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510話 魔竜軍の魔族

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「くくく…オレが最も信頼する副官ディラムよ。

つまり今のナルガネ・ケイガが
このオレと手合わせするには
まだまだ力不足。

お前と鍛錬し今よりもっと力を付けるまで待てと…
そういう事だな?」

「はっ、偉大なる我が主ガルヴァーヴ様」

「ナルガネ・ケイガよ。

我が副官の言葉を汲んで、
貴様が今よりもっと力を付けた後に
改めて手合わせを誘うとしよう。

その時を楽しみにしているぞ!」

 何だか魔竜将が俺と手合わせすることが、
 未来の確定的な話になっているんですけど!?

 この魔竜将ガルヴァーヴという男、
 どうしても俺と戦いたいということである。
 それ程に戦いが好きという事なのか?
 それとも、このセカイでは”気”を扱う者が
 俺の思っている以上に希少レアということなのだろうか…?

 仕方が無い。
 俺も手合わせ中の事故なんかで死にたくは無い。
 そうならない為にも、
 今よりもずっと鍛え上げるしかないのだろうな…。

 俺は更なる鍛錬の決意を新たにした。


「ガルヴァーヴ様ッ!」

 突如、
 巨大な竜が上空より舞い降りてきて
 魔竜将の前にひれ伏した。
 おそらくこの竜がこのグリンジスにすみ着いたという
 魔族の竜なのだろう。
 やはり魔竜軍に属する魔族だったのか。

魔竜エビルドラゴンリュシウムよ、
よくぞ無事生き残った。

オレは先日同盟を結んだ聖王国に
魔導将アポクリファルが
向かったという情報を得た。

お前は魔導将に貸し与えたままだったからな。
戦いに巻き込まれて
命を落とされても敵わん。
そこでアポクリファルと聖王国の戦いを止めるために
取り急ぎ召喚契約を結んだディラムと共に
この地に急行したが、
どうやら間に合ってくれて何よりだ」

「オオ…我が真の主ガルヴァーヴ様ッ…
ワレなどの為に直々においで下さるとは
このリュシウム感謝に耐えませぬ…」

「なあに気にするな。
全ての魔竜エビルドラゴンはオレの可愛い眷属、
一匹とて無駄に殺されたくは無いだけの事よ」

 なるほど…魔竜将ガルヴァーヴも
 配下である魔族を大切にしているんだなと俺は思った。
 やはり魔族は同胞の命を大切にしているのである。

「ケイガお兄様!」

「兄様!」

「…兄様!」

 上空から浮遊魔法の光に包まれて、
 金色の髪をなびかせて
 白地に金色の装飾の煌びやかな甲冑と
 マントを羽織った少年と
 二人の女騎士が降下してきた。

「おお!
イクシア王子、イロハ、ツツジ、
みんな無事だったか」

「はい、ディラム殿が
僕とリュシウム殿の間に入って、
戦いを止めてくださいましたから」

 イクシア王子と魔竜エビルドラゴンリュシウム。
 この二人の魔力数値は相当なモノである。
 それを互いに全くの無傷で
 食い止めて見せたディラムは
 流石と言うべきであろう。
 力の数値的には同等の俺でも、
 同じことが出来たかどうかははなはだ疑問である。
 
 俺はディラムの実力の高さを改めて感じた。
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