526 / 556
526話 時が惜しい
しおりを挟む
「それはそうとして…シノブ、
ケイガお兄様のお姿が見えないのですけれど…?
てっきり貴女と一緒にグリンジスでの出来事を
わたくしに報告に来て頂けるとばかり…
一体どうなされたのです?」
「ケイガ兄様は帰国して直ぐに、
ディラム殿と組手鍛錬に入りました。
何でも…
今よりも倍は強くなる必要があるらしく、
少しでも時間は惜しいので
グリンジスの報告は私に一任されました。
姫様にはそう宜しくとの兄様の言付けです」
「え…えっ…えええっーー!?」
********
「はああっー!!」
俺は右手に収束した気を解き放った。
気功波がディラムに向かって突き進む。
本来なら気功波は気士術を繰り出して放つ大技である。
だが今の俺は日本に居た頃とは比較にならない程に
気が大きく向上して強くなっている。
気士としての段階が、
数段上になったと言っても良いだろう。
つまり、
気を溜めて放つということが…
力を込めて拳や蹴りを見舞うことと同様に、
難なく出来る様になったということなのである。
「はっ!」
魔騎士ディラムはその手に握った剣を横一線、
俺の気功波を切り裂いて霧散させた。
俺は構わずそのままディラムに肉迫、
両拳に気を纏わせて
電光石火の如く拳の連撃を見舞った。
「はあああああ!」
だが俺の拳の悉くは
ディラムの音速の剣撃に阻まれた。
俺とディラムは一進一退の攻防を続ける。
互いの実力はほぼ互角である。
つまり体力が続く限り、
何時までも戦い合うことが出来るという訳だ。
組手稽古は大きく力を伸ばすことができる鍛錬方法である。
だがこの方法は実力が伯仲した相手が必須である。
相手が強すぎても弱すぎてもいけないのである。
俺は元居た世界、
地球の日本では組手の相手は師匠しかいなかった。
だが師匠とは大きく実力差があったため、
組手稽古自体が有用な鍛錬方法では無かったのである。
だがこの異世界エゾン・レイギスで俺は…
魔騎士ディラムという名の、
組手稽古の理想というべき実力が拮抗した相手と巡り合った。
これなら俺は更に強くなることが出来る!
「だが悪いなディラム!
帰って来て早々に、
俺との修行に突き合わせてしまってな!」
「構わぬ、貴様が強くなることは
我が主ガルヴァーヴ様が望みしこと。
その為には我は喜んで協力しよう…それに」
「…それに?」
「我も貴様との修業を望んでいる、
我自身もより強くなるために!」
「…よおし良く言ったディラム!
今日は互いに力尽きるまでとことん戦り合おうぜ!」
「了解した…
それではゆくぞケイガ!」
ケイガお兄様のお姿が見えないのですけれど…?
てっきり貴女と一緒にグリンジスでの出来事を
わたくしに報告に来て頂けるとばかり…
一体どうなされたのです?」
「ケイガ兄様は帰国して直ぐに、
ディラム殿と組手鍛錬に入りました。
何でも…
今よりも倍は強くなる必要があるらしく、
少しでも時間は惜しいので
グリンジスの報告は私に一任されました。
姫様にはそう宜しくとの兄様の言付けです」
「え…えっ…えええっーー!?」
********
「はああっー!!」
俺は右手に収束した気を解き放った。
気功波がディラムに向かって突き進む。
本来なら気功波は気士術を繰り出して放つ大技である。
だが今の俺は日本に居た頃とは比較にならない程に
気が大きく向上して強くなっている。
気士としての段階が、
数段上になったと言っても良いだろう。
つまり、
気を溜めて放つということが…
力を込めて拳や蹴りを見舞うことと同様に、
難なく出来る様になったということなのである。
「はっ!」
魔騎士ディラムはその手に握った剣を横一線、
俺の気功波を切り裂いて霧散させた。
俺は構わずそのままディラムに肉迫、
両拳に気を纏わせて
電光石火の如く拳の連撃を見舞った。
「はあああああ!」
だが俺の拳の悉くは
ディラムの音速の剣撃に阻まれた。
俺とディラムは一進一退の攻防を続ける。
互いの実力はほぼ互角である。
つまり体力が続く限り、
何時までも戦い合うことが出来るという訳だ。
組手稽古は大きく力を伸ばすことができる鍛錬方法である。
だがこの方法は実力が伯仲した相手が必須である。
相手が強すぎても弱すぎてもいけないのである。
俺は元居た世界、
地球の日本では組手の相手は師匠しかいなかった。
だが師匠とは大きく実力差があったため、
組手稽古自体が有用な鍛錬方法では無かったのである。
だがこの異世界エゾン・レイギスで俺は…
魔騎士ディラムという名の、
組手稽古の理想というべき実力が拮抗した相手と巡り合った。
これなら俺は更に強くなることが出来る!
「だが悪いなディラム!
帰って来て早々に、
俺との修行に突き合わせてしまってな!」
「構わぬ、貴様が強くなることは
我が主ガルヴァーヴ様が望みしこと。
その為には我は喜んで協力しよう…それに」
「…それに?」
「我も貴様との修業を望んでいる、
我自身もより強くなるために!」
「…よおし良く言ったディラム!
今日は互いに力尽きるまでとことん戦り合おうぜ!」
「了解した…
それではゆくぞケイガ!」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

呪われ少年魔法師、呪いを解除して無双する〜パーティを追放されたら、貴族の令嬢や王女と仲良くなりました〜
桜 偉村
ファンタジー
瀬川空也(せがわ くうや)は魔力量が極端に少ない魔法師だった。
それでも一級品である【索敵(さくてき)】スキルで敵の攻撃を予測したり、ルート決めや作戦立案をするなど、冒険者パーティ【流星(メテオロ)】の裏方を担っていたが、あるとき「雑用しかできない雑魚はいらない」と追放されてしまう、
これが、空也の人生の分岐点となった。
ソロ冒険者となった空也は魔物に襲われていた少女を助けるが、その少女は有数の名家である九条家(くじょうけ)の一人娘だった。
娘を助けた見返りとして九条家に保護された空也は、衝撃の事実を知る。空也は魔力量が少ないわけではなく、禁術とされていた呪いをかけられ、魔力を常に吸い取られていたのだ。
呪いを解除すると大量の魔力が戻ってきて、冒険者の頂点であるSランク冒険者も驚愕するほどの力を手に入れた空也は最強魔法師へと変貌を遂げるが、そんな彼の周囲では「禁術の横行」「元パーティメンバーの異変」「生態系の変化」「魔物の凶暴化」など、次々に不可解な現象が起きる。それらはやがて一つの波を作っていって——
これは、最強少年魔法師とその仲間が世界を巻き込む巨大な陰謀に立ち向かう話。

俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
何故か超絶美少女に嫌われる日常
やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。
しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる