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528話 合わせて上がる

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「別に優羽花ゆうかは魔竜将と戦う事になったとしても、
別に心配することは無いんじゃないか?
前に”もうひとりのヒカリ”が説明してくれただろう。

光の勇者は戦う相手の魔力数値の高さに比例して、
自身の魔力上昇比率も上昇する。

そして光の勇者の専用武器である星剣エクシオンは
勇者の光の魔力を上昇させる魔力増幅機能が備わっている。

実際に国境の町クラシアで仮初めの身体を得た大魔王と戦った時も、
優羽花ゆうかは互角以上に戦った。
大魔王の魔力数値は5000と、
優羽花ゆうかの基本魔力数値を大きく上回っていたにも関わらずにな。

つまり優羽花ゆうかの光の魔力は、
相手の魔力が強ければ強い程に合わせて強くなる。

魔竜将ガルヴァーヴの魔力数値は15000だが
大魔王と戦っていた時のことを考えれば、
優羽花ゆうかの魔力はそれ以上に上がるだろう。
だから何の心配も無いぞ?」

「そ、そんなこと言ったってお兄…
あの大魔王って、かなり強かったんだよ?
その魔竜将は…その三倍も強いってことだよね?
そんなに強いんじゃあたし…」

「そんなこと言ったら戦闘力数値3000しか無い兄さんに取って、
魔竜将は五倍の相手だぞ?

お前はそんな俺にさっき、
『大変みたいだけど頑張ってよね』とか軽く言ったけど、
それは悪いと思わないのか?」

「…あっ…
ごめん…お兄…」

 優羽花ゆうかは俺に素直に謝った。
 自分の身に降り掛かると、
 その大変振りに気が付いた様である。
 人間は実際に我が身の事ににならないと、
 解らないということであろう。

「あの…お兄…?
あ、あたし…どうしたら?」

「ヒカリが俺達に嘘を言う訳無いだろう?
それに優羽花ゆうかの基本魔力数値も
大魔王の時よりも遙かに上昇している。
だからお前は光の勇者である自分の力を信じて、
どっしりと構えていれば問題無いと俺は思うんだが…
それでも心配か?」

「う、うん…」

「だったらそれを解決する良い方法がある…」

俺は優羽花ゆうかの肩に優しく手を乗せた。

「俺たちと組手稽古しよう」

「えっ?」

「俺とディラムの二人掛かりで優羽花ゆうかの相手をしよう。
二人合わせて戦闘力数値6000といった所だが、
光の勇者の能力なら6000以上の魔力数値になるだろう。
つまり大魔王の時の魔力数値5000を大きく上回る。
これは勇者の光の魔力が、
相手が強い程に更に増すという良い証拠になるだろう。
それに実際に魔力数値が上昇すれば、
優羽花ゆうかの不安も払拭されるだろう。

そして…
俺とディラムはお前と組手稽古をすることで、
更に強くなり数値を上昇させることになる。
そうすれば俺達に合わせて、
優羽花ゆうかの魔力数値も上昇する。

俺達は今よりも倍の数値である6000を目指している。
ふたり合わせて12000で魔竜将の数値15000に近付く訳だ。
そうなると優羽花ゆうかの魔力数値も12000以上になる。
実際にそこ迄の数値となれば、
優羽花ゆうかも安心して魔竜将と戦う心積もりが出来るだろう?」
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