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473話 疑惑の街への出発
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「ケイガ兄様!
いい加減ツツジの相手ばかりしていないで!
そろそろあたくしに対しても何か言う事はなくて?」
「ん?
ああ…そうだなあ。
イロハそのドレス
すごく似合っているぞー」
「ちょっと待ってくださいましケイガ兄様!
何ですかその驚きの欠片も無い淡白な反応は!!
ツツジの時とは雲梯の差では無くて?」
「そんなこと言ってもなあ。
イロハは貴族令嬢だからドレスは
いつも気慣れているだろうし、
似合っていて当然だろう。
驚きも何も…」
「兄様、これは明確な妹格差ですわ!
此処はあたくしにもっと心が籠った誉め言葉のひとつでも掛けるのが、
妹への心遣いでは無くて?」
「妹格差とか
そんなことは無いだろう。
俺は妹たち皆を大切にしているつもりだぞ?
只のイロハの思い過ごしだろう」
「いいえ!
以前から兄様はあたくしに対して
ちょっと言葉が厳しい感じがありますわよ!」
俺は冷静にイロハに対して言葉を返す。
そんな俺に対して彼女は不満たっぷり気にヒートアップしていく。
イロハはアニメやゲームに出てくるような悪役令嬢みたいな感じの娘である。
別に悪い子という訳では無いのだが、
見た目とか雰囲気とか言葉遣いがそう感じさせるのである。
そして優羽花と通じるツンデレ属性を持ち合わせている。
つまり何と言うか…
俺にとってイロハは優羽花同様に話しやすい妹という事である。
つまりイロハに対して俺はあまり気兼ねしない、
遠慮しないということであり、
本音に近い言葉遣いが彼女に取っては
辛辣に聞こえてしまうのかも知れないな。
…確かにイロハは、
生まれてすぐ俺の妹であった優羽花とは違って妹歴が短い。
その様な兄妹としてのつきあいが短いにも関わらず遠慮しない対応は
いらぬ誤解を招くのかも知れないな。
俺は考えを改めるとイロハに向かって口を開いた。
「ごめんなイロハ。
君は俺から見ると優羽花に少し似ていて…
親しみやすい雰囲気なんだ。
それでイロハに対して気兼ねの無い言葉を掛けてしまっていた。
でもそれは…君にとっては
俺が容赦のない態度を取っていると捉えさせてしまったんだな。
申し訳ない…これからはイロハに対しもっと気を使った言葉を選ぶよ」
「そ、そうだったんですの…?
あたくしがユウカ様に似ているというのは、
別に悪い気はしませんけれど…。
そ、そういうことでしたら別に、
あたくしに気兼ねなく話してくださっても構いせんことよ!
で…でもこれは!
ケイガ兄様だから許すのですからね!」
イロハはそう言って頬を赤らめながら腕組してそっぽを向いた。
うん…イロハは優羽花に似てツンデレっぽいけど
優羽花よりもだいぶ素直である。
漫画やアニメで言うチョロインと言う言葉が俺の脳裏に一瞬浮かんだが…
失礼だぞ俺の愛しい妹の一人がそんな訳無いだろう馬鹿にするなよ!
と、俺は誰かに向かって心の中で叫んだ。
「それじゃあ…グリンジスへ向かうとするか、イロハ、ツツジ」
「了解ですわ兄様」
「…はい兄様、
もうすぐ手筈通り馬車が来ます…」
ツツジの言葉通り、一台の馬車が到着した。
何しろ俺たちはこれから聖王都の貴族一行として
グリンジスに入るのである。
貴族が徒歩で街に入る何ておかしいということで、
グリンジスに住まう聖王都協力者が
前もって準備してくれたのである。
「へえ…俺は貴族の馬車なんて初めて見るが、
かなり立派なものなんだなあ」
「ケイガ兄様、
これぐらいのレベルでは中の下といったところですわよ、
あたくしの実家の馬車はもっと凄くってよ!」
「そ、そうなのか…?」
「そうですわね…
この程度の馬車ではあたくしに不釣り合いでは無いかしら?
だとすると逆に不審がられるという可能性も…」
「えっ?」
「…イロハ、
今回はあくまで秘密裏での町への侵入が目的だから…
…なるべく目立たない方がいいと思う…」
「…ですわねツツジ。
それではちょっと不満ではありますけれど、
この馬車でグリンジスへ向かいましょうか」
俺達三人は馬車の中へと乗り込んだ。
そして、ここまで馬車を運んできた現地協力者の男性が
引き続き馬車の乗り手を務め、
グリンジスへ向けて出発した。
いい加減ツツジの相手ばかりしていないで!
そろそろあたくしに対しても何か言う事はなくて?」
「ん?
ああ…そうだなあ。
イロハそのドレス
すごく似合っているぞー」
「ちょっと待ってくださいましケイガ兄様!
何ですかその驚きの欠片も無い淡白な反応は!!
ツツジの時とは雲梯の差では無くて?」
「そんなこと言ってもなあ。
イロハは貴族令嬢だからドレスは
いつも気慣れているだろうし、
似合っていて当然だろう。
驚きも何も…」
「兄様、これは明確な妹格差ですわ!
此処はあたくしにもっと心が籠った誉め言葉のひとつでも掛けるのが、
妹への心遣いでは無くて?」
「妹格差とか
そんなことは無いだろう。
俺は妹たち皆を大切にしているつもりだぞ?
只のイロハの思い過ごしだろう」
「いいえ!
以前から兄様はあたくしに対して
ちょっと言葉が厳しい感じがありますわよ!」
俺は冷静にイロハに対して言葉を返す。
そんな俺に対して彼女は不満たっぷり気にヒートアップしていく。
イロハはアニメやゲームに出てくるような悪役令嬢みたいな感じの娘である。
別に悪い子という訳では無いのだが、
見た目とか雰囲気とか言葉遣いがそう感じさせるのである。
そして優羽花と通じるツンデレ属性を持ち合わせている。
つまり何と言うか…
俺にとってイロハは優羽花同様に話しやすい妹という事である。
つまりイロハに対して俺はあまり気兼ねしない、
遠慮しないということであり、
本音に近い言葉遣いが彼女に取っては
辛辣に聞こえてしまうのかも知れないな。
…確かにイロハは、
生まれてすぐ俺の妹であった優羽花とは違って妹歴が短い。
その様な兄妹としてのつきあいが短いにも関わらず遠慮しない対応は
いらぬ誤解を招くのかも知れないな。
俺は考えを改めるとイロハに向かって口を開いた。
「ごめんなイロハ。
君は俺から見ると優羽花に少し似ていて…
親しみやすい雰囲気なんだ。
それでイロハに対して気兼ねの無い言葉を掛けてしまっていた。
でもそれは…君にとっては
俺が容赦のない態度を取っていると捉えさせてしまったんだな。
申し訳ない…これからはイロハに対しもっと気を使った言葉を選ぶよ」
「そ、そうだったんですの…?
あたくしがユウカ様に似ているというのは、
別に悪い気はしませんけれど…。
そ、そういうことでしたら別に、
あたくしに気兼ねなく話してくださっても構いせんことよ!
で…でもこれは!
ケイガ兄様だから許すのですからね!」
イロハはそう言って頬を赤らめながら腕組してそっぽを向いた。
うん…イロハは優羽花に似てツンデレっぽいけど
優羽花よりもだいぶ素直である。
漫画やアニメで言うチョロインと言う言葉が俺の脳裏に一瞬浮かんだが…
失礼だぞ俺の愛しい妹の一人がそんな訳無いだろう馬鹿にするなよ!
と、俺は誰かに向かって心の中で叫んだ。
「それじゃあ…グリンジスへ向かうとするか、イロハ、ツツジ」
「了解ですわ兄様」
「…はい兄様、
もうすぐ手筈通り馬車が来ます…」
ツツジの言葉通り、一台の馬車が到着した。
何しろ俺たちはこれから聖王都の貴族一行として
グリンジスに入るのである。
貴族が徒歩で街に入る何ておかしいということで、
グリンジスに住まう聖王都協力者が
前もって準備してくれたのである。
「へえ…俺は貴族の馬車なんて初めて見るが、
かなり立派なものなんだなあ」
「ケイガ兄様、
これぐらいのレベルでは中の下といったところですわよ、
あたくしの実家の馬車はもっと凄くってよ!」
「そ、そうなのか…?」
「そうですわね…
この程度の馬車ではあたくしに不釣り合いでは無いかしら?
だとすると逆に不審がられるという可能性も…」
「えっ?」
「…イロハ、
今回はあくまで秘密裏での町への侵入が目的だから…
…なるべく目立たない方がいいと思う…」
「…ですわねツツジ。
それではちょっと不満ではありますけれど、
この馬車でグリンジスへ向かいましょうか」
俺達三人は馬車の中へと乗り込んだ。
そして、ここまで馬車を運んできた現地協力者の男性が
引き続き馬車の乗り手を務め、
グリンジスへ向けて出発した。
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