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気付けば、君を捜してる
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店に入ると、つい、凌は彼女の姿を探してしまう。
小さいから棚の陰にいられると見えないし、今日この時間にいるとも限らない。
わざわざ逢いに来ているわけではないが、逢えればいいとは思う。
何気ない素振りで店内を回り――それを目にしてホッと胸の辺りが和らいだ。
彼女のシフトは、どうやら深夜帯のようだ。
本人に訊いたわけではないから、何曜日の何時に店にいるのか、はっきり知っているわけではない。それだけに、入った時に彼女の姿があると、凌は何だか儲けたような気分になる。
棚の整理をしていた彼女――『藤野』は、凌の姿に目を留めるといつものようにニッコリと笑顔になった。単なる客へのサービスなのだろうが、それでも、彼女の笑顔は彼の胸に心地良さをもたらしてくれる。
「いらっしゃいませ。腕、大丈夫ですか?」
あれからもう二週間は経つというのに、顔を合わせる度に彼女は同じことを訊いてくる。そうして、凌もまた同じセリフを返すのだ。
「問題ない」
「本当ですか? 結構、大きい傷でしたよ?」
「たいしたもんじゃない」
見せろと言い出しそうな目つきで『藤野』は凌を見上げてきたが、流石にそれを口にはしなかった。代わりに、ため息をつく。
「ビールだけじゃなくて、ちゃんと栄養も摂ってくださいね?」
まるで年上の女のような物言いに、凌は思わず口元を緩ませる。別に彼女をバカにしたわけではないのだが、『藤野』はムッと唇を尖らせた。
「ご飯は基本ですよ。ちゃんと食べないと、傷だってちゃんと治らないんですから」
「わかったよ」
素っ気ない声でそう答え、凌は胸のあたりにある彼女の顔を見下ろした。そうすると、大きな目が真っ直ぐに見つめ返してくる。
そんなふうに見上げられると、彼のみぞおちのあたりは奇妙に疼いた。
そして、もっと彼女からの反応を引き出したい――そんな欲求に駆られる。
基本的に彼の人間関係は淡白だ。凌の方から積極的に働きかけることは滅多になく、何か実用的な用がない限りはヒトに近付こうとも思わない。その結果、彼の周りにいる人間は、ごく限られたものになっていた。
なのに、何故か、『藤野』には誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のように近寄ってしまう。
言葉を交わしたい、近寄りたい――触れたいと、思ってしまうのだ。
物心付く前に捨て去ってしまったに違いないそんな欲求の数々に、凌は戸惑う。
果たしてそれは望んでいいものなのかどうなのかということも、彼には判らなかった。
と、彼の肩に、突然どさりと重みが加わる。
「凌クンってば、キミだけ店員さんとお話? ズルいなぁ」
「虎徹」
思わず、凌は舌打ちをしそうになる。
いつの間に店に入ってきたのか、前触れなく話に割り込んできた彼は、凌の肩に腕を回したまま、『藤野』を頭のてっぺんからつま先までジロジロと見た。品定めするようなその不躾な視線にも拘らず、彼女は笑顔を返す。
それが凌に向けるモノとは少し違う気がするのは、彼の希望的観測に過ぎないのだろうか。
そんなふうに思ってしまった凌の前で、『藤野』は虎徹に向けて屈託なく問い掛ける。
「お友達の方ですか? いらっしゃいませ」
「キミは……フジノちゃん? 可愛いね。高校生? あれ、でもこんな時間に働いてていいの?」
「おい!」
確かに彼女の年齢は凌も疑問に思っていたところだが、一介の客に過ぎない男がズケズケと突っ込んでよいことでもないだろう。彼は虎徹に咎める声を向けたが、当の『藤野』は笑顔で受け流した。
「わたし、もうじき十九になりますよ? 高校は卒業してます」
「もうじき?」
思わず問い返してしまった凌に、彼女は頷く。
「はい。あと一ヶ月くらいで」
六月の末頃ということか。高校を卒業してすぐに、ここで働き出したのだろう。
それにしても、こんなに遅い時間に繁華街でバイトとは、家族が心配しないのだろうかと、やはり凌は余計なことを考えてしまう。
と、不意に『藤野』がチラリとレジに目を走らせた。そこには客が二人ほど並ぼうとしている。レジには金髪男が立っていて、彼一人でも充分に対応できそうではあったが、コンビニは待たせないのが鉄則だろう。
「すみません、あっちに行かないと。ごゆっくり」
そう言って、彼女はあっさりと離れていってしまった。
当然と言えば当然の状況に、凌は歯がゆさを覚える。若干の苛立ちも含んだ小さな吐息に、虎徹が面白そうに眉を上げた。
「お前、あの子のこと気になんの? 意外だな、ロリ好み? あ、もしかして、この間いつの間にかいなくなってたのは、あの子の所為か?」
「関係ねぇよ」
未だ肩に乗ったままの彼の腕を払いのけ、むっつりと凌は答える。そんな彼に、虎徹のニヤニヤ笑いが深まった。
「へえ……今までの相手とはずいぶん違うじゃん」
「黙れ」
虎徹の言う『今までの相手』は、別に凌が望んだわけではない。絡んでくるから、応じただけだ。現に、相手が離れていってしまっても、追いかける気には更々ならない。来る者を拒むことはあっても、去る者に未練を覚えたことは今まで一度もなかった。
凌に腕を払い落とされ、虎徹はニヤニヤと笑う。
「そうそう、あん時、ナナがふてくされて大変だったんだぜ? 『リョウはどうした』ってな。お前にあんなにぞっこんなのに、捨てちまうの? キープしとけば? あいつ、性格はちょっとアレだけど、アッチの方はウマいだろ?」
凌はムッと虎徹を横目で睨み付けた。と、彼はわざとらしく眉を上げる。
「なんだよ、お前、女たちの間じゃ『超スゴイ』って評判なんだぜ? お前とヤリたいってヤツが列を作ってんだろ」
別に、そんなことを言われても嬉しいとも自慢だとも思わない。
そもそも、女と寝ることがそんなに好きなわけでもないのだ。
確かに肉体的な快感は得られるが、それ以上の関わりを求められるのは面倒だった。
虎徹のバカ話を聞き続けるのにもうんざりして、凌は彼をその場に置き去りにしてビールを取りに行きかけ……ハタと足を止める。
凌は、今まで、誰かを視界に入れたいだとか、誰かと言葉を交わしたいだとか、考えたこともなかった。
――『藤野』以外は。
(つまり俺は、彼女を追いかけたいと思っているということなのか?)
「どうしたよ?」
フリーズしたような凌に、虎徹が彼の顔を覗き込み、怪訝そうな声をかけてくる。
「いや、別に……」
呟き、凌はまた歩き出した――誰かに傍にいて欲しいとか、誰かの傍にいたいとか、そんな気持ちが自分にあるわけがないと、首を振りながら。誰かを大事に想うのも誰かに大事に想われるのも、彼には必要ない筈だった。
自動的にいつもの銘柄のビールを取り、総菜売り場で唐揚げを手にする。
一瞬それを見つめ、棚に戻すと、隣に並べられている弁当を――ヘルシーだとかなんだとか書かれている代物を――あまり考えることなく選んでいた。
空いているレジは『藤野』の方だ。
彼女は凌が台に置いた一揃いに目を向け、そして、笑う。
とても嬉しそうなその笑顔はさながら花が開いたようで。
その時胸を襲った何かに突かれたような感覚に、彼は一瞬息を止める。
「お買い上げ、ありがとうございます。お弁当、温めますか?」
「ああ……」
手際よくレジを通し弁当を温め、サッキングした彼女は、「はい」とばかりに袋に入れた品を差し出した。
受け取る時に、微かに指先が触れる。そのわずかな温もりが、不思議なほどに指に残った。
「ありがとうございました」
クルリと踵を返し出口に向かった凌の背中を、彼女の朗らかな声が包む。
自分と彼女は、ただの客と店員。それ以上でもそれ以下でもない。
そんなふうに思いながら、その現状に微かな不満を覚えていることに、凌は気付いていなかった――否、気付いていないふりをした。
小さいから棚の陰にいられると見えないし、今日この時間にいるとも限らない。
わざわざ逢いに来ているわけではないが、逢えればいいとは思う。
何気ない素振りで店内を回り――それを目にしてホッと胸の辺りが和らいだ。
彼女のシフトは、どうやら深夜帯のようだ。
本人に訊いたわけではないから、何曜日の何時に店にいるのか、はっきり知っているわけではない。それだけに、入った時に彼女の姿があると、凌は何だか儲けたような気分になる。
棚の整理をしていた彼女――『藤野』は、凌の姿に目を留めるといつものようにニッコリと笑顔になった。単なる客へのサービスなのだろうが、それでも、彼女の笑顔は彼の胸に心地良さをもたらしてくれる。
「いらっしゃいませ。腕、大丈夫ですか?」
あれからもう二週間は経つというのに、顔を合わせる度に彼女は同じことを訊いてくる。そうして、凌もまた同じセリフを返すのだ。
「問題ない」
「本当ですか? 結構、大きい傷でしたよ?」
「たいしたもんじゃない」
見せろと言い出しそうな目つきで『藤野』は凌を見上げてきたが、流石にそれを口にはしなかった。代わりに、ため息をつく。
「ビールだけじゃなくて、ちゃんと栄養も摂ってくださいね?」
まるで年上の女のような物言いに、凌は思わず口元を緩ませる。別に彼女をバカにしたわけではないのだが、『藤野』はムッと唇を尖らせた。
「ご飯は基本ですよ。ちゃんと食べないと、傷だってちゃんと治らないんですから」
「わかったよ」
素っ気ない声でそう答え、凌は胸のあたりにある彼女の顔を見下ろした。そうすると、大きな目が真っ直ぐに見つめ返してくる。
そんなふうに見上げられると、彼のみぞおちのあたりは奇妙に疼いた。
そして、もっと彼女からの反応を引き出したい――そんな欲求に駆られる。
基本的に彼の人間関係は淡白だ。凌の方から積極的に働きかけることは滅多になく、何か実用的な用がない限りはヒトに近付こうとも思わない。その結果、彼の周りにいる人間は、ごく限られたものになっていた。
なのに、何故か、『藤野』には誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のように近寄ってしまう。
言葉を交わしたい、近寄りたい――触れたいと、思ってしまうのだ。
物心付く前に捨て去ってしまったに違いないそんな欲求の数々に、凌は戸惑う。
果たしてそれは望んでいいものなのかどうなのかということも、彼には判らなかった。
と、彼の肩に、突然どさりと重みが加わる。
「凌クンってば、キミだけ店員さんとお話? ズルいなぁ」
「虎徹」
思わず、凌は舌打ちをしそうになる。
いつの間に店に入ってきたのか、前触れなく話に割り込んできた彼は、凌の肩に腕を回したまま、『藤野』を頭のてっぺんからつま先までジロジロと見た。品定めするようなその不躾な視線にも拘らず、彼女は笑顔を返す。
それが凌に向けるモノとは少し違う気がするのは、彼の希望的観測に過ぎないのだろうか。
そんなふうに思ってしまった凌の前で、『藤野』は虎徹に向けて屈託なく問い掛ける。
「お友達の方ですか? いらっしゃいませ」
「キミは……フジノちゃん? 可愛いね。高校生? あれ、でもこんな時間に働いてていいの?」
「おい!」
確かに彼女の年齢は凌も疑問に思っていたところだが、一介の客に過ぎない男がズケズケと突っ込んでよいことでもないだろう。彼は虎徹に咎める声を向けたが、当の『藤野』は笑顔で受け流した。
「わたし、もうじき十九になりますよ? 高校は卒業してます」
「もうじき?」
思わず問い返してしまった凌に、彼女は頷く。
「はい。あと一ヶ月くらいで」
六月の末頃ということか。高校を卒業してすぐに、ここで働き出したのだろう。
それにしても、こんなに遅い時間に繁華街でバイトとは、家族が心配しないのだろうかと、やはり凌は余計なことを考えてしまう。
と、不意に『藤野』がチラリとレジに目を走らせた。そこには客が二人ほど並ぼうとしている。レジには金髪男が立っていて、彼一人でも充分に対応できそうではあったが、コンビニは待たせないのが鉄則だろう。
「すみません、あっちに行かないと。ごゆっくり」
そう言って、彼女はあっさりと離れていってしまった。
当然と言えば当然の状況に、凌は歯がゆさを覚える。若干の苛立ちも含んだ小さな吐息に、虎徹が面白そうに眉を上げた。
「お前、あの子のこと気になんの? 意外だな、ロリ好み? あ、もしかして、この間いつの間にかいなくなってたのは、あの子の所為か?」
「関係ねぇよ」
未だ肩に乗ったままの彼の腕を払いのけ、むっつりと凌は答える。そんな彼に、虎徹のニヤニヤ笑いが深まった。
「へえ……今までの相手とはずいぶん違うじゃん」
「黙れ」
虎徹の言う『今までの相手』は、別に凌が望んだわけではない。絡んでくるから、応じただけだ。現に、相手が離れていってしまっても、追いかける気には更々ならない。来る者を拒むことはあっても、去る者に未練を覚えたことは今まで一度もなかった。
凌に腕を払い落とされ、虎徹はニヤニヤと笑う。
「そうそう、あん時、ナナがふてくされて大変だったんだぜ? 『リョウはどうした』ってな。お前にあんなにぞっこんなのに、捨てちまうの? キープしとけば? あいつ、性格はちょっとアレだけど、アッチの方はウマいだろ?」
凌はムッと虎徹を横目で睨み付けた。と、彼はわざとらしく眉を上げる。
「なんだよ、お前、女たちの間じゃ『超スゴイ』って評判なんだぜ? お前とヤリたいってヤツが列を作ってんだろ」
別に、そんなことを言われても嬉しいとも自慢だとも思わない。
そもそも、女と寝ることがそんなに好きなわけでもないのだ。
確かに肉体的な快感は得られるが、それ以上の関わりを求められるのは面倒だった。
虎徹のバカ話を聞き続けるのにもうんざりして、凌は彼をその場に置き去りにしてビールを取りに行きかけ……ハタと足を止める。
凌は、今まで、誰かを視界に入れたいだとか、誰かと言葉を交わしたいだとか、考えたこともなかった。
――『藤野』以外は。
(つまり俺は、彼女を追いかけたいと思っているということなのか?)
「どうしたよ?」
フリーズしたような凌に、虎徹が彼の顔を覗き込み、怪訝そうな声をかけてくる。
「いや、別に……」
呟き、凌はまた歩き出した――誰かに傍にいて欲しいとか、誰かの傍にいたいとか、そんな気持ちが自分にあるわけがないと、首を振りながら。誰かを大事に想うのも誰かに大事に想われるのも、彼には必要ない筈だった。
自動的にいつもの銘柄のビールを取り、総菜売り場で唐揚げを手にする。
一瞬それを見つめ、棚に戻すと、隣に並べられている弁当を――ヘルシーだとかなんだとか書かれている代物を――あまり考えることなく選んでいた。
空いているレジは『藤野』の方だ。
彼女は凌が台に置いた一揃いに目を向け、そして、笑う。
とても嬉しそうなその笑顔はさながら花が開いたようで。
その時胸を襲った何かに突かれたような感覚に、彼は一瞬息を止める。
「お買い上げ、ありがとうございます。お弁当、温めますか?」
「ああ……」
手際よくレジを通し弁当を温め、サッキングした彼女は、「はい」とばかりに袋に入れた品を差し出した。
受け取る時に、微かに指先が触れる。そのわずかな温もりが、不思議なほどに指に残った。
「ありがとうございました」
クルリと踵を返し出口に向かった凌の背中を、彼女の朗らかな声が包む。
自分と彼女は、ただの客と店員。それ以上でもそれ以下でもない。
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