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第1章
失敗談→お出かけ準備!
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「港町って……ヘルヘイムス島の近くに、そんなのがあるのか!?」
エセルが頷いた。
「はい。島から少し南に向かう必要がありますが、周辺では唯一、人が住んでいる地域です」
「というかエセルたちは、どうしてその町の存在を知ってるんだよ」
「私たち、一度そこに行ったんだ☆」
俺は思わず、椅子からひっくり返りそうになった。
サバイバル生活なのに、人の暮らす地域に行ったら、本末転倒じゃないのか。
「島の外に出たのか!? おいおい、掟は大丈夫なのかよ!?」
「ある程度の制限はありますが、厳密に言えばヘルヘイムス島の外に出るのも、助力を得るのも試練のルール違反ではありません」
俺のリアクションを予期してたかのように、エセルがリタに言った。
「リタ、あれを持ってきてもらえますか?」
「は~い♪」
リタがとてとてと家の中に入って行って、しばらくすると、腕くらいの太さの、矢筒のようなアイテムを持って来た。
あんなのクラフトした覚えはないし、エセルたちの持ち物か。
「これは……?」
「竜人族の間で使われるのろしです。ドラゴンの火を中心に当てると飛び上がり、メッセージを故郷まで届けてくれます。もしも試練をギブアップする時にも、これを使うんですよ」
なるほど、こりゃ矢筒っていうより、花火みたいなもんか。
そんでもって花火というよりは、こっちの世界の通信用アイテムってわけだ。
「ほー、こりゃすごいな。メールいらずってわけだ」
「メール?」
「いや、こっちの話だよ」
スマートフォンを少しだけ懐かしみながら、俺はさらりと話題を変える。
クラフトスキルで、いつかスマートフォンもクラフトできるだろうか、なんて。
「だけど、エリューズに行ったわりには、初めて会った時は道具も何もなかったな。必要なアイテムをもらったり、買ったりしなかったのか?」
「確かに、ヘルヘイムス島はエリューズに住む人々から神聖視されていて、ここで試練をすることもあるという認識があります」
ヘルヘイムス島が絶海の孤島じゃないというのも、俺にとっては驚きだった。
てっきり、船をひと月漕がないと陸地に着けないような場所だと思ってたよ。
そもそも、普段歩く海岸からだと、陸地なんて見えないしな。
「ですが、こちらのしきたりも知っています。なので、無償で助けないよう、大人たちから言いつけられているのです」
エセルが困った顔をすると、リタが頬を膨らませた。
「リタが甘えても、み~んな困った顔だけして、な~んにもくれないの!」
ふたりの話を聞いて、俺は納得した。
要するにエリューズは、『立ち寄ってもいいが、何かを与えてくれる場所ではない』、ゲームでいうところの新天地くらいの感覚だな。
決してボーナスステージではない、自分たちの行動が必要な場所だ。
「自分たちも金銭面をどうにかしようと、ヘルヘイムス島からいくつか生魚を捕えて、向こうで売ろうとしましたが、ひどく注意されてしまいましたね」
「お魚を売る時は、漁師さんと相談しなきゃいけないんだって!」
サンドイッチをほおばりながら、ジェシカが言った。
「ま、そりゃそうだな。あっちも仕事だし、竜人族とはいえ、見ず知らずの女の子がいきなり魚を売りさばきだしたら商売の邪魔だろうよ」
俺の正論がちょっぴり刺さったのか、エセルの眉間にしわが寄る。
「挙句の果てには、空を飛んで島と町を行き来したので……」
言い過ぎたか、と俺が訂正するより先に、もっとすごい発言をエセルが発射してきた。
いや、いくら竜人族がタフだからって、空を飛んで町まで行けるもんなのか?
「船を造らなかったのか?」
「ええ。島に帰ってきた頃にはへとへとで、半日は起き上がれませんでした」
「おねーちゃんたち、よわよわだもんね~♪」
「疲れたからおぶってと自分にせがんだのは、どなたでしょうね」
「……し、知らな~い」
ぷいっとリタが目を逸らすのを見るあたり、相当キツイ旅だったんだろうな。
3人の中で一番大きな翼を持つリタですらこうなんだ、エセルとジェシカがげんなりするのも、何だかわかるよ。
「とにかく、それ以来一度も、エリューズには行ってません。ですが、虎太郎さんと共に暮らす今なら、何か新しい発見ができるのではないかと思ったんです」
「確かに、俺もエリューズには興味があるな」
俺は椅子の背にもたれかかりながら、顎に指をあてて考えた。
ヘルヘイムス島は自然資源の宝庫で、何でもクラフトできるけど、それだけじゃいつか限界が来る。
それにクラフトできるアイテムのレベルも、外部知識がなきゃいつか頭打ちだ。
何より、こっちの世界にしかないようなアイテムの存在を知れば、俺がクラフトしたものとの組み合わせで、もっと便利になるかもしれない。
だったら、このチャンスを逃すわけがないよな。
「船のことは、俺に任せてくれればいい。クラフトレベルが12もあって、家も作れるくらいなんだから、船くらいはなんとかなるさ」
幸い、造船技術はクラフトスキルに全部任せられる。
きっと俺が想像するより、ずっとすごい船が完成するはずだ。
「問題は、向こうで何かしら買い物をする時に、お金がいるってところだな。食料関連は売れそうにないし、何か工芸品のようなものを作って、持っていければ……」
向こうでの資金繰りは、前回のように魚や肉を持っていくわけにはいかない。
4人でうんうんと頭をひねっていると、ふと、エセルが何かを思いついたみたいだ。
「工芸品……そういえば、竜人族の伝統工芸に、岩や宝石で作るものがありますね」
竜人族の工芸品――そりゃ興味深い。
「なんだ、あるんじゃないか。前回、それを持って行きゃ良かったのに」
「生活にも必死だったんですから、工芸品を作る余裕なんてありませんでしたよ」
「ま、それもそうか」
エセルと互いに頷いたころには、もう4人とも、皿をすっかり空にしてた。
陽も頭の上に近づいてきたし、作業にはうってつけの時間帯だ。
「次の目的は決まったな。そんじゃ、ひとまず――」
俺が手を合わせると、エセル、ジェシカ、リタも続く。
「「ごちそーさまでした!」」
そして食事に感謝して、俺たちは今日の作業に移ることにした。
今日やるのは船づくりの準備と、工芸品の素材集めだ!
エセルが頷いた。
「はい。島から少し南に向かう必要がありますが、周辺では唯一、人が住んでいる地域です」
「というかエセルたちは、どうしてその町の存在を知ってるんだよ」
「私たち、一度そこに行ったんだ☆」
俺は思わず、椅子からひっくり返りそうになった。
サバイバル生活なのに、人の暮らす地域に行ったら、本末転倒じゃないのか。
「島の外に出たのか!? おいおい、掟は大丈夫なのかよ!?」
「ある程度の制限はありますが、厳密に言えばヘルヘイムス島の外に出るのも、助力を得るのも試練のルール違反ではありません」
俺のリアクションを予期してたかのように、エセルがリタに言った。
「リタ、あれを持ってきてもらえますか?」
「は~い♪」
リタがとてとてと家の中に入って行って、しばらくすると、腕くらいの太さの、矢筒のようなアイテムを持って来た。
あんなのクラフトした覚えはないし、エセルたちの持ち物か。
「これは……?」
「竜人族の間で使われるのろしです。ドラゴンの火を中心に当てると飛び上がり、メッセージを故郷まで届けてくれます。もしも試練をギブアップする時にも、これを使うんですよ」
なるほど、こりゃ矢筒っていうより、花火みたいなもんか。
そんでもって花火というよりは、こっちの世界の通信用アイテムってわけだ。
「ほー、こりゃすごいな。メールいらずってわけだ」
「メール?」
「いや、こっちの話だよ」
スマートフォンを少しだけ懐かしみながら、俺はさらりと話題を変える。
クラフトスキルで、いつかスマートフォンもクラフトできるだろうか、なんて。
「だけど、エリューズに行ったわりには、初めて会った時は道具も何もなかったな。必要なアイテムをもらったり、買ったりしなかったのか?」
「確かに、ヘルヘイムス島はエリューズに住む人々から神聖視されていて、ここで試練をすることもあるという認識があります」
ヘルヘイムス島が絶海の孤島じゃないというのも、俺にとっては驚きだった。
てっきり、船をひと月漕がないと陸地に着けないような場所だと思ってたよ。
そもそも、普段歩く海岸からだと、陸地なんて見えないしな。
「ですが、こちらのしきたりも知っています。なので、無償で助けないよう、大人たちから言いつけられているのです」
エセルが困った顔をすると、リタが頬を膨らませた。
「リタが甘えても、み~んな困った顔だけして、な~んにもくれないの!」
ふたりの話を聞いて、俺は納得した。
要するにエリューズは、『立ち寄ってもいいが、何かを与えてくれる場所ではない』、ゲームでいうところの新天地くらいの感覚だな。
決してボーナスステージではない、自分たちの行動が必要な場所だ。
「自分たちも金銭面をどうにかしようと、ヘルヘイムス島からいくつか生魚を捕えて、向こうで売ろうとしましたが、ひどく注意されてしまいましたね」
「お魚を売る時は、漁師さんと相談しなきゃいけないんだって!」
サンドイッチをほおばりながら、ジェシカが言った。
「ま、そりゃそうだな。あっちも仕事だし、竜人族とはいえ、見ず知らずの女の子がいきなり魚を売りさばきだしたら商売の邪魔だろうよ」
俺の正論がちょっぴり刺さったのか、エセルの眉間にしわが寄る。
「挙句の果てには、空を飛んで島と町を行き来したので……」
言い過ぎたか、と俺が訂正するより先に、もっとすごい発言をエセルが発射してきた。
いや、いくら竜人族がタフだからって、空を飛んで町まで行けるもんなのか?
「船を造らなかったのか?」
「ええ。島に帰ってきた頃にはへとへとで、半日は起き上がれませんでした」
「おねーちゃんたち、よわよわだもんね~♪」
「疲れたからおぶってと自分にせがんだのは、どなたでしょうね」
「……し、知らな~い」
ぷいっとリタが目を逸らすのを見るあたり、相当キツイ旅だったんだろうな。
3人の中で一番大きな翼を持つリタですらこうなんだ、エセルとジェシカがげんなりするのも、何だかわかるよ。
「とにかく、それ以来一度も、エリューズには行ってません。ですが、虎太郎さんと共に暮らす今なら、何か新しい発見ができるのではないかと思ったんです」
「確かに、俺もエリューズには興味があるな」
俺は椅子の背にもたれかかりながら、顎に指をあてて考えた。
ヘルヘイムス島は自然資源の宝庫で、何でもクラフトできるけど、それだけじゃいつか限界が来る。
それにクラフトできるアイテムのレベルも、外部知識がなきゃいつか頭打ちだ。
何より、こっちの世界にしかないようなアイテムの存在を知れば、俺がクラフトしたものとの組み合わせで、もっと便利になるかもしれない。
だったら、このチャンスを逃すわけがないよな。
「船のことは、俺に任せてくれればいい。クラフトレベルが12もあって、家も作れるくらいなんだから、船くらいはなんとかなるさ」
幸い、造船技術はクラフトスキルに全部任せられる。
きっと俺が想像するより、ずっとすごい船が完成するはずだ。
「問題は、向こうで何かしら買い物をする時に、お金がいるってところだな。食料関連は売れそうにないし、何か工芸品のようなものを作って、持っていければ……」
向こうでの資金繰りは、前回のように魚や肉を持っていくわけにはいかない。
4人でうんうんと頭をひねっていると、ふと、エセルが何かを思いついたみたいだ。
「工芸品……そういえば、竜人族の伝統工芸に、岩や宝石で作るものがありますね」
竜人族の工芸品――そりゃ興味深い。
「なんだ、あるんじゃないか。前回、それを持って行きゃ良かったのに」
「生活にも必死だったんですから、工芸品を作る余裕なんてありませんでしたよ」
「ま、それもそうか」
エセルと互いに頷いたころには、もう4人とも、皿をすっかり空にしてた。
陽も頭の上に近づいてきたし、作業にはうってつけの時間帯だ。
「次の目的は決まったな。そんじゃ、ひとまず――」
俺が手を合わせると、エセル、ジェシカ、リタも続く。
「「ごちそーさまでした!」」
そして食事に感謝して、俺たちは今日の作業に移ることにした。
今日やるのは船づくりの準備と、工芸品の素材集めだ!
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