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1章
6
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次の日
ルーゼルは子供たちがいる部屋へ向かっていた。
執事もついて来ている。
子供たちがいる部屋に着いてルーゼルがドアを開けた。
そこには、背の高い方の子供が起きてもう1人の子供の頭を撫でながら、こちらを見ていた。
昨日は、閉ざされていて見ることが出来なかったその瞳は青色と黄色のオッドアイで、とても透き通っていてとても綺麗だ。
子供はルーゼルたちにきずくと、もう1人の子供を抱えたと思うとその場から消えた。
ルーゼルが慌ててまわりを見渡すと、子供たちは、部屋の隅にいた。
ルーゼルは驚愕し、瞬時に理解した。
今、目の前にいる子供は一瞬にして移動したことを。
そして、ルーゼルは信じられなかった。
リーベルト王国の騎士団長であるルーゼルの目で追えないほどの速度で移動したことを。
フェンリルたちは子供の横にいる。
ルーゼルが考えているうちにも、子供は警戒を続けている。
そして、子供が言った。
「………誰。」
透き通った声だった。
その一言でルーゼルは1度思考をやめ、答えた。
「私は、この国リーベルト王国の騎士団長をしているルーゼル・フォン・カーネル公爵だ。」
「リーベルト王国…。」
「ところで、何故森にいた?」
「………分からない。」
「分からない?」
「何故ここにいるのか。
何の目的で森にいたのか。」
「………。」
子供の声は焦っている訳でもなく、表情からも焦りが感じられなかった。
しかし、この時のルーゼルは何故か目の前の子供が嘘をついている様には見えなかった。
「記憶喪失なのか?」
「分からない。」
「じゃあ、何か分かっていることはあるか。」
「自分たちのこと。」
「そうか。なら名前を教えてくれ。」
「俺が輝夜。
寝ているのは月。
黄の瞳の方が春夜。
青の瞳の方が冬夜。」
「ここら辺では聞かない名前だな。」
ルーゼルは輝夜たちが遠くの国から来たのだと考えた。
そうなると、親を探そうにも見つけるのは難しい。
「フェンリルたちとはどんな関係だ?」
「………従魔。」
「従魔だと!?」
フェンリルは最上級魔獣の中でも最も強い魔獣で、普段は大陸の中心にある黒の魔境の中心部に数体いるとされている魔獣だ。
ルーゼルは春夜たちがそもそもフェンリルではないことにもきずいていない。
ルーゼルはフェンリルを警戒したが、襲ってくる様子はなかったので警戒を解いた。
そして、さらなる質問をする。
「出身はどこだ?
親はどこにいる?」
「出身は分からない。
親もいない。」
「!?……そうか。」
「気にしないでいい。」
気まずい空気がその場に流れる。
ルーゼルは空気を変えるため、話を変えた。
「さて、これからの話だがまずお前たちからは魔力が感じられる。
そこで、魔力検査を行うことにした。」
「………魔力検査?」
「魔力検査とはその名の通り魔力の量を測る検査だ。
魔力がある者は貴族の養子になり、教育を受けるのが普通だ。
少なければ下級貴族、多ければ上流貴族の養子になることになる。
そのための検査だ。」
「わかった。」
「それと一緒に適性検査も行う。
検査は明日だ。
今日はゆっくり休んでくれ。
何かあればベルを鳴らせ。」
そう言ってルーゼルはドアに向かって行くが、思い出した様にこちらを向いて言った。
「そろそろ警戒を解いてくれないか。」
「…………。」
輝夜は無言だったが、ルーゼルは気にせずそのまま帰って行った。
ルーゼルが帰って行くと輝夜は呟いた。
「本当に人間は意味が分からないな……。」
ルーゼルは子供たちがいる部屋へ向かっていた。
執事もついて来ている。
子供たちがいる部屋に着いてルーゼルがドアを開けた。
そこには、背の高い方の子供が起きてもう1人の子供の頭を撫でながら、こちらを見ていた。
昨日は、閉ざされていて見ることが出来なかったその瞳は青色と黄色のオッドアイで、とても透き通っていてとても綺麗だ。
子供はルーゼルたちにきずくと、もう1人の子供を抱えたと思うとその場から消えた。
ルーゼルが慌ててまわりを見渡すと、子供たちは、部屋の隅にいた。
ルーゼルは驚愕し、瞬時に理解した。
今、目の前にいる子供は一瞬にして移動したことを。
そして、ルーゼルは信じられなかった。
リーベルト王国の騎士団長であるルーゼルの目で追えないほどの速度で移動したことを。
フェンリルたちは子供の横にいる。
ルーゼルが考えているうちにも、子供は警戒を続けている。
そして、子供が言った。
「………誰。」
透き通った声だった。
その一言でルーゼルは1度思考をやめ、答えた。
「私は、この国リーベルト王国の騎士団長をしているルーゼル・フォン・カーネル公爵だ。」
「リーベルト王国…。」
「ところで、何故森にいた?」
「………分からない。」
「分からない?」
「何故ここにいるのか。
何の目的で森にいたのか。」
「………。」
子供の声は焦っている訳でもなく、表情からも焦りが感じられなかった。
しかし、この時のルーゼルは何故か目の前の子供が嘘をついている様には見えなかった。
「記憶喪失なのか?」
「分からない。」
「じゃあ、何か分かっていることはあるか。」
「自分たちのこと。」
「そうか。なら名前を教えてくれ。」
「俺が輝夜。
寝ているのは月。
黄の瞳の方が春夜。
青の瞳の方が冬夜。」
「ここら辺では聞かない名前だな。」
ルーゼルは輝夜たちが遠くの国から来たのだと考えた。
そうなると、親を探そうにも見つけるのは難しい。
「フェンリルたちとはどんな関係だ?」
「………従魔。」
「従魔だと!?」
フェンリルは最上級魔獣の中でも最も強い魔獣で、普段は大陸の中心にある黒の魔境の中心部に数体いるとされている魔獣だ。
ルーゼルは春夜たちがそもそもフェンリルではないことにもきずいていない。
ルーゼルはフェンリルを警戒したが、襲ってくる様子はなかったので警戒を解いた。
そして、さらなる質問をする。
「出身はどこだ?
親はどこにいる?」
「出身は分からない。
親もいない。」
「!?……そうか。」
「気にしないでいい。」
気まずい空気がその場に流れる。
ルーゼルは空気を変えるため、話を変えた。
「さて、これからの話だがまずお前たちからは魔力が感じられる。
そこで、魔力検査を行うことにした。」
「………魔力検査?」
「魔力検査とはその名の通り魔力の量を測る検査だ。
魔力がある者は貴族の養子になり、教育を受けるのが普通だ。
少なければ下級貴族、多ければ上流貴族の養子になることになる。
そのための検査だ。」
「わかった。」
「それと一緒に適性検査も行う。
検査は明日だ。
今日はゆっくり休んでくれ。
何かあればベルを鳴らせ。」
そう言ってルーゼルはドアに向かって行くが、思い出した様にこちらを向いて言った。
「そろそろ警戒を解いてくれないか。」
「…………。」
輝夜は無言だったが、ルーゼルは気にせずそのまま帰って行った。
ルーゼルが帰って行くと輝夜は呟いた。
「本当に人間は意味が分からないな……。」
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