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515話 不意の攻撃魔法

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「「「氷矢アイスアロー!!!」

 商人バイアンの護衛ガードたちが
 氷属性の攻撃魔法魔法を解き放つ!

 彼等は商人の護衛ガードを務めるその道のプロである。
 故に流れ弾で荷物を燃やしてしまう火属性攻撃魔法では無く、
 氷属性魔法を修得している。

 厚い氷で形作られた氷の矢が、
 姫騎士団プリンセスナイツのひとりであるシダレの下に殺到した。

「とぉおー!」

 しかし彼女は副団長カエデと並んで、
 姫騎士団プリンセスナイツで一、二位を争う脚力で高速で駆け、
 護衛ガードたちの攻撃魔法を全弾回避した。

 必殺の筈の攻撃魔法一斉射を全て躱されて、
 動揺する護衛ガードたちに向かって
 全身鎧フルプレートに身を包んだ姫騎士団プリンセスナイツの団長シノブが迫る。

魔防壁マナウォール!」

 護衛ガードは咄嗟に防御魔法を展開する。
 魔力の光で形作られた壁がシノブを阻む。

魔力喰いマナイーター』!」

 シノブの声と共に、彼女の得物である剣の刀身が
 まるで猛獣の牙の様な形に姿を変えると、
 そのまま魔力の壁に喰い込んで、
 がぎぃん!
 という耳障りな音と共に噛み切った。
 シノブはそのまま護衛ガードを剣で殴打して打ち倒した。

氷矢アイスアロー!」

 別の護衛ガードがシノブに向かって氷属性の攻撃魔法魔法を撃ち放つ!

シールド!」

 だがシノブの掛け声と共に、
 彼女が纏う魔鋼製鎧マジックメイル手甲ガントレットが盾に変形し
 護衛ガードの放った氷の矢を弾き散らした。
 そのままシノブは手にした剣を振り下ろす。
 殴打された護衛ガードはその場に打ち倒されて動かなくなった。

 シダレが高速移動で護衛ガードたちの攻撃を引きつけながら攪乱、
 その隙にシノブが接近しひとりづつ確実に打ち倒していく。
 大商人バイアン自慢の護衛ガードは一人、また一人と
 確実にその数を減らしていく。

「ま、まずいですね…このままでは?」

 護衛ガードが次々とやられている中で、
 バイアンは商人の勘でこの場からの突破口を探った。

「…ここです、脚駆素アシクス!」

 バイアンは自身に脚力強化魔法を行使、
 護衛ガードたちを盾にして一気に高速疾走し一点突破、
 ふたりの女騎士の手からの脱出を試みた。

「商人のおじさん知らなかったの?
姫騎士団プリンセスナイツからは逃げられないんだよ!」

 何時の間にか先に回り込んでいたシダレがバイアンに足払いを掛けた。
 脚力強化魔法の勢いそのままに前に吹き飛んだバイアンは地面に倒れ伏した。
 其処には全ての護衛ガードたちを打ち倒したシノブ団長が待ち構えていた。

「バイアン殿、そろそろ観念して頂きましょうか?」

 団長は手にした剣を振り上げた。
 だがその瞬間、彼女の被っている兜の目庇バイザー部分に内蔵された
 見通しの眼鏡スカウターレンズに高い魔力数値反応が表示された。

火球ファイアボウル!」

 不意に放たれた火属性攻撃魔法がシノブ団長を襲った。
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