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543話 妹たちの不満

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「ああっ、ケイガお兄様!
ユウカ様だけ特別扱い何てずるいですわ!」

「ケイガ兄君様あにぎみさま
今の発言はちょっと…。

ボクたち新しい妹には、
ちょっと配慮が足りなかったと言わずにはいられないよね?」

 異世界エゾン・レイギスでの新たに妹のふたり…
 ポーラ姫、ミリィが俺に対して不満げな言葉を口にした。

 で、ですよねー!
 その反応は当然であろう。

「ケイガ兄様ー?
今のはちょっとー」

「兄様、
今のはモミジも不満」

「このイチョウ、とても残念な気持ちですわケイガ兄様」

「自分はまだまだ不肖な妹の身ではありますが、
こう露骨に言葉にされるには如何なものでは無いかと?」

「兄様!
シダレも今のはちょっとガックリ来ているかも!」

「ケイガ兄様、
またしても妹格差ですわよ!」

「…うう…
…ケイガ兄様…」

 カエデ、モミジ、イチョウ、クレハ、シダレ、イロハ、ツツジ、
 姫騎士団プリンセスナイツを構成する
 団員である七人の女騎士も続けて不満の言葉を述べた。

「ケイガ兄様。
姫騎士団プリンセスナイツの団員の
兄様に対する失礼な言葉振り…
団長である自分が謹んでお詫びいたします。

確かに私たちは貴方の妹になったばかり…
そして、過ごした時と愛情が比例することも理解しております。

ですがやはり…
そうはっきりと言葉にされますと、
どうしても心に堪えてしまうのです。
もちろん私も。
それだけはご理解ください」

 姫騎士団プリンセスナイツを統べる団長である
 シノブさんが俺に頭を下げながら言葉を述べた。

 うあああああああ!
 やっぱり皆、
 渋い反応になりますよねえええ!!

 俺は優羽花ゆうかに対しての発言を今更ながら後悔したが…
 完全に後の祭りである。

 とりあえず…
 異世界の妹たちをこのまま見続けるのは色々と辛い。
 俺は目の前の妹歴16年のツンデレ妹の方に視線を戻した。

「…あっ…あ…」

 優羽花ゆうかは素っ頓狂な声をあげながら
 口を金魚の様にパクパクとさせている。
 その顔はまるでゆでだこの様に真っ赤に紅潮していた。

 俺の言葉がそんなにも気恥ずかしかったのか?
 …そんな反応をされると、
 俺も何だか恥ずかしかくなって来たのですがが。

「…負けませんわ…」

「ひょ?」

 突如ポーラ姫の強い意気がこもった言葉が聞こえた。
 俺は驚いて思わず間抜けな言葉で答えてしまった。

「負けませんわユウカ様!
このポーラ、
今は確かに妹として後れを取っておりますけれど!
いずれお兄様の一番の妹になって見せますわ!!」

 絶叫するポーラ姫。
 と、同時に見通しの眼鏡スカウターレンズに映し出された
 彼女の魔力数値が急上昇した。
 
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