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追放される

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「ユリス、貴様を我が男爵家から追放する」

食事を終え、使用人が見ている目の前で父親から追放を言い渡された。

「なぜです! 父上」

「フン。そんなこともわからないのか。貴様のような、役にたたない無能スキル保持者をおいておくなど我が家の恥だからな」

ユリスのスキルは神の目と情報マーケットと言う使い方がわからないものだった。

「私がいなくなれば、領地の運営はできませんよ!」

領地はユリスとユリスの母親のリリスが運営していた

「何を言うか! 貴様のようなゴミに出来ていたのだからわしに出来ないはずがないだろう。いいことを思いついたぞ。下民の領民に金をだすなど無駄なことはやめ、重税を課そう。家畜は主人の役に立ってこそ意味がある。名案だろヒューズ」

「はい。旦那様。家畜の為に金を使うなど無駄です」

ヒューズは第二執事で父親の腰ぎんちゃくである

「そうだろう。ユリスの母親が実権を握っていたが、死んだおかげでようやくすきにできる」

ユリスの祖父に当たる前男爵は息子には領地を任せられないと、息子は名目的な当主にして、嫁のリリスに実権を預けていた。そのリリスが不幸にも亡くなってしまい、この馬鹿が騒ぎ出したのだ。

「まぁ。おまえの様な無能でもいきなり放りだすほど、わしも冷たくはない。辺境伯軍に参加するわが軍の指揮官にしてやる。喜べ。場所は最前線だ。手柄立て放題だぞ」

父親は笑っていた

手柄立て放題? そんなわけがない。ユリスのスキルは使い方がわからず、武術は人並み以上にできるが、何十人もの敵を相手に無双して、手柄を立てるなど不可能だった。

ユリスは父親が自分を殺そうとしていることに気づいた瞬間、理不尽な仕打ちに内心激怒し絶対に生き残って、格の違いを思い知らせてやることを決めた。

「では、追放した旨を記した当主印付の書類をください。あちらの責任者に迷惑をかけたくないので」

「よかろう」

次期当主を激戦区に配置してもしもがあれば、相手の家や周りから責任者が責められ責任を取らせられることになるのでと言う、最もらしい理由で書類を要求した。実際は別の目的があるのだが。

「ほら」

「どうも」

ユリスは書類を受け取った

「で、もう正門に軍は集まってるのですか?」

「ああ」

「では、そちらに行きますので」

そういうと、ユリスは食堂を出て正門へと向かうと、男爵家総勢百名からなる軍が待機していた

「見事に母上の忠臣ばかりだな」

「ええ、ぼっちゃん共々邪魔な俺達を処分するつもりなんでしょ」

そう答えたのは私兵団長のカイルだった

「だな。カイル、今なら逃げ出せるぞ」

ユリスはそう冗談ぽっくカイルに言うと

「冗談じゃね。十歳の坊ちゃんを見捨てて逃げるなんて御免ですぜ」

と言って拒否してきた

「坊ちゃんこそ、逃げないんですか? お供しますぜ」

「確実に勝てて、手柄を上げれるのに逃げるなんてありえんさ。ま、任せておけ」

ユリスはそう言うとニヤリと笑った








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