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第2章
2-1 ハデスの苦悩 冥府管理システム・ケルベロスの改良と増設
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神々がオリンポスの宮殿で『この星での厨二病の定義』決めていた頃…… 冥府の王・ハデスはこの星に転移する予定の ”渡り人” をどうやって効率よく冥府システムに登録していくかで一人苦悩していた。
妻神ペルセポネーは思い悩むハデスを気遣い優しく言葉をかけた。
「ハデス様、渡り人の年齢に下限を設けられてはいかがでしょう?」
「この世界では冒険者として登録ができるのは12歳からですが、成人の儀を終えた15歳以上の男女にするのです」
「ペルセポネー、それは良い案かも知れぬな」
「では、年齢の上限はどうするのじゃ」
「彼の星では高齢化が進み、地球の神々からの依頼でも年寄りも転生者として候補に上げるよう言われておるから厄介なのじゃ」
「そうですね、老人の枠は古希の70歳を一応の上限にするのはいかがでしょう?」
「そうじゃのう、それは良案かも知れぬのう」
ハデスは更に難しい顔をして思考加速と並列処理《パラレルプロセス》で次の問題に取り掛かっていた。ケルベロスが導いた回答は銀河宇宙全体で36の文明があるのは分かっていた。此方の星もその36の星の一つではあったが、最近になって亜人と犯罪奴隷を贄として勇者召喚・聖女召喚を頻繁に行い、主に17歳前後の高校生がクラスごと召喚されていたのだった。
「ペルセポネー、此方の星では奴隷の血で勇者・聖女召喚を行っておるようじゃの」
「ええ、世間の事を何も知らないラノベ知識だけの若人が国王や王女に煽てられ勇者として命と引換えに魔物と戦うのですから消耗品ですわ」
「召喚された聖女も堕落しきった司祭の妾になっておるわ」
「ハデス様、見ているだけで不快極まりないですわ」
「そうじゃの、此方の星に神々は存在せぬので、神が形骸化しているのも事実じゃ」
「ハデス様、かの星にも神気が溢れているように読みとれますが」
「それは、創造神の名を語る堕天使どもの仕業じゃ」
「では、堕天使が此方の星を仕切っておるのですか?」
「ペルセポネー、その通りじゃ、堕天使はルシファーと名乗っており黒い羽、赤い眼、そして角が特徴じゃ」
「ハデス様、地球の中学生が憧れる漆黒の天使ルシファーと同じ名ではないですか」
「おそらく闇の波長が地球の中学生の心に作用し、ワームホールを通じて此方の星へと子どもたちの魂を引き寄せていると思うのじゃ」
「全ては宇宙神様の御心からそうなったと思うのじゃ」
「宇宙神様は此方の星の文明を一度滅ぼしてから新たに創造神が降臨する筋書きを立てておると思うのじゃが……」
そんな時、ケルベロスは超高度文明を持つ星の情報を映し出した。超先進アンドロイドは亜神の能力を持ち合わせた超人的な体力と神と同等の知識を持っていた。また、寿命も30000年近く生きるので不老不死と言ってよかった。
「ペルセポネー、このメイドの格好をした戦乙女はよく主人を助けておるのう」
「そうですわね、ロキシア国のホムンクルスは心を持っていませんが、超高度文明を持つ星のアンドロイドは心を持っておるのですか?」
「そのようじゃのう」
「ペルセポネー、この星の超先進アンドロイド技術を使って我らを助けてくれる部下を作らぬか」
「ハデス様、それは良い考えだと思います」
ハデスはペルセポネーと一緒に神力をいかんなく発揮して超高度文明を持つ星のアンドロイド戦乙女の構造を読み取り、具現化を発動した。結果として、ミノス、アイアコス、ラダマンティスの3柱の亜神を冥界の賢者として生み出したのだった。
「「「ハデス様、ペルセポネー様、我ら三賢者、今よりこの冥界で誠心誠意働かさせていただく所存です」」」
「まずは地球の閻魔大王から依頼された勇者聖女の候補となる魂を洗い直すのじゃ」
「「「はっ、仰せのままに」」」
ミノス、アイアコス、ラダマンティスの3人は神力を発揮し冥府管理システム・ケルベロスの増設を一瞬で終わらせた。地球の神々から依頼された勇者聖女の候補となりそうな15歳から70歳を基準として2万人以上の魂のデータがケルベロスに登録されたのだった。
「「「ハデス様、ペルセポネー様、冥府管理システム・ケルベロスの増設が終わりました」」」
「ミノス、アイアコス、ラダマンティス、大儀であった」
「其方たちは、これより通常の冥府管理業務をこなしながらケルベロスの裏管理を運用するのじゃ」
「この裏管理業務とは空いたケルベロスを使ってこの星の人族の魂を地球に転生させるシステムなのじゃ」
「「「はっ、仰せのままに」」」
ハデスは閻魔大王との約束により、この星から地球への異世界転生を実験的に行っていた。転生者は過去の記憶を持たない代わりに転生時に特殊な能力を授かっており、歴史上に名を残してきた偉人たちはこの星からの転生者だった。
(話終わり)
妻神ペルセポネーは思い悩むハデスを気遣い優しく言葉をかけた。
「ハデス様、渡り人の年齢に下限を設けられてはいかがでしょう?」
「この世界では冒険者として登録ができるのは12歳からですが、成人の儀を終えた15歳以上の男女にするのです」
「ペルセポネー、それは良い案かも知れぬな」
「では、年齢の上限はどうするのじゃ」
「彼の星では高齢化が進み、地球の神々からの依頼でも年寄りも転生者として候補に上げるよう言われておるから厄介なのじゃ」
「そうですね、老人の枠は古希の70歳を一応の上限にするのはいかがでしょう?」
「そうじゃのう、それは良案かも知れぬのう」
ハデスは更に難しい顔をして思考加速と並列処理《パラレルプロセス》で次の問題に取り掛かっていた。ケルベロスが導いた回答は銀河宇宙全体で36の文明があるのは分かっていた。此方の星もその36の星の一つではあったが、最近になって亜人と犯罪奴隷を贄として勇者召喚・聖女召喚を頻繁に行い、主に17歳前後の高校生がクラスごと召喚されていたのだった。
「ペルセポネー、此方の星では奴隷の血で勇者・聖女召喚を行っておるようじゃの」
「ええ、世間の事を何も知らないラノベ知識だけの若人が国王や王女に煽てられ勇者として命と引換えに魔物と戦うのですから消耗品ですわ」
「召喚された聖女も堕落しきった司祭の妾になっておるわ」
「ハデス様、見ているだけで不快極まりないですわ」
「そうじゃの、此方の星に神々は存在せぬので、神が形骸化しているのも事実じゃ」
「ハデス様、かの星にも神気が溢れているように読みとれますが」
「それは、創造神の名を語る堕天使どもの仕業じゃ」
「では、堕天使が此方の星を仕切っておるのですか?」
「ペルセポネー、その通りじゃ、堕天使はルシファーと名乗っており黒い羽、赤い眼、そして角が特徴じゃ」
「ハデス様、地球の中学生が憧れる漆黒の天使ルシファーと同じ名ではないですか」
「おそらく闇の波長が地球の中学生の心に作用し、ワームホールを通じて此方の星へと子どもたちの魂を引き寄せていると思うのじゃ」
「全ては宇宙神様の御心からそうなったと思うのじゃ」
「宇宙神様は此方の星の文明を一度滅ぼしてから新たに創造神が降臨する筋書きを立てておると思うのじゃが……」
そんな時、ケルベロスは超高度文明を持つ星の情報を映し出した。超先進アンドロイドは亜神の能力を持ち合わせた超人的な体力と神と同等の知識を持っていた。また、寿命も30000年近く生きるので不老不死と言ってよかった。
「ペルセポネー、このメイドの格好をした戦乙女はよく主人を助けておるのう」
「そうですわね、ロキシア国のホムンクルスは心を持っていませんが、超高度文明を持つ星のアンドロイドは心を持っておるのですか?」
「そのようじゃのう」
「ペルセポネー、この星の超先進アンドロイド技術を使って我らを助けてくれる部下を作らぬか」
「ハデス様、それは良い考えだと思います」
ハデスはペルセポネーと一緒に神力をいかんなく発揮して超高度文明を持つ星のアンドロイド戦乙女の構造を読み取り、具現化を発動した。結果として、ミノス、アイアコス、ラダマンティスの3柱の亜神を冥界の賢者として生み出したのだった。
「「「ハデス様、ペルセポネー様、我ら三賢者、今よりこの冥界で誠心誠意働かさせていただく所存です」」」
「まずは地球の閻魔大王から依頼された勇者聖女の候補となる魂を洗い直すのじゃ」
「「「はっ、仰せのままに」」」
ミノス、アイアコス、ラダマンティスの3人は神力を発揮し冥府管理システム・ケルベロスの増設を一瞬で終わらせた。地球の神々から依頼された勇者聖女の候補となりそうな15歳から70歳を基準として2万人以上の魂のデータがケルベロスに登録されたのだった。
「「「ハデス様、ペルセポネー様、冥府管理システム・ケルベロスの増設が終わりました」」」
「ミノス、アイアコス、ラダマンティス、大儀であった」
「其方たちは、これより通常の冥府管理業務をこなしながらケルベロスの裏管理を運用するのじゃ」
「この裏管理業務とは空いたケルベロスを使ってこの星の人族の魂を地球に転生させるシステムなのじゃ」
「「「はっ、仰せのままに」」」
ハデスは閻魔大王との約束により、この星から地球への異世界転生を実験的に行っていた。転生者は過去の記憶を持たない代わりに転生時に特殊な能力を授かっており、歴史上に名を残してきた偉人たちはこの星からの転生者だった。
(話終わり)
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