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第5章
5-5 冒険者中級講習とモイズ市の古い神様
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次の朝……
サキヒコとカナエの中級者冒険講習は午前の鐘と同時に始まっていた。
シローとスミレさんは二人で話し合って、サキヒコとカナエが受講中の間にモイズ市へキャンピングカーで飛んで市内を回ることにした。キビピーチ市からモイズ市まではミカエルの情報だと132キロ程度なのでおそらく20分程度で飛べると思った。
「ミカエル、今からモイズ市まで飛んで」
「了解です」
「絶対防御5重展開」
「魔導ジェットエンジン異常なし」
「与圧システム異常なし」
「計器オールグリーン」
「フライト前チェック完了」
シローは青いボタンを押して、キャンピングカーは上昇を開始した。
「テイクオフ」
「目的地決定、自動操縦オートパイロット作動」
「フライト時間はおよそ25分です」
今回は山を超えるのでキャンピングカーの飛行高度は少し高めにとることになるようだ。シローは今回も予備知識の無いまま飛び立ったが、まぁ何とかなるだろうと思っていた。
「ミカエル、海側から侵入して人から見えない場所に着陸してくれ」
「了解しました」
「シローさん、綺麗な海岸ね」
「そうだね」
「シローさん、立派な神殿が見えてきたわ」
「本当だね、スミレさん、行ってみようか」
神殿に入ると、早々にシスターが出迎えてくれた。
「ようこそ、お参り下さいました」
「こちらの神殿ではガイア様とウラノス様をお祀りしています」
「シローさん、ガイア様とウラノス様って、多分、ゼウス様よりもっと古い神様だと思うの」
「そうです、奥様の言われる通りで、現在、皆様が崇めてみえるゼウス様より古く、最初の神様であらせられるのです」
「ゼウス様がこの国を統治されたのが、今から300年前で、今から1000年前はガイア様とウラノス様が治めてみえたのです」
シスターは自信たっぷりに神々の歴史を話しだした。
「1000年前、勇者タケル様と聖女ユカ様は仲の良いご夫婦だったそうです。勇者タケル様は、全国を行脚され、魔物を次々と退治をされていくのですが、フブビキ山の討伐でビッグボアの毒息吹を浴びて病気になられ、逃げ帰ろうとされたのですが、遠い地で白鳥として旅立たれてしまったのです。神殿に降り立った白鳥を見て、夫の死を悟った聖女ユカ様は、大変悲しまれ、勇者が死んで魔物が荒れ狂う海に入水されて、自ら海の魔物を鎮められたのです」
「こうして、国に再び平和が訪れ、以後700年間は平和な時代が続いたのですが、ガイア様とウラノス様が引退され、ゼウス様に譲られた時に魔王ランシンと戦争が起き、再び、勇者マサキ様と聖女ユーミー様が活躍したのです」
俺たちは、金貨2枚をそっと神像の前に置いた。
「貴方方に、ガイア様とウラノス様のご加護がありますように」
シスターは丁寧にお祈りをしてくださった。
突然、神殿の神像が光り輝いた。
(妾の名はウラノス、ガイアと共にこの世界を作りし一柱じゃ)
(シロー、スミレ、この世界は1000年前からそなた達の地球と深い関係が有るのじゃ)
(勇者タケルと聖女ユカは共に日本から召喚された英雄とその姫じゃ)
(日本では神話として語り継がれているが、この国で活躍した話が元になって日本の神話が出来たのじゃ)
(いずれ機会があれば、二人で教会に立ち寄り神々からこの国の歴史を学ぶのじゃ)
「スミレさん、ガイア様の言葉は俺達の知っているヤマトタケルはこの世界で活躍して話を元にしていたんだね」
「ええ、そのようね」
「そうすると、昔から地球とこの星がつながっていて他にも勇者と聖女がいるってことだね」
「そうね、時間があれば教会にお参りして神様から直接聞いたほうが良さそうね」
「そうだね」
二人は日本の神のことや他の勇者聖女に思いを馳せていた。こうして、時間はお昼近くになっていた。
「スミレさん、そろそろお昼にしましょうか?」
「シローさん、そばぜんざい」
「とにかく入りましょうよ」
「うん」
「そばぜんざい2つください」
「なあんだ、お蕎麦とぜんざいのセットだったのね」
「シローさん、お蕎麦も美味しいし、ぜんざいも美味しいわ」
「蕎麦の後の、ぜんざいのホッコリ感が女子的にいいのよ」
「スミレさん、女子的な解釈ですか?」
「ええ、そうよ」
シローは同じ食べ物でも、男女では解釈の仕方が違うのだと感じたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
シローとスミレさんがそばぜんざいでほっこりしていた頃、サキヒコとカナエの中級者冒険講習は午後の戦闘魔法訓練の真っ最中だった。
サキヒコは雷魔法と火魔法と水魔法の三種類に優れていたし、カナエさんは聖俗性魔法が直ぐに使えたので、ノエミ先生が驚いていた。
「サキヒコさん、もっと魔素を練ってから発射するのよ」
「カナエさん、サキヒコさんに回復魔法をかけるのよ」
「ヒール」
上級魔道士のノエミ先生の指導はダンジョンでのラスボスを意識した実践的な厳しい指導だった。
「今日の中級者冒険講習はこれで終了です」
「魔力切れは冒険者の命取りになるのよ、だから冒険者は回復魔法の使える人と一緒にパーティを組むのよ」
「貴方たち二人は基礎レベルが高かったので、普段は教えない上級魔法を厳しく指導したのよ」
ノエミ先生はニコニコしながら、サキヒコとカナエさんを褒めてくれたのだった。
「あなた達二人は明日から、ダンジョンに潜って経験を積みながら中下層までは直ぐに行ける実力を持っている事は保証するわ」
「もちろん街の外で高ランクの魔物を倒しながらレベルを上げていく方が確実だし、ダンジョンでチマチマ戦って魔石を拾っているよりは確実にお金になるわね」
「ノエミ先生、ご指導ありがとうございました」
夕方になって、サキヒコとカナエさんは待ち合わせ場所の食堂で待っていた。
「シローさん、スミレさん、中級者冒険講習は無事に終わりました。Dランクの冒険者カードも発行してもらいました」
「二人ともお疲れさん」
「シローさんたちも、受付でレベルを測ってもらって下さい」
サキヒコとカナエさんに背中を押されたので、シローとスミレさんは渋々受付でレベル測定をやってもらうことにした。
「では、お二人のレベルを確認しますので魔力鑑定板の上に手を置いて下さい」
◇ ◇ ◇ ◇
【名前】シロー・ナミキ
【種族】人族 転生者
【年齢】25
【称号】
【スキル】
****
【LV】99
【MP】*****
【名前】スミレ・ナミキ
【種族】人族 転生者
【年齢】25
【称号】
【スキル】
****
【LV】99
【MP】*****
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ!!! レベル99って、お二人は一体……」
シローは指を唇にあてて、シーのポーズをした。
「まぁ、色々と有りまして」
「この件は関しては、聞いていると思いますが他言無用でお願いします」
「そうでしたね、ギルド本部からお二人に関する通達が来ておりました」
「こちらこそ大きな声を出してすみませんでした」
「マスター、あの案件をお願いしましょうか?」
「ああ、そうだな、サキヒコさんとカナエさんのデビューにうってつけだろう」
4人は二階の応接室に案内された。
「その案件は、オーガ討伐です」
「場所はここから少し山深い場所に、オーガが城を築いているのです」
「Cランク超えの冒険者パーティ複数で挑みましたが、城の守りが堅く、壊滅が出来なかったのです」
「ここからは、徒歩で半日程で行けますが、途中から険しい山道になります」
「分かりました。明日、サキヒコたちとオーガの城を下見に行ってきます」
「よろしくお願いします」
「サキヒコ、一旦スライムの草原に戻ろうよ」
「はい」
途中で、食材を購入して、今夜は草原でサキヒコたちとキャンプをすることにした
今夜の夕食は、スミレさん特製のお好み焼きを始めたのだった。
「シローさん、勝算はあるのですか?」
「詳しくは、現地を偵察しないと分からないけど、以前にノドグロ峠で仲間と一緒にランチャーを作って雷魔法のサンダーボルトをぶっ放っして、オークの集落を全滅させた事があるよ」
シローはサキヒコのタブレットにランチャーの図面を転送した。
「ランチャーは直ぐに出来るけど、弾は魔鉱石から魔素を抽出して作るんだ」
「サキヒコ、先にドローンを作ってみないか?」
(話終わり)
サキヒコとカナエの中級者冒険講習は午前の鐘と同時に始まっていた。
シローとスミレさんは二人で話し合って、サキヒコとカナエが受講中の間にモイズ市へキャンピングカーで飛んで市内を回ることにした。キビピーチ市からモイズ市まではミカエルの情報だと132キロ程度なのでおそらく20分程度で飛べると思った。
「ミカエル、今からモイズ市まで飛んで」
「了解です」
「絶対防御5重展開」
「魔導ジェットエンジン異常なし」
「与圧システム異常なし」
「計器オールグリーン」
「フライト前チェック完了」
シローは青いボタンを押して、キャンピングカーは上昇を開始した。
「テイクオフ」
「目的地決定、自動操縦オートパイロット作動」
「フライト時間はおよそ25分です」
今回は山を超えるのでキャンピングカーの飛行高度は少し高めにとることになるようだ。シローは今回も予備知識の無いまま飛び立ったが、まぁ何とかなるだろうと思っていた。
「ミカエル、海側から侵入して人から見えない場所に着陸してくれ」
「了解しました」
「シローさん、綺麗な海岸ね」
「そうだね」
「シローさん、立派な神殿が見えてきたわ」
「本当だね、スミレさん、行ってみようか」
神殿に入ると、早々にシスターが出迎えてくれた。
「ようこそ、お参り下さいました」
「こちらの神殿ではガイア様とウラノス様をお祀りしています」
「シローさん、ガイア様とウラノス様って、多分、ゼウス様よりもっと古い神様だと思うの」
「そうです、奥様の言われる通りで、現在、皆様が崇めてみえるゼウス様より古く、最初の神様であらせられるのです」
「ゼウス様がこの国を統治されたのが、今から300年前で、今から1000年前はガイア様とウラノス様が治めてみえたのです」
シスターは自信たっぷりに神々の歴史を話しだした。
「1000年前、勇者タケル様と聖女ユカ様は仲の良いご夫婦だったそうです。勇者タケル様は、全国を行脚され、魔物を次々と退治をされていくのですが、フブビキ山の討伐でビッグボアの毒息吹を浴びて病気になられ、逃げ帰ろうとされたのですが、遠い地で白鳥として旅立たれてしまったのです。神殿に降り立った白鳥を見て、夫の死を悟った聖女ユカ様は、大変悲しまれ、勇者が死んで魔物が荒れ狂う海に入水されて、自ら海の魔物を鎮められたのです」
「こうして、国に再び平和が訪れ、以後700年間は平和な時代が続いたのですが、ガイア様とウラノス様が引退され、ゼウス様に譲られた時に魔王ランシンと戦争が起き、再び、勇者マサキ様と聖女ユーミー様が活躍したのです」
俺たちは、金貨2枚をそっと神像の前に置いた。
「貴方方に、ガイア様とウラノス様のご加護がありますように」
シスターは丁寧にお祈りをしてくださった。
突然、神殿の神像が光り輝いた。
(妾の名はウラノス、ガイアと共にこの世界を作りし一柱じゃ)
(シロー、スミレ、この世界は1000年前からそなた達の地球と深い関係が有るのじゃ)
(勇者タケルと聖女ユカは共に日本から召喚された英雄とその姫じゃ)
(日本では神話として語り継がれているが、この国で活躍した話が元になって日本の神話が出来たのじゃ)
(いずれ機会があれば、二人で教会に立ち寄り神々からこの国の歴史を学ぶのじゃ)
「スミレさん、ガイア様の言葉は俺達の知っているヤマトタケルはこの世界で活躍して話を元にしていたんだね」
「ええ、そのようね」
「そうすると、昔から地球とこの星がつながっていて他にも勇者と聖女がいるってことだね」
「そうね、時間があれば教会にお参りして神様から直接聞いたほうが良さそうね」
「そうだね」
二人は日本の神のことや他の勇者聖女に思いを馳せていた。こうして、時間はお昼近くになっていた。
「スミレさん、そろそろお昼にしましょうか?」
「シローさん、そばぜんざい」
「とにかく入りましょうよ」
「うん」
「そばぜんざい2つください」
「なあんだ、お蕎麦とぜんざいのセットだったのね」
「シローさん、お蕎麦も美味しいし、ぜんざいも美味しいわ」
「蕎麦の後の、ぜんざいのホッコリ感が女子的にいいのよ」
「スミレさん、女子的な解釈ですか?」
「ええ、そうよ」
シローは同じ食べ物でも、男女では解釈の仕方が違うのだと感じたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
シローとスミレさんがそばぜんざいでほっこりしていた頃、サキヒコとカナエの中級者冒険講習は午後の戦闘魔法訓練の真っ最中だった。
サキヒコは雷魔法と火魔法と水魔法の三種類に優れていたし、カナエさんは聖俗性魔法が直ぐに使えたので、ノエミ先生が驚いていた。
「サキヒコさん、もっと魔素を練ってから発射するのよ」
「カナエさん、サキヒコさんに回復魔法をかけるのよ」
「ヒール」
上級魔道士のノエミ先生の指導はダンジョンでのラスボスを意識した実践的な厳しい指導だった。
「今日の中級者冒険講習はこれで終了です」
「魔力切れは冒険者の命取りになるのよ、だから冒険者は回復魔法の使える人と一緒にパーティを組むのよ」
「貴方たち二人は基礎レベルが高かったので、普段は教えない上級魔法を厳しく指導したのよ」
ノエミ先生はニコニコしながら、サキヒコとカナエさんを褒めてくれたのだった。
「あなた達二人は明日から、ダンジョンに潜って経験を積みながら中下層までは直ぐに行ける実力を持っている事は保証するわ」
「もちろん街の外で高ランクの魔物を倒しながらレベルを上げていく方が確実だし、ダンジョンでチマチマ戦って魔石を拾っているよりは確実にお金になるわね」
「ノエミ先生、ご指導ありがとうございました」
夕方になって、サキヒコとカナエさんは待ち合わせ場所の食堂で待っていた。
「シローさん、スミレさん、中級者冒険講習は無事に終わりました。Dランクの冒険者カードも発行してもらいました」
「二人ともお疲れさん」
「シローさんたちも、受付でレベルを測ってもらって下さい」
サキヒコとカナエさんに背中を押されたので、シローとスミレさんは渋々受付でレベル測定をやってもらうことにした。
「では、お二人のレベルを確認しますので魔力鑑定板の上に手を置いて下さい」
◇ ◇ ◇ ◇
【名前】シロー・ナミキ
【種族】人族 転生者
【年齢】25
【称号】
【スキル】
****
【LV】99
【MP】*****
【名前】スミレ・ナミキ
【種族】人族 転生者
【年齢】25
【称号】
【スキル】
****
【LV】99
【MP】*****
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ!!! レベル99って、お二人は一体……」
シローは指を唇にあてて、シーのポーズをした。
「まぁ、色々と有りまして」
「この件は関しては、聞いていると思いますが他言無用でお願いします」
「そうでしたね、ギルド本部からお二人に関する通達が来ておりました」
「こちらこそ大きな声を出してすみませんでした」
「マスター、あの案件をお願いしましょうか?」
「ああ、そうだな、サキヒコさんとカナエさんのデビューにうってつけだろう」
4人は二階の応接室に案内された。
「その案件は、オーガ討伐です」
「場所はここから少し山深い場所に、オーガが城を築いているのです」
「Cランク超えの冒険者パーティ複数で挑みましたが、城の守りが堅く、壊滅が出来なかったのです」
「ここからは、徒歩で半日程で行けますが、途中から険しい山道になります」
「分かりました。明日、サキヒコたちとオーガの城を下見に行ってきます」
「よろしくお願いします」
「サキヒコ、一旦スライムの草原に戻ろうよ」
「はい」
途中で、食材を購入して、今夜は草原でサキヒコたちとキャンプをすることにした
今夜の夕食は、スミレさん特製のお好み焼きを始めたのだった。
「シローさん、勝算はあるのですか?」
「詳しくは、現地を偵察しないと分からないけど、以前にノドグロ峠で仲間と一緒にランチャーを作って雷魔法のサンダーボルトをぶっ放っして、オークの集落を全滅させた事があるよ」
シローはサキヒコのタブレットにランチャーの図面を転送した。
「ランチャーは直ぐに出来るけど、弾は魔鉱石から魔素を抽出して作るんだ」
「サキヒコ、先にドローンを作ってみないか?」
(話終わり)
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