランジナ国内はむしろそれ以降の方が安定しているようで、コデルロスなどは公然と「負けて良かった」と口にする。実際、父が屋敷に招く取引相手も、数年前と比べて表情が明るくおおらかな雰囲気になっていた。事業の収益も、ここ数年でずいぶん上がってきているらしい。
とはいえ、滅多に出ることのないクリスティーナには他の国のことなどまったく理解の及ばない話で、「グランスの人間」と言われてもピンとこない。
呟いたきり口をつぐんだクリスティーナに、マクシミリアンが眉根を寄せた。
「嫌なのか?」
問われて、物思いにふけっていた彼女は我に返る。
「え?」
「行きたくないのならば――」
「あ、いえ、行きたくないなんて、そんなことは!」
思わずマクシミリアンの台詞を遮ってしまったクリスティーナは、すぐに自分の行為に気付いていっそう慌てる。
「も、申し訳ありません。無作法なことを……」
主人に口答えをするなんて。
ましてや、彼が話しているのを邪魔するなんて、もっての外だ。
クリスティーナはカップをソーサーに戻して、緊張で震える両手を膝の上で硬く握り合わせた。
うつむきカップの中に半分ほど残っている紅茶をジッと見つめる彼女に返ってきた、言葉。
「何故謝る。行きたくないのならばそう言えばいい」
穏やかな声にそろそろと目を上げてみると、訝しそうな顔のマクシミリアンは、本当にそう思っているように見えた。どうやら彼が気を留めていることは『クリスティーナが音楽会を嫌がっていること』であって、『クリスティーナが彼の話を遮って口を挟んだこと』ではないようだ。彼女の不調法になど、気付いてすらいないように見える。
「あ、の……?」
口ごもるクリスティーナに、マクシミリアンがまた問いかけてくる。
「行きたくないのか?」
クリスティーナからしてみれば、「音楽会に行く」ということはそこに拒否するという選択肢などない、単なる決定事項の伝達なのだと思っていた。
「いえ、行きます」
戸惑いながらもそう答えれば、マクシミリアンの眉間のしわがまたグッと深くなる。
「貴女は、行きたいのだな?」
行くと答えたのに念を押されて、クリスティーナは戸惑いを越えて困惑した。
(どうお返事したら、良いの――?)
彼女は渋い顔をしているマクシミリアンの目を見つめたけれど、そこに答えは見つからない。
「はい、行きたい、です……」
おずおずとそう言うと、マクシミリアンは何かを探るようにしばらく彼女を見つめた後、聞こえるかどうかというほどの小さなため息をついた。
どこか諦めを含んだようなそれに、自分の返事は彼の気に入るものではなかったのだと察してクリスティーナは肩を縮める。
しばしの静寂。
そして。
「ティナ」
居たたまれなくなってうつむいた彼女の名前が、静かに呼ばれた。それが愛称だったことに、クリスティーナの緊張が和らぐ。
恐る恐るマクシミリアンに目を向けると、そこに苛立ちや不快そうな色は欠片もなかった。
「ティナ」
安堵で呆けているクリスティーナの注意を引こうとするように、もう一度彼が彼女の名前を口にした。その声にあるのは優しい響きだけで、クリスティーナは糸で引かれるように顔を上げる。
マクシミリアンは彼女の視線を捉えたまま立ち上がった。そしてぐるりとテーブルを回ってクリスティーナのところまでやってくると、束の間の逡巡を見せてから、そこに膝を突く。
首が痛くなるほどに見上げていた視線が下向きになって、クリスティーナは何となくホッとした。
マクシミリアンは少し迷うような素振りの後、クリスティーナの目を覗き込むようにしながら、言う。
「私は口が悪いかもしれないが、貴女が何をしようと何を言おうと、貴女を疎んじることはけっしてない」
マクシミリアンの大きな手が伸びてきて、膝の上に置いていたクリスティーナの手を包み込んだ。
唐突な触れ合いに、彼女の胸がドキリと高鳴った。反射的に引きそうになったその手にかかる彼の力が一瞬強まり、またすぐ緩む。
マクシミリアンの親指が、そっとクリスティーナの手の甲をなぞった。その動きに、彼女の身体の奥に奇妙な火が灯る。
「だから、私の顔色を窺わなくていい。貴女は貴女が言いたいことを言い、したいことをするんだ」
手に意識の全てを集中させていた彼女に、マクシミリアンがそう続けた。
じんわりと滲み込む低い声が、彼の手の温もりと一緒になってクリスティーナの中を温める。
「マクシミリアンさま……」
意識せず彼の名前を呼んだクリスティーナに、マクシミリアンの唇がふと緩んだ。
あっという間にまたいつものように固く引き結ばれてしまったから確かにそうだとは言えなかったけれど、それは、もしかしたら微笑みに近いものだったのかもしれない。
まじまじと見つめてしまったクリスティーナから、彼はふいに目を逸らした。
「会は七時からだ。六時にはここを出られるようにしておいてくれ」
放り出すような素っ気ない口調でそう告げて、マクシミリアンは彼女の手を放して立ち上がる。
(あ……)
放された瞬間、寂しい、と思ってしまった。
彼の手が離れて、寂しい、と。
「あの」
何故か無性に彼を引き留めたくなって、気付けば、クリスティーナは次に何を言うかを考えずに声を出してしまっていた。
その呼びかけに、もう彼女に背を向けて戸口に向かいかけていたマクシミリアンが立ち止まる。
「何か?」
振り返った彼に、クリスティーナは頭を引き絞って尋ねることを考え出した。
「あ、の、今晩は、どのような服装にすれば良いですか?」
マクシミリアンは、怪訝そうな顔をしている。
「好きな服にすればいい」
返事はそれだけだ。
「はい……」
いかにも彼女の装いなどには興味がないと言わんばかりの答えにうなだれたクリスティーナに、口調を和らげたマクシミリアンが繰り返す。
「貴女の好きにしていいんだ。ドレスでも、乗馬服でも――寝間着でも、貴女がそうしたいというのなら、どれにしても構わない」
(寝間着?)
乗馬服もたいがいだけれども、寝間着とはどういうことか。
ポカンとクリスティーナが目を見開いていると、一瞬マクシミリアンの目がキラリと光った。そしてくるりと彼女の元に戻ってくると、覆いかぶさるように腰を屈めてくる。
薄っすらと開いていたクリスティーナの唇に、そっと彼の唇が重ねられる。
それは触れただけで離れていって、気付いた時にはもう彼は扉の前に立っていた。
「では、また昼食で」
呆気に取られているクリスティーナにそう残して、今度こそ彼は食堂から姿を消す。
マクシミリアンが口にしたのが冗談というものだったのだということに思い至ったのは、食器を下げにアルマンが姿を見せた頃だった。
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