改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

文字の大きさ
上 下
36 / 68
第4章

4-3 レベルが上った

しおりを挟む
「シローさん、何でサルガ峠って聞いて嫌な顔をされたのですか?」
「ああ、ここにくる前にオークキングと戦ったけど、オークキングは魔法を使って攻撃してきたんだ」

「へぇ~、オークが、魔法を使うのですか?」
「凄かったよ、絶対防御魔法を張っていなかったら首を刈り取られていたと思うよ」

「コーヘーさん、今からコーヘーさんとチハールさんに合った武器を作ります」

「シローさん、お二人の得物を見せてもらっていいですか?」
「へぇ~、サーベル風の魔導銃なんですね」
「カッコイイですね」

「ああ、それは俺が高校生の頃に見たアニメの影響からさ」
「コーヘーさんは銃とか武器にこだわりが有るのかい?」

「いえ、何も無いですけど……以前、ナニサカ市にいた頃はお金が無かったのでダンジョンで冒険者が落としていった中古の粗末な剣を拾って戦っていたのです」

「コーヘーさんの深層心理分析完了」
「こちらが、コーヘーさんに合った得物です」
「タブレットの画面にはRPGゲームに出てくる勇者の剣が表示されていた」

「シローさん、これですよ。小学生の頃に遊んだゲームの勇者の剣です」
「直ぐに作りますね」

 コーヘーは暫く考えてこんで、具現化を発動して勇者の剣に似た魔導銃を完成させた。

「では、次はチハールさんの得物です」
「チハールさんの深層心理分析完了」
「こちらが、チハールさんに合った得物です」
 画面にはタガーナイフ型魔導銃が映っていた。

「チハール、作るね」
「コーヘーさん、お願いね」


 4人は洞窟に入って武器を構えた。
「コーヘーさん、赤い点が3つこっちに来ています」
「コーヘーさん、勇者の剣を構えて」
 バシューン、バシューン、バシューン、3匹の大猿はコーヘーが撃った魔導銃の餌食になってあっけなく倒れていた。

「シローさん、倒しました。ありがとうございます」
「コーヘーさん、喜ぶのはまだ早いよ、大猿は前衛なので、ラスボスがいるはずだから、気を抜かないでゆっくりと奥に進みましょう」

「コーヘー、赤い点が動いているよ」
「剣を構えて」
 バシューン、バシューン、バシューン、次に倒したのは3m級のロックリザードだった。

「シローさん、凄いっす。Sランクの魔物ですよ」
「コーヘーさん、買取してもらうので収納にしまいましょう」
「洞窟の最奥まで行きましょう」

「どうやら、最奥部に到着のようですね」
「うお~~~~ この輝きは何なんすか?」
「シローさん、コレ全部魔石っすか?」

「ええ、全部です」
「コーヘーさん、『魔石回収』で全部収納できます」
「魔石回収」

「うぉ~本当だ、全部回収できた」

 ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、ピコーン、

 コーヘーとチハールのレベルが上がる音はいつまでも鳴り止まなかった。

「信心深き者たちよ」
 洞窟全体が光って、タブレットに神様の画像が表示された。

「此度の働き、大義であった。魔石は冒険者ギルドで半分は買い取ってもらうのじゃ、残りの魔石は半分はキャンピングカーの改造に充てるのじゃ」 

「それと、入り口の大猿は回収し、ロックリザードと一緒に冒険者ギルドで買い取ってもらうのじゃ。大猿の討伐報酬が加算されるので、家を購入する資金になるじゃろう」

「では、賢者の指示に従い、今からキャンピングカーを飛べるように改造するのじゃ」
「今後は空を飛んで行くことになるのでな」
 こう言われて、ヘパイストス様とアフロディテ様は消えていかれた。コーヘーは入り口の大猿を全て回収したのだった。

「コーヘーさん、規定レベルに達しましたのでこれからキャンピングカーの改造を行いますので先に魔鉱石を抽出して魔石板を9枚作って下さい」

「チハールさんはコーヘーさんのペニスを握っていただくと魔石板の作成が早くなります」
 タブレットの画面には魔石板が映っていた。

「チハール、作るよ」
「コーヘー握るわよ」

「1枚、2枚、3枚、4枚……9枚、やっと出来た」
 コーヘーは魔石版を作る事に集中した。チハールから魔素をもらっているので魔力切れは起きなかったが、ごっそりと魔力を持っていかれた。

「コーヘーさん、チハールさん、マンドラゴラポーションよ、飲むと魔力が回復するから楽になるわ」
 コーヘーとチハールはスミレさんからマンドラゴラポーションをもらって一気飲みした。

「コーヘーさん、チハールさん、大丈夫?」
「シローさん、もう大丈夫です」

「コーヘーさん、チハールさん、最後に魔道ジェットを作っていただきます」

 タブレットの画面には魔道ジェットが映っていた。コーヘーは具現化で魔道ジェットを作った。
「コーヘーさん、『チェンジ』です」
「チェンジ」

「コーヘーさん、チハールさん、お疲れ様でした。只今から、キャンピングカーの改造と更新を行いますので明日の朝までゆっくりとお休み下さい」

「シローさん、スミレさん、俺たち疲れたので今日はこれで休んでいいですか?」
「ああ、そうするといいよ。明日の朝までゆっくりと休むといいよ」


 翌朝……パパーン、起動音がしてタブレットが立ち上がって来た。

「コーヘーさん、チハールさん、おはようございます」
「お待たせをしました。無事にキャンピングカーの改造は終わりましたので、まずはお二人のステータスをご覧ください」

「「ステータス・オープン」」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】コーへー・ペリー
【種族】人族
【年齢】20
【称号】鍛冶師《ジェネオス》
【スキル】
 ヘパイストス神の加護 
 創造・具現化、リバース、鑑定、転移、収納、料理人、隠蔽、AIクリスタル脳、思念伝達、魔法付与
【LV】75
【MP】75000

【名前】チハール・ペリー
【種族】人族
【年齢】20
【称号】薬師《アギオス》
【スキル】
 アフロディテ神の加護 
 創薬・具現化、リバース、鑑定、転移、収納、料理人、隠蔽、AIクリスタル脳、思念伝達、魔法付与
【LV】75
【MP】75000

 ◇ ◇ ◇ ◇

「コーヘーさん、チハールさん、キャンピングカーのテストフライトをしましょう、賢者に『テストフライト』と命令して下さい」

「賢者、テストフライト」
「コーヘーさん、了解しました、マツイヨ市の上空を20分ほど遊覧飛行をしますので青いボタンを押して下さい」
 コーヘーが青いボタンを押したのでキャンピングカーは上昇を開始した。

「コーヘー、凄いね海の上を飛んでいるよ」
「うん、凄いね」
 キャンピングカーはマツイヨ市の上空と海の上を遊覧飛行し、20分後にサルガ峠に戻ってきた。

「コーヘーさん、転移門を作って帰りましょうか?」
「転移門って、何なんすか」
「アニメの青狸がポケットから出してくる何処にでも行けるドアの事ですよ」

「コーヘーさん、何処にでも行けるドアを思い浮かべて具現化で作って下さい」
 ドド~ン、木のドアが出てきた。

「使い方は、コーヘーさんの自宅を思い浮かべて、接続をするのです。繋がったらドアを開ければ、自宅に帰れるはずです」

「あっ、本当だ、チハール、自宅のキッチンと繋がっているよ」
「先にキャンピングカーを収納しましょう」
 4人はコーヘーとチハールの家に帰ってきていた。

「コーヘーさん、今から冒険者ギルドに行って、大猿とロックリザードをお金に変えてもらいましょう」
「シローさん、ギルドから討伐依頼は出てないよ」

「コーヘーさん、大丈夫ですよ、俺とスミレは薬師の資格を持っていますので薬草採取でサルガ峠に向かっていて魔物に遭遇したことにすれば辻褄が合いますよ」

 コーヘーは、冒険者ギルドの受付で、薬師シロー、スミレ夫妻の護衛役でサルガ峠に行っていた事を報告した。

「コーヘーさん、こんな化け物がいたのか?」
「ええ、いました」

「この前から、魔猿のちょっかいは聞いていたが、ありがとう助かったよ」
 大猿3匹は毛皮の需要があるので金貨60枚だ、それと ロックリザードは金貨200枚だ、それに、質の良い魔鉱石は金貨2000枚で買い取らせてもらうのと、今回は大猿の討伐報酬が金貨200枚出ている」
「合計で金貨2460枚だ」
テーブルの上に金貨24袋と60枚が積まれた。コーヘーとシローは12袋を30枚を収納にしまった。

「ありがとうございます」

 コーヘーとチハールは近くの食堂でシローとスミレたちに鯛のフルコースを奮発してくれた……ゴチになりました。

「シローさん、鯛よ、鯛」
 スミレさんがはしゃぐのも無理もなかった。シローとスミレの2人はグルメ旅らしい料理を堪能していなかったのだ。


 楽しい昼食が済んで、午後になった。シローとスミレさんは、簡易住宅の裏の空き地で空飛ぶログハウスを見せて、コーヘーとチハールに自分たちで家を作ることを提案した。

「シローさん、スミレさん、もう少し考えさせて下さい」
「コーヘー、何でログハウスを作らないの?」

「チハール、今はそれよりももっとレベルを上げる方が先だと思ったからさ」
「コーヘーがそう思うなら私は反対しないわ」


(話終わり)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

処理中です...