気が付いたら偽勇者と偽聖女になっていた リカコとマリオと

にしのみつてる

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第4章

4-7 ゲヌマヌイ鉱山のベヒーモス

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 マリオとリカコは少しだけ早起きをして中級ポーションを冒険者ギルドに納品してきた。

「マリオさん、リカコさん、先に四人分のピッケルを作りましょう」
 ウリエルが言うように、ギルド内の売店は冒険者用の武器と一緒に鉱物採集の用具などが売っていたが、輸送費が加算されているのでナトホカの3倍の値段だった。

「リカコ、一旦ログハウスに戻ろうよ」
「マリオさん、ピッケルを作って」
 マリオはミスリル鉱石から軽くて丈夫なピッケルを4つ作った。

「ヒカル、ミチル、ピッケルを作ったから鉱山に入るよ」
「は~い」

「ヒカル、その格好はどうしたの?」
「今日はアニメの勇者になりきりで勇者ヒカルなのです」

「ミチルもどうしたの?」
「我が名はミチリン、最強の魔女なのです」
 ミチルは両手杖に赤いリボンの魔女帽子、赤の魔女服と茶色のマントを羽織っていた。

 マリオとリカコは吹き出しそうになるのを我慢して鉱山へと向かった。

 ゲヌマヌイ鉱山は浅いダンジョンだったが、Aランク超えのモンスターが湧いてくる難易度の高いダンジョンだった。ダンジョン内はベヒーモス数頭が常時徘徊していた。ダンジョンへの入室はパーティ別に入り口が分かれており、マリオとリカコは一緒に一つのドアをくぐった。ヒカルとミチルは別のドアから入った。


「ウリエル、ベヒーモスは改造した魔道銃とリカコの両手杖で倒せるのか」
「はい、最大出力で攻撃すれば大丈夫です」
 マリオは短剣型魔道銃の目盛りを最大の5に設定した。

 ガォー、ギャーオー、ビーーー、ビーーー、ギャーオー、マリオとリカコは入っていきなり短剣型魔道銃でベヒーモスと戦っていた。前日に入った冒険者がしくじってベヒーモスが苛立っていたのだった。

「マリオさん、リカコさん、極大雷魔法を撃ってください」
「ウリエル、『イカズチ』でいいのか」
「違います極大雷魔法は『タケミカヅチ』です」

「「タケミカヅチ」」

 マリオとリカコが放った極大雷魔法はベヒーモスを一撃で感電死させた。
「それにしてもベヒーモスの火炎攻撃は凄かったな」
「そうね」

「リカコ、アダマンタイトだ」
「全部拾っていきましょうよ」
「そうだな」

 一方のヒカルとミチルは少し苦戦をしていたのだった。
 ギャーオー、ガォー、ギャーオー、ガォー、
「イワオ、イサム、援護してくれ」
ビーーーー、ビーーーー、ビーーーー、ビーーーー、ビーーーー、ビーーーー、ビーーーー、ビーーーー、

「ミチル、サンダーボルトの重ねがけ」
「「サンダーボルト×10」」
 ガラガラ、バリーン、ベヒモスは感電して死んでいた。

「ミチル、ちょっとヤバかったね」
「そうね、でも両手杖が役立ったわ」

「お前たち、ベヒーモスに襲われなかったのか」
「極大雷魔法でやっつけました」
「じゃぁ、今の時間はベヒーモスは徘徊していないのだな」

「これが証拠のアダマンタイトとベヒーモスです」
 マリオは黒焦げのベヒモスを収納から出した。それと大量のアマダンタイトも出した。

「マスター、全て本物です」
「ベヒーモス討伐1000枚とアマダンタイト4樽8000枚、合計で金貨9000枚だ」
「ありがとうございます」

「マリオさん、リカコさん、ただいま戻りました」
「お前たち、ベヒーモスに襲われなかったのか」
「サンダーボルトを重ねがけしてやっつけました」

(ウリエル、解説して)
(ヒカルさんたちはタケミカヅチを覚えていないのでサンダーボルトを10個発動させたのです」
(威力はタケミカヅチとほぼ同じです)

「ヒカル、ミチル、よく頑張ったね」

「ベヒーモス討伐1000枚とアマダンタイト4樽8000枚、合計で金貨9000枚だ」
「ヒカル、ミチル、お疲れさん」

「ウリエル、鉱山ダンジョンの魔物を制御することは出来ないの?」
「理論上はダンジョンコアを入れ替えすればできるかも知れませんが、現実的には無理だと思います」

「そうだよね、鉱山が安全だったら、アダマンタイトの価値が暴落してしまうね」
「そうです、それもあります」

「じゃぁ、冒険者が安全なように転移魔法の魔道具を作るのはどうかな?」
「ええ、それは神界のルールにも違反しないので可能だと思います」

 マリオはウリエルが簡略化した魔法陣を構築してくれたので羊皮紙に転写をした。込める魔力量は1000程度にして上級魔道士であれば付与できる魔力量だった。但し、魔法陣を解析をしてもプロテクトを掛けてあるので目的地の変更は出来ないようした。

 マリオは印籠型のケースを作りアダマンタイトを入れて魔法陣はケースの裏側に転写をした。ダンジョンの中で実験した結果、ギルドに問題なく転送が出来た。

「アレクサンドルさん、アナスタシアさん、この魔道具を使って下さい」
 マリオは印籠型の転送魔道具を渡した。

「マリオ、これは転送魔道具なのね?」
「はい、冒険者の安全装置でギルドで貸し出しをして欲しいのです」
「こちらが魔法陣の写しです、ギルドで保管管理して下さい」

「触媒に小さなアダマンタイトを入れておけば半永久的に使えます」

「アナスタシア、どうだ?」

「マリオらしいアイディアだと思うわ、これで冒険者の怪我は防げるし、毎月の規定量の納品は可能よ」
「そうだな」

 こうして転送魔道具はギルドでの正式採用が決まり、マリオは砂金の採掘場所も含めて50個の転移魔道具を作った。予備5個を一緒に納品したのだった。転送魔道具は金貨10枚で貸し出され採掘完了後にギルドに返す約束になっていた。

 マリオとリカコの口座には月末に魔道具貸し出しの売り上げから40%が支払われる事になった。この転移魔道具のおかげで冒険者がダンジョン内で全滅する最悪のケースは無くなった。また、砂金の採掘もワータイガーが出なくなったおかげで全体的にアダマンタイトと砂金の産出量が増えていったのだった。


 こうしてマリオとリカコのゲヌマヌイでの実績は冒険者カードに記録され、ロキシア国Sランク冒険者として正式に登録された。ヒカルとミチルもマリオとリカコと同じようにロキシア国Sランク冒険者になった。

(話終わり)
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