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490話 三者の望み
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「魔竜リュシウム様…
このゴルザベス、ご帰還をお待ちしておりました。
今日もご機嫌麗しゅう…」
「お世辞はいい。
ワレに何か用があって来たのだろう?
この地を治める領主?
この国の大商人?
そして教会の長よ?
…今のワレは少し機嫌がいい。
お前たちの望み、聞いてやっても良いぞ?」
三人の様子から彼等の下心を察したアポクリファルは、
リュシウムの声帯を使って三人に問い掛けた。
「よ、宜しいのですか?
リュシウム様」
「…二度も言わせるな人間。
早く言わなければワレの機嫌が
変わってしまうかもしれんぞ?」
「そ、それでは…
私はリュシウム様の忠実な僕として、
貴方にもっとお力添えをしたいのです。
その為には私はこの国で更なる力を付ける必要があるのです。
しかし今の私は所詮地方の領主でしかありません。
其処で…この国の領土を切り取って、
聖王都に攻め上がる為に、
偉大なるリュシウム様の御力をお貸しい頂きたいと願います…」
「ほう…我が力でこの国を獲りたいと申すのだな領主?
次は商人お前の望みを行ってみるがいい」
「ははっ。
私はお取引の魔導具の数を
もう少し増やして頂ければと思っております。
この魔力数値をコントロールできる魔導具をこの国に、
いずれは大陸全土に普及させたいと考えております故」
「なるほど、魔力数値をコントロールできるという
今迄に無かった仕組みを持った商品を数多扱う事で、
大陸全土で独占商売をしたいと申すのだな商人?
最後は教会の長の番だな、お前の望みを言うがよい」
「リュシウム殿、
われら教会の望みはあくまで、
この聖王国を影から支配することですじゃ。
しかし今の聖王国には、
人間にしては高い魔力を持った強者が
幾人か居ります故に難儀しております。
その人間を偉大なるリュシウム様の御力で排して頂ければ…
と、思うておりますじゃ」
「ふむ、ワレの力で邪魔者の暗殺を願うと言うのだな教会の長?
オマエ達からは多くの供物を受けているからな…
良いだろう。
その願い、考えてやろうでは無いか?」
「おお!
リュシウム様!
ありがとうございます!」
三人は思わず歓喜の声を上げた。
「…アポクリファル様?
この様な人間共の願いを聞いても宜しいのですかッ?」
リュシウムは魔法念話でアポクリファルに問い掛けた。
「そうさのう。
儂らの最終目的はこの地上における人間の勢力を切り崩して、
地上を手に入れることじゃ。
その為に、この三者の望みに乗っかるのも悪くはないじゃろう?
こ奴等が言うところの”強者”が、
どれくらいのモノかも少し気になるしのう?」
「しかしワレは、
同胞である人間をあっさり裏切った、
こ奴等の望み通りに動くのは面白くありませんッ!」
「フォフォフォ…若いのうリュシウムは。
まあ儂はあくまで”考えてやろう”と言った迄じゃからのう。
望みを叶えるとは一言も言ってはおらんからのう?」
アポクリファルは含んだ笑いを浮かべながら、
魔法念話で若き魔竜にそう答えた。
このゴルザベス、ご帰還をお待ちしておりました。
今日もご機嫌麗しゅう…」
「お世辞はいい。
ワレに何か用があって来たのだろう?
この地を治める領主?
この国の大商人?
そして教会の長よ?
…今のワレは少し機嫌がいい。
お前たちの望み、聞いてやっても良いぞ?」
三人の様子から彼等の下心を察したアポクリファルは、
リュシウムの声帯を使って三人に問い掛けた。
「よ、宜しいのですか?
リュシウム様」
「…二度も言わせるな人間。
早く言わなければワレの機嫌が
変わってしまうかもしれんぞ?」
「そ、それでは…
私はリュシウム様の忠実な僕として、
貴方にもっとお力添えをしたいのです。
その為には私はこの国で更なる力を付ける必要があるのです。
しかし今の私は所詮地方の領主でしかありません。
其処で…この国の領土を切り取って、
聖王都に攻め上がる為に、
偉大なるリュシウム様の御力をお貸しい頂きたいと願います…」
「ほう…我が力でこの国を獲りたいと申すのだな領主?
次は商人お前の望みを行ってみるがいい」
「ははっ。
私はお取引の魔導具の数を
もう少し増やして頂ければと思っております。
この魔力数値をコントロールできる魔導具をこの国に、
いずれは大陸全土に普及させたいと考えております故」
「なるほど、魔力数値をコントロールできるという
今迄に無かった仕組みを持った商品を数多扱う事で、
大陸全土で独占商売をしたいと申すのだな商人?
最後は教会の長の番だな、お前の望みを言うがよい」
「リュシウム殿、
われら教会の望みはあくまで、
この聖王国を影から支配することですじゃ。
しかし今の聖王国には、
人間にしては高い魔力を持った強者が
幾人か居ります故に難儀しております。
その人間を偉大なるリュシウム様の御力で排して頂ければ…
と、思うておりますじゃ」
「ふむ、ワレの力で邪魔者の暗殺を願うと言うのだな教会の長?
オマエ達からは多くの供物を受けているからな…
良いだろう。
その願い、考えてやろうでは無いか?」
「おお!
リュシウム様!
ありがとうございます!」
三人は思わず歓喜の声を上げた。
「…アポクリファル様?
この様な人間共の願いを聞いても宜しいのですかッ?」
リュシウムは魔法念話でアポクリファルに問い掛けた。
「そうさのう。
儂らの最終目的はこの地上における人間の勢力を切り崩して、
地上を手に入れることじゃ。
その為に、この三者の望みに乗っかるのも悪くはないじゃろう?
こ奴等が言うところの”強者”が、
どれくらいのモノかも少し気になるしのう?」
「しかしワレは、
同胞である人間をあっさり裏切った、
こ奴等の望み通りに動くのは面白くありませんッ!」
「フォフォフォ…若いのうリュシウムは。
まあ儂はあくまで”考えてやろう”と言った迄じゃからのう。
望みを叶えるとは一言も言ってはおらんからのう?」
アポクリファルは含んだ笑いを浮かべながら、
魔法念話で若き魔竜にそう答えた。
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