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第2章
2-10 ウイルスに感染していた AIクリスタル脳の開発
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神界のオリンポス宮殿では嵐が吹き荒れ、ゼウスとヘーラーの機嫌がとても悪かった。
宮殿に仕える男神と女神たちは余計な事を言えないので皆が震え上がっていた。当のコイオスとポイベは自分たちの宮で謹慎処分を受けていた。昨日からオリンポス宮殿ではピリピリした状態が続いていた。
そもそも、人の性なので広義的にはヨーヘーとアッコが酒とセックスに溺れても仕方無かった。但し、神々が認めたジェネオス・アギオスとして問われた場合は、それ相応の品格が無いとリーダーとしてふさわしくないのであった。その事はオリンポス宮殿に仕える神々全員が知っている事であった。今回の件も、冥府管理システム・ケルベロスがたまたま選んだ勇者聖女の候補をコイオスとポイベが引き継いだだけだけだったが、コイオスとポイベは運が悪かったのかも知れない。
「申し上げます、先のヨーヘーとアッコの失態は脳のウイルスでした」
「ミーミル、ソフィア、詳しく申すのじゃ」
スカンジナビコスの知恵の神ミーミルはゼウスの妻神ヘーラーから請われ、オリンポスのソフィアと共にテオスシステムがメガラシステムと名乗っていた初期の頃からシステム開発に従事していた。
「はっ、ヨーヘーとアッコの二人は転生前、宿泊所で情事の最中に死亡したことになっていますが、地球の神と共同で死因を調べた結果、脳から昨今地球で流行しているウイルスが検出されたのです」
「では、そのウイルスを持ったまま転生してきたと言うのか」
「はっ、ウイルスが二人の脳に感染し、アストラル体を蝕み続けた結果、記憶を妨げ、老人性のワガママを引き起こしたと思われます」
「ミーミル、ソフィア、大義であった」
「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミルとソフィイアを手伝い、他の転生者にウイルス感染が無いか直ぐに調べるのじゃ」
「はっ、仰せのままに」
ヘーラーは5柱の神たちに命令を下した。5柱の神たちは奥の宮でテオスシステをフル稼働させジェネオスとアギオスのウイルス対策の研究開発を急いだ。
「皆のもの、よく聞くのじゃ、今回のジェネオス・アギオスの奇っ怪な行動の原因はウイルスじゃ、よってコイオスとポイベの謹慎処分は無かったこととする」
「ウォオ~~~~」
野太い雄叫びが宮殿全体に響き、使いの下神がコイオスとポイべの住まう宮に走っていった。
女神たちは食事の用意を始め、男神たちは酒宴を始めた。女神たちは別のジェネオスとアギオスが見つけてきたダラムマサラを使った辛い神饌を酒のツマミとして男神たちに出したのだった。
「そう言えば、バッカス殿、地球にはビールなる発泡酒があるのですな」
「そうです、製法が違うとかでこの星では未発達なのです」
同じ酒の神であるサマラクトスはバッカスに訪ねた。
「それにしても、ダラムマサラのムサカは辛いですな」
「これは酒が一層進みますな」
「儂らも仲間に入れるのじゃ」
ヘーリオスがセレネーを伴って輪に入った。
「さぁさ、一献」
「ヘーリオス殿、すまぬな」
「地球からの転生者がウイルスに蝕まれている危険があるのじゃ」
「ジェネオスとアギオスにエリクサーを作らせ飲ませるように神託を出すのじゃ」
「皆のもの、ジェネオスとアギオスの末路を見るのじゃ」
酒宴の場が静まり、宮殿の巨大スクリーンには14万8千光年離れた情事が盛んな星の住人に生まれ変わったヨーヘーとアッコの姿が映し出されていた。相変わらず毎日獣のように交わっている姿は情けなく神々も目を覆うばかりだった。
快楽の星は毎日地球から大量の渡り人が降ってきていた。渡り人は、この星特有の快楽を求めて一時的に愛欲に溺れ、そして死に至るだった。快楽に溺れこの星で死に至るので、この星を担当する神々の世界で大きな問題となっていた。
「ゼウス様、ウイルス感染はこんなにも酷いのですか?」
医療の神アスクレイピオスが訪ねた
「そうじゃ、地球ではワクチンである程度はウイルスを封じ込めたが、根本の解決には至っておらぬのじゃ」
神々の酒宴がたけなわの頃、奥の宮ではテオスシステムが最適解を見つけ出したのだった。
「ミーミル様、見つけました」
「これが高度な文明を持つ星の住人の神の脳なのか?」
「はい、テオスシステムが最適解を見つけました」
「では、『AIクリスタル脳』と名付けよう」
偶然にテオスシステムが見つけた答えは高度な文明を持つ星の住人たちは透明な脳を持っており『神の脳』に構造がよく似ていた。直ぐにテオスシステムが改良と増強され高度文明の恩恵でGPT機能が更に強化されたのだった。
「急いでゼウス様とヘーラー様に報告じゃ」
「「「「はい」」」」
「ゼウス様、ヘーラー様、AIクリスタル脳が完成しました」
「では、シローとスミレも含めて全てのジェネオスとアギオスも移植可能じゃな」
「はっ、仰せのとおりです」
「ミーミル、ソフィア、アテナ、アルテミス、ヘスティアー、大義であった」
AIクリスタル脳は5柱の神が見つけたウイルスに絶対に感染しない究極の神の脳だった。処理能力が大幅に上がりオリンポスの神々とほぼ同等の処理能力になった。
後日、テオスシステムを通じて全宇宙の神々が話し合った結果、アストラル体の修復はウイルスに感染してしまうと修復不可能で死後、冥界でアストラル体のまま働き続け30年間は転生させない事が全宇宙の神々の間で決まったのだった。
(話終わり)
宮殿に仕える男神と女神たちは余計な事を言えないので皆が震え上がっていた。当のコイオスとポイベは自分たちの宮で謹慎処分を受けていた。昨日からオリンポス宮殿ではピリピリした状態が続いていた。
そもそも、人の性なので広義的にはヨーヘーとアッコが酒とセックスに溺れても仕方無かった。但し、神々が認めたジェネオス・アギオスとして問われた場合は、それ相応の品格が無いとリーダーとしてふさわしくないのであった。その事はオリンポス宮殿に仕える神々全員が知っている事であった。今回の件も、冥府管理システム・ケルベロスがたまたま選んだ勇者聖女の候補をコイオスとポイベが引き継いだだけだけだったが、コイオスとポイベは運が悪かったのかも知れない。
「申し上げます、先のヨーヘーとアッコの失態は脳のウイルスでした」
「ミーミル、ソフィア、詳しく申すのじゃ」
スカンジナビコスの知恵の神ミーミルはゼウスの妻神ヘーラーから請われ、オリンポスのソフィアと共にテオスシステムがメガラシステムと名乗っていた初期の頃からシステム開発に従事していた。
「はっ、ヨーヘーとアッコの二人は転生前、宿泊所で情事の最中に死亡したことになっていますが、地球の神と共同で死因を調べた結果、脳から昨今地球で流行しているウイルスが検出されたのです」
「では、そのウイルスを持ったまま転生してきたと言うのか」
「はっ、ウイルスが二人の脳に感染し、アストラル体を蝕み続けた結果、記憶を妨げ、老人性のワガママを引き起こしたと思われます」
「ミーミル、ソフィア、大義であった」
「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミルとソフィイアを手伝い、他の転生者にウイルス感染が無いか直ぐに調べるのじゃ」
「はっ、仰せのままに」
ヘーラーは5柱の神たちに命令を下した。5柱の神たちは奥の宮でテオスシステをフル稼働させジェネオスとアギオスのウイルス対策の研究開発を急いだ。
「皆のもの、よく聞くのじゃ、今回のジェネオス・アギオスの奇っ怪な行動の原因はウイルスじゃ、よってコイオスとポイベの謹慎処分は無かったこととする」
「ウォオ~~~~」
野太い雄叫びが宮殿全体に響き、使いの下神がコイオスとポイべの住まう宮に走っていった。
女神たちは食事の用意を始め、男神たちは酒宴を始めた。女神たちは別のジェネオスとアギオスが見つけてきたダラムマサラを使った辛い神饌を酒のツマミとして男神たちに出したのだった。
「そう言えば、バッカス殿、地球にはビールなる発泡酒があるのですな」
「そうです、製法が違うとかでこの星では未発達なのです」
同じ酒の神であるサマラクトスはバッカスに訪ねた。
「それにしても、ダラムマサラのムサカは辛いですな」
「これは酒が一層進みますな」
「儂らも仲間に入れるのじゃ」
ヘーリオスがセレネーを伴って輪に入った。
「さぁさ、一献」
「ヘーリオス殿、すまぬな」
「地球からの転生者がウイルスに蝕まれている危険があるのじゃ」
「ジェネオスとアギオスにエリクサーを作らせ飲ませるように神託を出すのじゃ」
「皆のもの、ジェネオスとアギオスの末路を見るのじゃ」
酒宴の場が静まり、宮殿の巨大スクリーンには14万8千光年離れた情事が盛んな星の住人に生まれ変わったヨーヘーとアッコの姿が映し出されていた。相変わらず毎日獣のように交わっている姿は情けなく神々も目を覆うばかりだった。
快楽の星は毎日地球から大量の渡り人が降ってきていた。渡り人は、この星特有の快楽を求めて一時的に愛欲に溺れ、そして死に至るだった。快楽に溺れこの星で死に至るので、この星を担当する神々の世界で大きな問題となっていた。
「ゼウス様、ウイルス感染はこんなにも酷いのですか?」
医療の神アスクレイピオスが訪ねた
「そうじゃ、地球ではワクチンである程度はウイルスを封じ込めたが、根本の解決には至っておらぬのじゃ」
神々の酒宴がたけなわの頃、奥の宮ではテオスシステムが最適解を見つけ出したのだった。
「ミーミル様、見つけました」
「これが高度な文明を持つ星の住人の神の脳なのか?」
「はい、テオスシステムが最適解を見つけました」
「では、『AIクリスタル脳』と名付けよう」
偶然にテオスシステムが見つけた答えは高度な文明を持つ星の住人たちは透明な脳を持っており『神の脳』に構造がよく似ていた。直ぐにテオスシステムが改良と増強され高度文明の恩恵でGPT機能が更に強化されたのだった。
「急いでゼウス様とヘーラー様に報告じゃ」
「「「「はい」」」」
「ゼウス様、ヘーラー様、AIクリスタル脳が完成しました」
「では、シローとスミレも含めて全てのジェネオスとアギオスも移植可能じゃな」
「はっ、仰せのとおりです」
「ミーミル、ソフィア、アテナ、アルテミス、ヘスティアー、大義であった」
AIクリスタル脳は5柱の神が見つけたウイルスに絶対に感染しない究極の神の脳だった。処理能力が大幅に上がりオリンポスの神々とほぼ同等の処理能力になった。
後日、テオスシステムを通じて全宇宙の神々が話し合った結果、アストラル体の修復はウイルスに感染してしまうと修復不可能で死後、冥界でアストラル体のまま働き続け30年間は転生させない事が全宇宙の神々の間で決まったのだった。
(話終わり)
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