改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

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第2章

2-8 世界辞書の再インストール

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 ヨーヘーとアッコの冒険者講習が始まった後、シローとスミレさんはギルドマスターに捕まっていた。

「さて、お前たちに相談があるのだが……」
「今からキチロス山の周辺調査を引き受けてくれないか?」

 キチロス山へは、乗り合い馬車で1時間の距離だが、瘴気が濃く、周辺を常にアンデッドが徘徊しているので上位冒険者Cランクでも危険があった。シローとスミレさんは断り切れずに半ば無理やり依頼にオッケーしたのだった。


「分かりました。今から調査に行って夕方には帰ってきます」
「お前たち、移動はどうするのだ」

「はい、飛行魔法で飛んでいきます」
「頼んだぞ」

 シローはスミレさんと飛翔魔法でキチロス山へ向かった。キチロス山の麓一体は常に瘴気が出て、雑魚アンデッドが徘徊をしていた。

「シローさん、スミレさん、雑魚アンデッドは広域浄化エリア・ピュリフィケーションで浄化しましょう」
「浄化魔法の発動はスミレさんが主になりますのでシローさんはスミレさんのおへそに手を当てて魔力を供給し続けて下さい」


「「広域浄化エリア・ピュリフィケーション」」
 周辺を徘徊していた雑魚アンデッド1000体は全て浄化され消えて無くなった。

「スミレさん、雑魚アンデッドが消えて、瘴気も薄くなったよ」
「これで、洞穴に入れるようね」

「スミレさん、行こうか」
「ええ」

「スミレさん、前方から赤い点が来る」

浄化ピュリフィケーション✕20」
 シローはスミレさんの後ろに回って魔力を補給しながら二人で浄化魔法を放った。ボスアンデッドは一瞬で浄化されていった。

「スミレさん、赤い点の塊が向かってくるよ」
 「「広域浄化エリア・ピュリフィケーション✕20」」ボスアンデッド5体と雑魚アンデッド100体は一瞬で浄化されていった。

「スミレさん、洞窟の奥に行ってみようよ」
「そうね、アンデッドは全て浄化されたから大丈夫ね」

「シローさん、金の欠片を拾って、冒険者ギルドに報告よ」
「そうだね」

「その前に、キャンピングカーを出してお茶とお昼にしようよ」
「そうよね、朝から働きっぱなしだったわね」
 シローとスミレさんは遅めのお昼を食べて、その後ゆっくりとお茶の時間にした。

(シローさん、スミレさん、そろそろ冒険者ギルドに戻って下さい)

 ミカエルの声でシローとスミレさんは転移門で冒険者ギルドに移動して、受付で金鉱石の欠片を出した。受付のお姉さんはシローたちを2階の部屋に案内したのだった。

「キチロス山は100年前からアンデッドの巣窟になっていたのだよ。当時の領主が鉱山の開発に失敗して口封じで全員が処刑されそれがアンデッド化したのだ。人が近づかなければ向こうからは襲って来ないので仕方なく放置をしていたのさ」

「そうだったのですか」

「ところで、アンデッドの攻撃は無かったのか?」
「はい、アンデッドは浄化魔法で全て浄化してきました」

「はぁ、お前たち聖女の浄化魔法が使えるのか?」
「まぁ、たまたま使えたので」

「それなら、瘴気が外に漏れ出ることは無いのだな」
「はい、全て浄化されたので大丈夫です」

「早急に領主に報告するので報酬は7日後に取りに来てくれ」

「これで、塩漬け案件の依頼は終了だ、受付で新しいAランクカードをもらってくれ」
「ありがとうございます」

 ◇ ◇ ◇ ◇

「シローさん、スミレさん、冒険者講習が終わりました」
「ヨーヘーさん、アッコさん、俺たちも終わったよ」

「ヨーヘーさん、直ぐに防御魔法を展開して」

 4人は大通りを歩いていた。大通りは冒険者も多かったが、仕事を終えた職人たちも多かった。

「ヨーヘーさん、アッコさん、俺たちは今夜メガロイメラ山の洞窟でキャンプします」
「明日の朝早く、冒険者ギルドの受付で会いましょう」

 シローとスミレはそう言い終わると、転移魔法で消えていった。

「ヨーヘー、あんたがしっかりしないからシローさんとスミレさんが怒って山へ帰っていったんだよ」
「アッコ、分かっているって、俺だってしっかりしないといけないのは分かっているつもりだ」
「でも、何か肝心な事を忘れるんだ」
「そう言えば、私も何か言われていたけど……まっいいかぁ~」


「ならいいわ、何処かで食べ物を買って、今夜も河原で飲み直しましょうよ」
「ああ、そうしよう」

「アッコ、酒屋でビールを買っていこうよ」
「そうね、昨夜は飲みすぎたから今夜はビールにしましょう」

 二人は酒屋に入っていった。二人が思っている冷えたビールはこの世界には存在しなかった。エールというビールに似た発泡酒を試飲させてもらったが生ぬるくて不味かった。

 仕方が無いので、口当たりが良いミード酒を3本買ったのだった。

「アッコ、俺たちって何で酒に酔うとだらしないんだ?」
「それはヨーヘーが馬鹿だからよ」

 アッコとヨーヘーは試飲と称して空きっ腹で何杯かエールとミード酒を飲んだので既に酔いが回ってろれつが回らなかった。酒店の店主は二人に試飲の代金以上にふっかけ、酔った二人は金貨1枚のところを金貨10枚もボッタクられたのだった。

(危険回避、キュアポインズン、エクストラヒール発動)
 ジョフィエルは二人がこのまま寝てしまうと強盗に襲われる可能性が有るので生命の危険を察知してヨーヘーとアッコの意識を酔っ払う前の正常な状態に戻した。

(ジョフィエル、世界辞書強化版の再インストールーを実行するのです)

 ミカエルは遠隔操作リモートコントロールでジョフィエルにヨーヘーとアッコにの再インストールと称して、この世界で神より託されたジェネオス・アギオスの使命を事細かに脳に刻み込む再インストールーをさせた。

 また、ヨーヘーとアッコの脳の一部を緊急手術で今までの記憶を改ざんし、ジョフィエルが24時間二人を監視する措置がとられた。

 ヨーヘーとアッコが寝落ちしそうになって10分後……

「ヨーヘー、しっかりして、直ぐに河原に帰りましょう」
「アッコ、ごめん酔っ払って寝たようだな」

「アッコ、俺たち何か変わったぞ」
「そうね、私たち今までワガママだった心が無くなったよ」

「ヨーヘーさん、アッコさん、手術は一応成功ですね」

「ジョフィエル、俺たちはどう変わったの?」
「それはワガママな心が表に出ないように記憶の一部を改ざんしたのです」

「あっ、そうか、俺たちがシローさんとスミレさんに嫌われたのは俺たちのワガママだったからだ」
「そうです、前世の老人特有のワガママな心が消えずに転生してしまったので改ざんしたのです」

「アッコ、明日はシローさんとスミレさんに謝ろう」
「そうね、そうしましょう」

 二人は無事に河原に帰ったが、シローとスミレのキャンピングカーは何処にも無かった。
 ジョフィエルに昨夜から今朝の出来事の詳細を聞いて、二人は反省をするしかなかった。一応、シローとスミレにはヨーヘーとアッコから念話でいつでも連絡が取れるのだが、二人は念話のやり方が分かってなかった。

(話終わり)
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