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第2章

2-10 中級ポーションを作ってみた

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 モトヤとヨウスケは朝からゴーレムのテストにアガミノル山に行ってしまった。ヒナノとユカは食後のお茶を飲みながらゆったりした朝の時間を楽しんでいた。

◇ ◇ ◇ ◇

「ユカ、今日は中級ポーションを作りましょう」
「材料はアロイ、ラベンダー、ユペリコ草よ、薬草園で採ってきて」

「ヒナノさん、この前使ったマグワートもユペリコ草も見習い冒険者が集めてくる薬草ですよね」

「そうよ、見習い冒険者が集めてくる薬草でポーションは作れるけど、その事を知っているのは薬師と一部の錬金術師だけね」

「もしかして、一般の人は魔力水を作る事が出来ないからですか?」

「ユカ、それはこの世界の常識よ、そもそも聖属性魔法が使えないと回復や治療は出来ないのよ」

「聖女だけの特権だと思っていました」

「そんな事は無いわ、聖属性魔法は私とモトヤがいたガリア国では高位の神官も使っていたわ、それとヒーラーと呼ばれる聖属性魔法に特化した魔法使いが普通にいたのよ」

「ヒナノさんが聖属性魔法を使えるようになったのは何時からですか?」

「私もレベルが上ってから聖属性魔法が使えるようになったのよ」

「じゃぁ、私と同じ時期からなのですね」
「そうかもね」

「ユカ、基本知識はこれくらいにして、大鍋に魔力水を満たしてくれる、今回は意識して魔力をたっぷり注いでみて」

「はい」

「アロイ、ラベンダー、ユペリコ草を大鍋に入れたら『サンクチュアリ』よ」
「サンクチュアリ」
「大鍋が光って、中級ポーションが出来上がった」

「ユカ、具現化でポーションを入れる小瓶を100個作ってみて」

「はい」
 ポーションの小瓶100個は直ぐに出来上がったので、出来上がった中級ポーションを小分けした。

「ユカ、この前の下級ポーションと今作った中級ポーションを鑑定してみて」
「はい、『鑑定』ですね」

 ユカは下級ポーションと中級ポーションを鑑定してみた。

◇ ◇ ◇ ◇

下級ポーション
外傷(切り傷、咬傷、擦り傷)を回復する
解熱、下毒作用がある
怪我により失われた体力を半分回復する
但し、骨折、欠損は回復できない
味は苦くてかなり飲みにくい
◇ ◇ ◇ ◇

中級ポーション
外傷(切り傷、咬傷、擦り傷)を全回復する
解熱、下毒作用がある
怪我により失われた体力を全回復する
骨折、一部欠損を回復出来る
味は爽やかな味でかなり飲みやすい

◇ ◇ ◇ ◇

「ユカには教えて無かったけど、回復魔法の『ヒール』は初級、中級、上級と別れていて、ヒール、ハイヒール、エクストラヒールと呪文が違うのよ」

「それから、中級ポーションは下級ポーションに比べて魔力が沢山含まれるので回復効果が高いのよ」

「ハターニアとユペリコ草の違いは有るのですか?」

「ハターニアは解毒作用の効果が有るけど、一般の薬師は殆ど知らないと思うわ」

「えっ、何でですか?」

「私のオリジナルよ、ユペリコ草の代わりに入れてみたのよ」
「じゃぁ、一般の中級ポーションの効果なのですか?」

「それは無いわ、マグワートは止血用だから一般の下級ポーションと同じで傷を治すだけよ」
「ヒナノさん、分かりました」

「ヒナノさん、このポーションをギルドで売ってもいいのでしょうか?」
「ユカ、他人には売らない方が良いと思うわ」
「領主や貴族に囲われてしまったら、一生、ポーションを作り続ける羽目になると思うわ」

「そうですね、一生働くのは絶対に嫌です」

「そうよ、私もユカもお金の為に働かなくても生活は出来るから、ポーション作りは趣味として考えるのよ」
「その代わり、目の前で怪我をした人がいれば使ってあげて」

「はい、分かりました」

(モトヤ、お昼にしましょう)
(ああ、今から転移門で帰る)

 ヒナノはモトヤと思念伝達念話で連絡を取った。程なくしてモトヤとヨウスケが帰ってきた。

「ユカたちはどうしてたの?」

「私たちは中級ポーションを作ったのよ」
「へえ~、凄いね」

「ユカ、お昼はオムレツにしましょう」
「はい」
 ヒナノとユカは手際よく昼食の準備をしてくれた。オムレツを食べながユカがヨウスケに聞いてきた。

「ヨウスケ、ゴーレムはどうだったの?」
「成功です、モトヤさんが2体作ったので全部で4体になりました」
「そうなの、よかったわね」

(話終わり)
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