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524話 ビジネスライク

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「我等ジャイール連合帝国との
親愛なる同盟者である、
クロカワ殿たちと
最新魔導技術の回収収容作業は無事完了。

この地での目的は達した。
最早、長居は無用…
サイザンド陛下と我等は皇都ジャイルへ急ぎ帰還する!

ジャイール連合帝国旗艦・空中戦艦ミドガズオルム、抜錨せよ!」

 サイザンド皇帝の下に控えていた
 ひとりの武官が声を上げて命令を発した。
 その言葉に従って、
 空中戦艦はみるみる急上昇していく。
 そして上昇が止まると同時に直ちに前進を開始、
 その速度はみるみると加速した。

 空中戦艦の窓の外から見える景色が、
 あっという間に後ろへと流れていく…。

 この速度…
 高速飛行魔法『高速飛翔ハイウィング』にも決して引けは取らないだろう。

「クロカワ殿…
なぜこのような愚かな事を…?
私は貴方の、貴方達一派の持つ力に先を見据え、
惜しげも無く出資をしてきたつもりです!
それなのにこの様な裏切りなどを…?」

「フフフ…バイアン殿。
アナタがワタシの実力を買って、
多大な援助をしてくれたことには感謝しているわ。
この異世界エゾン・レイギスはワタシが元居た世界、
地球の日本とは全く異なるセカイ。
右も左もわからないワタシたちにとって、
アナタからの様々な援助は文字通り生命線と言っても良かったわ」

「…ならば、なおのこと!
何故私にこの様な仕打ちを!?」

「別にアナタが憎いからとかでは無いわ。
それは至極簡単な事柄なのよ。

様は…
ジャイール連合帝国が、
サイザンド陛下が、
ワタシを貴方よりも高く買ってくれたからよ。

所詮どんなセカイであっても
世の理はビジネスライクよ?

義理?
付き合いの長さ?
そんなものは至極下らない。
全ては結果のみ。

ワタシは支援の大きさ、帝国内での待遇面、
そしてエゾンリア大陸の国々の中でも大国である
ジャイールの後ろ盾を受けるメリットからして、
迷うことなくジャイールの手を取った。
たったそれだけのことよ。

より自身に利が得が獲得出来る相手に就く…
このことは、他らなぬ商人であるアナタが
身に染みて良く分かるのでは無いかしら?」

「くっ…うっ…」

「まあ…アナタには此れ迄に
お世話になった礼もあるのだから、
悪いようにはしないわ。

アナタがちゃんと利益を得られる様に、
ジャイールにもサイザンド帝にもくれぐれも言い含めて置くわ。

アナタがやろうとしていた、
エゾン・レイギス中を巻き込んだ
大商いの利益には及ばないとしても…
アナタも帝国の後ろ盾を正式に受けるのだから、
命の保証もされる。
身の上も立場も保障されるわ。

例えエクスラント聖王国から指名手配を受けていても、
帝国内ではビクビクと物怖じすることは無い。
もちろん帝国以外の国々でも大手を振って歩けるのよ?」
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