505 / 556
505話 炎人
しおりを挟む
雷状の気を纏った俺の右拳の正拳突きと、
アポクリファルが両手のひらから放った魔力の波動。
ふたつの異質なエネルギーが激しくぶつかり合って、
ばちばちばちと音を立てながら
激しく火花を散らす。
もう後には引けない。
俺の気とアポクリファルの魔力、
先に尽きた方が負ける。
俺が魔力の波動を
『雷迅』で突き破るのが先か、
アポクリファルが波動で俺を吹き飛ばすのが先か。
拮抗する俺とアポクリファルの間に
突如、炎が巻き起こった!
炎は渦巻き人の様な形となった。
そして伸びて来た”炎の腕”が、
俺とアポクリファルの手を鷲掴みにした。
「な、何っ!?」
「おお!?」
思わず驚きの言葉を上げる
俺とアポクリファル。
何という力だろうか…。
俺が渾身の力で放った『雷迅』の気も、
アポクリファルの魔力の波動も、
完全に勢いを止められて
その場に掻き消されてしまった。
「魔導将アポクリファル。
そして異世界の戦士ナルガネ・ケイガ。
お前達の戦いは…
このオレ、魔竜将ガルヴァーヴが一端預かろう」
人型の炎が霧散して、
その中から
武人を思わせる逞しい身体に
覇気みなぎる顔つきの益荒男が姿を現した。
「魔竜将…だって!?」
俺が掛けている
見通しの眼鏡が急反応する。
そして突如現れた魔竜将を名乗る男の
魔力数値が映し出される。
3000…4000…6000…8000…10000…
凄い勢いで魔力数値が上昇していく。
馬鹿な…
強大な魔力を持つ魔界五軍将は、
魔界と地上の間に張り巡らされた
魔力数値1000以上の存在を阻む
精霊たちの結界に阻まれて、
地上には出て来られ無いんじゃあ無かったのか?
かつての魔精将イルーラも、
先ほどまで拳を交えていた魔導将アポクリファルも、
自身の魔力を1000以下で抑えていた。
しかし目の前の
この男の魔力数値は…
1000を遙かに超えている。
これは一体…?
「魔竜将ガルヴァーヴ、
お、お主…
一体どんな術を使って此処に現れたんじゃ?
儂の魔力を容易く一蹴する
その凄まじい魔力。
魔力数値1000以下には全く抑えておらんじゃろう!」
「くくく…その理由は至極単純だな。
魔界一の狂魔導学者として名を馳せる
お前なら大体もう、
ある程度は気付きはしているのでは無いか?
オレが此処に現れたその瞬間の様子を思い出して見るがいい」
「…お主は、
炎の中から現れた様に見えたのう…。
つまり…
やはりこれは…
召喚魔法か?」
老魔族は目の前の益荒男にそう問い掛けた。
アポクリファルが両手のひらから放った魔力の波動。
ふたつの異質なエネルギーが激しくぶつかり合って、
ばちばちばちと音を立てながら
激しく火花を散らす。
もう後には引けない。
俺の気とアポクリファルの魔力、
先に尽きた方が負ける。
俺が魔力の波動を
『雷迅』で突き破るのが先か、
アポクリファルが波動で俺を吹き飛ばすのが先か。
拮抗する俺とアポクリファルの間に
突如、炎が巻き起こった!
炎は渦巻き人の様な形となった。
そして伸びて来た”炎の腕”が、
俺とアポクリファルの手を鷲掴みにした。
「な、何っ!?」
「おお!?」
思わず驚きの言葉を上げる
俺とアポクリファル。
何という力だろうか…。
俺が渾身の力で放った『雷迅』の気も、
アポクリファルの魔力の波動も、
完全に勢いを止められて
その場に掻き消されてしまった。
「魔導将アポクリファル。
そして異世界の戦士ナルガネ・ケイガ。
お前達の戦いは…
このオレ、魔竜将ガルヴァーヴが一端預かろう」
人型の炎が霧散して、
その中から
武人を思わせる逞しい身体に
覇気みなぎる顔つきの益荒男が姿を現した。
「魔竜将…だって!?」
俺が掛けている
見通しの眼鏡が急反応する。
そして突如現れた魔竜将を名乗る男の
魔力数値が映し出される。
3000…4000…6000…8000…10000…
凄い勢いで魔力数値が上昇していく。
馬鹿な…
強大な魔力を持つ魔界五軍将は、
魔界と地上の間に張り巡らされた
魔力数値1000以上の存在を阻む
精霊たちの結界に阻まれて、
地上には出て来られ無いんじゃあ無かったのか?
かつての魔精将イルーラも、
先ほどまで拳を交えていた魔導将アポクリファルも、
自身の魔力を1000以下で抑えていた。
しかし目の前の
この男の魔力数値は…
1000を遙かに超えている。
これは一体…?
「魔竜将ガルヴァーヴ、
お、お主…
一体どんな術を使って此処に現れたんじゃ?
儂の魔力を容易く一蹴する
その凄まじい魔力。
魔力数値1000以下には全く抑えておらんじゃろう!」
「くくく…その理由は至極単純だな。
魔界一の狂魔導学者として名を馳せる
お前なら大体もう、
ある程度は気付きはしているのでは無いか?
オレが此処に現れたその瞬間の様子を思い出して見るがいい」
「…お主は、
炎の中から現れた様に見えたのう…。
つまり…
やはりこれは…
召喚魔法か?」
老魔族は目の前の益荒男にそう問い掛けた。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる