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第6章

6-2 転生を断った夫婦と漏れたカップル

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 話は一週間前に戻って……とある夫婦(サトシとククリ)の話から始まる

 その夫婦はアラフォー夫婦だった。親が建てた賃貸アパートの一室で仕事もせずに不自由なく暮らしていたが、運悪く、昼食に食べた牡蠣の貝毒で食中毒を起こして二人とも死んでしまい、霊界で転生をするかどうかの判断の真っ最中だったのだ……

 アトラス神とニュンペー神はアラフォー夫婦を転生させるべきか悩んでいた。
「アトラス様、早く決断をしないと、ゼウス様、ヘーラ様から我らが叱責を受けますのでご決断下さい」

「信心深き者たちよ」
「我らはモリタイラ市を統べるアトラスとニュンペーなり、汝らは生前の行いが、余りにも堕胎で芳しく無いので新しく生まれ変わってもゼロからのスタートとなるが、神の命令を受ける受けないは汝らの自由である」

「神の命令を受けない場合は追放され何処かで彷徨うであろう」
「神の命令を受けた場合は、モリタイラ市に新しく生まれ変わり、名をサトシとククリとして第二の人生をやり直すのじゃ」

「俺は神様が勝手に決めた人生なんて絶対に絶対に嫌です。神様の為に働く気は全く有りません」
「私も主人と同じで絶対に嫌です」

「この愚か者たちが、何処にでも好きなところに行くのじゃ」
 アトラス神は指をパチンと指を鳴らすと、その夫婦たちは何処かの星に消し飛ばされてしまった

 こうして、人選は失敗に終わってしまったが……失敗した原因は冥府管理システム・ケルベロスのバグによるものだった。この事実は直ぐにハデスに伝えられ、冥府管理システム・ケルベロスも240機に大幅な増強が図られた。

 再起動後のケルベロスは年齢、性格を考慮して転生者候補をすぐに選びだしてきた。


 もう一組の転生者、曽良野 哲そらの さとる安方 玖瑠実あがた くるみは山陰地方の高校のバトミントンサークルの先輩後輩だった。二人は幼馴染みで恋人同士に現在進行系だったが、1週間前の列車事故に巻き込まれて旅立ってきたのだった。

 では何でさとる玖瑠実くるみが人選から漏れたかは、ヨダシステムの更新と冥府管理システム・ケルベロスのデータ受け渡しが一時的にリンクが切れてしまい、管理する神々も見過ごしてしまい、後でシローたちに緊急の神託が入ったのだった。

 人選から漏れて転生をしてしまったので、神の加護はもらっていなかったが、転生する時に特殊スキルだけは獲得してきたようだった。

 アトラスとニュンペーは偶然にも人選を漏れてしまったさとる玖瑠実くるみを育成することで、辛うじて面目は保っていたが、今度失敗をすれば降格人事になり、地球から多くの人たちが行く快楽の星の守護神になることが決定していたので絶対に失敗は許されなかった。アトラスとニュンペーはゼウスとヘーラに泣きついてシローとスミレ夫婦にさとる玖瑠実くるみを育成してもらうことにしたのだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 場面はリコマ山のキャンプ地に戻して……

 転生してサトルとクルミになった二人は生前に読んだラノベの知識を活かし、1週間前にナニサカ市の冒険者ギルドで冒険者登録をしたとシローとスミレに教えてくれた。

 サトルが持っている『収納』とクルミが持っている『鑑定』で薬草採取をしながら少しずつレベルを上げている事も教えてくれたのだった。

「そうだね、サトルもクルミさんも初心者のやり方としては間違っていないよ。冒険者としてレベル上げは大事だからね。だけど、二人にその方法が合っているかは疑問なんだ」

「シローさん、俺たちの方法が間違っているのですか?」
「そうでは無いよ、普通にやっていたのではレベルの上がり方が遅いんだ」

「はぁ~」
 サトルとクルミは納得していなかった

「ところで、二人は既に初体験は済ませたの?」

「はい、私から誘って済ませました」
 クルミが顔を赤らめて恥ずかしそうに告白してくれた。

「クルミさん、ごめんね。でもレベル上げはパートナーとの”おせっせ”がとっても重要なんだ」
「この世界は、魔法世界だと冒険者ギルドの初心者講習で教わったと思うけど、レベル上げは魔物を倒すだけでなく、二人が愛し合う行為でも上げることが出来るんだ」

「えっ、シローさんマジっすか?」
「本当だよ」

「じゃあ、今からクルミさんとセックスしたら俺たちは強くなれるのですね」

「サトル、そんなに簡単ではないよ。二人の愛情も大事だけれど、神様からの神託ミッションが一番重要なんだ」

「ミカエル、先に魔導ブースターを作って」
「シローさんストックが有りますので、出します」

 空中にハート型の魔導ペンダントが2つ出てきた。

「シローさん、このペンダントは何ですか?」
「二人の魔法レベルを底上げする上げる魔導ペンダントだよ」
「サトルもクルミさんも首にかけてみて」

「クルミさん、サトルのペニスを優しく握ってみて」
「サトル、握るわよ」
「クルミさん、気持ちいいっす 俺、出そうです」

「サトル、真面目にクルミさんの手から魔素の流れを感じるんだ」
「シローさん、体がポカポカしてきました」

「クルミさんも魔素の流れを感じているでしょ」
「ええ、お腹のあたりが何だか熱いです」

(魔力袋拡張完了、バイタル異常なし)
 ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、

「シローさん。スミレさん、今の音は何ですか?」
「二人のレベルが上った時の音だよ」

 へえ~、こんなに簡単にレベルが上がるのですね」

「信心深き者たちよ」
「我らはモリタイラ市を統べるアトラスとニュンペーなり、サトルとクルミはこれよりシローとスミレの元で修行し、ジェネオスとアギオスとしてモリタイラ市で活躍をするのじゃ」

「なお、この神託は神との契約になるので断っても良いが、断った場合は懺悔の人生が待っておる」
「神の神託を受けた場合は、神の加護を授け、二人に繁栄が約束されるのじゃ」

「私たち二人は神様の神託を謹んでお受けいたします」
「よかろう、では、『ステータス』と唱えて汝らの実力を見るのじゃ」

 そう言われて、アトラス神とニュンペー神は消えていかれた。

「あ~、びっくりした。シローさん、本当に神様って出てくるのですね」
「神様が言われたジェネオスとアギオスが勇者と聖女のことですね」

「そうだよ」
「サトル、クルミさん、ステータスを見せて」
「「はい」」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】サトル・ソラノ
【種族】人族
【年齢】17
【称号】錬金術師見習い
【スキル】アトラス神の加護
 具現化、収納
 
【LV】15
【MP】15000

【名前】クルミ・アガタ
【種族】人族 転生者
【年齢】18
【称号】魔女見習い
【スキル】ニュンペー神の加護
 薬師の祝福、鑑定
 
【LV】15
【MP】15000

 ◇ ◇ ◇ ◇

「あっ、シローさん本当です、錬金術師見習いになっていますけど、転生したら勇者一択では無いのですか?」
「私もサトルさんと同じだわ、魔女見習いになっている」

「この世界は、色々としがらみがあって、神様たちが勇者、聖女をジェネオス、アギオスに改めたんだ」
「それから、ジェネオス、アギオスと名乗れるのはLV99になってからだよ」
「それと称号は冒険者ギルドでステータスを確認される時に職業が勇者、聖女のままだと領主に囲い込まれたり、貴族が接触しようとしたり、色々と問題があるので神様が最初の職業を錬金術師と魔女にしたのさ」

「サトルがもらったスキル、具現化は物を作ることが出来るスキルだよ」
「クルミさんのスキル、薬師の祝福は回復魔法とポーションを作れるはずよ」

「スミレさんはポーションを作れるのですか?」
「もちろんよ」

 シローは、キャンピングカーを収納から出してログハウスの横にならべた

「うぉっす、シローさん、こんなのを持っているのですか?」
「ああ、俺たちの仲間が作ったキャンピングカーだよ」

「とりあえず、今夜から二人の寝室として使っていいよ」

「クルミさん、お風呂に入ったら下着を着替えるといいわ」
「下着はサトルさんの分も置いておくからね」

「スミレさん、ありがとうございます」
「明日から魔物狩りで二人のレベルを上げる特訓だよ」

「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい~」

 サトルとクルミがキャンピングカーに寝に行った後、暫くの間、キャンピングカーが光っていたので二人は”おせっせ”をしていたのだと思った。こうして、リコマ山の夜は静かに更けていった。

(話終わり)

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変更:モリタイラ市の守護神をコイオス神ととポイベ神 から アトラス神とニュンペー神に変更しました
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