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9章 2021年 最愛の人
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蓮也は十羽を近くで守ると腹を決めた。
木工の勉強は国内で励んだ。海外に出なくても、探せば学びたい技術やデザインは国内に十分あった。寂しさから逃げるため、留学せずに良かったと思った。
やがて十羽は小学生になった。その頃、伊桜の自宅が区画整理のために立ち退きを迫られたので、それを機会に蓮也は家具職人として独立、工房『アトリエ・イザクラ』を立ち上げた。山奥で職人をしていた父の進一が天樹町に戻り、工房を手伝うことになった。
30歳を過ぎても女っ気がない息子を父は心配したが、蓮也は「待っている人がいる」とだけ言って木工に邁進した。
元々、子どもの頃から木工と十羽を愛している。それを貫くだけだ。たとえ変質者に間違われようと、変人だと揶揄されようと、十羽と必ず再会するために自分が信じる道を行く。
再会したときに『くたびれたおじさん』の姿では幻滅されるし、変質者に対抗するためには力が必要だ。蓮也は格闘技を習って体を鍛えた。
中学生になった十羽は美しさにますます磨きがかかった。自分が変質者に狙われやすいと自覚しており、表情はいつも憂いげだった。
できれば声をかけ、堂々と護衛をしたい。だができない。自分が知らないところで十羽は何度か嫌な思いをしたようで、やるせなかった。
蓮也は鬱屈した気持ちを木工製作にぶつけた。そんなとき、国際的なコンテストに出品したオーク材の椅子が最優秀賞を受賞した。それからは海外から注文が殺到、蓮也は家具職人というより家具デザイナーとして、家具の世界で一気に名を馳せることとなった。
おかげでアトリエの近くに一戸建ての自宅も購入できた。
成人した十羽は椎名デザイン事務所に就職、いよいよ牛丸と出会う。
蓮也は牛丸のことを少し調べてみた。
牛丸英太は元々、地味で無口な青年だった。大学を卒業後、一般企業に就職。その職場でゲイであることが知られ、同僚から避けられるようになり退職。その後、椎名デザイン事務所に再就職した。そのときに派手で明るい性格に転向。
本来の性格を押さえつけ、虚勢を張っているうちに牛丸の心は不安定に。夜のクラブで憂さを晴らすようになる。蓮也が気づいたときにはすでに大麻に手を出しており、闇に堕ちていく彼に手を差し伸べる人が誰もいなかったことに胸を痛めた。
「牛丸さん……。やっぱり、心が弱っていたんだ」
十羽は思わず呟いた。
牛丸がドアの前で泣きながら『どう生きたらいいのか、わからなくて……』と零した言葉は、どこか真実味を帯びていた。十羽を騙すため、油断させるためだけの嘘ではなかったのだ。
彼がもっと普通に話ができる人なら、同じゲイ同士、少しはわかり合えたかもしれないのにと、悲しくなる。
蓮也は頷き「かわいそうな男だ。でもあいつがやったことは許せることじゃない。逮捕されて自分を見つめ直す必要があると思ったよ」と言って話を続けた。
蓮也は十羽を守るために、椎名に近づいた。椎名から牛丸の情報を得られれば、護衛に役立つと思ったのだ。
最初はそれが目的だったが、椎名とデザインについて話しているうちに自然と意気投合した。
椎名は新進気鋭の家具デザイナーと知り合えて大喜び。互いに経営者としての相談事もあり、良い友人となった。
そしてついに、十羽が初めてタイムスリップした。10歳の蓮也に出会い、翌日、2021年に帰ってきた。
2度目のタイムスリップは数日だが、3度目は半年近くも十羽がいなくなる。十羽の母と椎名に手紙を送り、母が過度に心配しないよう定期的に絵を送った。様々な場所から絵を郵送し、十羽が旅をしているように見せかけた。逆に椎名のことは心配させ、椎名が牛丸の不安定さに気づくよう仕向けた。
月日は流れ、11月。十羽が3度目のタイムスリップから帰ってきた。
十羽は再会を約束した自分が迎えに来るのを待っている。だが会うことはできない。なぜなら、4度目のタイムスリップで過去に来た十羽が『42歳の蓮也には会っていない』と言ったから。
その歴史を守らなければ、目指すゴールにはたどり着けないだろう。迎えに行けないのは辛いが、耐えるしかない。
その日、蓮也は誰にも会わないつもりで自宅にこもって仕事に励んだ。ほんのわずかな時間、アトリエに顔を出したときに十羽から目撃されたことには気づかなかった。
4度目のタイムスリップの直前、十羽は牛丸から首を絞められ、襲われそうになる。
蓮也は椎名から応援を頼まれなくてもアパートへ行くつもりでいた。
いよいよ、運命の夜。
椎名を外階段の下に待機させ、十羽の部屋のドアに近づいた。首を絞められて苦しむ十羽の声が聞こえたときは、牛丸に対する怒りで腸が煮えくりかえりそうになった。薄いドアなど蹴破れる。今すぐ助けたい。
しかし十羽は『隣人がドアを叩いた』と言っていた。それまでは手出しできない。蓮也は怒りを必死に堪えて、スマホで音声を録音した。音声は逮捕へ繋がる重要な証拠になる。
それにしてもまさか、十羽が牛丸を誘うなんて予想外だった。すぐに録音をやめたので、警察に提出した音声データに十羽の妖艶な声は入っていない。十羽が牛丸を本気で誘うはずがないので、これは牛丸を撃退するための演技だろうと思ったけれど、内心ハラハラした。
隣人はまだ帰宅していない様子。このままでは本当に危ない。隣人の帰宅を待っていては十羽が襲われる。
(だったらドアを叩くのは、俺だ!)
蓮也は激しくドアを打ちつけ、隣人を装って「おい! さっきからうるさいぞ! 喧嘩なら外でやれ!」と叫んだ。
牛丸が外へ出てきたときは、怒りと嫉妬で思わず襟元を掴んでしまった。蓮也は牛丸に、この部屋の住人に暴力をふるっただろうと言って警察を呼んだ。
十羽がタイムスリップを経て過去から帰ってきたら、やっと再会できる。5度目のタイムスリップはない。あと少しで22年に及ぶ悲願を達成する。
その後、待ち望んだ人が帰ってきた──。
* * *
話を聞き終えた十羽は愕然とした。
蓮也が熱い茶をいれてくれたが、口をつけることもできない。幼少の頃に憧れた王子様が彼だとわかって驚いた。しかしそれ以上に、22年間も守られていたことに呆然となる。おかげで犯罪者の魔の手から、知らないところで何度となく助けられていたのだ。
思い起こせば子どもの頃、連れ去られそうになったときも、中学生の頃に電車で痴漢に遭ったときも、助けてくれたのは上背のある大人の男だった。礼を言ってもなぜか顔を背け、早々に立ち去ってしまった。あれは蓮也だったのだ。彼がいなければとっくの昔に強姦されていたかもしれない。
向かい側に座った蓮也が自嘲気味にフッと笑んだ。
「護衛と言えば聞こえはいいけど、見方を変えればストーカーだよな。しかも生まれたときから今までストーキングしてる。すごい執着だ。俺が一番の変質者なのかもしれない」
十羽は大きく首を横に振った。
「変質者なんかじゃないよ」
3度目のタイムスリップから帰ってきたとき、再会を約束した彼が会いに来てくれなかったのは、4度目があったから。4度目の前に会えば歴史が変わる。とにかく歴史を変えないよう、蓮也は耐えていた。そこまでして再会を望んでくれていたのだ。
「蓮也君……」
胸が打ち震える。彼に対し、他人行儀な敬語で喋るのはあんまりだろう。
「お、やっと昔と同じ呼び方になったな」
嬉しそうに微笑む彼は、20歳の頃より雄々しさと落ちつきがある。面立ちは以前にも増して凜としており、一体どれほどの女性からアプローチされたのだろうと、十羽は思いを馳せた。
「蓮也君は……今まで誰ともつき合ってないの?」
恐る恐る尋ねると、彼は顔色ひとつ変えず「ああ」と言った。
「気になるか? ま、22年だもんな。浮気したと思われても仕方ないか」
「疑ってるわけじゃないけど……」
「俺は元々木工バカだから、木工ができて十羽がいてくれたら、ほんとにそれでいいんだ」
ストイックでまっすぐな彼らしい言葉。嬉しくてありがたい。だけど……。
俯く十羽を見て、蓮也が首をかしげた。
「納得できない? でもほんとに誰ともつき合ってないよ。木工と護衛に忙しかったし。それになんといっても、十羽は運命の人だからな。絶対に諦めないって言っただろ? ……もしかして、俺の気持ちが重くて……引いてる?」
最後は不安げに問われ、十羽は慌ててかぶりを振った。
「そんなことない! すごく嬉しい。言葉では言い表せないくらい、すごく。ただ……」
どうしても気になることがある。
「ただ、あの女性と子どもは、誰なんだろうって」
「女性と、子ども?」
キョトンとした蓮也が、思い出したように「ああ!」と大きな声を発した。
「奥様と息子が、とか言ってたな! アトリエで会ったって?」
コクンと頷く。
「アトリエ・イザクラに行ったら、店長の女性と息子さんに会ったんだ。名字が伊桜だった。りょうちゃんっていう男の子は蓮也君にそっくりだったよ。蓮也君はその子を抱き上げて、幸せそうで……。りょうちゃんは蓮也君のことを、パパって……」
蓮也が「そっか! 見てたのか!」と言って破顔した。
「違う違う! あの女性は父さんの奥さんで、りょうちゃんは二人の子どもだ。父さん、再婚したんだよ!」
父の進一が『アトリエ・イザクラ』を手伝うようになってから数年後、進一が再婚した。再婚相手は蓮也と年が近い女性で、今は子どもに恵まれ、三人でアトリエの二階で幸せに暮らしている。りょうちゃんの名前は亮也。あの子どもは蓮也の異母弟だったのだ。
木工の勉強は国内で励んだ。海外に出なくても、探せば学びたい技術やデザインは国内に十分あった。寂しさから逃げるため、留学せずに良かったと思った。
やがて十羽は小学生になった。その頃、伊桜の自宅が区画整理のために立ち退きを迫られたので、それを機会に蓮也は家具職人として独立、工房『アトリエ・イザクラ』を立ち上げた。山奥で職人をしていた父の進一が天樹町に戻り、工房を手伝うことになった。
30歳を過ぎても女っ気がない息子を父は心配したが、蓮也は「待っている人がいる」とだけ言って木工に邁進した。
元々、子どもの頃から木工と十羽を愛している。それを貫くだけだ。たとえ変質者に間違われようと、変人だと揶揄されようと、十羽と必ず再会するために自分が信じる道を行く。
再会したときに『くたびれたおじさん』の姿では幻滅されるし、変質者に対抗するためには力が必要だ。蓮也は格闘技を習って体を鍛えた。
中学生になった十羽は美しさにますます磨きがかかった。自分が変質者に狙われやすいと自覚しており、表情はいつも憂いげだった。
できれば声をかけ、堂々と護衛をしたい。だができない。自分が知らないところで十羽は何度か嫌な思いをしたようで、やるせなかった。
蓮也は鬱屈した気持ちを木工製作にぶつけた。そんなとき、国際的なコンテストに出品したオーク材の椅子が最優秀賞を受賞した。それからは海外から注文が殺到、蓮也は家具職人というより家具デザイナーとして、家具の世界で一気に名を馳せることとなった。
おかげでアトリエの近くに一戸建ての自宅も購入できた。
成人した十羽は椎名デザイン事務所に就職、いよいよ牛丸と出会う。
蓮也は牛丸のことを少し調べてみた。
牛丸英太は元々、地味で無口な青年だった。大学を卒業後、一般企業に就職。その職場でゲイであることが知られ、同僚から避けられるようになり退職。その後、椎名デザイン事務所に再就職した。そのときに派手で明るい性格に転向。
本来の性格を押さえつけ、虚勢を張っているうちに牛丸の心は不安定に。夜のクラブで憂さを晴らすようになる。蓮也が気づいたときにはすでに大麻に手を出しており、闇に堕ちていく彼に手を差し伸べる人が誰もいなかったことに胸を痛めた。
「牛丸さん……。やっぱり、心が弱っていたんだ」
十羽は思わず呟いた。
牛丸がドアの前で泣きながら『どう生きたらいいのか、わからなくて……』と零した言葉は、どこか真実味を帯びていた。十羽を騙すため、油断させるためだけの嘘ではなかったのだ。
彼がもっと普通に話ができる人なら、同じゲイ同士、少しはわかり合えたかもしれないのにと、悲しくなる。
蓮也は頷き「かわいそうな男だ。でもあいつがやったことは許せることじゃない。逮捕されて自分を見つめ直す必要があると思ったよ」と言って話を続けた。
蓮也は十羽を守るために、椎名に近づいた。椎名から牛丸の情報を得られれば、護衛に役立つと思ったのだ。
最初はそれが目的だったが、椎名とデザインについて話しているうちに自然と意気投合した。
椎名は新進気鋭の家具デザイナーと知り合えて大喜び。互いに経営者としての相談事もあり、良い友人となった。
そしてついに、十羽が初めてタイムスリップした。10歳の蓮也に出会い、翌日、2021年に帰ってきた。
2度目のタイムスリップは数日だが、3度目は半年近くも十羽がいなくなる。十羽の母と椎名に手紙を送り、母が過度に心配しないよう定期的に絵を送った。様々な場所から絵を郵送し、十羽が旅をしているように見せかけた。逆に椎名のことは心配させ、椎名が牛丸の不安定さに気づくよう仕向けた。
月日は流れ、11月。十羽が3度目のタイムスリップから帰ってきた。
十羽は再会を約束した自分が迎えに来るのを待っている。だが会うことはできない。なぜなら、4度目のタイムスリップで過去に来た十羽が『42歳の蓮也には会っていない』と言ったから。
その歴史を守らなければ、目指すゴールにはたどり着けないだろう。迎えに行けないのは辛いが、耐えるしかない。
その日、蓮也は誰にも会わないつもりで自宅にこもって仕事に励んだ。ほんのわずかな時間、アトリエに顔を出したときに十羽から目撃されたことには気づかなかった。
4度目のタイムスリップの直前、十羽は牛丸から首を絞められ、襲われそうになる。
蓮也は椎名から応援を頼まれなくてもアパートへ行くつもりでいた。
いよいよ、運命の夜。
椎名を外階段の下に待機させ、十羽の部屋のドアに近づいた。首を絞められて苦しむ十羽の声が聞こえたときは、牛丸に対する怒りで腸が煮えくりかえりそうになった。薄いドアなど蹴破れる。今すぐ助けたい。
しかし十羽は『隣人がドアを叩いた』と言っていた。それまでは手出しできない。蓮也は怒りを必死に堪えて、スマホで音声を録音した。音声は逮捕へ繋がる重要な証拠になる。
それにしてもまさか、十羽が牛丸を誘うなんて予想外だった。すぐに録音をやめたので、警察に提出した音声データに十羽の妖艶な声は入っていない。十羽が牛丸を本気で誘うはずがないので、これは牛丸を撃退するための演技だろうと思ったけれど、内心ハラハラした。
隣人はまだ帰宅していない様子。このままでは本当に危ない。隣人の帰宅を待っていては十羽が襲われる。
(だったらドアを叩くのは、俺だ!)
蓮也は激しくドアを打ちつけ、隣人を装って「おい! さっきからうるさいぞ! 喧嘩なら外でやれ!」と叫んだ。
牛丸が外へ出てきたときは、怒りと嫉妬で思わず襟元を掴んでしまった。蓮也は牛丸に、この部屋の住人に暴力をふるっただろうと言って警察を呼んだ。
十羽がタイムスリップを経て過去から帰ってきたら、やっと再会できる。5度目のタイムスリップはない。あと少しで22年に及ぶ悲願を達成する。
その後、待ち望んだ人が帰ってきた──。
* * *
話を聞き終えた十羽は愕然とした。
蓮也が熱い茶をいれてくれたが、口をつけることもできない。幼少の頃に憧れた王子様が彼だとわかって驚いた。しかしそれ以上に、22年間も守られていたことに呆然となる。おかげで犯罪者の魔の手から、知らないところで何度となく助けられていたのだ。
思い起こせば子どもの頃、連れ去られそうになったときも、中学生の頃に電車で痴漢に遭ったときも、助けてくれたのは上背のある大人の男だった。礼を言ってもなぜか顔を背け、早々に立ち去ってしまった。あれは蓮也だったのだ。彼がいなければとっくの昔に強姦されていたかもしれない。
向かい側に座った蓮也が自嘲気味にフッと笑んだ。
「護衛と言えば聞こえはいいけど、見方を変えればストーカーだよな。しかも生まれたときから今までストーキングしてる。すごい執着だ。俺が一番の変質者なのかもしれない」
十羽は大きく首を横に振った。
「変質者なんかじゃないよ」
3度目のタイムスリップから帰ってきたとき、再会を約束した彼が会いに来てくれなかったのは、4度目があったから。4度目の前に会えば歴史が変わる。とにかく歴史を変えないよう、蓮也は耐えていた。そこまでして再会を望んでくれていたのだ。
「蓮也君……」
胸が打ち震える。彼に対し、他人行儀な敬語で喋るのはあんまりだろう。
「お、やっと昔と同じ呼び方になったな」
嬉しそうに微笑む彼は、20歳の頃より雄々しさと落ちつきがある。面立ちは以前にも増して凜としており、一体どれほどの女性からアプローチされたのだろうと、十羽は思いを馳せた。
「蓮也君は……今まで誰ともつき合ってないの?」
恐る恐る尋ねると、彼は顔色ひとつ変えず「ああ」と言った。
「気になるか? ま、22年だもんな。浮気したと思われても仕方ないか」
「疑ってるわけじゃないけど……」
「俺は元々木工バカだから、木工ができて十羽がいてくれたら、ほんとにそれでいいんだ」
ストイックでまっすぐな彼らしい言葉。嬉しくてありがたい。だけど……。
俯く十羽を見て、蓮也が首をかしげた。
「納得できない? でもほんとに誰ともつき合ってないよ。木工と護衛に忙しかったし。それになんといっても、十羽は運命の人だからな。絶対に諦めないって言っただろ? ……もしかして、俺の気持ちが重くて……引いてる?」
最後は不安げに問われ、十羽は慌ててかぶりを振った。
「そんなことない! すごく嬉しい。言葉では言い表せないくらい、すごく。ただ……」
どうしても気になることがある。
「ただ、あの女性と子どもは、誰なんだろうって」
「女性と、子ども?」
キョトンとした蓮也が、思い出したように「ああ!」と大きな声を発した。
「奥様と息子が、とか言ってたな! アトリエで会ったって?」
コクンと頷く。
「アトリエ・イザクラに行ったら、店長の女性と息子さんに会ったんだ。名字が伊桜だった。りょうちゃんっていう男の子は蓮也君にそっくりだったよ。蓮也君はその子を抱き上げて、幸せそうで……。りょうちゃんは蓮也君のことを、パパって……」
蓮也が「そっか! 見てたのか!」と言って破顔した。
「違う違う! あの女性は父さんの奥さんで、りょうちゃんは二人の子どもだ。父さん、再婚したんだよ!」
父の進一が『アトリエ・イザクラ』を手伝うようになってから数年後、進一が再婚した。再婚相手は蓮也と年が近い女性で、今は子どもに恵まれ、三人でアトリエの二階で幸せに暮らしている。りょうちゃんの名前は亮也。あの子どもは蓮也の異母弟だったのだ。
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