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532話 憂さ晴らし

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「それじゃヒカリはいちどきえるね。
ばいばい、おにいちゃん」

 光の精霊ヒカリはそう言葉を述べると、
 この場からかき消えた。

「ああーん!
ヒカリちゃんが消えたー!!
あたし、まだ一度もふにふにもすりすりもしてないのにぃ!」

優羽花ゆうか
またそんなことを考えていたのか!?」

「そんなのお兄、あたり前でしょ!
あんなにも可愛いヒカリちゃんが、
突然自分の目の前に現れたなら…
めいいっぱい可愛がって
堪能するしかないじゃない!

むしろそうしないと…
可愛いヒカリちゃんに失礼ってものでしょ!!」

「お、おう…」

 これはひどい…
 優羽花ゆうかの可愛い物好きが更に悪化している…
 どうしてこうなった!
 何でこんなに酷くなるまで放っておいたんだ!

 もしかしてヒカリがすぐに消えたのは、
 こんな優羽花ゆうかを警戒してのことだったんじゃあ…?

「ああ…
ヒカリちゃんを抱き締めることが出来なかった、
このどうしようもない気持ち…
あたし一体どうすれば…
これはもう!
お兄にぶつけるしかないじゃない!!」

 優羽花ゆうかの光の魔力が業火の如く立ち上がった。

「ちょっと待て優羽花ゆうか
それは只の憂さ晴らしという奴なのでは?
な何ッい魔力数値7000だとおー?

優羽花ゆうか自身の感情の昂ぶりで、
更に魔力が上昇したということかっ!?」

「いくわよ、お兄い!」

 優羽花ゆうかはまるで彗星の如く化して、
 俺に向かって凄まじい速度で突進してきた。

「う、うおおおおおーー!!」

 俺は今持てる全ての力を解き放って、
 我が妹を迎え撃った。





********





「はぁはぁ…
ディラム…生きてるか…?」

「ふっ…何とかな…。

しかしケイガよ…
貴様の妹は本当に強い」

「まったくだなあ…
と、とにかく回復しないとな…
光回復ライトヒーリング!」

闇回復ダークヒール

 俺とディラムはそれぞれ回復魔法を自身に行使する。
 俺の身体を癒しの光が、
 ディラムの身体を癒しの闇が包み込んで…
 優羽花ゆうかの猛攻でダメージを受けた身体が、
 みるみるうちに回復していく。

 組手稽古の欠点は身体に受けるダメージの大きさである。
 本来ならば身体のダメージが深刻にならない様に、
 稽古を調整する必要がある。

 だが回復魔法があればその心配は一切しなくても良い。
 回復魔法を前提とする組手稽古ならば、
 無茶も効くのである。
 短期間で強くなるという事も可能という訳なのだ。

 まさに魔法万歳!
 異世界万歳!
 である。
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