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第6章
6-7 クルミさん、俺たちって、ダンジョンが向いていないのでしょうか?
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次の朝、サトルとクルミはダンジョンに潜って今日から大冒険が始まるはずだった……
ダンジョンに潜るのだと張り切ってサトルは朝からキャンピングカーの中でクルミと”おせっせ”をしていた。何で”おせっせ”をしていたのかは、シローとスミレが昨夜のうちに出かけたので遠慮はなかった。”おせっせ”のおかげで二人の魔素がMaxまで高まっていたが、その事に二人は気づいてはいなかった。
「クルミさん、そろそろピリス・ダンジョンに行きましょうよ」
「もう、サトルが朝からエッチなことを♡するから、出発が遅れてしまったじゃない」
「クルミさん、出かけましょう」
「サトル、10分だけ待って」
10分後、クルミの身支度が終わったのでサトルはキャンピングカーを収納にしまって、二人で歩いてピリス・ダンジョンに向かったのだった。ダンジョン前の両側には武器屋、防具屋、ポーション屋、携行食品屋と、冒険に必要なアイテムは全て揃っていたが、見てるだけで二人は何も買わなかったのだ。受付でダンジョンの入場料を銅貨3枚を払って入り口に並んでいた。
サトルとクルミは神様から短剣型魔導銃の使用は禁じられていたので、サトルは具現化で黒の鞘の忍者刀を作って腰に差していた。クルミもサトルが作った赤い鞘の忍者刀を腰に差していた。
「君たち、変わったソードを持っているね」
声を掛けてきたのは、サトルより少し年上のカップルだった。二人の格好は革鎧を装備して如何にも冒険者らしい格好をしていた。
「忍者刀です」
「ニンジャトウ???」
「私達の国の古い武器ですよ」
「へぇ~、変わった剣だったので声を掛けたんだよ」
「俺はマリオ、こっちは恋人のロベルタだ」
「サトルとクルミです」
ようやく、前が空いたので4人はピリス・ダンジョンにへと入っていった。ダンジョン1階はホーンラビットが出てきた。
「サトル、魔素を練ってね」
「クルミさん、サポートお願いします」
パシュッ、サトルが剣を振ると稲妻が飛び、ホーンラビットに当たって倒れた。
「サトル、当たったね」
「クルミさん、ありがとう」
サッと子どもが二人の前を横切ってホーンラビットの角を拾っていった。
「お前ら、もたもたしていると子どもたちにホーンラビットの角を全部拾われるぞ」
「えっ、何でですか?」
「1階と2階は孤児対策として子どもたちにダンジョンのドロップ品で手柄を与えているのさ」
「そうなんですか?」
「俺は冒険者ギルド職員のドゴルドだ」
「サトルとクルミです」
「お前たち、中級者講習を受けたなら3階から始めた方がいいぞ」
「はい、ありがとうございます」
「サトル、早く3階に行きましょう」
「ドゴルドさん、ありがとうございます」
2階を飛ばして3階に降りていくと、マリオとロベルタが派手な立ち回りを演じていたので、しばらく観察することにした。
「クルミさん、、マリオさんとロベルタさんがオークと戦っているよ」
「へえ~、オークって豚人間だからやっぱり剣が有効なんですね」
「サトル、よそ見ばかりしていないでしっかりと前を見て」
ジュバッ、オークは倒れて肉の包みになった。
「ありえねー、何でオークが直ぐに肉の包になるのよー」
「サトル、ダンジョンだから当たり前でしょう」
「サトル、早く収納にしまわないと肉が消えちゃうよ」
「クルミさん、オッケーです」
「クルミさん、俺たちこんな地味な戦いをする為に、昨日一日魔法の練習をしたのですか?」
「サトル、オークがまた来たわよ、ぐだぐだ文句を言っていないで体を動かすのよ」
バシュッ、サトルが忍者刀で切ると、肉の包がまた出てきた。
「クルミさん、俺は、シローさんたちのやり方の方が面白くて好きですね」
「そうね、私もそう思うわ」
「クルミさん、俺たちって、ダンジョンが向いていないのでしょうか? 今から外に出ます」
「サトル、ダンジョンから出ては駄目よ、神様との約束だから今日と明日はダンジョンから出ることは絶対に禁止よ」
「え~、クルミさん、そんなこと言わないで~」
「サトル、駄目ったら、駄目、絶対に駄目よ」
「今日はダンジョンでお泊まりするから」
「クルミさん、わかりました。もう、わがままは言わないです」
「クルミさん、今後の予定はどうするのですか?」
サトルはようやく決心が固まったので二人は3階に設けられた初心者用セーフエリアで休憩することにした。
◇ ◇ ◇ ◇
「クルミさん、ラギュエルのアドバイスが全く無いと本当に辛いですよね」
「普通の冒険者はタブレットなんて持っていないわよ」
「そうですよね」
二人はカモフラージュ用の革の冒険者バックからコップを出して水を飲んだ。飲料水は誰でも生活魔法を使えるのでこの世界での冒険者が使う革水筒はワインを入れる道具だった。各階に設けられているセーフエリアは他にもう一組4人の冒険者パーティが休憩をしていた。
4人の冒険者パーティを観察していると冒険者鞄から干し肉、硬い黒パン、ドライフルーツを出してかじっていた。
4人の冒険者パーティがセーフエリアから出ていったのでサトルは収納から創造で作ったおやつを出した。
「クルミさん、固形バーをこっそり生成しました」
「サトル、ありがとう。でもパサパサするね」
「そうですね、味は元の世界に近いと思いますが、他の人の目もあるので大っぴらに創造魔法が使えないです」
「クルミさん、4階に降りてみますか?」
「そうしましょう」
「クルミさん、もらった地図だとこの階もオークのようですね」
「3階と同じかしら?」
「サーチを使いましょう」
「サーチ」
「中程の大部屋にオークが20体固まっています」
「サトル、援護するね」ね
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、前衛の5体のオークはサトルの忍者刀の雷撃で全て死んでいった。
「私も援護するわ」
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、5体のオークはクルミが放った忍者刀の雷撃で全て死んでいった。
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー
「クルミさん、俺はこっちの方がやり甲斐があります」
「サトル、油断しないで」
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー
「ふう~、クルミさん討伐完了です」
「サトル、ちょっと待ってて」
「サーチ、大丈夫のようね」
「すごいわ、オークの魔石よ」
「全て回収していきましょう」
「やっぱりね、ダンジョンの中だと全くレベルが上がないですね」
「そうよね」
「サトル、今からキャンピングカーまで戻りましょうよ」
「転移門を出して」
「えっ、クルミさん、今からですか?」
「そうよ」
「いいですよ」
ビュルル、ビュルル、サトルとクルミは繋がったまま魔素を還流させていた。二人の魔素の還流によってレベルアップがいつも通りに行われたのだった。
ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン
「あれ~、サトル、レベルが上がる音が鳴り続けているよ」
「クルミさん、本当ですね。俺も鳴っています」
「ラギュエル」
「……」
タブレットの画面には『只今、更新中です。明後日までお待ちください』と画面表示されいてラギュエルは呼びかけても全く反応がなかった。
「クルミさん、ラギュエルは更新中で使えないですね」
「そうね、レベルが上がるとタブレットがが更新するって、シローさんが言っていたね」
「クルミさん、そうなると、明日もダンジョン行きは決定ですね」
「そのようね」
「クルミさん、明日のお昼はサンドイッチにしませんか?」
「そうね、それなら他の冒険者に見られても誤魔化せるね」
サトルは田舎パンをサンドイッチ用に薄くスライスした。クルミさんは卵焼いてたまごサンドを作ってくれた。もう一品はドロップしたオーク肉を油で揚げてオークカツサンドを作ったのだった。
「サトル、調理人のスキルは本当に便利だわ」
「そうですね、チート様々ですよね」
「ねえ、サトル、冒険者ギルドの食堂に行ってみない?」
「そうよ、情報収集も勉強だと思うわ」
「クルミさん、念の為に忍者刀を帯剣するのとスタンガンを携帯していきましょう」
「自己防衛は必要よね」
「転移門を冒険者ギルドの裏庭に繋げます」
「任せたわ」
夕方から夜にかけて冒険者ギルドの酒場は多くの冒険者で賑わっていた。女性冒険者のグループも男冒険者に混じって酒を飲んでいた。酒場が初めてのサトルとクルミは空いている席に座ってとりあえずスパークリングワインを注文した。
(話終わり)
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自己都合により新しく再投稿しています。
ダンジョンに潜るのだと張り切ってサトルは朝からキャンピングカーの中でクルミと”おせっせ”をしていた。何で”おせっせ”をしていたのかは、シローとスミレが昨夜のうちに出かけたので遠慮はなかった。”おせっせ”のおかげで二人の魔素がMaxまで高まっていたが、その事に二人は気づいてはいなかった。
「クルミさん、そろそろピリス・ダンジョンに行きましょうよ」
「もう、サトルが朝からエッチなことを♡するから、出発が遅れてしまったじゃない」
「クルミさん、出かけましょう」
「サトル、10分だけ待って」
10分後、クルミの身支度が終わったのでサトルはキャンピングカーを収納にしまって、二人で歩いてピリス・ダンジョンに向かったのだった。ダンジョン前の両側には武器屋、防具屋、ポーション屋、携行食品屋と、冒険に必要なアイテムは全て揃っていたが、見てるだけで二人は何も買わなかったのだ。受付でダンジョンの入場料を銅貨3枚を払って入り口に並んでいた。
サトルとクルミは神様から短剣型魔導銃の使用は禁じられていたので、サトルは具現化で黒の鞘の忍者刀を作って腰に差していた。クルミもサトルが作った赤い鞘の忍者刀を腰に差していた。
「君たち、変わったソードを持っているね」
声を掛けてきたのは、サトルより少し年上のカップルだった。二人の格好は革鎧を装備して如何にも冒険者らしい格好をしていた。
「忍者刀です」
「ニンジャトウ???」
「私達の国の古い武器ですよ」
「へぇ~、変わった剣だったので声を掛けたんだよ」
「俺はマリオ、こっちは恋人のロベルタだ」
「サトルとクルミです」
ようやく、前が空いたので4人はピリス・ダンジョンにへと入っていった。ダンジョン1階はホーンラビットが出てきた。
「サトル、魔素を練ってね」
「クルミさん、サポートお願いします」
パシュッ、サトルが剣を振ると稲妻が飛び、ホーンラビットに当たって倒れた。
「サトル、当たったね」
「クルミさん、ありがとう」
サッと子どもが二人の前を横切ってホーンラビットの角を拾っていった。
「お前ら、もたもたしていると子どもたちにホーンラビットの角を全部拾われるぞ」
「えっ、何でですか?」
「1階と2階は孤児対策として子どもたちにダンジョンのドロップ品で手柄を与えているのさ」
「そうなんですか?」
「俺は冒険者ギルド職員のドゴルドだ」
「サトルとクルミです」
「お前たち、中級者講習を受けたなら3階から始めた方がいいぞ」
「はい、ありがとうございます」
「サトル、早く3階に行きましょう」
「ドゴルドさん、ありがとうございます」
2階を飛ばして3階に降りていくと、マリオとロベルタが派手な立ち回りを演じていたので、しばらく観察することにした。
「クルミさん、、マリオさんとロベルタさんがオークと戦っているよ」
「へえ~、オークって豚人間だからやっぱり剣が有効なんですね」
「サトル、よそ見ばかりしていないでしっかりと前を見て」
ジュバッ、オークは倒れて肉の包みになった。
「ありえねー、何でオークが直ぐに肉の包になるのよー」
「サトル、ダンジョンだから当たり前でしょう」
「サトル、早く収納にしまわないと肉が消えちゃうよ」
「クルミさん、オッケーです」
「クルミさん、俺たちこんな地味な戦いをする為に、昨日一日魔法の練習をしたのですか?」
「サトル、オークがまた来たわよ、ぐだぐだ文句を言っていないで体を動かすのよ」
バシュッ、サトルが忍者刀で切ると、肉の包がまた出てきた。
「クルミさん、俺は、シローさんたちのやり方の方が面白くて好きですね」
「そうね、私もそう思うわ」
「クルミさん、俺たちって、ダンジョンが向いていないのでしょうか? 今から外に出ます」
「サトル、ダンジョンから出ては駄目よ、神様との約束だから今日と明日はダンジョンから出ることは絶対に禁止よ」
「え~、クルミさん、そんなこと言わないで~」
「サトル、駄目ったら、駄目、絶対に駄目よ」
「今日はダンジョンでお泊まりするから」
「クルミさん、わかりました。もう、わがままは言わないです」
「クルミさん、今後の予定はどうするのですか?」
サトルはようやく決心が固まったので二人は3階に設けられた初心者用セーフエリアで休憩することにした。
◇ ◇ ◇ ◇
「クルミさん、ラギュエルのアドバイスが全く無いと本当に辛いですよね」
「普通の冒険者はタブレットなんて持っていないわよ」
「そうですよね」
二人はカモフラージュ用の革の冒険者バックからコップを出して水を飲んだ。飲料水は誰でも生活魔法を使えるのでこの世界での冒険者が使う革水筒はワインを入れる道具だった。各階に設けられているセーフエリアは他にもう一組4人の冒険者パーティが休憩をしていた。
4人の冒険者パーティを観察していると冒険者鞄から干し肉、硬い黒パン、ドライフルーツを出してかじっていた。
4人の冒険者パーティがセーフエリアから出ていったのでサトルは収納から創造で作ったおやつを出した。
「クルミさん、固形バーをこっそり生成しました」
「サトル、ありがとう。でもパサパサするね」
「そうですね、味は元の世界に近いと思いますが、他の人の目もあるので大っぴらに創造魔法が使えないです」
「クルミさん、4階に降りてみますか?」
「そうしましょう」
「クルミさん、もらった地図だとこの階もオークのようですね」
「3階と同じかしら?」
「サーチを使いましょう」
「サーチ」
「中程の大部屋にオークが20体固まっています」
「サトル、援護するね」ね
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、前衛の5体のオークはサトルの忍者刀の雷撃で全て死んでいった。
「私も援護するわ」
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、5体のオークはクルミが放った忍者刀の雷撃で全て死んでいった。
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー
「クルミさん、俺はこっちの方がやり甲斐があります」
「サトル、油断しないで」
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー、ブギー、ブモー
「ふう~、クルミさん討伐完了です」
「サトル、ちょっと待ってて」
「サーチ、大丈夫のようね」
「すごいわ、オークの魔石よ」
「全て回収していきましょう」
「やっぱりね、ダンジョンの中だと全くレベルが上がないですね」
「そうよね」
「サトル、今からキャンピングカーまで戻りましょうよ」
「転移門を出して」
「えっ、クルミさん、今からですか?」
「そうよ」
「いいですよ」
ビュルル、ビュルル、サトルとクルミは繋がったまま魔素を還流させていた。二人の魔素の還流によってレベルアップがいつも通りに行われたのだった。
ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン
「あれ~、サトル、レベルが上がる音が鳴り続けているよ」
「クルミさん、本当ですね。俺も鳴っています」
「ラギュエル」
「……」
タブレットの画面には『只今、更新中です。明後日までお待ちください』と画面表示されいてラギュエルは呼びかけても全く反応がなかった。
「クルミさん、ラギュエルは更新中で使えないですね」
「そうね、レベルが上がるとタブレットがが更新するって、シローさんが言っていたね」
「クルミさん、そうなると、明日もダンジョン行きは決定ですね」
「そのようね」
「クルミさん、明日のお昼はサンドイッチにしませんか?」
「そうね、それなら他の冒険者に見られても誤魔化せるね」
サトルは田舎パンをサンドイッチ用に薄くスライスした。クルミさんは卵焼いてたまごサンドを作ってくれた。もう一品はドロップしたオーク肉を油で揚げてオークカツサンドを作ったのだった。
「サトル、調理人のスキルは本当に便利だわ」
「そうですね、チート様々ですよね」
「ねえ、サトル、冒険者ギルドの食堂に行ってみない?」
「そうよ、情報収集も勉強だと思うわ」
「クルミさん、念の為に忍者刀を帯剣するのとスタンガンを携帯していきましょう」
「自己防衛は必要よね」
「転移門を冒険者ギルドの裏庭に繋げます」
「任せたわ」
夕方から夜にかけて冒険者ギルドの酒場は多くの冒険者で賑わっていた。女性冒険者のグループも男冒険者に混じって酒を飲んでいた。酒場が初めてのサトルとクルミは空いている席に座ってとりあえずスパークリングワインを注文した。
(話終わり)
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