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おっさん、新人冒険者の面倒を見る
未来のA級冒険者
しおりを挟む『遂に【創造神の試練】をクリアしましたよ、師匠! 聞こえますか、師匠?』
俺はMMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【矛盾】で師事した師匠で在るプレイヤーネーム【クマメタル】に連絡を取ったが、例の如く闘いに酔っているのだろう。全く反応が無い。
世界を震撼させた一千万オーバーキルのテロリスト【クマメタル】と同じ名前で、仮想現実世界に於いてプレイをするイカれた変態。何が如何為って、仮想現実世界に於いて、其のプレイヤーネームで登録が許可されたのか、首を傾げる事しきりだ。
『カルマ、やっぱり鳥は良いな! 空を自由に翔べる!』
イカれた変態は例の如く、俺の話は全く聞いていなかったようだ。はぁ、トランスしている師匠には何を言っても届かない。自分のルールを忠実に実行する災厄と化す。【殺られたら殺り返す】、至ってシンプルな其のルールに全てを懸ける狂人。
全てと言って良いプレイヤーから忌み嫌われる存在、【凶神】と呼ばれる禍々しい魂の燐光が師匠だった。
『師匠、またモンスタープレイですか? 楽しんでますね【アルグリア戦記】!』
『まあな、血のエフェクト処理以外は最高に、興奮するぜカルマ!』
『其処は仕様なので仕方ないですよ。諦めて下さい師匠。其れから俺やりましたよ。【創造神の試練】をクリアしました!』
『ほう、鬼畜仕様のマゾゲー(マゾヒズムを楽しむ変態のゲーム)シナリオをクリアするとは、お前はイカれてるよカルマ?』
否々、アンタにだけは言われたくないよ! イカれた変態が、俺を変態性嗜好者のように言うのは納得がいかない! 断固反対する!
『其れで、鬼畜シナリオの報酬は何だったんだ?』
『完全制覇クリアの特典は、一千億英雄ポイント券・身体能力値の限界突破券・スキル枠撤廃券・ユニークスキル創造券・特別シナリオ【ゲーム世界へ転生】の選択券が各一枚づつですね!』
中々、破格な特典内容だった。能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)を英雄ポイント分で、人種種族の成長限界値の上限を設定変更が出来る。但し、スタート時の能力値は初期設定値の侭なので、所謂俺Tueeeは出来ない。
スキル枠撤廃って、無限にスキルをセットして良いらしい。勿論、スキルもカスタマイズ可能だ。
【アルグリア戦記】では、キャラアバターごとにスキルレベルの成長上限値が設定されている。其の成長限界値を、英雄ポイントを使用してカスタマイズする。初期設定値は変更不可な仕様なので、最初からの俺Tueeeは勿論出来ない。
ユニークスキル創造って、もうチートだよね?
最後の特別シナリオ【ゲーム世界に転生】の選択券に至っては、インダストリア社の運営チームが悪乗りしてネーミングしたとしか思えないものだった。
『ほう、【ゲーム世界に転生】か? 浪漫じゃないか、本当に転生したりしてな! はっははははは~!』
豪快に笑う師匠に、『ははは、・・・・・・』と苦笑いで応答する俺だった。
『何にしても、楽しんで来いカルマ! 一回切りの人生だ、悔いの無いようにな!』
全くその通りだ。一回コッキリの人生だ。
俺は亡くなった幼馴染みの分も、人生を楽しむと決めていた。
『じゃあ、師匠! ゲーム世界に転生してきます! また連絡しますから、楽しみにしていて下さい!』
『おう! またなカルマ!』
----------
俺は珍しく戯けた調子のカルマとの通信を切った。そして、自分が為した闘いの顛末を見届ける。
地平線一杯に、人類だった骸が転がっている。
其の惨憺たる光景に、感情の無い目を向ける。
生きとし生けるもの全てが炭化していた。
其処は灼熱地獄の如く、焔の熱が充満していた。
俺は大空を滑空しながら、気持ち良く熱風と舞う。
凄いなカルマの奴。誰一人としてクリアした者がいない、鬼畜無理ゲーシナリオをクリアするとは。恐れ入ったぜ、俺には無理だ。退屈で死んじまう。何が楽しくて【カルマ値(行動に因るゲーム設定上の善悪の数値)】を調整しながら遊ばなければならないんだ。
「ふん、そんなものはクソ喰らえだ!」
俺は我道をいく。自分のルールに則って、【アルグリア戦記】を楽しむ。そんな大陸統一制覇の為に、楽しみを封印してまで作業ゲー(楽しみの無い行為を繰り返すゲーム)のような事なんか出来るかってんだ!
プレイヤーネーム【クマメタル】は、そう毒突くと真っ赤に燃える翼を翻し大空を羽ばたく。プレイアバター【ラフレシア】として、十の災厄の一角、【不死鳥】として災厄をバラ捲く。
アルグリア大陸の生きとし生きるもの全ての頂点で在る十個体の内の一体をプレイするクマメタルに取って、闘いとは殲滅を意味する。要するに皆殺しが、彼の流儀だった。
【十の災厄】には、縄張りから外には移動不可の制限が付く。故にアルグリア大陸の住民達は、十の災厄の勢力圏を侵さない。所属国家ごと滅ぼされた数多の教訓が、魂と脳髄に【畏怖】として刻み込まれていたからだ。
【不死鳥ラフレシア】の縄張りは、【アゾット炎獄】。炎が燃え盛る地獄のような火の監獄。誰も訪れない炎獄を守護する鳥は、焔を絶やす事無く、炎獄以外の空を翔ぶ事は叶わなかった。
自分が燃やし尽くした灰燼から立ち昇る命の残照を、美味しそうに吸い込み大空を翔び廻る。
アルグリア大陸の四十七国家を掌中に納める事を目指さず、全ての勢力を倒す殲滅プレイヤーである【クマメタル】にとって、【アルグリア戦記】とは現実の仕事の息抜きに他ならない。
攻撃されなければ、攻撃をしないルールを持つ【クマメタル】は、俺を攻撃しろ、毒饅頭を喰らえと、移動不可能な筈の縄張り外で、今日も陽気に【アルグリア大陸】を飛翔していた。
----------
『ぽ~ん♪ マスター、ようこそ仮想空間へ! 本日のご用命を、お伺いします!』
現実と仮想現実の世界とのエントランスである【ポータルサイトの案内人】の【ナリア】が、いつもの如く行き先を尋ねる。
『やあ、ナリア! 【アルグリア戦記】で頼む!』
蒼い瞳の蒼い毛玉の如き狸が、了解とばかりに、空中で可愛らしく頷ずく。
『いってらしゃいませ、マスター!』
『ああ、行って来る!』
----------
『【カルマ】さま! ようこそ、【アルグリア戦記】へ! 現在、継続プレイ中のアバターはご座いませんが、新規アバターでプレイを始められますか?』
純白の空間に浮かぶ執事服に身を包んだ黒猫の姿の、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】が、常に変わらない慇懃な動作でカルマを迎えた。
『ああ、ジョドー。今回は【ゲーム世界に転生】の【カルマ】でプレイするよ!』
『なるほど! 【創造神の試練】クリア特典ですかカルマさま? ほう、特別シナリオですね、・・・・・・【ゲーム世界に転生】? なんと厨二病溢れるネーミングでしょう! 此のジョドー、呆れを通り越して笑ってしまいそうです!』
そう言いながらも、全く感情を表に出さないポーカーフェイスの執事に、カルマは内心で苦笑をしてゲームスタートの準備を始める。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】を選択券で指定し、プレイアバター【カルマ】を選択する。
あれ、封印状態じゃないぞ? 如何なってるんだ?
キャラアバターのステータス情報を見ながら、カルマは訝しむ。
スキルと能力値欄で、ポイント固定の封印表示が無い!
はて、特別シナリオってイージーモードなの?
まあ、無いなら無いで問題は無い。
次に能力値を限界突破券で上限値を解除にして、英雄ポイントで上限一杯まで限界値を上げていく。
う、うん? あれ、未々上がり続けるぞ?
一千億英雄ポイント券を使用してポイントを獲得してと!
おっ! 百億英雄ポイントで【∞】に為ったぞ!
筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力の各能力値をマックスの【∞】まで上げる。
状態値である生命力・魔力・精神力・持久力は、育成次第で人種種族関係なく無限に成長が可能だった。
状態値まで【1】ポイント固定だったら、【創造神の試練】はクリア出来なかっただろう。
次にスキルだ。此れは悩むな。スキル枠撤廃券で制限を解除。現在所持している全てのスキルを付与するのは、容易い。
だが、スキルは生き物なのでスキル同士で相性が悪いと、逆に力を発揮出来ない。
目指すは両親の早世を阻止する。【創造神の試練】でアルグリア統一制覇を為し遂げた仲間達の無念を全て改変する。
其の為に全ての特典とポイントを使用して、プレイヤーネーム【カルマ】なら絶対にしない無双プレイを為ると決めていた。自重はしない。
十二万三十四回。合計でプレイアバター【カルマ】の両親が亡くなった回数だった。両親が脳裏情報で事切れる度に、胸の奥がチクリと痛んだ。自分の為に文字通り命を投げ出した両親。
辛苦を共にし、文字通り命を懸けて大陸統一制覇を為し遂げた仲間達。誰もが身体に、心に傷を負っていた。共に戦い共に笑い共に死んだ仲間達。何万回と見た戦友の死。無念の想い。全て俺が変えてやる。運命を覆し塗り直し改変する。
カルマはそう心に決めていた。
スキルの選定は、最終スキル構成を想定して逆算(目的地から逆に辿る算段)で作り上げていく。両親を仲間を助ける為、カルマは未来地(最終目標)を設定し、現在地(生まれた時)から小目標を設定し、ルートを設定していく。其れを為すスキル構成を的確に付与していくのだった。
お、アイテムの持ち込みも制限がないぞ?
スゲー、流石は特別シナリオ! やっぱり超イージーモードだ!
常のカルマなら喜ぶ処か、渋い顔に為る状況だが、何せ今回は万が一にも失敗は許されない。何故なら特別シナリオ券は一枚しかない。失敗すれば再度【創造神の試練】をクリアしても貰えるか不明だった。
過去のシナリオでもシナリオマラソン(特典目当てで何回も同じシナリオをプレイする事)での特典獲得防止の為に、初回しか獲得出来ない限定特典も存在したからだ。
ふ~ん、子孫での継承プレイは、不可なのか?
全てのカスタマイズを終えたカルマは、ジョドーに【ゲームスタート】を申告する。
『準備は万全のようですね。カルマさま、・・・・・・』
執事の言葉には、憂いがあった。顔には全く表さない感情が、ノンプレイヤーキャラクターを装うジョドーの心の裡に在った。
『如何したの、ジョドー? 何か心配事でも在るの?』
普段とは様子の違うジョドーにカルマは、小首を傾げる。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました! お元気で!』
『行って来、えっ?(何、お元気でって?)』
珍妙な顔をした侭のカルマが、エフェクト処理され分解されながら消えて往った。
To be continued! ・・・・・・
俺はMMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【矛盾】で師事した師匠で在るプレイヤーネーム【クマメタル】に連絡を取ったが、例の如く闘いに酔っているのだろう。全く反応が無い。
世界を震撼させた一千万オーバーキルのテロリスト【クマメタル】と同じ名前で、仮想現実世界に於いてプレイをするイカれた変態。何が如何為って、仮想現実世界に於いて、其のプレイヤーネームで登録が許可されたのか、首を傾げる事しきりだ。
『カルマ、やっぱり鳥は良いな! 空を自由に翔べる!』
イカれた変態は例の如く、俺の話は全く聞いていなかったようだ。はぁ、トランスしている師匠には何を言っても届かない。自分のルールを忠実に実行する災厄と化す。【殺られたら殺り返す】、至ってシンプルな其のルールに全てを懸ける狂人。
全てと言って良いプレイヤーから忌み嫌われる存在、【凶神】と呼ばれる禍々しい魂の燐光が師匠だった。
『師匠、またモンスタープレイですか? 楽しんでますね【アルグリア戦記】!』
『まあな、血のエフェクト処理以外は最高に、興奮するぜカルマ!』
『其処は仕様なので仕方ないですよ。諦めて下さい師匠。其れから俺やりましたよ。【創造神の試練】をクリアしました!』
『ほう、鬼畜仕様のマゾゲー(マゾヒズムを楽しむ変態のゲーム)シナリオをクリアするとは、お前はイカれてるよカルマ?』
否々、アンタにだけは言われたくないよ! イカれた変態が、俺を変態性嗜好者のように言うのは納得がいかない! 断固反対する!
『其れで、鬼畜シナリオの報酬は何だったんだ?』
『完全制覇クリアの特典は、一千億英雄ポイント券・身体能力値の限界突破券・スキル枠撤廃券・ユニークスキル創造券・特別シナリオ【ゲーム世界へ転生】の選択券が各一枚づつですね!』
中々、破格な特典内容だった。能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)を英雄ポイント分で、人種種族の成長限界値の上限を設定変更が出来る。但し、スタート時の能力値は初期設定値の侭なので、所謂俺Tueeeは出来ない。
スキル枠撤廃って、無限にスキルをセットして良いらしい。勿論、スキルもカスタマイズ可能だ。
【アルグリア戦記】では、キャラアバターごとにスキルレベルの成長上限値が設定されている。其の成長限界値を、英雄ポイントを使用してカスタマイズする。初期設定値は変更不可な仕様なので、最初からの俺Tueeeは勿論出来ない。
ユニークスキル創造って、もうチートだよね?
最後の特別シナリオ【ゲーム世界に転生】の選択券に至っては、インダストリア社の運営チームが悪乗りしてネーミングしたとしか思えないものだった。
『ほう、【ゲーム世界に転生】か? 浪漫じゃないか、本当に転生したりしてな! はっははははは~!』
豪快に笑う師匠に、『ははは、・・・・・・』と苦笑いで応答する俺だった。
『何にしても、楽しんで来いカルマ! 一回切りの人生だ、悔いの無いようにな!』
全くその通りだ。一回コッキリの人生だ。
俺は亡くなった幼馴染みの分も、人生を楽しむと決めていた。
『じゃあ、師匠! ゲーム世界に転生してきます! また連絡しますから、楽しみにしていて下さい!』
『おう! またなカルマ!』
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俺は珍しく戯けた調子のカルマとの通信を切った。そして、自分が為した闘いの顛末を見届ける。
地平線一杯に、人類だった骸が転がっている。
其の惨憺たる光景に、感情の無い目を向ける。
生きとし生けるもの全てが炭化していた。
其処は灼熱地獄の如く、焔の熱が充満していた。
俺は大空を滑空しながら、気持ち良く熱風と舞う。
凄いなカルマの奴。誰一人としてクリアした者がいない、鬼畜無理ゲーシナリオをクリアするとは。恐れ入ったぜ、俺には無理だ。退屈で死んじまう。何が楽しくて【カルマ値(行動に因るゲーム設定上の善悪の数値)】を調整しながら遊ばなければならないんだ。
「ふん、そんなものはクソ喰らえだ!」
俺は我道をいく。自分のルールに則って、【アルグリア戦記】を楽しむ。そんな大陸統一制覇の為に、楽しみを封印してまで作業ゲー(楽しみの無い行為を繰り返すゲーム)のような事なんか出来るかってんだ!
プレイヤーネーム【クマメタル】は、そう毒突くと真っ赤に燃える翼を翻し大空を羽ばたく。プレイアバター【ラフレシア】として、十の災厄の一角、【不死鳥】として災厄をバラ捲く。
アルグリア大陸の生きとし生きるもの全ての頂点で在る十個体の内の一体をプレイするクマメタルに取って、闘いとは殲滅を意味する。要するに皆殺しが、彼の流儀だった。
【十の災厄】には、縄張りから外には移動不可の制限が付く。故にアルグリア大陸の住民達は、十の災厄の勢力圏を侵さない。所属国家ごと滅ぼされた数多の教訓が、魂と脳髄に【畏怖】として刻み込まれていたからだ。
【不死鳥ラフレシア】の縄張りは、【アゾット炎獄】。炎が燃え盛る地獄のような火の監獄。誰も訪れない炎獄を守護する鳥は、焔を絶やす事無く、炎獄以外の空を翔ぶ事は叶わなかった。
自分が燃やし尽くした灰燼から立ち昇る命の残照を、美味しそうに吸い込み大空を翔び廻る。
アルグリア大陸の四十七国家を掌中に納める事を目指さず、全ての勢力を倒す殲滅プレイヤーである【クマメタル】にとって、【アルグリア戦記】とは現実の仕事の息抜きに他ならない。
攻撃されなければ、攻撃をしないルールを持つ【クマメタル】は、俺を攻撃しろ、毒饅頭を喰らえと、移動不可能な筈の縄張り外で、今日も陽気に【アルグリア大陸】を飛翔していた。
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『ぽ~ん♪ マスター、ようこそ仮想空間へ! 本日のご用命を、お伺いします!』
現実と仮想現実の世界とのエントランスである【ポータルサイトの案内人】の【ナリア】が、いつもの如く行き先を尋ねる。
『やあ、ナリア! 【アルグリア戦記】で頼む!』
蒼い瞳の蒼い毛玉の如き狸が、了解とばかりに、空中で可愛らしく頷ずく。
『いってらしゃいませ、マスター!』
『ああ、行って来る!』
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『【カルマ】さま! ようこそ、【アルグリア戦記】へ! 現在、継続プレイ中のアバターはご座いませんが、新規アバターでプレイを始められますか?』
純白の空間に浮かぶ執事服に身を包んだ黒猫の姿の、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】が、常に変わらない慇懃な動作でカルマを迎えた。
『ああ、ジョドー。今回は【ゲーム世界に転生】の【カルマ】でプレイするよ!』
『なるほど! 【創造神の試練】クリア特典ですかカルマさま? ほう、特別シナリオですね、・・・・・・【ゲーム世界に転生】? なんと厨二病溢れるネーミングでしょう! 此のジョドー、呆れを通り越して笑ってしまいそうです!』
そう言いながらも、全く感情を表に出さないポーカーフェイスの執事に、カルマは内心で苦笑をしてゲームスタートの準備を始める。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】を選択券で指定し、プレイアバター【カルマ】を選択する。
あれ、封印状態じゃないぞ? 如何なってるんだ?
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スキルと能力値欄で、ポイント固定の封印表示が無い!
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状態値まで【1】ポイント固定だったら、【創造神の試練】はクリア出来なかっただろう。
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だが、スキルは生き物なのでスキル同士で相性が悪いと、逆に力を発揮出来ない。
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其の為に全ての特典とポイントを使用して、プレイヤーネーム【カルマ】なら絶対にしない無双プレイを為ると決めていた。自重はしない。
十二万三十四回。合計でプレイアバター【カルマ】の両親が亡くなった回数だった。両親が脳裏情報で事切れる度に、胸の奥がチクリと痛んだ。自分の為に文字通り命を投げ出した両親。
辛苦を共にし、文字通り命を懸けて大陸統一制覇を為し遂げた仲間達。誰もが身体に、心に傷を負っていた。共に戦い共に笑い共に死んだ仲間達。何万回と見た戦友の死。無念の想い。全て俺が変えてやる。運命を覆し塗り直し改変する。
カルマはそう心に決めていた。
スキルの選定は、最終スキル構成を想定して逆算(目的地から逆に辿る算段)で作り上げていく。両親を仲間を助ける為、カルマは未来地(最終目標)を設定し、現在地(生まれた時)から小目標を設定し、ルートを設定していく。其れを為すスキル構成を的確に付与していくのだった。
お、アイテムの持ち込みも制限がないぞ?
スゲー、流石は特別シナリオ! やっぱり超イージーモードだ!
常のカルマなら喜ぶ処か、渋い顔に為る状況だが、何せ今回は万が一にも失敗は許されない。何故なら特別シナリオ券は一枚しかない。失敗すれば再度【創造神の試練】をクリアしても貰えるか不明だった。
過去のシナリオでもシナリオマラソン(特典目当てで何回も同じシナリオをプレイする事)での特典獲得防止の為に、初回しか獲得出来ない限定特典も存在したからだ。
ふ~ん、子孫での継承プレイは、不可なのか?
全てのカスタマイズを終えたカルマは、ジョドーに【ゲームスタート】を申告する。
『準備は万全のようですね。カルマさま、・・・・・・』
執事の言葉には、憂いがあった。顔には全く表さない感情が、ノンプレイヤーキャラクターを装うジョドーの心の裡に在った。
『如何したの、ジョドー? 何か心配事でも在るの?』
普段とは様子の違うジョドーにカルマは、小首を傾げる。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました! お元気で!』
『行って来、えっ?(何、お元気でって?)』
珍妙な顔をした侭のカルマが、エフェクト処理され分解されながら消えて往った。
To be continued! ・・・・・・
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これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
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スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
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