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第5章

5-11 ユリナ・サロリンスクの鉱山

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 サキヒコとカナエはグリーンドラゴン討伐後にキャンピングカーでくつろいでいた。アズラエルの改造したログハウスは昼前には完成していたので二人は1時間ほど試験飛行を楽しんだ。

 お昼になり、サキヒコとカナエはログハウスにもキャンピングカーにも食料が全く無いことに気付き、ここから一番近いナトホカまで転移門で一気に移動してナトホカの冒険者ギルドでグリーンドラゴンを売ることにしたのだった。

「魔物の買い取りをお願いしたいのですが」
「魔物は何でしょうか?」

「モンゴリア国の森で倒したグリーンドラゴンです」
「嘘に決まっています!!」

 二人は冒険者カードを出したが、全く信じてもらえなかった。ベテランの女子職員が魔力測定盤を用意して二人のレベルが表示された

「はっ、これは……」

「アクリーナ、いつも口酸っぱく言っているでしょ、冒険者は見た目だけで判断しないの、分かってる?」
「完全に貴女の早とちりよ。直ぐに謝罪しなさい」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】サキヒコ・ヤマダ
【種族】人族
【年齢】18
【スキル】
 ****
【LV】99
【MP】*****

【名前】カナエ・ヤマダ
【種族】人族
【年齢】18
【称号】
【スキル】
 ****
【LV】99
【MP】*****

 ◇ ◇ ◇ ◇

「本当にすみませんでした」
「お二人を疑うようなことをして誠に申し訳ありませんでした」

 受付の新人職員は二階へギルドマスターを呼びに行った。二人のレベルから判断して本当にグリーンドラゴンを倒したことを信じてもらい買い取りオッケーが出たのだった。

 二人は解体場に案内され、サキヒコが収納からグリーンドラゴンを出した。

                                                                                                 
「お持ちいただいたグリーンドラゴンはとても状態が良いので、金貨3000枚での買い取りになります」
「では、こちらがお二人の新しいAランク冒険者カードです」

「買い取り代金はお二人の口座に振り込んでよろしいでしょうか?」
 二人は生活費の金貨100枚を受け取って残りは口座に振り込んでもらった。

「ギルドマスターが用があるそうなので二階の応接室にご案内します」
 ベテランの女子職員は二人を二階の応接室に案内し、お茶を出してくれた。

「ゴルジェイだ、よく来てくれた。まぁ楽にしてくれ」

「イポニアの冒険者のサキヒコです」
「妻のカナエです」

「ところで、ドラゴンスレイヤーの二人に折り入って頼みたいのだが、ユリナ・サロリンスクの鉱山でつい先程謎の爆発があったのだ。今からそこの調査をしてきてくれないか?」

「これは、極秘で他言無用にしてほしいが、このドアを開ければユリナ・サロリスクの冒険者ギルドにつながっている。ロキシア国の冒険者ギルドにはこのドアで何処にでも行けるのだ」

「直ぐに出発しますが、魔物の可能性はあるのですか?」
「それが現場が混乱していてわからないのだ」

「わかりました。それでは出発します」

 サキヒコとカナエはユリナ・サロリスクの冒険者ギルドに転移した。冒険者ギルド内はけが人でひしめいていて身動きが取れない状態だった。

(カナエさん、サキヒコさん、広域のエリアヒールです)

「「エリアヒール」」
 寝ていたけが人たちは体が光って、爆発で受けた怪我が全て回復していった。けが人が回復したので騒ぎがおさまりつあった。

「奇跡だ!!怪我が治ったぞ」
「俺も治っている」
「俺もだ」

「御使様なのか?」
「俺も噂を聞いたことがある」
「御使様だ」

 床に寝かされていたけが人たちは喜びの声をあげた。二人はギルド職員に応接室に案内された。

「イグナートだ、まずは怪我人を治療してくれたことに感謝する」
「実はポーションの手持ちが無くなって困っていたところだ」

「二人とも、高位の聖魔法を使えるなんて凄いな」
「ここに来る前に指導者に教わってきたので、たまたま上手く発動しただけです」

「ナトホカで聞いてきたと思うが、鉱山で謎の爆発があったのだ。そこの調査をしてきて欲しいのだ」
「はい、魔物の詳細はわかりますか?」

「ここに寝ていた冒険者たちは知らないうちに爆発に巻き込まれたそうだ」

「イグナートさん、鉱山は普段から粉塵が多い場所ではないでしょうか?」
「ああ、石炭を掘り出しているから粉塵は多いな、それが爆発と関係があるのか?」

「はい、密閉された坑道では粉塵が舞い上がりなにかの拍子に火が付くと大爆発を起こします」
「とりあえず鉱山の確認をお願いしたい。その結果次第で粉塵対策も検討しよう」

「わかりました」
「では、現地に向かいます」

 サキヒコとカナエは飛翔魔法でギルドから鉱山まで移動した。鉱山までは歩いても2キロほどだったので、ユリナ・サロリスクの冒険者ギルドは鉱山の町に出来たギルドだと思った。

 鉱山の入口はトロッコの線路が敷設されていたが、坑道は爆発で崩れてくる危険があったのでので二人は土魔法の補強をかけながら奥へ奥へと進んだ。

「カナエ、赤い点は光っていないよね」
「サキヒコさん、それがさっきから赤い点が点いたり消えたりしているの。たぶん、地中奥深くに魔物がいる可能性があるわ」

「厄介だね、アズラエル、地中の魔物を特定する魔法はないの?」
「はい、精度は少し劣りますが、グランドサーチが使えます」

「つま先から地面に土属性の魔力を薄く流す感じでいいんだね」
「そうです。魔物がいれば魔力に反応するはずです」

「アズラエル、結果を画面に転送して」
「了解です」

「サキヒコさん、大きな魔物だよ」
「カナエ、巨大ワームだ。それに3匹いるみたいだね」

「こいつが爆発の原因だったようだね」

「カナエ、ゴブリンメイジの肉でおびきよせようか?」
「サキヒコさん、その後どうするの?」


「そうだね、坑道の中では火魔法は絶対に使えないし、巨大ワームは普通にサンダーボルトで即死させよう」
「わかったわ」

 サキヒコはモンゴリア国の森で倒したゴブリンメイジを積み上げた。巨大ワームはゴブリンメイジの肉の匂いに反応して穴から巨体を現した。

「サンダーボルト」
 バリーン、ドシャ
「サキヒコさん、こっちからも」

「「サンダーボルト」」
 バリーン、ドシャ、バリーン、ドシャ

「ふう、やっぱり3匹同時に出てきたね」

「アズラエル、グランドサーチを頼む」

「了解しました。坑内の巨大ワームは全て討伐されました」
「なお、巨大ワームの体内に大粒のアダマンタイトを持っているのでギルドに持ち込みましょう」

「了解、後でアダマンタイトは引き取るよ」

「それから、立坑内に風魔法を付与した魔石を置いて粉塵を屋外に逃がしましょう」
「ああ、それがいいね。俺もさっきから粉塵が気になっていたんだ」

 サキヒコとカナエは坑道全体の補強と立坑に風魔法の魔石を埋め込み、空気の循環を良くしたのだった。

「お前たち、坑道の調査は終わったのか?」
「ハイ、原因は巨大ワームが3匹いました」

「収納で持ってきていますので後で解体と買い取りをお願いします」

「どうやって倒したのだ?」
「はい、雷魔法で一撃です」

 ギルドマスターに案内されてサキヒコとカナエは倉庫に移動した。

「イグナートさん、ワームの腹から大粒のアダマンタイトが10個出てきました」
「こっちも同じです」
「こっちもです」

「イグナートさん、大粒のアダマンタイトは10個は俺たちが引き取っていいですか?」
「残りは買い取りでいいのか?」

「はい、お願いします」
「分かった。後で精算しよう」

「冒険者に坑道に入るように直ぐに知らせてやってくれ。それと今日からアダマンタイトの買い取りもだ」
「「「「はい」」」」

「ギルドマスター、うちもゲヌマヌイみたいに忙しくなりますね」
「キーラ、モスコのギルド本部に至急連絡してギルド職員の増員を打診してくれ」

「了解です」

「ユーリー、ナトホカの冒険者ギルドに連絡だ」
「問題は片付いた、アダマンタイトを発見したと連絡だ」

「はい、了解です」

 アズラエルはサキヒコとカナエにゲヌマヌイでジェネオスとアギオスがベヒーモスを退治したことを教えてくれた。

「精算だが、巨大ワーム討伐が3体で3000枚、大粒のアダマンタイトは20個は10000枚だ」
「お前たちの口座に振り込むので確認してくれ」

「イグナートさん、冒険者カードの口座って、イポニアで使えるのですか?」
「キーラ、イポニアでも使えたか?」

「はい、王都ケトマス、ナニサカ市の2つの都市では取引可能ですが、他の都市までは整備されていません」
「と、言うことだ。お前たちも活躍するならロキシアで暮らすことだな」

「そうですね、ここならナホトカを経由して色々と冒険ができそうですね」
「そういうことだな、お前たちの実力ならSランクは確定だ」

「ありがとうございます」

(話終わり)

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