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第1章
新しい服→素材調達
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「――よぉーし、ここを木の家の建築予定とするっ!」
それから俺たちは洞窟を離れて、島の西の方にある開けた場所まで来た。
周りに木々があまりなくて日当たりも良く、すぐ後ろが切り立った崖になってるから、変なところからモンスターに襲われる心配がない。
しかも少し離れたところに川があって、水源にも困らない。
要するに、これからマイホームを建てるならうってつけの場所ってわけだ。
本当なら地面の質とかいろいろ気にしなきゃいけないんだろうけど、あくまでゲーム的なクラフトだし、その辺りはなんとかしてくれるだろ。
「今から新しい家を作るんだって! 楽しみだね、リタ!」
「ね~! 新しいお洋服ももらったし、おにーちゃんってけっこうやるかも~?」
ついでに、ここに来る途中に4人分の服もクラフトした。
新しい服を作るって言ったら、エセルどころか、ジェシカとリタも目の色を変えて、砂浜銃を走り回って漂着物から布切れを探してきた。
あとはメニュー画面から『カジュアルな服』を選択しつつ、俺が3人からもらった服の要望をイメージしつつ、クラフトすれば完成だ。
ちなみに三姉妹には、俺のクラフトスキルについては説明してある。
これから4人で無人島を開拓するんだから、隠し事はなしだ。
「うんうんっ! コタロー君も作ってくれた洋服も、私だーいすき!」
活発なジェシカはフード付きのジャケットとスカート、ブーツ。
スカートの中のスパッツだけじゃなくて、ブーツまでクラフトできたのは、追加で近くに落ちてたモンスターの皮を素材にしたからだ。
「これからもリタのためにがんばってね、おにーちゃん♪」
子供っぽさの残るリタはオレンジと白のワンピース。
今はないけど、麦わら帽子も欲しいって言ってたし、おいおいクラフトしてやるか。
「何から何まで、ありがとうございます」
そしてエセルは、真っ黒なコートとへそ出しのパンツルック。
けっこう派手な格好だけど、故郷ではこの服装がお気に入りだったらしい。
ついでに俺も、深緑色の上着と白いシャツ、焦げ茶色のズボンをクラフトしておいた。
いつまでも制服なんてわけにもいかないし、もしも島の外に出る機会があれば、上下真っ黒の格好なんて怪しさ満載だろうしな。
「ま、布地はここじゃ獲れないだろうし、一張羅でしばらく我慢してくれ」
「どうでしょう。海岸沿いに綿のような植物を見ましたし、それを使ってクラフトすることはできないでしょうか?」
「そりゃいいな。服だけじゃなくて、他のアイテムのクラフトにも使えそうだ」
素材が増えれば増えるほどクラフトの範囲は広がるし、レベルも上がってゆく。
今の俺のクラフトレベルは2だから、本格的に開拓を始める前に、できるところまで上げておきたいところだ。
「とはいえ、今は家を作るのを優先しないとな」
ひとりごちてから、俺はクラフト画面を開いた。
いくつもあるアイテムから、テントの隣にある項目をタップする。
『《小さな木の家》:レベル2でクラフト可能。赤い屋根の小さなおうち。
必要素材:木系の素材(大)×10、石系の素材(中)×20、鉱物系の素材(小)×20、砂×10、布×5』
表示されたのは、小ぢんまりとした木の家だ。
当然、小さいとはいえ家をクラフトするんだから、素材の要求量も半端じゃない。
木材と石材で家を、砂でガラスを作るところまでは分かるんだが、そもそも砂を10個って、どう換算するんだ?
とりあえず山ほど集めまくればなんとかなるか。
「よーし、それじゃあ素材を集めていくか。エセル、この辺りで太い木が生えてるか、鉱物が採掘できそうなところはないか?」
「どちらも適した場所を知っています。自分が案内しますね」
エセルに連れられて、俺たちは自宅建設予定地を離れてゆく。
しばらく無人島を歩いて辿り着いたのは、鬱蒼と木々が茂った、まるでジャングルのような場所だ。
おまけに水がちょろちょろと流れる岩壁には、ところどころ、キラキラと光る鉱物のようなものが埋まっている。
こんなに分かりやすく素材が集まる場所があるなんて、相当ラッキーだな。
「そんじゃ、必要なものをざっくり伝えとくぞ。木が10本、ちょっと大きいくらいの石か鉱物が20個。それを全部揃えてから、海岸で砂を集めたら準備完了だ」
「分かりました。自分たちにまかせてください」
「オッケーだよ!」
「がんばってねぇ~♪」
腕を鳴らすエセルとジェシカはともかく、リタはやる気がないな。
ま、11歳の女の子に肉体労働をさせるほど、俺も鬼じゃねえよ。
「そんじゃ、俺もアイテムを使うとするか……クラフト!」
近くに落ちていた太めの木の枝と、平べったい石を指定して、クラフトメニューを開く。
光る画面をタッチすると、たちまち《石の斧》が作り出された。
「おお、こりゃ思ってるよりずっと鋭いじゃねーか。怪我しないよう、注意しないとな」
手に取った斧を使うのは俺じゃなくて、エセルたちの方だ。
女の子に重労働をさせるのは複雑な気持ちだけど、鍛えてもないし肉体労働も得意じゃない俺よりは、竜人族の方が絶対に効率よく作業できる。
それに、ぎらりと刃が光る斧を使えば、さほど体力を使わずにスパッと木を倒せるはず。
「エセル、ジェシカ。木を伐採する時は、この斧を使うと便利だぞ――」
俺はそう言って、ふたりに斧を渡そうとした。
「――せい、はッ!」
その必要はなかった。
エセルはなんと、俺の目の前で、水平チョップだけで木を薙ぎ倒してたんだ。
シータイガーを一撃でノックアウトした時も驚いたけど、鱗の生えた手で木を切っていくさまを見ると、流石に“すごい”よりも“怖い”が勝るぞ。
「えいえいえーいっ☆」
隣ではジェシカが、赤く太い尻尾で木をへし折ってる。
ほとんど力を入れてる様子もないし、多分お遊び程度であのパワーなんだろうな。
もしも俺が何かの拍子で三姉妹を怒らせて、本気の取っ組み合いになったら、グロテスクな結末に……考えるのはやめよう。
なんて考えながら俺が見てるそばで、スパスパ、バキバキ、木々が破壊されてゆく。
「ふう。虎太郎さん、これくらいあれば十分でしょうか」
こうしてあっという間に、俺の目の前に丸太が積み重ねられた。
「お、おう……そしたら次は、石と鉱物だな」
木の方はどうにかなるとしても、石みたいな硬い素材は同じようにはいかねえだろ。
だったら今度こそ、俺がクラフトしようとしてる《ピッケル》の出番だな。
細長い石と木で作る、採掘用のアイテムだ。
「見たところ相当堅そうだし、今度こそ俺の作った道具を使ってくれ。《ピッケル》っていう、鉱物を掘り出すのにうってつけの……」
「おにーちゃん、エセルおねーちゃんにそんなの必要ないから♪」
「え?」
クラフト画面をタップしようとした俺は、リタの言葉でぴたりと手を止めた。
彼女の指さす方向から、信じられない光景が飛び込んできたからだ。
「すぅー……せいッ!」
バキバキと強烈な音を鳴らして、エセルの正拳突きが岩に突き刺さっていた!
そしてなんと、拳の一撃で、岩壁から鉱物をえぐり出したんだ!
それから俺たちは洞窟を離れて、島の西の方にある開けた場所まで来た。
周りに木々があまりなくて日当たりも良く、すぐ後ろが切り立った崖になってるから、変なところからモンスターに襲われる心配がない。
しかも少し離れたところに川があって、水源にも困らない。
要するに、これからマイホームを建てるならうってつけの場所ってわけだ。
本当なら地面の質とかいろいろ気にしなきゃいけないんだろうけど、あくまでゲーム的なクラフトだし、その辺りはなんとかしてくれるだろ。
「今から新しい家を作るんだって! 楽しみだね、リタ!」
「ね~! 新しいお洋服ももらったし、おにーちゃんってけっこうやるかも~?」
ついでに、ここに来る途中に4人分の服もクラフトした。
新しい服を作るって言ったら、エセルどころか、ジェシカとリタも目の色を変えて、砂浜銃を走り回って漂着物から布切れを探してきた。
あとはメニュー画面から『カジュアルな服』を選択しつつ、俺が3人からもらった服の要望をイメージしつつ、クラフトすれば完成だ。
ちなみに三姉妹には、俺のクラフトスキルについては説明してある。
これから4人で無人島を開拓するんだから、隠し事はなしだ。
「うんうんっ! コタロー君も作ってくれた洋服も、私だーいすき!」
活発なジェシカはフード付きのジャケットとスカート、ブーツ。
スカートの中のスパッツだけじゃなくて、ブーツまでクラフトできたのは、追加で近くに落ちてたモンスターの皮を素材にしたからだ。
「これからもリタのためにがんばってね、おにーちゃん♪」
子供っぽさの残るリタはオレンジと白のワンピース。
今はないけど、麦わら帽子も欲しいって言ってたし、おいおいクラフトしてやるか。
「何から何まで、ありがとうございます」
そしてエセルは、真っ黒なコートとへそ出しのパンツルック。
けっこう派手な格好だけど、故郷ではこの服装がお気に入りだったらしい。
ついでに俺も、深緑色の上着と白いシャツ、焦げ茶色のズボンをクラフトしておいた。
いつまでも制服なんてわけにもいかないし、もしも島の外に出る機会があれば、上下真っ黒の格好なんて怪しさ満載だろうしな。
「ま、布地はここじゃ獲れないだろうし、一張羅でしばらく我慢してくれ」
「どうでしょう。海岸沿いに綿のような植物を見ましたし、それを使ってクラフトすることはできないでしょうか?」
「そりゃいいな。服だけじゃなくて、他のアイテムのクラフトにも使えそうだ」
素材が増えれば増えるほどクラフトの範囲は広がるし、レベルも上がってゆく。
今の俺のクラフトレベルは2だから、本格的に開拓を始める前に、できるところまで上げておきたいところだ。
「とはいえ、今は家を作るのを優先しないとな」
ひとりごちてから、俺はクラフト画面を開いた。
いくつもあるアイテムから、テントの隣にある項目をタップする。
『《小さな木の家》:レベル2でクラフト可能。赤い屋根の小さなおうち。
必要素材:木系の素材(大)×10、石系の素材(中)×20、鉱物系の素材(小)×20、砂×10、布×5』
表示されたのは、小ぢんまりとした木の家だ。
当然、小さいとはいえ家をクラフトするんだから、素材の要求量も半端じゃない。
木材と石材で家を、砂でガラスを作るところまでは分かるんだが、そもそも砂を10個って、どう換算するんだ?
とりあえず山ほど集めまくればなんとかなるか。
「よーし、それじゃあ素材を集めていくか。エセル、この辺りで太い木が生えてるか、鉱物が採掘できそうなところはないか?」
「どちらも適した場所を知っています。自分が案内しますね」
エセルに連れられて、俺たちは自宅建設予定地を離れてゆく。
しばらく無人島を歩いて辿り着いたのは、鬱蒼と木々が茂った、まるでジャングルのような場所だ。
おまけに水がちょろちょろと流れる岩壁には、ところどころ、キラキラと光る鉱物のようなものが埋まっている。
こんなに分かりやすく素材が集まる場所があるなんて、相当ラッキーだな。
「そんじゃ、必要なものをざっくり伝えとくぞ。木が10本、ちょっと大きいくらいの石か鉱物が20個。それを全部揃えてから、海岸で砂を集めたら準備完了だ」
「分かりました。自分たちにまかせてください」
「オッケーだよ!」
「がんばってねぇ~♪」
腕を鳴らすエセルとジェシカはともかく、リタはやる気がないな。
ま、11歳の女の子に肉体労働をさせるほど、俺も鬼じゃねえよ。
「そんじゃ、俺もアイテムを使うとするか……クラフト!」
近くに落ちていた太めの木の枝と、平べったい石を指定して、クラフトメニューを開く。
光る画面をタッチすると、たちまち《石の斧》が作り出された。
「おお、こりゃ思ってるよりずっと鋭いじゃねーか。怪我しないよう、注意しないとな」
手に取った斧を使うのは俺じゃなくて、エセルたちの方だ。
女の子に重労働をさせるのは複雑な気持ちだけど、鍛えてもないし肉体労働も得意じゃない俺よりは、竜人族の方が絶対に効率よく作業できる。
それに、ぎらりと刃が光る斧を使えば、さほど体力を使わずにスパッと木を倒せるはず。
「エセル、ジェシカ。木を伐採する時は、この斧を使うと便利だぞ――」
俺はそう言って、ふたりに斧を渡そうとした。
「――せい、はッ!」
その必要はなかった。
エセルはなんと、俺の目の前で、水平チョップだけで木を薙ぎ倒してたんだ。
シータイガーを一撃でノックアウトした時も驚いたけど、鱗の生えた手で木を切っていくさまを見ると、流石に“すごい”よりも“怖い”が勝るぞ。
「えいえいえーいっ☆」
隣ではジェシカが、赤く太い尻尾で木をへし折ってる。
ほとんど力を入れてる様子もないし、多分お遊び程度であのパワーなんだろうな。
もしも俺が何かの拍子で三姉妹を怒らせて、本気の取っ組み合いになったら、グロテスクな結末に……考えるのはやめよう。
なんて考えながら俺が見てるそばで、スパスパ、バキバキ、木々が破壊されてゆく。
「ふう。虎太郎さん、これくらいあれば十分でしょうか」
こうしてあっという間に、俺の目の前に丸太が積み重ねられた。
「お、おう……そしたら次は、石と鉱物だな」
木の方はどうにかなるとしても、石みたいな硬い素材は同じようにはいかねえだろ。
だったら今度こそ、俺がクラフトしようとしてる《ピッケル》の出番だな。
細長い石と木で作る、採掘用のアイテムだ。
「見たところ相当堅そうだし、今度こそ俺の作った道具を使ってくれ。《ピッケル》っていう、鉱物を掘り出すのにうってつけの……」
「おにーちゃん、エセルおねーちゃんにそんなの必要ないから♪」
「え?」
クラフト画面をタップしようとした俺は、リタの言葉でぴたりと手を止めた。
彼女の指さす方向から、信じられない光景が飛び込んできたからだ。
「すぅー……せいッ!」
バキバキと強烈な音を鳴らして、エセルの正拳突きが岩に突き刺さっていた!
そしてなんと、拳の一撃で、岩壁から鉱物をえぐり出したんだ!
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