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六十四話 【ちょっとした会話】

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「ケイン聞こえる?」

 悪魔たち皆が戦場へと行ってしまい、寂しい城の中でウルエはケインの事を呼んだ。
 ちなみに、フェルはお風呂に入っている為、ウルエが自由なのは今だけだ。

『聞こえるぞ人間!!ヴェッヘッヘ!』

「元気そうで何より。あのエルフはどうしてるの?」

 ウルエはケインの元気いっぱいの声をきき、
 元気であることを確認してから例のエルフがどうしているか気になり尋ねた。
 迷宮の最上階に飛ばされている為、問題を起こして周りに迷惑を掛ける事は無いが、
 果たして何をしているのか気になる。

『アイツなら元気だぞ?何やら触手型の魔物が欲しいと言っていたから
 召喚してやったら満足そうな顔で部屋に籠りきりだ!!』

「そ、そうなんだ、なら安心だね」

 触手型の魔物と部屋に籠り何をしているのだろうか。
 などという野暮な疑問は抱かない。
 あのエルフの事だ。さぞかしお楽しみの時間を過ごしているのだろう。
 
『ところで、何時頃学園に戻ってくるんだ?』

「ん~、戦争次第だから分からないな~でも暫くは帰れないと思うよ」

『そうか、分かったぞ人間!!その間俺様は迷宮の改装を行う!!
 帰ってきたら腰抜かすぞ!!ヴェッヘッヘッヘッヘ!!』

 冒険者も学園の生徒も居ない以上、迷宮にやってくる者は存在しない。
 その期間を利用して迷宮内の改装をすると決めたケイン。
 ウルエが腰を抜く姿を想像しただけで笑いが止まらない様だ。

「楽しみにしてるよ」

『ヴェッヘッヘ!!魔物も強化してやるぞ!!
 強くなって帰ってくるのだな人間!!』

 正直に言って魔物が強化されるのは困るのだが、
 友達がそう言うのだからマイナスな事は言わない。
 頑張ってくれているのならばウルエはそれに全力で対応するのみ。
 
「うん!じゃあまたね!!」

『ああ、またな!ヴェッヘッヘ!』

 何が面白くていつも笑っているのだろうか。
 ウルエはそんな事を思ったりもしたが、その理由は簡単で、
 親友と話せること事態が楽しくてしょうがないのだ。
 
「さて」

 ケインとの会話を終えたウルエは何をしようかと頭を悩ます。
 フェルはまだお風呂に入っている為まだ時間は残されている。
 一応彼女も女なので風呂は結構長い方だ。

「コール!」

 女神エミと話をしようとエミの事を呼ぶ。
 部屋の中に眩い光が溢れ可憐な彼女の姿が現れる。

「ウルエ、嬉しい」

「ん?」

「今回は早めのコールだった。私幸せ……でも、最近念話つかってない」

「っ!!」

 エミから教えてもらった魔法念話。
 念じるだけで脳内で会話が出来るというかなり便利な魔法だったのだ、
 ウルエはすっかりそのことを忘れており、エミにそう言われビクリと身体を跳ねさせた。

「や、やっぱ、直接会って話したいからさ……」

 忘れていたなど口が急けても言えないので、
 何とか信じてくれそうな言葉を言ってごまかす。

「そっか、嬉しい――でも、もうお別れみたい」

「え?」

 まだ呼んだばかりなのにも関わらずエミがそう残念そうに呟いた。
 一体なぜなのだろうか、疑問が生まれる。

「風呂あがったよ」

「え!?早い……ごめんね。あとで念話するから!」

 早速思い出した念話を利用する機会をすくり、
 決して忘れていた訳では無いアピールをするウルエ。
 
「わかった、ばいばい」

「うん!」

 エミの姿が消え、何だか申し訳ない気持ちになりつつも
 ウルエは大人しくフェルの帰りを待った。
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