改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

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第1章

1-11 移動式ログハウスが完成した

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 王都ケトマスの冒険者ギルドで魔物を売ったシローとスミレさんはミカエルの提案で赤の魔女と青の魔導師がキャンプをしていたピーラー山に瞬間移動してきた。この夜はケトマスの市場で買ったエビとホタテ貝の海鮮BBQで二人で盛り上がったのだった。

 翌朝……

 ピピピ、ピピピ、ピピピ、ミカエルは朝6時の定刻にアラームでシローとスミレさんを起こしてきた。

「スミレさん、おはよう」
「シローさん、おはよう」

「ミカエル、朝早くからアラームを鳴らして今朝はどうしたの?」

「シローさん、スミレさん、おはようございます」

「今日は朝食後にログハウスを建てる準備に取り掛かっていただきたいと考えたからです」
「現在、テオスシステムの共有データーに先のジェネオスとアギオスたちが作ったログハウスのデーターが保管されております」
「シローさん、スミレさん、平屋建てのログハウスの間取りはこちらです」

 ミカエルはテオスシステムの共有データーからシローとスミレにふさわしいプランの間取りを選んだ。

「一応、ゲスト用の寝室を用意したプランにさせていただきました」
「スミレさん、どう?」

 スミレさんは、いくら体が若返っても子育てをすることは絶対に無いと考えていた。ましてこの世界に友達は一人もいないので誰かを自宅に泊める事は絶対に無いと考えていたのだった。

「ミカエル、ゲスト用の寝室は要らないと思うからからクローゼットに変更して」
「それと、トイレとお風呂の間取りはもう少し広くして」

「スミレさん、分かりました。改良いたします」
「スミレさん、こちらが新しい間取りプランになります」

 出来上がったログハウスは平屋建てでシンプルな片屋根だった。寝室はダブルベッドが充分に入る大きさに拡張されたし、隣のゲストルームはスミレさん専用のウォークインクローゼットに変更されていた。バスルームも拡張されて大人二人がゆったりと入れる浴槽に変更されていた。最後にトイレだが男子トイレと女子トイレの2つに別れたのだった。

「シローさん、これならオッケーよ」

「では、ログハウスの材料を調達して頂きたいので飛翔フライでこの先の山奥に移動しましょう」
「ミカエル、キャンピングカーで飛ばないのか?」

「シローさん、伐採予定の森の上空まではキャンピングカーで移動できても着陸が出来ないからです。飛翔魔法になれるためにも飛翔フライで飛びましょう」

「ミカエル、わかったよ」


「シローさん、自分で空を飛ぶってちょっと怖いわね」
「スミレさん、絶対に手を離さないで」
 シローとスミレさんは飛翔フライで空に上った。5分ほど飛んで目的の森に到着したのだった。

「サーチ」
 シローは森周辺の魔物を探知した。幸いに大型の魔物は全くいなくて周りにいるのは数羽のホーンラビットだけだった。

「シローさん、スミレさん、直径30センチ以上の木を風刃エアーカッターで伐採しましょう」

風刃エアーカッター

「シローさん、私もやってみるわ」
風刃エアーカッター

 大木は次々と伐採され、シローは枝が付いたままの大木を収納していった。

「シローさん、スミレさん、材料は集まったので転移ワープでキャンプ地まで戻りましょう」

「では、スミレさんにペニスを握ってもらい魔力を循環させてログハウスを作って下さい」

「スミレさん、お願い」
「シローさん、おちんちんを握るよ」

「スミレさん、ログハウスを作るね」
「シローさん、頑張って」
 二人の体が金色に輝き魔力の循環が始まっていた。更に輝きが増したところで、ドドーンと大きな太鼓の音が鳴り目の前にログハウスが出現した。

「シローさん、素敵なログハウスが出来たよね」
「スミレさん、良かったね」

 二人は玄関からログハウスに入ってキッチン、リビングの間取りを確かめたのだった。シローは大木だけしか材料を用意しなかったが、ガラスやユニットバス、システムキッチンなど現代の設備は何処から作ったのか不思議だったが、言わないことにした。

(シローさん、木材以外は魔鉱石とこの世界にある自然素材から錬成しています。窓ガラスは魔鉱石の抽出が終わった岩石から石灰を取り出し、近くの川砂を利用して作っています。同じく、鉄製品は魔鉱石からの抽出加工品なのです)

(ミカエル、詳しい解説をありがとう)
(どういたしまして)

「シローさん、想像以上だわ、ありがとう」
「スミレさん、良かったね」

「シローさん、お昼はホタテのパスタを作るわね」
「スミレさん、お願いします」

 スミレさんはキッチンに備え付けの魔導IHコンロにパスタ鍋を置いた。パスタ鍋は昨日シローが具現化で作ったが、元の世界の物がそのまま使えるのは少々驚いた。フライパンにバター、ホタテを入れ中火でさっと炒め茹でたパスタにソースをかけた。

「スミレさん、昼間だけどスパークリングワインを開けようか?」
「ええ、お任せするわ」

 シローはスパークリングワインをワイングラスに注いだのだった。柔らかい日差しが差し込み、新築のログハウスは針葉樹の木の香りが爽やかだった。

「スミレさん、ホタテのパスタ美味しいね」
「シローさん、エビを入れるのを忘れていたわ」

「スミレさん、デザートのショートケーキです」
「それと、コーヒーをどうぞ」
「シローさん、ありがとう」

 シローはミカエルのアドバイスを借りて具現化で元の世界の有名店のコーヒー豆とショートケーキを作ってみた。イポニアにもカッファ豆は入ってきているらしいが、ほとんどの人は飲まないので値段はどうしても高かった。

 ミカエルはこの世界でもショートケーキはナトホカまで飛べば食べられると言っていたがショートケーキ1個が銀貨2枚だと教えてくれたので二人は高級洋菓子だと思ったのだった。


(話終わり)
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