自重しないユリス。世界の常識を打ち破る商品を作ったかと思えば奴隷を一流の存在へと育成し領地を並び立つ者がいない存在へ導いていく

スキルでゴーレム馬車の設計図を手に入れる

ユリスは自室へと戻ると今まで見るだけで使う機会のなかった情報マーケットを起動した。情報マーケットとは、様々な情報をお金で購入できる神、特製のスキルだ



「あった」



ユリスは目の前に浮かぶ画面から目的の情報を見つけたようだ。



目的の情報を選び、指定されたお金を画面の投入口から投入して情報を購入し終わったタイミングでドアがノックされた。



「誰？」



「ユリス様。セバスでございます。入ってもよろしいですか？」



「どうぞ」



セバスとは父親がユリス親子に付けた専属の執事である。セバスがドアを開け中に入ってきた。



「ユリス様。聞きましたぞ。なぜあのようなことを引き受けたのですか？」



「それは、勝算があるからさ」



ユリスは不敵な笑みを浮かべた



「随分と自信がおありのようですね。その勝算を私にも教えていただけますか？」



「いいよ」



ユリスはスキルのことを教え印刷した設計図を見せてゴレーム馬車について説明した。ゴーレム馬車とは、魔導具の一種で馬より早く走れる上に、エサ代不要。休憩は人間がたまに取る分だけで済む夢のような馬車なのだ。



「なんと！！　そのようなすばらしい馬車が作れるのですか！！」



「ああ。そうだ」



「さすがぼっちゃまです！　どこかの馬鹿とは違いますな」



「当たり前だ。あんなのと比べたら俺が勝つなんて当然！」



「確かにそうですな。失礼しました」



「気にしないよ。セバス、ドワーフ工房へと向かうから馬車の用意を頼む」



「かしこまりました」



ユリスは工房に到着した。ドワーフ工房とは、商会が提携している工房である。中に入ると弟子がでてきた



「これはぼっちゃま。今日はどうなさいましたか？」



「親方はいるかな」



「へい。お待ちください」



すぐに工房の奥から背の小さいドワーフの親方が出てきて目の前まで歩いてきた。



「親方この図面を見てくれ」



親方は設計図を渡されると食い入るように見ていた



「おい！　ユリス。これは世紀の大発明じゃないか！　これどうしたんだ！」



親方はかなり興奮した様子で聞いてきた。ユリスは親方を信用しているため、スキルのことを説明した。



「なるほどな。一つ聞くがなぜ自腹で購入したんだ？」



なぜかユリスは父親に資金を頼むのではなく、自分の貯金で設計図を購入していた



「商会の金で買うと、ハイエナどもに横取りされかねないからさ」



ハイエナとは、長男とその母親の主張を支持する派閥のことである



「なるほどな。奪われたくないて、この馬車を使って何かやらかすつもりか？」



「まぁね。十歳の儀で面白いことを考えているんだ。今までとは違う儀を行い格の違いをハイエナどもに教えてやるつもりさ」



「さすがです！　ぼっちゃま。そこまで考えられているとは」



セバスはとても嬉しそうにしていた



「おもしれえ！　二日くれ。ドワーフの意地にかけて必ず完成させてやる！」



「頼みます。親方」



二人は工房を後にした。



二日後。完成したと連絡がきたため、二人は工房を訪れていた



「どうよ！　俺の腕は」



親方が自慢するだけのことはあり、二日で作ったとはとても思えないほど立派な馬のゴーレムと馬車が、二人の目の前にあった



「さすが親方！」



「おう。昔約束したとおり、初めての依頼だからただでいいぜ」



「ありがとう。親方」



二人は親方に礼を言うとゴーレム馬車に乗り込み、領主の城に向けて出発した