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1章

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 王の執務室には王と宰相が執務を行っていた。

 すると突然、部屋全体が光に包まれる。

 そこに現れたのは、先程教会にいた時の服ではなく、黒を基調とした騎士服のような服を着た月たちだった。

「誰だ!」

 宰相が王を守るために、前に出る。

「おいっ!
 外の騎士は何をしているのだ!」

「黙れ。
 騒いでも無駄だ。」

「はぁ?
 なんだ、その口の聞き方は!
 無礼だぞ!」


「うるさいと言っている。」

 途端に輝夜から殺気が放たれた。
 その殺気を感じて、自分では敵わないと思った宰相は外にいる騎士を呼ぶ。

「おいっ!
 早くこの無礼者を捉えるのだ!」

「だから、無駄だと言っているだろう?
 この部屋の声は届いていない。
 なぜなら、
 この世界は今、時が止まっているのだから。」


「「は?」」


 輝夜が冷たく言い放った言葉に王と宰相は混乱する。

「な、何を言っているのだ!?
 もし、そうだとしても我々は動いているではないか!」

「お前こそ何を言っているのだ?
 お前たちだけ、時を進めればいい話だろう?」

 輝夜は首を捻って、当たり前のことのように言った。

 この時点で、普通の侵入者ではないことは明らかだ。

 王が要件を聞くために口を開こうとした時、ふと月たちが着ている服の紋章に目がいった。

 そして、目を見張ることになった。

「そ、その紋章は……!」

 宰相も王の言葉によって、自然と紋章を目にしていた。

 そして、一瞬にして青ざめた。


「へぇ、わかるんだ。
 下等生物の癖に。」


 輝夜が見下すように言った。

 輝夜が睨みつけると王と宰相は体が膠着して動けない。

「輝夜様。
 要件を忘れてはいませんか?」

「大丈夫だ。
 今、思い出した。」

 輝夜は執務室のソファに座り、膝の上に月を乗せて気分を落ち着けた。
 それによって王と宰相の膠着は無くなった。

「さて、これからの話をしよう。
 今回はある目的があって、この世界に来た。」

「は、はいっ!!
 なんなりとお申し付けください!」

 王と宰相は酷く怯えていた。


「今回の目的は────────……。」


「え、?」


「その目的のために、お前たちには契約をしてもらう。」




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