改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

第５章

５－７ 俺たち亜神になるそうです

「シローさん、スミレさん、これからどうするのですか？」
「サキヒコ、オーガー退治は予想外に早く終わったな？」

「はい、そうですね」
「賢者、これからどうするの？」
「シローさん、タブレットの賢者の反応がありません」

「ミカエル、サキヒコの賢者の応答が無いけどどうした？」
「はい、オーガーを２００体倒したので現在アップデートの準備と神界でサキヒコさんとカナエさんの亜神になる承認待ちです。それからキャンピングカーの改造、サキヒコさんとカナエさんログハウスも建てて……全てを並行して行うので全部で７日ほどかかる予定です」

「そう言えばレベルアップって、サキヒコとカナエさんも気持ち悪くなるのか？」
「いいえ、ＡＩクリスタル脳が常に皆さまのバイタルチェックを行っているので大丈夫です」

「俺たちもそうなのか？」
「ハイ、大丈夫です」

「今回で俺たちのレベルが２００上がるのか？」

「シローさん違います。オーガー１体はレベル７に相当するので、シローさんたち全員のレベルが１４００上がりサキヒコとカナエさんも亜神になる予定です」

「ちなみに、シローさんとスミレさんは既にLV１４１１なのでＬＶ２８００以上になります」

「はぁ～、そんな出鱈目なレベル、絶対に人に見せられないじゃん」
「はい、シローさんとスミレさんは既にLV９９で完全固定されていますが、サキヒコさんもカナエさんも今後はLVは９９で完全固定になります」

「シローさん、亜神って、俺たちも神様になるのですか？」

「そうなんだけど、まずは話を聞いてほしいんだ」
「このイポニアの人々は強い男性を勇者、強い女性を聖女と言っているのはふたりとも知っているよね」

「「はい、初心者講習で習いました」」

「LV２５、Ｃランクになると領主から勇者聖女として認められるそうですね」

「そうだよ、だから皆んなレベルを上げて領主に認めてもらいたいから必死になってダンジョンに潜っているのさ」
「そうでしたよね、実戦もダンジョンの魔物と戦う場面でした」

「俺たち転生者はＬＶ９９になるとジェネオスとアギオスとして神様に正式に認められ、LV９９９で亜神になるって言われているんだ」

（サキヒコとカナエのＡＩクリスタル脳アップデート完了）

「あっ、シローさん、情報が一気に流れてきました」

「あっ、力だけでなく、知識も……シローさん、亜神になるってそういうことだったのですね」
「そうだよ、並列処理のおかげで二人の理解が早くなったはずだよ」

「本当です。シローさんの言っている事が全て理解できます」
「ええ、スミレさんが言ってた創造魔法が私でも使えそうです」

「シローさん、スミレさん、そう言えば賢者がアップデートするときログハウスも建てて……って言っていましたが、シローさんたちはログハウスを持っているのですか？」

「そうだよ、サキヒコとカナエさんは指導中はキャンピングカーで寝てもらってたけど、普段の生活はログハウスなんだ」
「今からログハウスに案内するので、サキヒコは俺と手をつないで、カナエさんはスミレさんと手をつないでくれ」
「ゴーハウス」


「シローさん、何でログハウスが空に浮かんでいるのですか？」
「これも亜神になってから神様に作るのを許可されたからね。どうせ移動するなら快適に移動したい訳さ」
「ミカエル、サキヒコたちのログハウスのプランをスクリーンに投影してくれ」

「了解しました。サキヒコさんとカナエさんのログハウスのプランはこちらです」
　

「あっ、すごいです」

「ミカエル、材料はどうするのだ？」
「はい、ログハウスの材料はイポニアで手に入りますが、飛空石だけがドーラ峠では充分に手に入らないのです」

「そうだったね、この前から大蜘蛛が飛空石を食べていたね」
「それと、シネキス連山の飛空石はマツイヨ市の領主が管理するようになりましたので既に立ち入り禁止になってしまいました」

「自由に飛空石が手に入らないと……そうか、外国に資材調達に行けばいいか」
「ミカエル、モンゴリア国周辺に手つかずの鉱山があったよな」

「はい、座標はテオスシステムに共有化されていますので、いつでも飛行は可能です」
「ミカエル、飛行準備にかかってくれ」

「了解しました」

「スミレさん、カナエさん、モンゴリア国まで片道旅行だね」
「シローさん、帰りはどうするの？」

「スミレさん、帰りは転移門で直ぐに戻って来れるよ」
「じゃあ、向こうに1週間いても余裕なのね」

「そういうことです」

「絶対防御５重展開」
「圧力隔壁異常無し」
「飛空システム異常なし」
「オートバランサー作動」
「オートジャイロ作動」
「計器類オールグリーン」
「フライトチェック、完了」

「テイクオフ」

　ログハウスは静かに上昇を始め高度２００００ｆｔを維持した。飛行ルートは海を超えてキナ国の上空を飛びモンゴリア国に入るルートが表示されていた。

　ポーン、モンゴリア国の鉱山まではおよそ２２００キロ、4時間４０分のフライトです。

「シローさん、いつも飛行機みたいにフライト時間をアナウンスするのですか？」
「そうだよ、その辺はミカエルがかなり拘っているみたいだよ」

「スミレさん、ここのお手洗いは温水洗浄なのですか？」
「そうよ、これも拘りの一つなのよ」

「それにキッチンも最新式ですよね。前の家でもこんなの使っていなかったですよ」
「浄水器も付いているし、食洗機も完備しているのよ」

「カナエさん、今までのアギオスがシステムキッチンとトイレにはかなり拘っていたましたので共有データは日本の住宅メーカーの最新式を揃えています。それと、トイレは男女別になっています」

　ミカエルがログハウスの補足説明をしてくれた。

「シローさん、サキヒコさん、お茶にしましょう」
「スミレさんはコーヒーを出してくれた」


「シローさん、下、下を見てください。空飛ぶ船ですよ」
「サキヒコ、あれがこの世界の飛空船だよ」
「そうなんですか？」

「サキヒコさん、飛空船は飛空石を利用した船でガリア国が発祥の地でしたが、今やロキシア国、そして最近はイポニアのハリマヤナカ市でも作られるようになったのです」

　ポーン、ポーン、
「まもなく、ナトホカ港に到着します。一般知識の勉強のためナトホカで着陸して市内を見学しましょう」

「皆さんは錬金術師の服と魔女の服に着替えてください」
　４人はそれぞれ錬金術師の服と魔女の衣装に着替えた。シローは重力サーベル風魔導銃グラビティサーベルの帯剣はしなかった。


「サキヒコ、ナトホカの店で魔道具を見ていこうよ」

　ミカエルは共有情報からナトホカの街はロキシア鉄道の終点の街だと教えてくれた。ナトホカからイポニアまでは船で４日間の船旅で金貨１０枚だと教えてくれた。半年前から運行を開始した飛空船での空の旅はアンギリアまたはガリア国から金貨１００枚だと教えてくれた。

「スミレさん、スイーツの店です」
「カナエさん、お買い物に行くわよ」

「はい！！」

「シローさんたちも行くわよ」
「「ハイ」」

「サキヒコ、諦めろ、後で魔道具店に行けるから」
「そうですね」

「スミレさん、美味しそうなショートケーキです」
「カナエさん、とりあえずショートケーキは２０個買いましょう」

「そうですね」
　ショートケーキは一つが銀貨2枚なので庶民には高価なお菓子だった。他にもクッキーがあり、こちらは1枚が銅貨５枚だったので４０枚買った。スミレさんは合計で金貨６枚を支払った。

「スミレさん、洋品店ですよ」
「魔女様、導師様、いらっしゃいませ」

「スミレさん、きれいな青色の聖女服ですね」
「そうね」

「魔女様、こちらはロキシア正教会をイメージした青の聖女服で当店のオリジナル品でございます」
「カナエさん、魔女帽子に付けるリボンをいただきましょう」

「はい」
　魔女帽子に付けるリボンはスミレさんが紫、カナエさんはピンクを選んだ。魔女のリボンはそれぞれ銀貨１枚だったので、スミレさんが合計で銀貨２枚を店員に支払った。

「シローさん、サキヒコさん、お待ちかねの魔道具店に行きましょうよ」
「スミレさん、ありがとう」

「導師様、魔女様、いらっしゃいませ」

「シローさん、オートマターですか？」
「そのようだね」
（シローさん、サキヒコさん、オートマターは既に共有データーに保存されています）

「スミレさん、この杖は魔女の杖ですか？」
「そのようね、水晶ではないようね」

「魔女様、こちらはゲヌマヌイ産のアダマンタイトをはめた超高級品の杖で１本が金貨１５００枚です」
（スミレさん、カナエさん、アダマンタイトはこれから行くモンゴリア国で魔物を倒せば手に入ります）

（シローさん、それよりもゴーレムの核を１０個買ってください。飛行制御に必要です）
（了解）

「ご主人、こちらのゴーレムの核は幾らかな？」
「はい、こちらはイポニアからの輸入品で１個金貨５０枚です」

「じゃあ、１０個いただくよ」
「はい、金貨５００枚になります。ありがとうございます」
　シローは金貨５袋を店主に渡した。

「導師様、ウラノカメンスク産の飛空石は国で管理されていますのでご入用の際は当店をご利用ください」
「アダマンタイトはゲヌマヌイ産のを取り揃えております」

「ありがとう、要る時はまた寄らせてもらうよ」
「今後とも贔屓に」

　４人は途中の屋台で買ったピロシキを食べながらの海産物の店で立ち止まった。

「スミレさん、カニを買っていこうよ」
「そうね、４ハイ買っていきましょう」

「スミレさん、大きなタラバガニですね」
「ええ、本当ね」

「さぁ、安いよ、安いよ、大っきなクラブは銀貨３枚だ」
　お兄さん、クラブを４ハイ、負けてくださるかしら」

「あいよ、きれいなお姉さん二人が買ってくれるから金貨１枚だ」
　スミレさんはお兄さんに金貨１枚を渡して大きなタラバガニを手に入れた。

「カナエさん、田舎パンと小麦粉、卵を買っていきましょう」
「それと、天ぷら油があれば」

「スミレさん、カニコロッケを作るのですか？」
「そうよ」

「これだけ大きかったら茹で蟹だけで食べるのはもったないわ」
「そうですね」


（話終わり）