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第一部:らいおんはうさぎによりそう
合宿にて:夜空の下で想う
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夜空は雲一つない快晴だった。新月な上に建物といえばこの合宿所くらいで、全ての照明を消してしまえば辺りは完全に闇に落ちる。
日付が変わる少し前から、司たち天文部員は屋上に敷いたレジャーシートの上に寝転んでいた。シートは薄く、床はコンクリートだから、快適とは程遠い。
(俺は、ともかく……)
花は、どうだろう。
司はチラリと横に目を走らせたが、彼と同じように横たわり向こう側の金古と言葉を交わしている彼女は少しも苦にしていないようだった。
小さく息をつき再び空を見上げた司の目の前には、まさに満天の星空が広がっていた。街中では、どれだけ晴れていても、この半分も見えないだろう。人工の灯りがないというだけでこんなにも星が現れるものなのかと、司は少しばかり感動めいた思いを抱く。正直、こんなふうにまじまじと空を眺めることもなかったから、星の存在すら忘れていたくらいだ。
(星、でけぇな)
星座がどうとかはよくわからない。ただ、司は、漫然とそんなことを思った。記憶に残っている星というものよりも、少なくとも五割増しの大きさには見えるような気がする。
余計な光がないせいか――まさか、標高のせいではないだろう。高いところに来たといっても、たかだか数十、数百メートルなのだ。
と、そんな彼の心中を代弁するかのように隣から声が上がる。
「なんか、空が近いね」
首を巡らせると花もちょうどこちらを向こうとしていたようで、目が合うと同時に彼女は笑った。その笑顔――何よりその距離に、司は思わず息を詰める。
屋上に敷かれたレジャーシートは二枚で、一方を部長と副部長、それに二年生の二人が使っていて、こちらの一枚は司、花、金古と乾で使っている。司の右隣に花、その向こうに金古と乾が続く。どうしてこの並び順なんだとは思うが、三人の中では花が一番彼との接点があるのだから、妥当といえば妥当なのかもしれない。
とは言え。
二メートル四方のシートに四人が並んでいると、隣との隙間は十センチとあかない。少なくとも幅の三分の一を彼が占めているから、尚更だ。その上頭の位置を揃えているから常の身長差およそ四十センチもゼロになり、完全に目の高さが合致してしまう。
それが、何というか、落ち着かない。
肘の辺りに微かに感じる温もりから遠ざけるように、司は右腕を腹にのせた。そんな彼の心中、動きには気付いていない様子で、花が言う。
「星たくさん見えるし、大きく見える。高いところにいるからじゃ、ないよね」
「空気が澄んでいるからじゃないか?」
「あ、そうかも」
そう言って彼女は再び天に眼を戻し、まるでそこにある星々を掴もうとするかのように開いた両手を真っ直ぐに掲げた。いっぱいに広げていても、その手は小さい。花はどこもかしこも小さいのだが、こんなふうにその華奢さを改めて目の前に突き付けられると、司はいつもみぞおちの辺りが何かに握り締められるような感覚に襲われる。
奥歯を噛み締めて今も込み上げてきたそれを呑み下そうとしていた司の横で、花が囁く。
「星を見るのは好きなんだけど、――ちょっと、怖いな」
彼女がポツリと付け足した美しい星空へのその感想に、司は眉をひそめた。
(……怖い?)
彼の視線を感じないのか、花は真っ直ぐに空を見つめたままだ。彼女の横顔にさっきまでの笑顔はなく、『怖い』という感情を口にしたというのに、その色も浮かんではいなかった。
(何が、どう、怖いんだ?)
いぶかしく思いながらも、どう尋ねたら良いのかが判らない。彼が言葉を見つけ出す前に、一転、花が明るい声を上げた。
「あ、ほら、あれ獅子座だよ。真ん中のちょっと西の方。わかる?」
「……さっぱり」
憮然と答えた司に、花が小さく笑う。
「ちょっと南寄りに大きい三角形があるのは、わかる? 左の赤っぽいのがアークトゥルス。その南にあるのがスピカ、名前は有名でしょ? で、西にあるのがデネボラで、それがしし座のお尻になるの。それより西で光ってるのがレグルス、しし座の心臓。あそこに頭で、すごいね、脚も見える。ちゃんとライオンに見えない?」
問いの形に逸早く答えたのは、司ではなく花の向こう側にいる金古だ。
「相変わらず、良く知ってるわね。私には光の点々にしか見えないわ」
「昔の人って、想像力が豊かよね。どうとでも取れるのに、アレを獅子に見立てられるんだから」
続いた乾の台詞は誉めているもののはずだが、言葉通りには受け取れないような気がする。
司はそれには気付かなかったことにして、花が教えてくれたものを見つけようと燦然と星々が瞬く夜空に目をすがめてみた。
が、しかし。
「……」
どう足掻いても無理だった。赤い星とやらだけはもしかしたら見つけたかもしれないが、それすら自信がない。
「わからん」
ムッツリと答えた司に花はまた笑い、別の方向を指さした。
「じゃあ、北斗七星。あれならわかる?」
「ああ、流石にな」
街中でも見えるその形に司が頷くと、花は彼の手を取った。そうして広げさせた彼の掌を夜空に見立てて誰もが知るひしゃくの形を描く。
「こう、ここのところを十個分くらい伸ばしていってね、この辺りにレグルスがあるの」
細い指が言葉を補うように動いた。花の手はとても小さく、司のものと比べるとまるで幼い子どものもののようだ。その拳は左右を合わせても彼の片手の中に完全に収まってしまうだろう。握って、ほんの少し力を加えれば、卵の殻のように簡単に潰せてしまうに違いない。
ふと、先日目の当たりにした怯えた花の姿が脳裏によみがえる。
身をすくませ、恐怖に縮こまっていた、彼女の姿が。
刹那、司の身の内を憤りの炎がゾロリと這った。
こんなに小さく見るからにか弱いものを脅かす者がいるとは、司には信じられない――いや、赦し難いことだった。
司は、花から遠い方の手を彼女には見えない場所できつく握り込む。だが、自然と、反対の手にも力が籠もってしまったらしい。
「獅子王くん?」
司の手を放した花が再び顔を彼に向けてきていた。
「寒い?」
「え? ああ、いや」
かぶりを振ると、彼女がにこりと笑った。闇の中でその笑顔は儚い花のように見えて、無性に、司は確かにそれが存在することを触れて確かめてみたくなる。が、もちろん実行するわけにはいかず、気を抜けばそうしてしまいそうになる手で、彼はみぞおちの辺りのシャツを掴んだ。
と、それに気付いた花が眉をひそめる。
「やっぱり寒い? ケット要る?」
「大丈夫だ。ちょっと――腹が減っただけ」
適当に答えを返した司に、花がクスリと笑う。
「獅子王くん、身体大きいもんね。じゃあ、飴食べる?」
「……ああ」
甘い物は苦手だが、空腹を訴えてしまった手前、司は差し出された飴を受け取るしかない。それに金古と乾、更に上級生たちも続く。
「あ、私も欲しい」
「わたしも」
「こっちもお願い」
カサカサと袋を探る音がしばらく続き、そして、やんだ。
司は飴を口に放り込み、また星についての蘊蓄を語り出した花の柔らかな声に耳を傾ける。
楽しそうなそのさえずりに、今は憂いの欠片もない。
司は、彼女のそういう声が好きだった。
常に、その声のままでいさせたかった。
それを損なわせることは、断じて許せなかった。
(俺がいる限り、二度とこいつの顔を曇らせはしない)
彼は胸の内で誰にともなく告げる。
そうする義務も権利も、司は持っていない。だが、胸の奥から湧き出してくるその誓い、その衝動を打ち消すことは、彼にはできなかった。
日付が変わる少し前から、司たち天文部員は屋上に敷いたレジャーシートの上に寝転んでいた。シートは薄く、床はコンクリートだから、快適とは程遠い。
(俺は、ともかく……)
花は、どうだろう。
司はチラリと横に目を走らせたが、彼と同じように横たわり向こう側の金古と言葉を交わしている彼女は少しも苦にしていないようだった。
小さく息をつき再び空を見上げた司の目の前には、まさに満天の星空が広がっていた。街中では、どれだけ晴れていても、この半分も見えないだろう。人工の灯りがないというだけでこんなにも星が現れるものなのかと、司は少しばかり感動めいた思いを抱く。正直、こんなふうにまじまじと空を眺めることもなかったから、星の存在すら忘れていたくらいだ。
(星、でけぇな)
星座がどうとかはよくわからない。ただ、司は、漫然とそんなことを思った。記憶に残っている星というものよりも、少なくとも五割増しの大きさには見えるような気がする。
余計な光がないせいか――まさか、標高のせいではないだろう。高いところに来たといっても、たかだか数十、数百メートルなのだ。
と、そんな彼の心中を代弁するかのように隣から声が上がる。
「なんか、空が近いね」
首を巡らせると花もちょうどこちらを向こうとしていたようで、目が合うと同時に彼女は笑った。その笑顔――何よりその距離に、司は思わず息を詰める。
屋上に敷かれたレジャーシートは二枚で、一方を部長と副部長、それに二年生の二人が使っていて、こちらの一枚は司、花、金古と乾で使っている。司の右隣に花、その向こうに金古と乾が続く。どうしてこの並び順なんだとは思うが、三人の中では花が一番彼との接点があるのだから、妥当といえば妥当なのかもしれない。
とは言え。
二メートル四方のシートに四人が並んでいると、隣との隙間は十センチとあかない。少なくとも幅の三分の一を彼が占めているから、尚更だ。その上頭の位置を揃えているから常の身長差およそ四十センチもゼロになり、完全に目の高さが合致してしまう。
それが、何というか、落ち着かない。
肘の辺りに微かに感じる温もりから遠ざけるように、司は右腕を腹にのせた。そんな彼の心中、動きには気付いていない様子で、花が言う。
「星たくさん見えるし、大きく見える。高いところにいるからじゃ、ないよね」
「空気が澄んでいるからじゃないか?」
「あ、そうかも」
そう言って彼女は再び天に眼を戻し、まるでそこにある星々を掴もうとするかのように開いた両手を真っ直ぐに掲げた。いっぱいに広げていても、その手は小さい。花はどこもかしこも小さいのだが、こんなふうにその華奢さを改めて目の前に突き付けられると、司はいつもみぞおちの辺りが何かに握り締められるような感覚に襲われる。
奥歯を噛み締めて今も込み上げてきたそれを呑み下そうとしていた司の横で、花が囁く。
「星を見るのは好きなんだけど、――ちょっと、怖いな」
彼女がポツリと付け足した美しい星空へのその感想に、司は眉をひそめた。
(……怖い?)
彼の視線を感じないのか、花は真っ直ぐに空を見つめたままだ。彼女の横顔にさっきまでの笑顔はなく、『怖い』という感情を口にしたというのに、その色も浮かんではいなかった。
(何が、どう、怖いんだ?)
いぶかしく思いながらも、どう尋ねたら良いのかが判らない。彼が言葉を見つけ出す前に、一転、花が明るい声を上げた。
「あ、ほら、あれ獅子座だよ。真ん中のちょっと西の方。わかる?」
「……さっぱり」
憮然と答えた司に、花が小さく笑う。
「ちょっと南寄りに大きい三角形があるのは、わかる? 左の赤っぽいのがアークトゥルス。その南にあるのがスピカ、名前は有名でしょ? で、西にあるのがデネボラで、それがしし座のお尻になるの。それより西で光ってるのがレグルス、しし座の心臓。あそこに頭で、すごいね、脚も見える。ちゃんとライオンに見えない?」
問いの形に逸早く答えたのは、司ではなく花の向こう側にいる金古だ。
「相変わらず、良く知ってるわね。私には光の点々にしか見えないわ」
「昔の人って、想像力が豊かよね。どうとでも取れるのに、アレを獅子に見立てられるんだから」
続いた乾の台詞は誉めているもののはずだが、言葉通りには受け取れないような気がする。
司はそれには気付かなかったことにして、花が教えてくれたものを見つけようと燦然と星々が瞬く夜空に目をすがめてみた。
が、しかし。
「……」
どう足掻いても無理だった。赤い星とやらだけはもしかしたら見つけたかもしれないが、それすら自信がない。
「わからん」
ムッツリと答えた司に花はまた笑い、別の方向を指さした。
「じゃあ、北斗七星。あれならわかる?」
「ああ、流石にな」
街中でも見えるその形に司が頷くと、花は彼の手を取った。そうして広げさせた彼の掌を夜空に見立てて誰もが知るひしゃくの形を描く。
「こう、ここのところを十個分くらい伸ばしていってね、この辺りにレグルスがあるの」
細い指が言葉を補うように動いた。花の手はとても小さく、司のものと比べるとまるで幼い子どものもののようだ。その拳は左右を合わせても彼の片手の中に完全に収まってしまうだろう。握って、ほんの少し力を加えれば、卵の殻のように簡単に潰せてしまうに違いない。
ふと、先日目の当たりにした怯えた花の姿が脳裏によみがえる。
身をすくませ、恐怖に縮こまっていた、彼女の姿が。
刹那、司の身の内を憤りの炎がゾロリと這った。
こんなに小さく見るからにか弱いものを脅かす者がいるとは、司には信じられない――いや、赦し難いことだった。
司は、花から遠い方の手を彼女には見えない場所できつく握り込む。だが、自然と、反対の手にも力が籠もってしまったらしい。
「獅子王くん?」
司の手を放した花が再び顔を彼に向けてきていた。
「寒い?」
「え? ああ、いや」
かぶりを振ると、彼女がにこりと笑った。闇の中でその笑顔は儚い花のように見えて、無性に、司は確かにそれが存在することを触れて確かめてみたくなる。が、もちろん実行するわけにはいかず、気を抜けばそうしてしまいそうになる手で、彼はみぞおちの辺りのシャツを掴んだ。
と、それに気付いた花が眉をひそめる。
「やっぱり寒い? ケット要る?」
「大丈夫だ。ちょっと――腹が減っただけ」
適当に答えを返した司に、花がクスリと笑う。
「獅子王くん、身体大きいもんね。じゃあ、飴食べる?」
「……ああ」
甘い物は苦手だが、空腹を訴えてしまった手前、司は差し出された飴を受け取るしかない。それに金古と乾、更に上級生たちも続く。
「あ、私も欲しい」
「わたしも」
「こっちもお願い」
カサカサと袋を探る音がしばらく続き、そして、やんだ。
司は飴を口に放り込み、また星についての蘊蓄を語り出した花の柔らかな声に耳を傾ける。
楽しそうなそのさえずりに、今は憂いの欠片もない。
司は、彼女のそういう声が好きだった。
常に、その声のままでいさせたかった。
それを損なわせることは、断じて許せなかった。
(俺がいる限り、二度とこいつの顔を曇らせはしない)
彼は胸の内で誰にともなく告げる。
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