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第6章

6-12 神界に招かれた2

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「これより、第二部を始める」

 女神たちの会議が始まった。議長を務めるヘーラは機嫌が良かったのだった。

「最初はダプネーじゃ」

「サツポル市に転生したハチローとコマコは現在はナトホカに渡ってスイーツの店を経営して成功をしております。今後はナトホカでスイーツが進化を遂げていくものと思われます」

「次はアンピトリテじゃ」

「ハカトン市のアンピトリテです。育成中のジェネオスが考えた魔石を利用した冷蔵庫のおかげで焼酎の水割りが市民にも広く受け入れられました。また、モツ鍋、水炊き、ラーメン、餃子、天ぷら、明太子が人気を博しております」
「ハカトン市のアギオスがギルド職員に伝えた筑前煮は、その後レシピが公開され今後は市民に広がっていくかと思われます」

「次はボナディアじゃ」

「アギオス二人が、見つけたタイバンカステラはイポニアで人気になっております」
「それと、先程の休憩時に振る舞われたスムージーは今後市民に広く普及していくと思われます」

「次はナニサカ市のアリアドネじゃ」

「ナニサカ市では、転生者がもたらした『オタク焼き』が好調ですが、今後は|ベラルディウスの肉を使ったハリハリ鍋の人気が出てくるものと思われます。それと、寿司店が独自の進化を遂げながら凄い勢いで増えてきています」

「次はマツイヨ市のアフロディテじゃ」

「現在、マツイヨ市の一部の店では刺し身が提供されておりますが、ジェネオスが包丁を改良し、今後は市民にも調理法として刺し身が普及していくと思われます」

「次はキボピーチ市のクリュメネじゃ」

「キボピーチ市のクリュメネです。育成中のアギオスが絶賛した桃パフェと弟子のジェネオスが押したカキオコが市民の人気を博しております」

「なお、モイズ市のウラノス様に代わりまして発言することをお許し下さい」
「育成中のアギオスがモイズ市を訪れた際に絶賛したそばとぜんざいもモイズ市の名物であると付け加えておきます」

「次はモリタイラ市のセレ-ネじゃ」

「モリタイラ市のセレ-ネです。現在、牛タンが市民の人気を博しており、食文化では白味噌も好まれて使われております」

「次はアラゴト市のテティスじゃ」

「アラゴト市のテティスです。海産物では「のどぐろ」が市民の人気を博しており、それとカーブラスが人気です」

「最後はキント市のヘーベじゃ」

「キント市のヘーベです。キント市には独自の食文化が有りますので、みそかつ、手羽先、天むす、きしめん、味噌煮込みうどん、あんかけスパは前回紹介しましたが、小倉トーストも市民の人気を博しております」

「では、これにて第二部を終了する、皆で食事の準備を始めるのじゃ」
 ヘーラの閉会の挨拶で女神たちの会議は終わった。

「ヒロシさん、こうして聞いていると、イポニアも探せばB級グルメはいっぱいありそうね」
「そうだね、いずれ機会があればイポニアを周遊してみたいね」

「ミサエさん、桃が手に入れば桃パフェは出来ますよ」
「ダリナ、貴方、桃パフェの作り方を知っているの?」

「ハイ、学生の頃にスイーツ店でアルバイトをしてたのでおおよその作り方はわかります」

「ミサエ、ダリナ、桃の材料は支給するので桃パフェを披露してはくれまいか?」
「ヘーラ様、わかりました。では新鮮な桃を皆様の人数分ご用意下さい」

 下級神の女神たちは男神にも手伝ってもらいながら仙桃の実を急いで集めだした。

「ヘーラ様、仙桃の実を100個ほど集めてまいりました」
 ボナデア様が代表して報告をした。

「サブローさん、アイスクリームメーカーを具現化で作って」
「ラファエル、アイスクリームメーカーの詳細を表示して」

「アイスクリームメーカーはこちらです」
 ダリナは画面を見ながら、赤いボール型のアイスクリームメーカーを選んだ。

「サブローさん、アイスクリームメーカーの具現化をお願い」
「ダリナさん、任せて」

 ヒロシもアイスクリームメーカーの具現化を手伝ったのでアイスクリームメーカー5台は数秒で出来上がった。

「ボナデア様、新鮮なミルクはありますか?」
「大丈夫じゃ、直ぐに用意させよう」

 ダリナは仙桃の実をさいの目にカットしてアイスクリームメーカーに入れてアイスクリームを作った。ミサエさんとヒロシとサブローは仙桃の実の皮を丁寧にむいて人数分を用意した。

 サブローとヒロシはパフェグラスを具現化で作り、仙桃のアイスクリームをグラスにいれ、その上に仙桃の実を乗せた。

「ヘーラ様、こちらが仙桃のパフェでございます。どうぞお召し上がり下さい」
 女神たちも手伝ってもらい、オリンポスの神々はダリナの作った仙桃のパフェを食べたのだった。

 ダリナが作った仙桃のパフェのレシピは神々のデザートに加えられたが、基本のアイスクリームを作る際に果物を変えれば幾多の種類のパフェが出来ることをヘーラに進言した。

 ミサエさんが披露したスムージも同様で特にザクロは美容に良い効果があることをヘーラに進言した。


「うむ、これは美味じゃ」
「ヘーラ、アギオスたちに借りが出来たな」

「そうですね、アギオスたちの知識は妾たちの想像を超えておりました」

「ミーミル、ソフィア、これよりアギオスが作る料理はテオスシステムに全て記録していくのじゃ」
「今後は神撰メニューに正式採用するのじゃ」

「「はっ、仰せのままに」」

 こうして、アギオスが作った料理は神界のデータベースで管理されることになってレシピの共有化が進んだのだった。

 
 ヒロシたち4人は天界の宮殿で食事と酒が振る舞われ楽しい時間が過ぎていった。

「プリアーポス様、ボナデア様、楽しい時間をありがとうございました」
「依り代を使って儂らに呼びかければ何時でも神界に来れるので遠慮なく来るのじゃ」

「「「「わかりました」」」」


「それから、これを土産に持って帰るのじゃ」
 プリアーポス様とボナデア様からもらった大き目の植木鉢には仙桃の実が10個なっていた。

「これは仙桃の実じゃ」
「毎日実るから好きな時に食べるのじゃ」

「ひょっとして、不老不死の実ですか?」
「そうじゃ」

「では、充分にいただきましたのでこれでお暇します」
「気をつけて帰るのじゃ」

 ヒロシが天界門を開けるとログハウスに戻ってきていた。天界と地上では時間軸が少しズレているらしく、天界でほんの1日の滞在のつもりが、ヒロシたち4人は1週間ほど天界に行っていた事になっていた。

(話終わり)
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