改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

文字の大きさ
上 下
48 / 68
第5章

5-4 正しい愛し方とは

しおりを挟む
 夕方の鐘が鳴って、サキヒコとカナエは冒険者ギルドに併設されている食堂でシローたちと合流した。

 冒険者ギルドの食堂はこの時間にしては比較的空いている方だった。食堂の従業員が聞きもしないのにこの時間に食堂が空いている理由を教えてくれたのは、キビピーチ市の多くの冒険者たちは、夜中もダンジョンに潜っているらしく、ダンジョン内で保存食で食事をするか、一仕事が終わった冒険者はダンジョン入口の買い取り所で魔物の素材を換金した後で横に併設されいる食堂で一杯やっていると教えてくれた。ちなみに、食堂のスタッフも交代勤務でダンジョンの食堂に応援に行くと言っていたのだった。

「サキヒコ、カナエさん、遠慮せずに食べましょう」
 スミレさんはそう言って、カキオコを4人前注文した。

「お疲れ様でした、乾杯~」
 注文していたスパークリングワインとエールが運ばれてきたので4人は乾杯をした。

「シローさん、カキオコっす、激ウマっすよ」

 サキヒコはシローと同じようにエールを注文して一人だけが最初からテンションが上っていた。カキオコはオタク焼きを伝えたナニサカ市の転生者がこの地で採れる牡蠣を焼いて食べたのが始まりだと食堂の店員が丁寧に説明してくれた。ただし、季節によっては貝毒があるので夏場は提供しない暗黙のルールがあると教えられた。

「サキヒコ、カナエさん、冒険者講習はどうだった?」

「ハイ、順調に終わりました。私たちは二人とも魔法の素質が有るそうなので、明日は二人で中級者冒険講習を受けるつもりです」

「それと、講習終了後に俺たちはDランク冒険者に認定してもらえるそうです」
「ふ~ん、それは良かったね」

「ところで、シローさんたちって、Aランク冒険者なのですか?」

「そうだったと思うよ」
「スミレさん、前にテイーチ市でAランク冒険者として正式登録されていたっけ」
「そうだったと思うわ、私たち冒険者ランクは全く無頓着だからいちいち気にしていないわ」
「そうだったね」

「サキヒコは冒険者のランクに拘っているのか?」
「いえ、そうでもないですが、俺も早くAランク冒険者になれたらと思ったので……」

「確かに高ランクの冒険者はいいかも知れないが、高ランクになるほど他の冒険者から妬まれる元なので厄介なだけかも知れないよ」

「そうなんですか?」

「ああ、神様から聞いた聞きかじりの話だけな……」

 シローはAIクリスタル脳の並列処理からこの星での厨二病の定義の話をサキヒコに聞かせた。

「つまり、俺TUEEEと誇示して人々を虫けらのように扱う勇者と聖女は神様たちは全く要らぬで存在なのだよ」
 それよりも他人を慈しみ『他人を思いやる優しさ』を持っていないと勇者聖女にはなれないのだよ

「ふ~ん、そうなんですね」
 サキヒコはエールで酔っ払っていたので解毒魔法が自動発動した。

最後に専門馬鹿に偏らない多彩な知識と拘りだそうだ

「シローさん、そうすると広く浅く何でも知っている人が勇者なのですか?」
「ある意味、当たっていると思うよ」

「へぇ~、そうなんですね」

「ところで今夜から、サキヒコたちもキャンピングカーで寝るのか?」
「ええ、そのつもりです」

「宿屋はチェックアウトしたので……」
「じゃぁ、会計を済ませたらで転移門の作り方を教えるよ」

「シローさん、転移門って何なんスか」
「アニメの青狸が持っている、何処にでも行けるドアの事さ」

「えっ、シローさんマジっすか」

「まずは、食品店で明日の食材を買おうよ」
 大通りの食品店は少し遅い時間まで営業しているらしく、生活に必要な食材が売っていた。

 サキヒコとカナエは神様からもらった革袋からお金をだして、パンと牛乳を卵を買ったのだった。シローとスミレさんたちも同じサキヒコたちと同じ食材を買った。 
 
 大通りの一角に小さな森があったので、シローは転移門の作り方をサキヒコに教えた。

「サキヒコ、タブレットを見ながら頭の中で転移門を強く思い浮かべるんだ」
「あっ、ドアが出てきた」

「次に、スライムを倒した草原をイメージしながらドアを開けてごらん」
「うぉ、草原に出たっす。シローさん凄いっす」
 二組の夫婦はそれぞれキャンピングカーを収納から出して寝る準備を始めたのだった。

 しばらくして……

「もう、サキヒコさんなんか嫌い」
 カナエはサキヒコのいつもの身勝手な”おせっせ”が嫌でシローたちのキャンピングカーに裸で飛び込んで来たのだった。

「カナエさん、とりあえずこれを穿いて」
 スミレさんは、収納から新しいショーツを出してカナエさんに渡していた。

「カナエさん、ごめんなさい許して」
 サキヒコもフルチンで駆け込んで来たので、スミレさんが新しいトランクスを出してサキヒコに渡していた。

「信心深き者たちよ」
「我らはこのキビピーチ市を統べる、イアペトスとクリュメネなり」
 突然キャンピングカーが金色に輝いて二柱の神様たちが現れた。

「サキヒコとカナエはこれよりシロー殿とスミレ殿から正しい愛の営みセクロスを教わるのじゃ」
 シローとスミレさんはAIクリスタル脳は予知機能が働いて既に裸になっていた。

「サキヒコ、よく聞いて欲しいだ。俺たちはここに来る前にテイーチ市の勇者と聖女に冒険者の指導をしてきたけど、元々が老人の転生者だったのでセックスが好きすぎて老人特有のワガママが出てしまい、それが神の怒りに触れて遠い星に転生させられたんだよ」

 シローはティーチ市の勇者と聖女が飛ばされた事件を包み隠さず二人に話した。

「へぇ~、そんな事があったのですか?」
「そうだよ、だからセックスも正しく行わないと神の怒りに触れるからね」
「わかりました。気をつけます」

「サキヒコとカナエさんは今夜から正しい愛の営みセクロスを覚えて欲しいんだ。神様から見て正しい愛の営みセクロスとはが最も大事なんだ」

「この世界では全く知られていないけど、二人が愛し合うことでお互いの体にが起きてレベルが上がりやすくなるんだ」

「このが最も重要で、神界の神様から特殊なスキルも貰えるんだ」
「じゃぁ、セックスで直ぐにレベルアップ出来るのですか?」

「サキヒコさん、そんなに簡単な事では無いのよ。まずはカナエさんとの気持ちが高まってセックスに至るまでのプロセスがとても大事なのよ」
 スミレさんはサキヒコとカナエに分かるように丁寧に解説した。

 次にシローとスミレさんはお互いに向かい合い熱い口づけをしていた。二人の体が金色に輝いて、魔力の還流が起きていることがサキヒコとカナエにもわかった。

 サキヒコとカナエはお互いに向かい合って、シローとスミレが見せたように熱い口づけを交わしていた。

「サキヒコさん、体が熱いわ~、サキヒコさんの熱いのが私の体に流れているの」
「カナエ、僕もだよ」

「シローさん、スミレさん、正しい愛し方を教えていただきありがとうございました」

「サキヒコ、これで分かっただろう、カナエさんを大事にして、愛すれば愛するほどレベルアップとスキルも貰えるんだよ」

「シローさん、俺はカナエの気持ちを一番大事にします」

「カナエ、キャンピングカーに戻ってさっきの続きをしようよ」
「は~い」

 多分、今度は上手く出来たはずだ。サキヒコも目標が出来たので頑張れるとシローは思った。

 こうして、キビピーチ市の熱い夜は更けていった……

(話終わり)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

処理中です...