気が付いたら偽勇者と偽聖女になっていた リカコとマリオと

にしのみつてる

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第2章

2-10 神様たちのおせっかい テオス・システムの稼働

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 天界のオリンポス宮殿ではゼウスとヘーラーが珍しく夫婦喧嘩をしていた。
「困ったことになったのじゃ、ゼウス様のお怒りで地上が消し飛ばずに済めば良いのじゃが……」

 神々たちはゼウスとヘーラーに口出しが出来ないので静かに見守るしかなかった。事の始まりは、タートル市に突然現れた土地神コンビーラと3組の勇者と聖女たちだった。

「ミーミル、ソフィア、大至急、勇者・聖女のリストを洗い直すのじゃ」
「これまで無名だったCランク冒険者を検索し、新たな勇者と聖女の候補にするのです」

「「はっ、仰せのままに」」

「ゼウス、へーラーよ、何をそんなに揉めておるのじゃ」
 ガイア様とウラノス様が急にオリンポスの宮殿に現れたので、女神達は会長夫妻の対応に上を下への大慌てだった。

「騒動の原因はタートル市の土地神コンビーラと3組の勇者、聖女です」
「放っておけば良いのじゃ」

「では、彼らを認めるということですか?」
「そういう事じゃ」

「其の者たちが、我らオリンポスの神々が認めるような功績を残せば真の勇者と聖女になるじゃろう」
「コンビーラもこの星に座する神の一柱じゃ、我らが口出しすべき問題では無いと思うのじゃ」

「ゼウス、ヘーラーよ、神界通信システムを構築し、全宇宙の神々と交信して友好を結ぶのじゃ」
「そうすれば、この地に座する土地神も我らの働きに全員が賛同するはずじゃ」

「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミルとソフィアを手伝いメガラシステムの増強を図るのじゃ」
「「「はっ、仰せのままに」」」

 アテナ、アルテミス、ヘスティアーの三女神は四大天使長、ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルを招集した。
「ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、メガラシステムのデータベースからから新たな勇者聖女を検索するのじゃ」
「「「「はっ、仰せのままに」」」」
 
 天使長は上位、中位、下位と命令が下り、イポニア全体で下位精霊も含めて1億以上の天使たちが全国を飛び回った。結果としてイポニア全体で新たに10000組以上の勇者・聖女が誕生したが、勇者・聖女の素行も詳しく調べられ勇者・聖女のリストは絞り込まれた。

「ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、此度の働き、大義であった」
アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミル、ソフィアの神は勇者、聖女のリストをヘーラーに提出した。

「へーラー様、勇者・聖女の候補が揃いました」
「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミル、ソフィア、此度の働き大義であった」

「ゼウス様、へーラー様、テオス・システムが完成し、起動致しました」
「現在、日本の神々、ボリウッドの神々、エジプトの神々、メソポタミアの神々と会議が可能です」
「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミル、ソフィア、大義であった」

 メガラシステムの処理能力は既に大幅に改善されて神界通信システム、神のインターネットテオス・システムと名称を変えていた。この恩恵より、日本の神々、ボリウッドの神々、エジプトス、メソポタミア、その他あらゆる地域の神々と同時通話が可能になったのだった。

 ゼウスとヘーラーは神界会議を行い、イポニアの神々、ボリウッドの神々、エジプトス、メソポタミアの神々と渡り人に関する条約を交わした。また土地神についての情報交換も行い、タートル市のコンビーラ神はボリウッドの神々が管轄している事が判明したのだった。


 最終的に全宇宙の神々は神のインターネットシステムテオス・システムで会議を行い、勇者、聖女の選考基準を『慈しむ心』を第一条件として議決した。


 全宇宙での勇者・聖女の数の上限は設けず、個人の能力を表すレベルも担当の神々に任すことが再確認された。

 オリンポスの神々が認めた勇者・聖女の呼称は廃止して、ジェネオス・アギオスを正式名称としているが、呼称も賢者・導師、魔導師・魔女など特に決まりは無いよう緩くした。


 全宇宙の神々がテオス・システムで決めた内容は既存のアカシック・レコードシステムを利用し全宇宙の神々で情報共有がされることになった。

 この事件をきっかけに冒険者ギルドでは普段より素行の悪い自称:勇者・聖女のパーティは昇級が見送られることになった。反対に今まで全く目立っていなかったパーティは冒険者ギルドより認定されて日の光が当たるようになってきた。見直した結果として、冒険者全体の意識向上と技術向上につながっていくことになったのだった。

(話終わり)
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