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9章 2021年 最愛の人

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「ね……乳首を……もっと舐めて? お願い」

 頬を染め、照れながらお願いする。十羽の『お願い』が蓮也をどれほど狂わせるか、十羽は知らない。
 濃厚な甘い色気に当てられた蓮也は「ああ、もう!」と言って突起を強く吸った。

「はん……っ」

 強烈な愉悦のせいで突起の先端が硬くなる。それを舌で転がされ、胸から体中に甘い痺れが走った。吸われ、舐められて下半身が疼く。蓮也も下半身に熱が戻ったようで、中心が再び屹立する。
 十羽は腰を浮かせて、猛ったそれを後孔にあてがった。

「ん……んん」

 上からゆっくりと腰を下ろし、屹立を受け入れた。体内にぞわぞわと悦楽が這い上がってくる。
 蓮也が堪らなそうに眉を八の字にさせた。

「十羽……」

 十羽の腰を押さえて下から突き上げる。

「あん!」

 彼の上で弾んだ十羽は悪魔的に妖艶だ。瞳は惚け、中心が喜ぶように揺れた。

「はぁ……ん……っ」

 でもただ悦楽に酔っているわけではない。蓮也に喜んでほしくて、彼が好きな強さで後孔にキュッと力を入れた。

「十羽……エロすぎるよ」

 繋がったまま、蓮也は十羽を押し倒した。膝裏を高く抱え上げ、熱塊を途中まで引き抜き、そして上から勢いよく貫く。

「ああぁっ! すごい……!」

 深い結合が十羽の理性を奪った。

「あぁっ、あぁっ!」

 律動に合わせて無意識に腰を振る。足指の先までとろける甘さに支配され、どうにかなってしまいそうだ。何度も何度も最奥を突かれ、漏れ出る声量がどんどん大きくなる。恥ずかしがる余裕はない。ベージュブラウンの髪を振り乱し、白い肌を薄紅色に上気させて全身で好きな人を感じた。

 蓮也も余裕なく律動を続ける。十羽の恍惚とした表情を見ながら悦楽を追う。

「十羽、綺麗だ……」
「あぁっ……ねぇ……もう……っ!」

 彼に抱かれる幸せが頂点に達し、強い射精感に襲われた。涙目でねだるように彼を見上げると、蓮也が猛然と奥を突いた。

「ああぁぁぁっ!」

 強烈な愉悦に身もだえながら達する。
 蓮也も十羽を抱きしめ、最奥に熱情を放った。

 温かいそれを受け止めた十羽の体は、充足感に包まれていった。息が上がって苦しいけれど、幸せでいっぱいである。満たされている、と強く感じる。
 硬い胸板に頬ずりをして甘えると、彼が頭上で鼻をすすった。

(蓮也君、泣いてるの?)

 心配になって彼の顔を覗く。
 蓮也は「なんでもないよ」と言ったが、その目には光るものがあった。

「やっと……やっと一緒にいられる。それが嬉しいんだ」

 十羽の胸が苦しいほど締めつけられた。彼は長い長いトンネルから抜けられたことを、やっと実感したのだ。

「これからはずっと一緒だよ。ずっと」
「ああ」

 二人で涙ぐみ、幸せを確かめるように抱き合った。
 寝室に午後の穏やかな日差しが差し込む。
 黄金色のイチョウの葉のように明るく、優しい日差しだった。
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