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556話 気配り魔族

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優羽花ゆうか、ポーラ、
二人ともありがとう。
少し回復したから、
もう肩を貸してもらわなくても大丈夫だ」

 俺はそう言葉を述べると
 二人から腕をするりと抜いて離れた。
 よし、何の違和感もなくごく自然の流れである。

 先のポーラ姫のおっぱいの虜になっていた時は
 とてもじゃないが出来なかった行動である。
 これは優羽花ゆうかがその薄い胸板でもって
 おっぱい楽園パラダイスから俺を
 楽園追放してくれたから出来た芸当なのだ。
 俺は我が愛するツンデレ妹に改めて感謝した。

「…うっ!?」

 しかし言葉とは裏腹に
 実際に体力の回復は足りておらず、
 俺は思わず足がもつれてしまった。

「ケイガお兄様、
まだ心配ですわ…
しばらくはポーラが支えますの」

 ポーラ姫はそう言うと俺の右手を取って寄り添った。

 右手がロイヤルおっぱいに挟まってるんですけどおおおーー!!
 グヘッ…いかん意識が…。

「お兄!
もっとあたしを頼ってくれても良いんだからね!」

 優羽花ゆうかはそう言って俺の左手を取って寄り添った。
 左手が板の様な胸にぶち当たる。
 その固い感触はポーラ姫のロイヤルおっぱいに
 意識を持っていかれそうになった
 俺を冷静にさせ現実世界へと引き戻した。

 そうだ…優羽花ゆうか
 俺にその固い感触を、
 もっと!
 もっとだー!

 俺は精神を何とか平常に保つと空かさず、
 『地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・四の型、瞑想めいそう』を行使!
 気を高めて体力の回復を図った。

 とにかく急ぎ自身の足で立てる様になるまで回復する必要がある!
 そうでなくては…
 俺は妹に支えられるという情けない兄の姿を晒し続けてしまう、
 そして妹のロイヤルおっぱいの虜になってしまうという…
 兄としてありえない醜態を白日の元に晒しかねないのだ!
 それだけは、
 それだけはあってはならない、
 俺は兄としての尊厳を守らなくてはならないんだあああーー!!

「ふう…」

 とり急ぎ立てるまで回復した俺は
 優羽花ゆうかとポーラ姫から身体を離した。
 これでどうにか兄としての尊厳を守ることが出来た。
 俺は思わず安堵の息を漏らした。

「どうやら回復したようだなケイガ」

 魔族の騎士ディラムが俺に歩み寄って話し掛けて来た。

「まあ…何とかなあ」

「貴様はガルヴァーヴ様相手に全ての力を行使していた、
回復に時間が掛かったのもやむを得まい。
われが肩を貸しても良かったのだが、
妹君達が肩を貸したがっていたので其処は遠慮させて貰った」

 ええっーディラムサン!?
 またいらぬ気を利かせすぎですよ!
 そういうのは要らないですから!!
 そこはあなたがすぐ肩を貸してくれれば
 俺はこんな苦労はしなくても済んだのでは…?

 大魔王直属の魔界五軍将の一人、
 魔竜将ガルヴァーヴの副官を務める高位魔族、魔騎士ディラム。
 まるで氷の様な整った顔立ちに見合ったクールな物言い。
 しかしその実は何かと察しが良く、
 俺に対して気を利かせすぎる…
 魔竜将の副官という立場がそうさせるのかも知れないが。

 ”気配り魔族”という謎のパワーワードが俺の脳裏に浮かんだ。
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